[日本キック] 4.13 後楽園 (レポ&写真):松浦信次、木浪と死闘の末、引退
日本キックボクシング連盟 "2002 破壊シリーズ" 4月13日(土)東京・後楽園ホール
レポート:岩城健太郎 写真:井原芳徳
メインイベント NKBミドル級王座決定戦/5回戦 ×發田隆治(ウィラサクレック/NJKFミドル級5位) ○中川裕也(渡辺/日本ミドル級) 4R 2'48" KO(アッパーカット) ※發田は2Rパンチによる2度のダウンあり ※中川がNKBミドル級初代王者に
1Rから積極的に打ち合う両者。左ミドルを中心に攻撃する發田に対し、中川はパンチで迎え撃つ。 2R、続けて右肘を振ってくる發田に対し、冷静にそれを捌く中川。徐々に中川のパンチが当たり始める。残り時間少しの所で、中川の狙いすました右のアッパーが發田のあごを捕らえる。發田はダウン。中川は立ち上がった發田に対し一気に攻めこみ、2回目のダウンを奪う。 3Rも終始、パンチを主体に優勢に試合を進める中川。發田も返すが見切られてしまう。 4R、前に出てプレッシャーをかけていく發田をかわし、中川は右アッパーでこの試合3度目のダウンを奪う。どうにか立ち上がる發田に対し、中川はまたもやアッパーを放ち、ダウンを奪う。ここでレフリーが試合を止めた。最後まで冷静に戦った中川が、NKBミドル級の頂点に立った。
◆中川のコメント 「今日は緊張した。再戦というよりもベルトがかかってるというプレッシャーですね。(右アッパーがよく出ていたが?)練習してたのが出せました。(ベルトを巻いた実感は?)まだないですね。普通に試合に勝ったなというぐらいで。周りも自分も『トーナメントは勝って当然』という感じでしたから。(リング上で小次郎に対戦アピールをしたが?)やったら面白いと思ったからです。外人よりも日本人と戦いたいです。(初代王者としてベルトの価値を高めることが求められるが?)小次郎選手がぴったりじゃないですか?(他に戦いたい相手は?)交流している団体で可能な選手なら誰でもいいです。」
◆發田のコメント 「中川選手の方が勝負に対する気持ちが強かったと思います。中川選手は1回僕に負けてるんで、その事がバネになって前回よりも強くなってました。逆に僕は前回勝っていることで甘さにつながったのかもしれません」
セミファイナル NKB統一ランキングトーナメント ウェルター級/5回戦 ○松浦信次(東京北星/NJKFウェルター級王者) ×木浪シャーク利幸(小国/NJKFウェルター級5位) 5R 2'49" KO(3ダウン) ※2R木浪は右フックによる2度のダウン、その後松浦はバックブローによる1度のダウン ※3R木浪は右フックによる2度のダウン ※4R木浪は右肘による1度のダウン
壮絶な打ち合いになったこの試合。木浪は通算8度のダウンを喫した。 試合後、松浦が「今までで1番根性がある」と語ったように、木浪は最後のダウンを奪われるまで、何度も立ちがり、松浦に向っていった。 1R、パンチのコンビネーションが冴える松浦に対し、木浪は早くも鼻血を出す。 2R、両者の激しい打ち合いが続く中、松浦が右ストレートで2度のダウンを奪う。この時までは、松浦がNJKF王者らしく順当に勝ち上がると大半の観客が思っていたに違いない。だが、一気に攻めこもうとする松浦に対して、木浪は奇襲ともいえるバックブローを放つ。これがクリーンヒットし、松浦はダウン。勝負はここから混沌に向け突入していった。
3Rも4Rもペースを握っていたのは松浦だった。木浪は3Rに2回、4Rに1回ダウンした。しかし、そのたびに木浪は血まみれの顔のまま不屈の闘志で立ち上がる。何度もダウンしている選手とは思えない鋭いハイ、ミドルで松浦を苦しめる。 5R、すでに満身創痍の木浪だが、最後のチャンスを信じて前に出る。松浦は冷静に対処しスリップ気味のダウンを奪う。しかし、木浪は死なない。右のハイキックが松浦にヒット。一瞬、棒立ちになる松浦。大歓声がこだまする場内に、「もしかして?」という空気が漂う。 だが、「チャンスだと思ったんですけど、体がいうこときかなくて」と試合後木浪は語ったように、それまでの6度のダメージの蓄積はあまりにも大きすぎた。松浦はパンチで連続ダウンを奪い、遂に木浪を沈めた。勝者の松浦だけでなく、最後まであきらめる事なく戦った木浪にも会場から惜しみない拍手が送られた。
試合後、松浦は引退を表明した。松浦は「心残りは一杯ありますけど」と話したが、この“引退試合”は見た全ての人々の胸に焼き付いたに違いない。松浦信次、通算戦績30戦14勝(10KO)13敗3分。 これにより、ウェルター級トーナメント準決勝・松浦 vs. 石毛慎也は石毛の不戦勝扱いとなり、同級決勝は小野瀬邦英 vs. 石毛の組み合わせとなる。
◆松浦のコメント 「今、自分の地元(相模原)で先輩達が建てたジムで教えながらやらしてもらってます。そういうこともあって、仕事と両立が難しい。膝もだましだましやってきましたし(膝には無数の灸の跡がある)。今日、全力というか、がんばれれば辞めれるかなと思ってました。試合終わってすぐに会長にも話をしました。心残りは一杯ありますけど。キック1本ではいけないですね。家族をもっと大事にしたいし。その辺のバランスで引退を決めました。」
◆木浪のコメント 「自分的にはまだまだ半人前なんで、自分の実力をつけるだけです。またゼロから這い上がる気持ちです。(松浦選手の引退について?)残念ですね。また、やりたいですけど。」
第9試合 NKBランキング査定戦 フェザー級/5回戦 ○松本浩幸(八王子FSG/K-Uフェザー級2位) ×神谷秀明(ピコイ錦/日本フェザー級) 1R 2'59" KO(パンチ)
1R中盤過ぎ、松本の左フックが神谷の顔面を捕らえダウン。攻撃の手を緩めない松本はさらに右肘で2度目のダウンを奪う。神谷は立ち上がるが、松本はロープ際に追い詰め、パンチのラッシュ。防御のままならない神谷を見てレフリーが試合を止めた。
第8試合 NKBランキング査定戦 フェザー級/5回戦 ○難波博志(截空道/K-Uフェザー級5位) ×児玉正暁(ピコイ錦/日本フェザー級) 1R 2'22" KO(左肘)
パンチからミドルのコンビネーションで攻めていく児玉に対し、ローで応戦する難波。一進一退の攻防が続くなか、難波の繰り出した左肘が児玉の顎を見事に捕らえた。
引退記念試合 −尾崎英樹(ピコイ錦/日本バンタム級王者) −川島康人(村越/元日本バンタム級王者) エキシビジョンの為勝敗なし
第7試合 ライト級/3回戦 ×三好基之(杉並/日本ライト級) ○鈴木宏明(JK国際/K-Uライト級) 判定2-0(29-28,28-28,29-28) ※1R パンチにより三好にダウン1あり
第6試合 ウェルター級/3回戦 △木村佳晴(杉並/日本ウェルター級) △根元和憲(JK国際/K-Uウェルター級) 判定1-0(29-29,30-29,29-29)
第5試合 ミドル級/3回戦 ○加藤 潤(村越/日本ミドル級) ×藤 勝利(藤/APKFミドル級) 1R 2'28" KO(パンチによる3ダウン) 第4試合 ウェルター級/3回戦 ○高舘英嗣(杉並/日本ウェルター級) ×若生浩次(大阪真門/日本ウェルター級) 判定2-0(30-29,30-30,30-28)
第3試合 フェザー級/3回戦 ×広瀬哲郎(平戸/日本フェザー級) ○谷 真臣(大阪真門/日本フェザー級) 1R 2'18" KO(左ハイキック)
第2試合 フライ級/3回戦 ○加藤 誠(村越/日本フライ級) ×金子光一(八王子FSG/K-Uフライ級) 判定2-0(30-29,30-30,29-28)
第1試合 フェザー級/3回戦 ○藤枝利則(平戸/日本フェザー級) ×道中克明(千葉/日本プロキックフェザー級) 2R 1'24" TKO(偶然のバッティングによる傷が深い為) ※道中は2R パンチによるダウン1あり
Last Update : 04/26
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