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[MAキック] 3.30 後楽園 (レポ&写真):花戸忍が-60kgトーナメント優勝!

マーシャルアーツ日本キックボクシング連盟
KING COMBAT-2002 - KICK BOXING 60kg TOURNAMENT 日本最強決定戦
2002年3月30日(日)東京・後楽園ホール

【大会概要,ルール,カード解説,出場選手の意気込み】

レポート:井原芳徳,岩城健太郎  
写真:井原芳徳  コメント収録:打上裕之

第1試合 エキシビジョンマッチ 2分2R
−田中信一(山木/MAバンタム級王者/23戦11勝(5KO)9敗3分)
−ラビット関(山木/MAスーパーバンタム級王者)
勝敗なし
※第6試合に予定されていた田中と杉浦磨(名古屋JKF/全日本バンタム級3位/)の試合は杉浦の負傷により中止。そこで急きょ関とのエキシビジョンが用意された。

第2試合 60kgトーナメント1回戦 3分3R
○花戸忍(東金/MAフェザー級1位/9戦9勝(5KO))
×大宮司進(シルバーウルフ/日本スーパーフェザー級/13戦7勝(4KO)2敗4分)
判定3-0 (30-28,30-28,30-28)

 モンゴルからの留学生で、デビュー以来9戦9勝の花戸の勢いは今日も留まる所を知らない。モンゴル在住時から習っていた極真空手仕込みのカカト落としが1Rから火を噴く。大宮司もセコンドの魔裟斗のアドバイスを聞きながらローとミドルで応戦するが、花戸の勢いは止められない。花戸は「タイで練習を積んできた」という膝蹴りを1Rから出し続け、3Rには膝蹴りでダウンを奪い、文句なしの判定勝ちをおさめた。

◆大宮司のコメント
「緊張して動き硬かったですね。思った以上に自分の動きが悪かった。(久々の肘ありルールでしたが?)全然関係ないですね、それは。(プレッシャーは?)勝たなくちゃいけないというプレッシャーはありました。コンディションは良かったです。でも硬くなって自分の動きができなかった。(効いた攻撃は?)効いた物はなかった。でも腕の力が強かったですね。振りまわされましたね。(再戦は?)今はなんも考えられない。」

第3試合 60kgトーナメント1回戦 3分3R
○梅下湧暉(谷山/元全日本フェザー級1位/23戦10勝(2KO)9敗4分)
×ファイティング前沢(土浦/MAスーパーフェザー級王者/12戦10勝(6KO)1敗1分)
判定3-0 (30-29,30-29,30-28)

 優勝候補の前沢に勢いが感じられない。クリンチでの肘と膝の応酬で、次第に梅下が自分のペースに持ち込み、判定勝ちした。

◆ファイティング前沢のコメント
「最初から全部舐めてました。これで終わりません。今からです。チャレンジャーの気持ちでいきます。」

第4試合 60kgトーナメント1回戦 3分3R
×増田博正(ソーチタラダ/J-NETWORKフェザー級王者/19戦15勝(8KO)3敗1分)
○大月晴明(REX JAPAN/全日本フェザー級3位/7戦7勝(6KO))
1R 0'53" KO(右ミドル)

 あまりにあっけない幕切れだった。互いに距離を取りカウンター狙いの攻防が続いた後、両者の左のカウンターが交錯。左を命中させた大月はそのまま右を増田のアゴに叩き込む。これで増田は既に失神状態でマットに崩れ落ちそうになったが、さらに大月はどどめの右ミドルを増田の顔面に叩き込み完全にノックアウト。増田のファンの悲鳴と大月のファンの歓声がしばらく鳴り止まなかった。

◆増田博正のコメント
「(油断はありましたか?)覚えてないです。気が付いたら倒れてた感じ。(今日のトーナメントの作戦は?)ローとミドルでトーナメント戦ってこうとした。(ここで増田がセコンドに質問)なんでやられたの? 俺、立ったよね?(セコンド「体は立とうとしてたけど、目がうつろで止められた。右のストレートだったけど、その後にハイもあわせようとしてた。)目の上の傷は?(セコンド「傷はパンチで切った」)」

第5試合 60kgトーナメント1回戦 3分3R
×及川知浩(龍生塾/SBフェザー級4位/9戦8勝(5KO)1敗)
○小石原勝(習志野/MAライト級2位/19戦10勝(5KO)7敗2分)
判定0-2 (27-28,28-28,27-28)

 1R中盤、カウンター気味の小石原の右ストレートが炸裂。及川はダウンを喫するもすぐに立ち上がりダメージはなさそう。2Rも詰めていく及川に対して小石原は前蹴りで離す。及川は時折パンチのコンビネーションを見せるが有効打には至らない。
 3R、及川は組み付いた状態からシュートボクシングのクセが出てしまい、小石原を投げ飛ばしてしまう。これで減点1を貰う。終盤、及川は勢いのある二段蹴りを小石原のあごに当てダウンを奪う。小石原はすぐに立ち上がるが、ここで試合終了のゴング。結局、及川の投げによる減点が勝負を左右する結果となった。

◆及川知浩のコメント
「勝たなきゃ意味ないですね。このチャンスを活かしたかたった。(3Rの投げによる減点は?)狙ってたんじゃなくて体が勝手に投げちゃいました。
(小石原選手の印象は?)何が強いというのはなかったですね。相手どうのこうの言うより自分が駄目だったということですね。自分のスタイルを確立させないといけませんね。今日は自分の名前を売ろうとしてきたんですが、がっかりですね。」

第6試合 60kgトーナメント準決勝 3分3R
○花戸忍(東金/MAフェザー級1位)
×梅下湧暉(谷山/元全日本フェザー級1位)
3R 0'38" KO(ミドル連打)

 花戸の勢いはこの試合でも止まらない。ブーメランのようなハイキック、回し蹴り、膝蹴りなど多彩な攻めで梅下を苦しめる。2Rから梅下はバテ気味になり、3Rには花戸は前蹴りで1ダウンを奪うと、一気呵成にミドルを連打し2度目のダウンを奪い完勝した。

◆梅下湧暉のコメント
「(相手の感想は?)強かったですね。膝が強かった。トリッキーです。舐めてたけどカカト落しは効きました。ハイキックや廻し蹴りは見えてました。言い訳ですけど、1回戦で力を使っちゃいました。(再戦は?)是非やりたいです。もっと練習してもう1回挑戦したいです。(課題としては?)パワー不足ですね。もう少し足りないです。」

第7試合 60kgトーナメント準決勝 3分3R
○ラビット関(山木/MAスーパーバンタム級王者)
×小石原勝(習志野/MAライト級2位)
本戦・判定0-1 (30-30,29-30,30-30)
延長・1'13" TKO(額のカットによるドクターストップ)

 本来ならばこの試合は、小石原対大月の予定であった。しかし、大月がトーナメントの1試合目の増田戦の最後に放った右ミドルで右足首を負傷。ルール上ではその試合の敗者である増田が繰り上がるのだが、増田もダメージが深いためドクターストップ。急遽、第1試合のエキシビジョンに登場したラビット関が出場となった。
 1R、関のキックに対して、小石原はパンチで応戦する展開。2R、お互いミドルの打ち合いとなるが両者とも決定的なポイントは無い。3R、小石原は積極的に前に出ていきプレッシャーをかけていく。ハイ・ミドル・ローと蹴りを打ち分ける小石原に対し、関は徹底的にミドルを返す。終盤、小石原が攻めこんだように見えたが、本戦では決着がつかず延長戦へ突入。

 疲れが見える関に対して一気に攻め込むかのように思えた小石原だったが、先に仕掛けたのは関の方であった。試合後、小石原は「相手が疲れているのが判ったから、前半見て、中盤以降に行こうと思った」とこの時の心境を振り返った。しかし,この作戦が裏目にでてしまった。関が放った縦肘が小石原の額にヒットして出血。ドクターストップとなった。

◆小石原勝のコメント
「正直、本戦で勝ったと思った。練習は自分なりにやって来れたのでそれは良かった。(相手の印象は?)スピードはあるけど、効いた攻撃はないです。(4R急に手数がでなくなったが?)そんな事はないです。相手が疲れてるのわかったから、前半見て中盤から怒涛で全部、俺の手数で行こうと思った。作戦失敗ですね。優勝、狙ってたから残念です。」

第8試合 73kg契約/5回戦
○マグナム酒井(士道館/MAミドル級1位)
×ホセイン・キャリミラード(湘南/SBスーパーミドル級5位)
1R 2'50" KO(3ダウン)

 酒井がカウンターの右でファーストダウンを奪う。さらにパンチの連打で二度目のダウンを奪い、最後はコーナーに詰めてパンチの連打でとどめを刺した。酒井はコーナーポストからのバック転で勝利の喜びをあらわした。

メインイベント 60kgトーナメント決勝戦 3分3R
○花戸忍(東金/MAフェザー級1位)
×ラビット関(山木/MAスーパーバンタム級王者)
判定3-0 (30-24,30-26,30-26)
※2R花戸のローで関が2度ダウン
※花戸がトーナメント優勝。

 圧倒的な強さでここまで勝ちあがってきた花戸。決勝でも1Rからカカト落し、ブラジリアンキックと華麗な足技で関を翻弄する。2Rに入ると花戸のローの効果が出始め、関の顔が歪む。ついにはローで1ダウン。関は飛び膝で起死回生を狙うが不発。終盤には再びローでスリップダウンを喫する。
 「決勝が一番しんどかった」と振り返った花戸だが、3Rも勢いが衰えない。ミドル、パンチで関をコーナーに詰め、膝蹴りを連打する。関もロー、ミドルで応戦するが、花戸の勢いを止められなかった。

 結局、花戸がポイントで大差をつけ判定勝ち。見事優勝を果たした花戸は、チャンピオンベルトだけでなく、賞金100万円とラジャダムナンスタジアムのランカーへの挑戦権を獲得した。
 花戸は4月28日のMAキック後楽園大会にも出場が決まっており、同大会でMAスーパーフェザー級王者のファイティング前沢に挑戦する。トーナメント優勝の花戸と一回戦敗退の前沢では勢いの差は歴然。正直、どっちが挑戦者なのかわからないような状況となってきた。タイトルマッチでも花戸の勢いが続くのか、注目したい。

◆ラビット関のコメント
「(花戸の印象は?)蹴りが重いですね。効いてないけど、重くてぶっ飛ばされる。向こうは2試合やってるんで体重差という言い訳は出来ないですね。
(いきなりで戸惑った部分は?)めちゃくちゃありました。いきなり山木会長に言われて。まさか自分がやるはずないと思ってました。用意もしてませんでした。今日はそんな負けて悔しいと思わない。普通ですね。スパーリング感覚ですね。正直言って。でもそれで肩の力が抜けて良かったですね。他の選手には失礼ですが、負けてもいいだろうって思ってました。(今後の目標は?)全日本キックのチャンピオンとやりたいです。交流戦をやりたいですね。」

Last Update : 04/18

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