「シュルト初防衛、新ルールにも盲点なし。鈴木、“東京ドームにつなげる”勝利」
東京ドームまで1カ月を切り、パンクラスマットにいくつかの動きがあった。
まず、昨日行われたヒクソンの来日会見での「ヒザ、頭突き拒否」発言を受けて、大会直前に尾崎社長が会見を行い、ルールの白紙撤回を要求、グレイシー流の水面下でのネゴシエーションに待ったをかけた。
リング上でもパンクラス旗揚げメンバーである冨宅飛駈が1年10カ月ぶりのマット復帰を果たし、鈴木みのるが復帰第二戦で往年のシャープな動きを思わせる復活ぶりをアピールした。またメインイベントでは、高橋義生が王者シュルトに挑んで、敗れはしたものの果敢なスタンドファイトで客席を沸かせた。
鈴木は試合後、「俺を勝手に引退させたがってる人が多いですけど、おれはここにいる。元気で試合をやって、みんなにそのエネルギーを伝えて元気になって欲しい。今日は、東京ドームに繋げるつもりで戦いました」と、その心情を口にした。
このところ、菊田、須藤ら途中入団組の活躍ばかりが目立つパンクラスマットだが正直言って、現在パンクラスマットの動員はイマイチ芳しくない。またPPVの放映パートナーであるディレクTVがこの年末に会社を精算するという予想外のアクシデントもあった。東京ドームでの船木戦の結果いかんによっては、パンクラスという団体の屋台骨がゆらぎかねない。その緊急事態にあって、今日の横浜文体では、彼ら“旗揚げ組”のベテランが大会を引っ張った。共に理想を求めて藤原組を離脱、パンクラスという約束の地を求めて集まったメンバーが同時多発的に“決起”したこの現象は、対戦前からルール等の問題で苦戦を強いられる船木に対するエールなのだろうか。
(井田英登)