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キングダムエルガイツ "No name HERO"
6月11日(日) 東京・北沢タウンホール

「入江キングダム、ミドル級に新展開の兆し」

レポート&写真・井原芳徳

▼ キングダムエルガイツ6月11日(日)北沢タウンホール大会は、前半はアマチュアによるトーナメント、後半はプロによる5試合という二部構成で開催された。
 トーナメントには他団体からも多数の選手が出場したが、結局入江部屋(キングダム)の選手が2階級を制覇。中でもミドル級優勝の今成正和は、3月開催された全日本コンバットレスリング選手権でも準優勝(決勝でパレストラの阿部和也に敗退)の実績を作っており、今後の活躍も期待できそうだ。
 プロ部門では勝者と敗者の実力差が大きすぎ、勝者の真の実力ががはっきり見えない試合が残念ながら多かった。そんな中、ミドル級の稲野岳(キングダムエルガイツ)の試合が見ごたえのある接戦となった。
 この両選手に共通するのは、今成は8分、稲野は15分という長期戦を闘い抜き、バテることなく最後のワンチャンスを物にした点である。もちろんルール慣れしている面もあるだろうが、それだけでなく、技術・スタミナともに対外的に通用するレベルであってこその勝利だった。
 さらに両者ともミドル級であることも見逃せない。これまで入江秀忠(写真)、布施智治というヘビー級両選手が“顔”となり、プロレスラーとの対抗戦を盛んに行ってきたのがキングダムの興行だった。だが、総合系他団体でも層の厚いミドル級の充実により、入江がBoutRview XX4号のインタビューで話したとおり「今は下の人間がどんどん増えてきてて、本当にプロレスの色を持ってない選手だけになる可能性もありますよね。こうやってプロレス団体に挑戦するのは僕だけでいいと思うんですよ」という将来像が少しずつ現実化していくだろう。
 今後のキングダムは、まず7月1日に東京・新大久保にジムをオープン予定。そして次回大会は9月2日の川崎市体育館。4千人収容の大会場ということもあり、ヘビー級トーナメント開催を計画している。


■ キングダムルール概要

1. ウェイト制
ライト級(〜65kg) ミドル級(〜80kg) ヘビー級(80kg以上)
2. 競技用具
オープンフィンガーグローブ(10オンス)着用。
ニーパット、レガース、エルボーパット未着用時は、その部位による攻撃不可
3. 基本ルール
絞め技、投げ技は全て可。肘打ち不可。スタンド時のみ打撃可
プロのみ、マウントでの打撃可。
4. 勝敗
通常のK.O.、T.K.O.の他、ポイント制があり。
ロープエスケープorダウン1回で1ロストポイント。5点に達するとT.K.O.負け。
時間切れの場合、ロストポイント合計が少ないほうが勝者となる。差がない場合のみエキストラポイントの多いほうが勝者となる。エキストラポイントはヒットポイント(マウント)、ロックポイント(キャッチ)からなる。

5. 試合時間
全て一本勝負。アマチュアは5分(延長3分)、プロは試合により異なる。

・その他レフェリングの特徴
グラウンドで1分近く膠着すると、レフェリーがブレイクをかける。


■ 全日本アマチュアキングダム選手権−リアルファイトトーナメント−

◆ライト級(18人参加)
・優勝  町田生五月(烏合会)
・準優勝 糸永直樹 (バトラーツジム)
※町田が素早いポジショニングで圧倒。マウントのまま糸永をリング中央に引っ張っていきエスケープできない状態にした後、2'08"三角絞めで勝利。
◆ミドル級(7人参加)
・優勝  今成正和 (入江部屋:写真)
・準優勝 西内太志郎(田村部屋)
※西内がトップからパスを狙う展開が続くが、膠着するとブレイクが入る前にスタンドに戻る。その展開が延長戦でも続くが、終盤パスに成功した今成がワンチャンスの足関節に成功、1エスケープを奪い勝利をおさめた。
◆ヘビー級(3人参加)
・優勝  瓜田幸造(入江部屋)
・準優勝 栗原 強(パレストラ)
※瓜田が終始優位に試合を進めた。ギロチンチョークで1エスケープを奪った後、4'10"アームロックで勝利。


■ プロ部門

第1試合 ライト級 10分1本勝負
×館智行(フリー)
和知正仁(キングダムエルガイツ)
1'47" 腕ひしぎ十字固め
※開始早々館がテイクダウンに成功するが、和知が下から三角絞め、さらに腕十字に移行。館はエスケープできず。
第2試合 ヘビー級異種格闘技戦 10分1本勝負 
荒井修(国際プロレス青葉道場)
×伊藤剛(サンボ/フリー)
2'07" レッグスプレッド
※伊藤も100kgだが、荒井も120kg。パワフルな荒井の一方的な試合に。開始早々強引な投げで相手の力量を見切った荒井は、タイガーマスク風の腕を取り回転するパフォーマンス等プロレスラーらしい展開で客を十分沸かせた後勝利。

第3試合 ミドル級 15分1本勝負

×大杉勇(IMN)
稲野岳(キングダムエルガイツ)
エクストラポイント0−2
※大杉は全日本コンバットレスリング-74kg優勝経験もある実力者。“U系柔術”を名乗る稲野も負けられない。序盤大杉はテイクダウンに成功し稲野をコーナーに押し込むが、稲野はすかさず腕を取りロックポイント1奪取。その後ほとんど寝ることなくスタンドでの差し合いが続く。だが終盤離れ際に稲野が放ったパンチが命中。大杉がダウン気味に倒れるとすかさず稲野がマウントポジションを取り、ヒットポイント1奪取。結局時間切れで稲野のポイント差勝利。

セミファイナル ヘビー級 20分1本勝負

布施智治(キングダムエルガイツ)
×片矢 健(レスリング/フリー/たけしプロレス軍団出身)
4'14" チョークスリーパー
※布施がローキックでひるんだ片矢をあっさりテイクダウンし、マウント。亀になった片矢に派手なパンチを打ち込み、片矢たまらずエスケープ。またも布施がマウントパンチを落とす展開となり片矢がロープエスケープするが、なぜかレフェリーが止めない。布施はパンチを打ち続け、ようやくレフェリーが止めに入るがゴングを要請してしまい、片矢は猛抗議。なんとか試合は続行するが、布施が圧倒。片矢がテイクダウンに成功するも、すかさず布施がバックを取りスリーパー。試合を終わらせた布施は喜びの表情も見せずすぐに退散した。

メインイベント 30分1本勝負

入江秀忠(キングダムエルガイツ)
×幸村ケンシロウ(九州求道軍)
※当初入江の相手としてJPWA(日本プロ・レスリング協会)の木村浩一郎が予定されていたが、結局登場せず、プロレスラーの幸村に変更。試合は入江の一方的な内容。次々関節技を極めポイントを奪い、最後はマウントから腕十字。

レポート&写真:井原芳徳

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