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PRIDE.17東京ドーム レポート&写真/桜庭、涙のドクターストップ

明治生命L.A. presents "PRIDE.17"
2001年11月3日 (土・祝) 東京ドーム
開場/15:00 開始/17:00
入場者数:53,226人(満員・主催者発表)

レポート:井原芳徳  インタビュー編集:石動龍


第1試合 PRIDEルール 1R 10分 / 2R,3R 5分
×小原道由(新日本プロレス)
○ヘンゾ・グレイシー(アメリカ/ヘンゾ・グレイシー柔術アカデミー)
判定3-0

「影の番長、何もできずにブーイング」

 ヘンゾのセコンドにはホイス・グレイシーが付く。「新日本プロレス影の番長」と紹介された小原には黒いストロングマシンの覆面の男が3人。小原が10キロ重いが、ヘンゾは四点状態での頭部への蹴りを認めるルールを受け入れた。
 スタンドで間合を取る勝者だが、プレッシャーをかけるのはヘンゾ。2分ほど経過してようやくヘンゾが突進しコーナーに押し込みながら脇を差す。ヘンゾはテイクダウンを狙うが、小原は倒れない。しばらくしてまた間合いに戻るが、次第にヘンゾの突進パンチが小原の顔面に命中するようになる。小原はロープやコーナーに追い込まれ、ブレイクかかるという展開が繰り返される。攻撃の出せない小原に消極的との注意が出されるようになる。9分経過時、コーナーでの差し合いで小原が体を入れ換えテイクダウンを狙うが、ヘンゾは倒れない。膠着が続き1R終了時に客席からブーイングが起こる。
 2Rも差し合いの膠着が繰り返される。だが2分経過時、ヘンゾがテイクダウンを狙った時に小原がロープをつかみ倒れるのを拒んだためイエローカードが出される。その後も差し合いで膠着が続く。残り1分にヘンゾの足払いで小原が膝をつく場面があったが、すぐにスタンドに戻り、そのままゴング。小原へのブーイングがますます大きくなる。
 3Rも同様。ヘンゾにしても体重差があるためなかなかテイクダウンを奪えない。攻撃が見られないため両者にイエローカードが出される。ヘンゾはパンチ、ローの手数が増え少しアグレッシブなファイトに。小原は相変わらず打開策を見いだせないまま試合終了。判定はヘンゾに軍配が上がった。

ヘンゾのコメント「小原は試合に集中していなかったように感じた。攻めて来ずに守ってばかりだった。これから彼がPRIDEで戦っていくにはもっとアグレッシブにならなければ駄目だと思う。(新日本プロレスから挑戦を表明する選手が現れるかもしれないが?)誰でも挑戦してくれれば受けるが、できる事なら強いファイターであるケンドー・カシン、石澤常光と戦いたい。」

小原コメント「何もできなかった。体は全然張ってないし、あと30〜40分動けるだけのスタミナもある。今日の試合で課題は見えたので、もう一度チャンスをもらいたい。このままでは死にきれない。」


第2試合 PRIDEルール 1R 10分 / 2R,3R 5分
×石川雄規(格闘探偵団バトラーツ)
○クイントン・“ランペイジ”・ジャクソン(アメリカ/チーム・イハ)
1R 1'52" KO(右フック)

「バトラーツ石川社長、最後の賭けも轟沈!」

 いきなりのパンチ合戦。下がる石川をジャクソンがパンチで追い込み豪快に持ち上げテイクダウン。ジャクソンはサイドポジションになり、起き上がろうとする石川をパイルドライバー気味に持ち上げる。またもグラウンドになり石川の頭部にジャクソンが膝蹴り。せき髄を狙った蹴りのためレフェリーに注意されたジャクソンは胴への膝蹴りに移行。スタンドに戻るが、ジャクソンの突進ファイトは変わらず、ロープを背にした石川に膝を叩き込んでから右のパンチでノックアウト勝ち。石川はほとんど為すすべないまま敗れ去った。

石川コメント「今回はバス・ルッテンと一緒に練習して、試合にのぞんだ。絶対に一発で勝って、日本最高の時給をもらおうと思っていたが、返り討ちにあってしまった。最初のパンチが効いているのがわかったのでいけると思ったが、経験の差が出てしまったのかもしれない。自分は34歳だが、まだまだこれから。狂ったように練習して、また頑張る。」

ジャクソンのコメント「初めてKO勝ちが出来たので気分がいい。パワーボムを狙ったが、出来なくて残念だ。次の試合でまたやってみたい。」


第3試合 PRIDEルール 1R 10分 / 2R,3R 5分
○ダン・ヘンダーソン(アメリカ/チーム・クエスト)
×ムリーロ・ニンジャ(ブラジル/シュートボクセ)
判定2-1

「レスラー・ヘンダーソン、ニンジャによもやの大苦戦」

 MMA(総合格闘技)の実力者ヘンダーソンと新鋭ニンジャの注目の一戦。パンチ合戦からコーナーの差し合いに素早く移行。1分ほどしてヘンダーソンがテイクダウンに成功しサイドポジション。すぐスタンドに戻るが、ヘンダーソンがニンジャをフロントチョークに捕まえる。引き込んでもしばらくフロントチョークに捕らえたまま。ニンジャはパスガードするもヘンダーソンの腰の強さにはばまれ何度かハーフに戻されるが、ようやくサイドポジションをキープ。そしてマウントへ。ヘンダーソンは腕をニンジャの首にからめ密着。ニンジャはサイドに戻りレスラーのヘンダーソンをきっちり押さえ込みながら膝を頭部に叩き込む。ヘンダーソンは下からよく動くがなかなか脱出できない。残り30秒でサイドポジションを崩すが、またも同じ体勢に戻ってしまう。ゴングと同時にニンジャが立ち上がりヘンダーソンの頭部をサッカーボールキック。
 2Rもニンジャがパワフルなテイクダウンでサイドをキープ。ヘンダーソンは一度脱出しかけるがまたもサイドから押さえ込まれる。ニンジャが立ち上がり際の蹴りを狙った隙にヘンダーソンは脱出。サイドポジションを取るが、すぐにニンジャが立ち上がり、またもサイドで押さえ込む。インターバル、ヘンダーソンの表情は疲労の色が濃い。
 3R早々にヘンダーソンは右ストレートを命中させるが、すぐ差し合いに。だがここでニンジャがローブローの膝を放ちイエロー1が提示される。ヘンダーソンの回復を待ち2分間のインターバル後再開。今度はヘンダーソンが差し合いを制しテイクダウンするが、またもニンジャはすぐ立ち上がる。ヘンダーソンはまたテイクダウン→スタンドを繰り返すが、この後最大のチャンスが巡ってきた。離れ際にパンチを連続で命中させ、ニンジャの動きを止める。あわや大逆転勝利かと思われたが、ヘンダーソンも疲労困ぱいしており、最後はニンジャにハーフガードで押さえ込まれたままゴングが鳴った。
 判定はヘンダーソンが2-1で勝利。下になる展開の多かったヘンダーソンだが、ニンジャがローブローによるイエロー1で減点となり、ヘンダーソン自身は3R終盤のパンチラッシュが評価された模様で、薄氷の勝利といったところか。

ヘンダーソンのコメント「ニンジャはタフな選手だった。若いので今後活躍すると思う。判定は勝っていると思った。1〜2Rで受けたダメージよりも、3Rで与えたダメージのほうが大きかったと思う。(今後戦いたい選手は?)何度も言っているので知っているかもしれないが、桜庭と戦いたい。あとはフランクなど、同じ階級のトップクラスの選手と戦いたいし、いずれはヴァンダレイとの再戦の機会も巡ってくると思う。(ペレが挑戦を宣言したが?)プライドの戦績から、ペレがトップクラスの選手だとは思えない。何試合か実績を積んでから挑戦して欲しい。

ニンジャのコメント「いい試合だったが、自分が勝ったと思っている。1〜2Rは優位に進めていた。相手のフロントチョークも全然平気だったし、3Rに押されたのもパンチが効いたからではなくて、スタミナが切れたせいだったのに。」
ペレのコメント「判定には納得していない。師匠として、自分がヘンダーソンと戦いたい。」


※第3試合終了後、ホイス・グレイシーが入場。「ここ(東京ドーム)に戻れてうれしいです。私は引退していません。できたら来年闘いたいと思います。ここが私の居場所です。私の一族がバーリ・トゥードを始めたので、もうしばらく戦い続けます。皆様、バーリ・トゥードを応援するために集まってくれてありがとうございました」と挨拶した。

第4試合 PRIDEルール 1R 10分 / 2R,3R 5分 
×佐竹雅昭(怪獣王国)102.5kg
○セーム・シュルト(オランダ/ゴールデン・グローリー) 122kg
1R 2'18 KO(左ストレート)

「シュルト、スタンド勝負で佐竹を粉砕。空手家対決を制す」

 シュルトが10キロ以上重いが、佐竹は四点状態での頭部への蹴りを認めるルールを受け入れた。
 身長差は27センチ。佐竹はローを振るが、間合を詰められない。シュルトがミドル、ストレートを着実に当て続ける。シュルトの前蹴りがローブローとなり注意1。佐竹は接近時のパンチを当てる場面もあったが、シュルトに詰められ左ストレートを連続でもらいマットに崩れ落ちた。 ※佐竹とシュルトは本人たちの希望によりノーコメント


第5試合 PRIDEルール 1R 10分 / 2R,3R 5分
×イゴール・ボブチャンチン(ウクライナ/フリー)104kg
○マリオ・スペーヒー(ブラジル/ブラジリアン・トップチーム)95kg
1R 2'52" 肩固め

「ボブチャンチン、スペーヒーの柔術に為す術無く完敗」

 リングアナウンサーは落語家の立川談志師匠。ボブチャンチンは右の額に傷があるのかガーゼを貼っている。
 スペーヒーがパンチのフェイントをかけいきなりタックル。ボブチャンチンはしばらく耐えるがスペーヒーがテイクダウンしインサイドガードに。柔術家のスペーヒーは着実にハーフパスガードに移行。スペーヒーはパンチでボブチャンチンの額から出血を誘う。肩固めを狙いプレッシャーをかけ続けていたが、一度立ち上がりまたハーフに戻って隙を突いて一本。35歳のスペーヒーが実力で勝利をもぎ取った。一方次期ヘビー級タイトル挑戦者と目されていたボブチャンチンはその望みを絶たれたといえよう。

ボブチャンチンのコメント「負けてしまって残念だ。出発前日の練習中に怪我をしてしまい、それが気になって仕方なかった。傷が開いてドクターストップになってしまうのでは、と思っていた。(タップが早いように感じられたが?)逃げられないとわかったのでタップした。傷が治ったら再戦したい。」

スペーヒーのコメント「勝てて嬉しい。グラウンドで決めることが出来てよかった。今日は自分の思い通りの試合が出来た。今後はプロレスラーでもK-1戦士でも、試合を組まれた相手と戦う。」


--休憩明け--

 アントニオ猪木・PRIDEエグゼクティブプロデューサーが登場。猪木氏が島を持つパラオの大統領を招き入れ、大統領は「ゲンキデスカ?パラオニキテクダサイ」と挨拶。続いて観戦していたプロ野球・巨人軍の清原和博選手を招き入れいきなりビンタ。清原選手は「メッチャ痛い。猪木さんどうもありがとうございました」とだけ挨拶した。
 続いてK-1のテーマ(プリンスの曲)に合わせてK-1プロデューサーの石井和義・正道会館館長とサム・グレコが登場。石井館長は「8月の約束どおり僕らがこのリングに上がりました。8月の試合では完全燃焼していません。12月31日完全燃焼すべく、サム・グレコとやってきました。サムは12月のK-1での試合の後、PRIDEに参戦します」と語り、グレコも出場を約束した。グレコはK-1戦線を離れ近年はアメリカのプロレス団体WCWで活動していたが、同団体が3月に崩壊しレスラーとして干された状態だった。対猪木軍要員として力強い戦力となりそうだ。
 最後は恒例、猪木氏の「1、2、3、ダー」で締めくくった。


<特別ルール> ※PRIDEオフィシャルルールとの相違点。
なお、この特別ルールは、第6試合/トム・エリクソンVSマット・スケルトン、第7試合/高田延彦VSミルコ・クロコップに適用される
・試合形式は、3分3R制とする。ラウンド間のインターバルは90秒間とする。なお、判定は行わず、3Rを終了して決着がつかない場合は、最大2Rの延長戦を行い、それでも決着がつかない場合はドローとする。
・うつ伏せ及び仰向けで倒れている選手への頭部・顔面への蹴り及び膝蹴りの禁止(両手、両足、両肘、両膝のうち4点以上がマットに接地しているとき、頭部・顔面への足による打撃攻撃を禁止)
・双方の選手がリングから落ちそうなときは、レフェリーがブレイクを掛けて、リング中央よりスタンディングの状態で再開する


第6試合 特別ルール 3分3R
○トム・エリクソン(アメリカ/rAwチーム)
×マット・スケルトン(イギリス/イーグルジム)
1R 1'11" ギロチンチョーク

「エリクソン、スケルトンを“指一本”で片付ける」

 エリクソンがタックルから豪快な投げ。マウントを取り密着してきたスケルトンを肩固めで苦しめる。最後は親指を頚動脈に突き刺してスケルトンがタップアウト。エリクソンの全く危なげない勝利だった。

トム・エリクソンのコメント「PRIDEを代表して戦うことが出来たことを嬉しく思うし、勝てたことを誇りに思う。大変エキサイティングだった。相手は危険なストライカーだったが、テイクダウンできれば試合を終わらせられると確信していた。グッドリッジからは『慈悲はいらない。眠らせてやれ』とのアドバイスを受けていた。」

マット・スケルトンのコメント「準備期間が一週間しかなかったので、PRIDEルールに対応できなかった。レスリングの練習をしたが、寝技の練習はしてこなかった。もっと練習をして、また(このルールで)戦いたいと思う。」

第7試合 特別ルール 3分3R
△高田延彦(高田道場)
△ミルコ・クロコップ(クロアチア/クロコップ・スクワッドジム)
延長2R ドロー

「平成のリアル“猪木 vs. アリ”戦に大ブーイング」

 高田のセコンドには藤田和之、松井大二郎、ミルコのセコンドには柔術家のマルコ・ジャラが付く。
 高田が低い構えでミルコの周りをまわり、ローを放つ展開からスタート。ミルコは落ち着いてプレッシャーをかけ続ける。そして高田が素早い片足タックル。ミルコは冷静にインサイドガードに誘い込み足を組んでガードポジションを固める。高田が足のロックを外した瞬間にミルコもスタンドに戻るが、高田は自ら寝転んで猪木・アリ状態に。このままゴング。
 2Rも1Rも同じスタート。ミルコの左ローに合わせ高田がタックルするが、ミルコはタックルを切り離れ際に左ハイを放つなど機敏な動きを見せる。高田が寝転び猪木・アリ状態になるがレフェリーがブレイク。また高田がタックルにいくがミルコは切って猪木・アリ状態。スタンドに戻るがそのままゴング。ミルコが鉄壁のディフェンス技術を発揮し、高田が攻め手を欠く。

 3R、ミルコが左ストレートを放ったところを高田がタックルするが、ミルコは切りまたも猪木・アリ状態。次のタックルもミルコが切りサイドポジションからパンチを一発打ってから立ち上がる。寝転ぶ展開の増えた高田に、ミルコが「立て」とアピールする場面が増える。結局このラウンドでも決着せず延長へ。

 延長1R、猪木・アリ状態が繰り返され、観客からブーイングが巻き起こり始める。グラウンドに誘う高田、スタンドを望むミルコの思惑が空回りする。
 最終ラウンドとなる延長2R、またも高田が腰を下ろす展開の繰り返し。そのまま試合終了し大きなブーイング、罵声に会場が包まれた。ドロー裁定が無いためドロー。ミルコのディフェンス技術の天才的なまでの成長が、高田の“復活”を阻んだ。

高田延彦のコメント「(右足を負傷したため車椅子に座ったまま)今日やれることはやった。非常にいいコンディションとモチベーションでリングに上がれた。100%勝つつもりだったので、悔しいし、残念だ。スタンドで散らしていって、パンチで目をそらして、右ローを当てながらタックルに行く、という作戦だったんだが・・ローが相手の足の硬い部分に当たってしまい、右足を痛めてしまったので、負けない試合をするために戦法を変えざるをえなかった。リベンジを口にするとすぐに12・31(猪木ボンバイエ)に結び付けられるので、発言は慎重にしたいが、今度やるなら、10分とかの長い時間でやりたい。猪木軍に入るつもりはない。(小川戦について)今日勝ってやりたかった。やるからには注目されるものにしたい。素晴らしいリングがあるのだから、楽な道を選ばずにこちらに来い、とラブコールを送りたい。」

ミルコのコメント「気分が悪いので、あまり話したくない。55000人の観衆の前で、あんな試合をすることが信じられない。高田は臆病だと思う。記者会見で大きいことを言っておいてどういうつもりだ。彼は試合を冒涜した、偽者のファイターだ。自分のことを恥ずべきだよ。もう高田とは関わりたくない。(今後PRIDEとK-1のどちらで戦うのか?)次に戦うのはもちろんK-1のリング。K-1には高田のような選手はいないから。」


第8試合 PRIDE初代ヘビー級王座決定戦 PRIDEルール 1R 10分 / 2R,3R 5分
○アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ(ブラジル/ブラジリアン・トップチーム) 102.5kg
×ヒース・ヒーリング(アメリカ/ゴールデン・グローリー) 113kg
判定3-0

「ノゲイラ、ヘビー級王者に。柔術地獄を逃げ切ったヒーリングにも歓声」

 パンチ合戦からノゲイラがタックルでテイクダウンしサイドポジションを取るが、立ち上がり際にノゲイラがギロチンを狙い、そのまま倒れガードポジション。ノゲイラは下からの三角絞めを狙ったがヒーリングは素早く外しスタンドに。激しいパンチ合戦のあと、またもノゲイラがガードポジションとなり三角を狙うが、ヒーリングは立ち上がって外す。スタンドの攻防になるがノゲイラのパンチが当たりヒーリングが倒れノゲイラがハーフガードに。ヒーリングが脱出した瞬間にノゲイラがまたもギロチンを狙うが極まらず。ノゲイラはガードに。ノゲイラは下からでもアームロックを狙い執拗な攻め手を止めない。
 再びスタンド勝負。互いにカウンターパンチを当て互角の攻防だ。ノゲイラは片足タックルから強引にテイクダウン。背後からスリーパーを狙うがヒーリングは返してインサイドガードに。ヒーリングはコツコツとパンチを当て、ノゲイラをきっちり押さえ込んでなかなかスイープを許さない。残り1分でスタンドに戻るが、パンチの打ち合いでコケたヒーリングにノゲイラが突進しサイドポジション。ノゲイラはバックに移行しスリーパーを狙い、逃げるヒーリングを腕十字に捕らえようとする。だがヒーリングは脱出しインサイドガードに戻る。関節地獄をことごとく逃げきったヒーリングに拍手が巻き起こる。

 2R、ノゲイラがパンチで突進しコーナーにつめテイクダウン。サイドポジションを取り袈裟固め、アームロックを狙う。バックマウント→マウント→バックマウントと激しく動きチャンスをうかがう。するとノゲイラがなんと胴締めだけでヒーリングを苦しめる。弱ったヒーリングに対し腕十字を狙い万事休すかと思われたが、ヒーリングは脱出しスタンドに。今度は逆にテイクダウンに成功しマウントを取り歓声が起こる。だがこれはすぐスタンドに戻ってしまい、組み付いたノゲイラをヒーリングが突き放し腰を下ろしたところでゴング。

 3Rもノゲイラのグラウンドでのコントロール技術が光る展開。サイドポジションからアームロックを狙うが、ヒーリングはまたも外す。ノゲイラがマウントを取りまたアームロック、これも外れる。ノゲイラがバックマウントを取るがヒーリングは下からパンチを出し果敢な姿勢を見せる。最後はヒーリングがインサイドとなったところでゴング。
 判定はもちろんノゲイラに軍配。目まぐるしい関節技の攻防で主導権を握り続けたことが評価されたといえよう。アントニオ猪木プロデューサーにベルトを巻いてもらったノゲイラは「チームのみんなにも感謝してますが、一番感謝したいのは日本のファンのみなさんです。今日勝てたのはみなさんのおかげです」とお礼をのべた。

ノゲイラのコメント「1Rにローキックをカットしたときに、右の足をくじいてすねも負傷してしまった。そのせいで三角締めを狙ったときに足に力が入らなかった」

ヒーリングのコメント「負けてしまって少しがっかりしたが、良い経験になったと思う。2〜3R圧倒されてしまったので、判定には納得している。自分はまだ若いので、来年はもっといい試合を見せることができると思う。ノゲイラは今までの相手の中で、もっとも強い選手の一人だった。また戦ってみたい。」


メインイベント 第9試合 PRIDE初代ミドル級王座決定戦(-93kg契約) PRIDEルール 1R 10分 / 2R,3R 5分
×桜庭和志(高田道場) 84.2kg
○ヴァンダレイ・シウバ(ブラジル/シュートボクセ) 92.2kg
1R終了後 ドクターストップ(桜庭の左肩脱きゅうによる)

「桜庭、左肩脱きゅうで無念のドクターストップ。シウバ初代ミドル級王者に」

 桜庭はプロレスラーのグレート・ムタを思わせる頭巾とマスクかぶって入場し、毒霧を吐くパフォーマンス。ムタこと武藤敬司が最近プロレスで六冠王に君臨したことに感化されたパフォーマンスのようだ。
 体重差は8キロ。シウバは数時間前まで後楽園ホールのビル内のサウナに入っていたほど減量が厳しかったようだ。
 ゴングがなってもシウバは間合いを保ちすぐには攻めない。開始約20秒、桜庭はシウバの右ローに合わせてタックルしテイクダウン、インサイドガードに。桜庭はモンゴリアンチョップの構えを見せるなど落ち着いている。スタンドに戻り桜庭がロープを背にしての脇の差し合いでしばらく膠着。シウバは片腕を差したままフック、膝を連打し、離れ際もパンチで追いかけるが、また脇の差し合いに戻る。しばらくして離れてスタンドの間合に。シウバのプレッシャーが大きい。シウバのフックのフェイントで桜庭がタックルするが、シウバは切りグラウンドに持ち込ませない。またも桜庭がインサイドガードに。シウバが下からの蹴りを放った隙に桜庭がハーフパスガード。しばらくしてインサイドガードに戻る。膠着が続くが立ち上がり際に桜庭がフロントチョークに捕らえるチャンス。だがシウバは強引に桜庭を持ち上げ桜庭を左肩からマットに叩き付けて外し、初めてインサイドガードに。シウバはパンチを狙うが桜庭のディフェンスも固い。シウバが立ち上がり猪木アリ状態となり、シウバがローを放ったところで桜庭も起きタックルするが、シウバは突進しインサイドガードに戻り、そのまま1R終了。

 しかし、ここで急なアクシデント。桜庭の左肩の脱きゅうが判明しドクターストップがかかった。シウバがフロントチョークを外すため叩き付けた瞬間に桜庭が脱きゅうしたという。桜庭は痛みに耐えながら闘い続けていたことになる。
 桜庭はマイクを持ち「今日凄い調子が良かったんですけど、みなさんの期待に...」と語ったところで涙ぐむ。「...答えられないですみませんでした。もっと練習してきます」と語りリングを降りた。シウバは「自分はブラジルのクリチーバから闘いに来ました。今日勝てたのは神様、先生、ファンのおかげです。ありがとうございます」と挨拶した。

ヴァンダレイのコメント「(脱臼の原因となった)投げは控え室でペレに習ったもの。今回は自分の最高の試合が出来たと思う。ファンが熱心に応援してくれて、世界で一番大きなイベントでベルトが取れてとても嬉しい。チャンピオンになった以上は、ずっと防衛したい。今後はDSEの当ててくれた相手と戦う。」

※桜庭はコメント無し。


<階級制について> ※オフィシャルルールに追加
階級については、93キロ(205パウンド)未満の選手をミドル級とし、93キロ以上の選手をヘビー級と定める。ミドル級同士の試合に関しては、体重差が10キロ以上ある場合、4点ポイント状態において頭部・顔面への膝蹴り及び蹴りによる攻撃の有無を、体重の軽い方の選手が事前に選択することができることとする。つまり、体重の軽い方の選手が上記攻撃を認めれば、双方ともその攻撃が可能となり、認めなければその攻撃は双方とも禁止となる。又、ヘビー級同士の試合に関しては、体重が15キロ以上ある場合に上記の規定を採用するものとする。ミドル級の選手とヘビー級の選手の試合に関しては、ミドル級の体重差規定を採用するものとする。つまり、ミドル級の選手とヘビー級の選手との体重差が10キロ以上ある場合、ミドル級の選手が4点ポジション状態においての上記の攻撃の有無を選択できるものとする


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