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Report

prideDSE主催 "PRIDE.12"
2000年12月23日(土) さいたまスーパーアリーナ

第8試合 10分2R
イゴール・ボブチャンチン
(ウクライナ)
延長5分

判定3-0
マ−ク・ケアー
(米国/チーム・ケァー)
×

 両者は99年9月12日のPRIDE.7横浜アリーナ大会で対戦しているが、2Rにボブチャンチンが四つんばいのケァーに反則の膝蹴りを連打しKO。当初はボブチャンチンの勝利が発表されたが、ケァー陣営の抗議を受け、全試合終了後に主催者からこの試合がノーコンテスト(無効試合)になったことが発表された。だが試合内容はボブチャンチンが打撃で圧倒。ガードも固く、攻めきれないケァーの不調ぶりを印象づけるものだった。
 結局この試合が今後の両者の運命を逆転させる。ボブチャンチンはPRIDEグランプリで準優勝、その後もエンセン井上、高田延彦らに勝利し快進撃を続けるが、対照的にケァーはエンセン戦でも不完全燃焼、藤田和之戦ではバーリ・トゥード初の敗北を喫するなど、「霊長類最強」というレッテルが忘れ去られそうなほどの失墜ぶりを見せている。
 前回の試合から15カ月、全く立場の入れ替わった両者が再度対戦するが、ボブチャンチンとしては次回グランプリ優勝へきっちり照準を絞るためにも、一方のケァーとしては復活をアピールするためにも、完全決着を付けたいという思いは一致しているところだろう。このような背景もあり、入場時から両者とも緊張感に満ちている。

 ケァーがボブチャンチンのフックをかわしタックル。がぶられるがテイクダウン。ボブチャンチンはがっちりガード。バッティングでケァーが痛がったがすぐ回復し再開。ケァーは首固めを狙うが失敗。膠着が続く。6分が経過しようやくブレイク。両者消極的と判断され島田レフェリーがイエローカードを出しスタンドに戻る。だがまたもケァーが上、ボブチャンチンがガードとなり膠着。ついにはブーイングが巻き起こる。

 2Rも同様の展開からスタート。ケァーのタックルにボブチャンチンは膝蹴りを合わせ、テイクダウンされても下からパンチを連打。だがこの後は1Rと同じように膠着。ケァーのインサイドガードからのパンチでボブチャンチンが左目尻を出血。観客のフラストレーションが溜まり、5分経過しようやくブレイク。今度はボブチャンチンにのみイエローカードが出された。

 スタンドに戻るとここからようやく急展開。ケァーの左フックに合わせボブチャンチンが膝を連打。ひるんだケァーは藤田戦でも見せたような亀の体勢で防御。ボブチャンチンはバックをしっかり取る。だがケァーが下からアームロックを狙い逆転のチャンス。しかしボブチャンチンはかろうじて逃れ再びバックを取りパンチを打つ。ボブチャンチンが優勢に戻したが、ここで体勢が崩れスタンドに戻り、またもケァーがタックルしインサイドガード。スタミナロスを嫌うような展開に、客席から失望感も混じったブーイングが響く。ケァーは一度にパス成功するが、ボブチャンチンがガードに戻し、そこで試合終了。

 判定はドロー。5分の延長が設定されたが、勝利を確信していた様子のケァーはがく然とし、戦意喪失であるかのような態度を取り出した。セコンドのリコ・ロドリゲスがケァーに懸命に激を飛ばす。一方のボブチャンチンはやる気まんまん。こうなると勝負は見えてきた。

 ボブチャンチンがカウンターの右で攻める。腰を落としたケァーのバックをボブチャンチンが取り、立ち上がろうとするのを捕らえて離さない。ボブチャンチンは側頭部にパンチ連打。ケァーは亀になって苦しそう。なんとかケァーが離れるとまたもタックルでインサイドガード。ケァーは攻める体力がなく、そのまま膠着で終了。

 判定は今度こそボブチャンチン。ケァーは前回の対戦と同じくスタミナ不足に苦しんだ。長期戦ならボブチャンチンが圧倒的に強い。ボブチャンチンが順当にケァー越えを果たした。

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レポート:井原芳徳  写真:井田英登


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