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Report

k-1K-1 BURNING 2001〜火の国熊本初上陸〜
4月15日(日)熊本・アクアドームくまもと
観衆7000人(主催者発表)

「武蔵、4カ月ぶりの汚名返上も王座は崩せず。ノブ代理戦争に散る」

 観衆:7000人(主催者発表)

(今大会の写真は、株式会社キヤノン様のご好意により提供していただきましたデジタル一眼レフカメラ EOS D30で撮影しました。)


▼2001年に入って、K-1トップクラスの選手とJAPAN選手のせめぎ合いが繰り広げられる本格的な戦場へとスケールアップしたK-1 JAPANシリーズ第二戦が、初夏の陽気を思わせる南国熊本で開催された。会場は、二年前の熊本国体で新設された国際競技場クラスの規模を誇る大型プール「アクアドームくまもと」。本来はプールの水底にあたる部分をアリーナに仕立てての特殊な会場設営となったが、オリンピッククラスの競技者となるべく世界トップに挑んだJAPAN陣営にとっては、まさにうってつけの舞台と言えるだろう。武蔵が、ノブが、そして次世代を担う富平、子安、そして中量級エースの魔裟斗が火の国熊本に燃えた。

第試合 日本対世界5対5マッチ  K-1ルール3分5R
アーネスト・ホースト
(ボス・ジム)
判定2-0

50-49,50-49,50-50
武蔵
(正道会館)
×

 メインを務めた武蔵は、昨年末の東京ドーム以来4カ月ぶりの実戦であり、日本代表の大きな期待を背負いながら何一つ実力を発揮できずに終わったレイ・セフォー戦の悪夢を払拭しなければならない背水の陣である。受けて立つホーストも、二年連続GP覇者の貫録を示すためには、徹底的に武蔵をたたきのめして見せなければならない。
 ピンと緊張感のみなぎった表情で入場した武蔵。一方、ホーストはいつものポーカーフェイス。当然挑戦者側が戦端を開くだろうという予想に反して、ホーストが序盤から積極的に攻めて出る。武蔵の出ばなをくじくように距離を詰め、一発を放ってはまた距離を戻すヒットエンドラン手法で、出入りを繰返し同じトリッキータイプの武蔵をけん制する。
 2Rホーストが右ローを集中、武蔵の下半身を攻める作戦でアドバンテージをじわじわ延ばしていくが、武蔵も下がりながら左ローを打ち、前に出てくるホーストに飛びヒザ蹴りを見舞って互角の勝負を展開して見せる。ただ、積極性では下がる武蔵には印象が悪く、また最終ラウンドにはクリンチで警告を取られたこともあり、判定で僅差ながら2-0(一者ドロー)で敗戦を喫した。移動などが重なり体調のよくなかったというホーストだが、ワールドGPを二連覇した世界トップに君臨する王者と渡り合ったという事実は、武蔵の実力がやはり本物であったと言うことの証明になるだろう。石井館長もこの日の武蔵の健闘を認め、JAPAN GPの一回戦シードを決めた。

第7試合 日本対世界5対5マッチ  K-1ルール3分5R
ピーター・アーツ
(メジロ・ジム)
5R 0:36

TKO(タオル投入による)
ノブ・ハヤシ
(ドージョー・チャクリキ)
×

 アーツとトム・ハーリックとの代理戦争と称されたこの一戦。アーツは距離を下がるノブを左ジャブで追う展開。しかし、手の内を知り尽くしたかつての恩師が授けた秘策を恐れてか、深追いはしないアーツ。ノブも、アーツのパンチが見えている様子で、ジャブを貰っても必ず左フックを返してポイントを稼がせない。アーツが慎重な分、もう一歩が踏み込めないまま4Rまでほぼ拮抗した展開が続く。しかし、アーツの執拗な左ジャブは確実にノブの顔面を捉えるようになってきており、距離を掴んだ半歩踏み込みの深い左ジャブがようやくノブの顔面を捉え始めた。クリーンヒットに目尻を切ったノブの足が止まるや、アーツは左ジャブから、強力な右ローに繋ぐコンビネーションを使い始める。4R終了直前に3発のローが決まり、これがノブの動きを完全に止めた。結局、ゴングに救われたものの、最終ラウンド開始早々左右ストレートで攻め込んだアーツが、止めの右ローで粘るノブをマットに匍わせる。ダメージの大きさを見て取ったトム・ハーリックがタオルを投入。愛憎入り交じるチャクリキ師弟闘争は、ロイド・ヴァン・ダムに続く第二の刺客ノブをも沈め、またもやアーツに軍配が上がった。

第6試合 日本対世界5対5マッチ  K-1ルール3分5R
グルカン・オスカン
(ブレイブハート・アカデミー)
判定1-0

49-49,49-49,50-49
子安慎吾
(正道会館)

 オーストラリアの中量級で、爆発的なハードパンチャーぶりで知られるオスカンが正道全日本王者である子安相手に火を吹いた。初回早々、強力なフックでガンガン前に出るオスカンのラッシュにロープ際に追い詰められた子安はいきなりピンチを迎えるが、冷静にパンチを見切ってフットワークをつかいながらじわじわ後退、決定打を打たせない。パンチを振り回しながらほぼリングを半周して追い回したオスカンに、逆に胴回し蹴りを放つ子安のファイティングスピリットにファンは大歓声を送る。2R 以降、ミドル、ハイと華麗な蹴りを中心にコンビネーションの多彩さを武器に前に出る子安と、強力なパンチでプレッシャーを掛け続けるオスカンの肉弾戦が続く。4、 5Rになるとさすがにスタミナの切れ始めたオスカンだが、一発の強力さは相変わらずで、ノーガードでの挑発を見せるなど、最後まで子安を苦しめ続けた。

第5試合 日本対世界5対5マッチ  K-1ルール3分5R
ロイド・ヴァン・ダム
(ドージョー・チャクリキ)
判定3-0

50-45,50-49,50-47
大石亨
(日進会館)
×

 フットワークを使って重戦車ロイドの動きを止めたい大石。事実1、2Rは顔面にパンチを集めて、ロイドの鼻血を誘う大健闘を見せた。しかし、後半スタミナに勝るロイドが組んでのヒザとナタのようなローキックででじわじわ大石の動きを止めていき、有利にゲームを進める。しかし大石の粘りも素晴らしく、最後までロイドの猛攻を受け止めながら、気合とともにパンチを放っていく。判定では手数、ダメージ共にロイドの方が上回ったが、最後まで折れなかった大石の気迫が光った一戦。

第4試合 日本対世界5対5マッチ  K-1ルール3分5R
× モハメド・アリ
(ブレイブハート・アカデミー)
2R 1:50

KO
富平辰文
(正道会館)

 これまでK-1参戦後三戦全敗の富平だが、今回正道会館移籍を期に浮上を狙っていきたいところ。これまで、武蔵、ホースト、ミルコと気の抜けない対戦相手ばかりが続いたのも大型新人としての期待ゆえだと言えるだろう。今回の対戦相手もK-1的には無名ながら、元々アルジェリアのボクシングオリンピック代表であり、キューバのサボンからKO勝利を奪ったこともあるハードパンチャー。
 序盤、その強力なパンチで富平に襲い掛かったアリだが、やはりキックをガードできないという弱点は如何ともしがたく1R早々クリンチからのヒザをあびていきなりダウンを喫してしまう。だがやはり顔面のガードが低い弱点がまだ克服で居ていない富平も2R開始時に顔面にパンチを集められ一瞬ピンチを迎える。組んでのヒザに焦点を絞った富平は、そのままひたすらラッシュで二連続ダウンを奪い、K-1初勝利を飾った。

第3試合 日本対世界5対5マッチ  K-1ルール3分5R
× パトリック・エリクソン
(ドージョー・チャクリキ)
判定3-0

46-50,46-50,46-50
魔裟斗
(シルバーウルフ)

 北欧からの留学生であるエリクソンはハードパンチで鳴らし、MAキックでも佐藤堅一とドローでわけた実力をもつ新鋭。今このクラスで最も勢いのある魔裟斗を相手に迎えて、序盤はミドルにはミドル、フックにはフックを返す一進一退の攻防を見せ一歩も引かない。クリンチからのヒザと、大振りのフックにはなかなか威力もあり、切り崩すのに苦労しそうな雰囲気もあったが、3R以降エンジンのかかった魔裟斗が得意のフックで前に出ると、コーナーに詰められて守勢一方になるシーンが目立ち始める。組んでのヒザ、離れ際のアッパーとバリエーションも決まり始め、この先は魔裟斗のフィニッシュに焦点が絞られるが、ガードが下がりながらも単発のフックを振り回してくるエリクソンの頑張りに結局詰め切れず、判定勝利に終わった。

第試合 3分3RK-1ルール:JAPAN GPチャレンジマッチ
× 中井一成
(日進会館)
1R 2:47

KO
TSUYOSI
(ボスジム)

 ノブに続くオランダ逆輸入日本人選手TSUYOSIのデビューということで注目が集まった試合だが、対戦予定の宮本正明が負傷欠場。急きょ対戦相手に選ばれた中井は、フットワークを使いながらローを打っていくが、開始26秒でいきなりTSUYOSIの右ストレートがヒット。コーナーでのダウンを喫してしまう。噂以上のハードパンチャーぶりに戦慄が走る。クリンチに逃れる中井だが、再びロープ際に詰めて右ストレートが炸裂。二度目のダウンで中井は10カウントを聞いた。

第1試合 3分3RK-1ルール:JAPAN GPチャレンジマッチ
× 安部泰弘
(建武館)
R判定0-3

26-30,26-30,28-29
藤本佑介
(正道会館)

 身体を引き締め再度JAPAN GPに挑みたい安部だったが、藤本の重いローにフットワークを止められ、3Rにはついにダウンを喫してしまう。ロープの反動を利用した右フックからヒザの攻勢でそのまま一気にKOまで運べるかとみえたあたりで、自らのスリップダウンから攻撃のリズムを失ってしまい、そのままスタミナ切れでラウンド終了のゴングを聞いた藤本。一発の重さはあるもののスタミナに課題を残した。


フレッシュマン・ファイト 3分3RK-1ルール
堀啓
(フリー)
3R 1:17

KO
竜馬
(フリー)
×

 196センチ94キロの巨躯に期待の集まる堀のデビューに注目が集まった。セコンドには先日引退した元MAキックの伊藤隆がついた。だがこのスーパールーキー、いきなりゴング早々、左フックをあびてダウンを喫してしまった。しかし、これで逆に気持ちがほぐれたのか、長いリーチをいかした左フックで竜馬の顔面を捉える。これで思いきった飛び込みが出来なくなった竜馬。左ストレート、左ローのコンビが決まりだすと一転逃げ腰になった竜馬。3Rにもこのローでロープに詰め、ヒザのラッシュで2 ダウンを連取して逆転勝利を飾った。


レポート&写真:井田英登

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