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Report

新日本キックボクシング協会 "REAL CHAMPION APPEARANCE"
2001年3月31日(土)東京・後楽園ホール

第6試合 トリプルセミファイナル 日本ウェルター級王座決定戦/5回戦 
同級1位
米田克盛
(トーエル)
判定3-0

49-47,49-48,49-47
同級3位
庵谷鷹志
(伊原)
×

※米田克盛が新王者に

 武田幸三が返上した日本ウェルター級のタイトルをめぐり、今この階級で最も勢いのある二人で王座決定戦が行われた。両者は昨年12月代官山大会に出場し、米田はホカトモヒロを3RKO、庵谷(いおたに)は新日本移籍第一戦で米田の弟の頼信を1R3ノックダウンでKO、揃って大きなインパクトを残した。そして迎えたこの試合も、その勢いがぶつかり合い核融合のように爆発した。

 1Rから庵谷の右アッパーが火を吹く。勝ち星の8勝全てがパンチによるKOだけあり、あわや短期決着かという場面も。米田は「今までで一番強いパンチだった」と試合後語ったが、いつもの涼しい顔は崩れない。庵谷のラッシュに大歓声が起こり、早くも好勝負の予感だ。2Rになると米田は右ロー中心の攻めに。だがこれがローブローで入ってしまい1分休憩。庵谷は序盤の勢いを失い、米田のボディと右肘の連打にダウンを喫す。さらに米田は肘とパンチで攻勢。庵谷も得意のアッパーを随所に叩き込み起死回生を狙う。

 3R、米田が外れかけたマウスピースをリング外に投げ飛ばしブレイクがかかる場面もあったが、基本的にこれまでの勢いは止まらない。左ミドルの応酬に迫力がある。米田はロー、前蹴り中心の攻め。庵谷の鼻からは2Rのダメージの影響か出血が見られる。

 4Rになると米田の左ミドルの勢いが増す。右フックも庵谷に負けず劣らず強烈だ。庵谷はいい当たりをもらうと「来い!」とばかりに腕を振り挑発する。逆に効いている証拠か。序盤のようなラッシュも見られなくなり、徐々に敗色が濃くなってきた。

 5R、米田はロー、ミドルを的確に当てる。対する庵谷も後回し蹴りも見せるが不発。アッパーの精度も下がってきた。だが両者の休まない積極的な攻撃に客席はヒートアップする一方。両陣営の大コールはもちろん、全ての観客から歓声が湧く。休憩前の一戦にも関らず(トリプルセミファイナルと銘打たれてはいるのだが)、まるでメインイベントを終えた後のような充実感が、ゴング後の会場に余韻として残った。

 判定は米田に。トーエルジムに初のベルトが渡った瞬間だ。庵谷はリング上に泣き崩れる。だが敗者にも観客は温かい。四方に礼をし退場する庵谷に惜しみない拍手がわき起こった。

 米田はリング上で「(王者になれて)最高です。みなさんの声援で勝てました」と挨拶。米田は直前に風邪を引き、当日も悪寒があったという。「そのうち雑誌の表紙を飾りたい。でももっとスタミナを付けないと」と武田に引けを取らない王者となることを誓った。記者会見中に庵谷が米田の控室を訪問。庵谷は握手しながら「強いチャンピオンになって」とさわやかにエールを送ったが、その瞳には涙がまだ残っていた。

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レポート:井原芳徳  写真:菊地奈々子

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