BoutReview
記事検索 by Google

(レポ&写真) [FFF] 4.3 米国:ロクサン防衛。端、バックナーに勝利

Fatal Femmes Fighting "FFF 4 - Call of the World"
2008年4月3日(木) 米国・カリフォルニア州ロサンゼルス・シュライン・エクスポ・センター

  レポート:フェルナンド・アヴィラ(BoutReview USA) 写真:Fatal Femmes Fighting / Darrell Miho  【→掲示板スレッド】


 【ONLINE SHOP】 アメリカMMAファイター愛用ブランド「SPRAWL」Tシャツ&トランクス直輸入販売!



第12試合 メインイベント FFFライト級(135ポンド)タイトルマッチ 5分5R
◯ロクサン・モダフェリ(日本/和術慧舟會東京本部)
×バネッサ・ポルト(ブラジル/B-Tough)
3R 0'53" TKO (スタンディングでのパンチ、膝蹴り)
※モダフェリが王座を防衛

 去年まではカリフォルニア州のアスレチック・コミッションは、女子総合の試合も関しては1ラウンド3分のみを基準にしていたが、今大会からトップ・レベルの選手同士の試合のみ1ラウンド5分を認定。更にはタイトルマッチでは5分5ラウンドをも許可。という事は、この試合はアメリカ女子総合史上初の5分5ラウンドによるタイトルマッチになると一部のマスコミは報じたが、実はそれは事実ではない。
 なぜかというと、FFFチャンピオンのロクサン・モダフェリはすでに5分5ラウンドでのタイトルマッチを3年前に経験済みなだからだ。2005年3月に全米PPV放映されたIFC大会。そこで行われたロクサンとジェニファー・ハウの試合は、5分5ラウンドのIFCミドル級タイトルマッチだった。ロクサンは卓越した技術と絶対に折れないハートでハウを撃破したが、今回のバネッサ・ポルト戦もまったく同じく、技術とハートの強さで完璧ともいえるタイトル防衛を果たした。

 1ラウンドはほぼ互角の展開。ロクサンもバネッサもまず打撃で相手の様子を伺う。先に仕掛けたのはポルトの方だった。ロクサンをケージに押し付けると、両足をとってテイクダウン。しかしロクサンはすぐにケージを使い上体を起こすとリバースに成功。ハーフマウントの状態からパウンドをバネッサの顔面に落す。バネッサはこれを防御するとロクサンの足をとりリバース。上になりパウンドとエルボーを数発放ったところでラウンド終了。
 しかしバネッサの攻撃もここまでだった。2ラウンドに入るとロクサンはワンツーのパンチ、左のハイをヒット。ケージにバネッサを押し込むとクリンチから強烈な膝蹴りボディにのめり込ませる。バネッサもここでパンチを繰り出し何とかロクサンをテイクダウンするが、ロクサンはすぐに下からの三角でバネッサを捕らえると、頭部にパンチを連打し、ポジションをリバースしてケージに押し込み、パウンドとエルボーを落とす。
 3ラウンドはもうロクサンの一方的な展開となった。ラウンド開始と同時にパンチでラッシュを仕掛けるロクサン。バネッサもはじめは何とかパンチで応戦していたが、ロクサンの手数の多さに圧倒される。最後はケージに押し込まれ状態でボディへの膝、そして顔面へのパンチの連打を入ったところでレフェリーが試合をストップした。

 スタミナと手数と技術とハート、全ての面でバネッサを上回ったロクサン。今まで彼女が喫した黒星はタラ・ラローサ、ローラ・ディオーガスト、薮下めぐみ、そしてシェイナ・ベイズラーの4人のみ。ローラは事実上引退状態で、薮下へのリベンジはすでに果たした。となると、ロクサンの当面の目標はタラ、シェイナとの雪辱戦だ。
 シェイナは現在エリートで活躍中。一方のタラはボードッグファイトの閉鎖によりまだ今後の動向は明らかにしていない。という事はシェイナの首を狙いにエリートへ乗り込むのか、それともFFFのタイトルを防衛し続けタラをFFFに引っ張りだすのか。それとも他のメジャー団体が女子部門をスタートさせ、そこでタラとのリベンジマッチを実現させるのか。ロクサンの今後の動きは、アメリカの女子総合の流れにも大きく関わってくる可能性がある。

第11試合 125ポンド契約 5分3R
◯カリーナ・ダム(ブラジル/アリアンシBJJ)
×ソフィー・バガーダイ(米国/シャークタンク・ジム)
2R 1'52" アームバー

 ソフィー・バガーダイは去年7月のFFF旗揚げ大会で総合デビュー。それ以来FFFだけで試合をこなし3連勝をマークしているカリフォルニア州在住の選手だ。ようするにFFFがスタートした時点から次世代のスターとしてFFFが育ててきた地元の選手である。ヘビー級タイトルマッチやバックナー対端を押さえて試合順でもこの試合が「ダブルメイン」に位置づけにされたのは、ソフィーへの期待、そして人気がその理由の一つである。
 しかし今回の相手はブラジルのカリーナ・ダム。母国ブラジルでは「美女にして野獣」、そしてアメリカでは「MMAバービー」のニックネームがついている人気選手。ボードッグファイトでは2シーズン連続MVPを獲得した実力者でもある。明らかにソフィーが今までの対戦してきた相手と比べると一つランクが上の選手である。

 しかし二人の実力差は一つどころか、三つほどのランクの違いがあった。

 試合開始からロー、ミドル、ワンツーのコンビネーションでジリジリとソフィーを追いつめていくカリーナ。ソフィーはパンチをあてては左にまわるスティック・アンド・ムーブ(ヒット・アンド・アウェー)戦法。それでも前へ前へとでるカリーナは、バックハンド・ブローやパワフルな右のフックも繰り出し、確実にソフィーにダメージを与えていく。ソフィーがタックルに入ってもそれをすぐに切り顔面へ膝蹴りの連打、そしてケージに押し込むと顔面にエルボー、そしてワンツーとソフィーを圧倒する。
 2ラウンドに入ると、カリーナはキックとパンチで距離を詰めると両足タックルでテイクダウン。すぐにマウントをとるとパウンドの嵐。ソフィーが身体を横にした所にカリーナはアームバー。ソフィーは何もできずにタップアウトした。
 この日、大会を視察していたエリートXCの首脳陣は、カリーナの実力だけなく、そのスター性を認めカリーナをエリートにあげる事を公言。噂によると6月27日Showtimeにおける全米生中継大会において、対デビー・パーセル(130ポンド契約)の方向で交渉が進んでいるという。
 負けてはしまったが、初めて世界のトップレベルと肌をあわせ、1ラウンドは自分の戦いを貫いたソフィーの今後にも期待ができる。苦手なグランドを克服するために今はエリック・パーソンとジョシュ・バーネットの元で練習を重ねているようだし、FFF次回大会にも参戦がほぼ決定しているようなので、これからも強い相手と戦い続けて強くなりながらFFFを盛り上げていける選手となっていくだろう。

第10試合 FFFヘビー級初代王者決定戦 5分3R
◯ラナ・ステファナック[ステファニック](米国/レイディーズ・オブ・ペイン)
×テイビア・リード(米国)
1R 0'36" アームバー

 現在のアメリカ女子総合で、一番層が薄いといっても過言ではないヘビー級という階級で、なぜFFFはタイトルを設定したのか。それはこのラナ・ステファナックという選手を看板選手のひとりにしたいからである。そんな期待に応えるかのように、この日ステファナックは、秒殺勝利でテイビア・リードとの実力差をみせつけた。
 試合開始と同時にパンチで前進し、リードが怯み後ろへ下がると胴タックルからテイクダウン。簡単にマウントを奪うとパウンドを数発落してからアームバー。ステファナックは、リードにまったく何もせない一方的な完勝劇で初代FFFヘビーのタイトルを獲得した。
 体格の大きな選手が多いアメリカでも、女子総合のヘビー級といえば大半が60キロ後半から70キロ代の選手ばかりである。その中で178センチ、98キロのステファナックはやはり規格外ともいえる。しかも大きいだけでなく、柔術の戦績143勝無敗、パンナム選手権4度制覇という実績を持つ正真正銘の柔術家、そしてアスリートだ。
 そんな彼女と、アスレチック・コミッションも危険性無しと納得する体重差で互角に戦える選手は、少なくともいまのアメリカ女子総合でも皆無に等しい。今回の対戦相手のリードも、去年の11月に一度すでに戦っている選手。その時もステファナックは1ラウンド1分、アームバーでリードを下している。(リードはタップしなかったがレフェリーが試合をストップ)つまりステファナックと対等に試合ができる選手を探すのはいまのアメリカでは至難の業なのである。
 そんなステファナックにタイトルをあげてしまったFFF。競技としてステファナックと試合ができる選手を果たして探せるのか。ステファナックはこれで総合6戦全勝。確かに看板選手になれるだけの実力と実績はある。しかしこの階級でタイトルを設定し、強豪ステファナックをチャンピオンにしたことにより、FFFは看板選手を作り上げたのと同時に大きな難題をも作ってしまったといえるのだ。

第9試合 スーパーファイト 135ポンド契約 5分3R
×アマンダ・バックナー[ブキャナー](米国/アカデミー・オブ・BJJ)
◯端 貴代(日本/和術慧舟會東京本部)
判定0-3 (28-29/28-29/27-30)

 今大会、アメリカのMMAファンの中でもハードコア層が一番注目していたのがこのスーパーファイトだ。今年から女子総合の試合にも5分1ラウンドを認める方針に変わったカリフォルニア州アスレチック・コミッションが、MMAを管轄下において以来、初めて1ラウンド5分を認めたこの二人試合が注目されたのは、誰もが認める日本とアメリカのトップ選手同士の激突であるからだけではない。
 現スマックガール王者の端貴代がパウンド有りのルールで、ケージの中で、そして男子と同じあのアンコの小さいグローブでどういった戦いを魅せるのか。対するアマンダ・バックナーは、エリートXCで活躍中のジュリー・ケッツィー、シェイナ・ベイズラー、更には日本の近藤有希や薮下めぐみらも撃破している強豪であり、元スマックガール無差別王者でもある。
 しかも大会前日行われた計量は、アマンダの135ポンドに対して端は127ポンド。こうなってくるとパウンド有りのルールの試合経験も14戦あるベテランのアマンダの方が圧倒的に有利なのでは。唯一の不安材料といえば、アマンダにとってこの試合は去年の4月のボードッグファイトでの赤野仁美戦以来一年振り。やや試合感が鈍っているかもしれないという声も聞こえたが、ほとんどのファン・関係者のアマンダ有利の予想は変わらなかった。

 スマックのベルトを肩にかけて入場した端に会場のファンは大きな声援を送る。日系人が多い西海岸だからなのか、それともこの日はコアなMMAファンの率が高かったのか、イーストコーストからきたアマンダよりも端への声援が大きかったのは驚きである。
 1ラウンド序盤はアマンダのペースで進んだ。力強いパンチを放ちながら前へ前と進んでくる。しかし端も左の腕をしっかりとあげアマンダの右ストレートをガード。左ジャブ、左のキック、そしてフットワークを駆使してアマンダと互角以上の打撃戦を繰り広げる。首相撲になっても重点を下げ、アマンダをケージに押し付けると、ボディへ膝を放ち、少しずつペースをつかんででいく。
 1ラウンド中盤、アマンダはケージ際での接近戦からエルボーを端の額にヒット。これで額がパックリと割れるが、端はニコリと笑うとまったく同じペースで試合を続けていく。
 アマンダのリズムが狂ったのは1ラウンド終盤。端はケージ際で足をとりアマンダを倒そうとする。アマンダはこれを何とか凌ぐが、次の瞬間、端は鋭い左ハイ、ミドルの2連発。ハイはアマンダのガードの上からだったかこの2発が決まり、明らかにアマンダが失速。アグレシッブにでて相手を潰す作戦にでたアマンダだったが、端のムーブメントについていけなくなってきた瞬間である。
 2ラウンドからは完璧に端のペース。アマンダはクリンチから足をすくいグラウンドに持ち込むが、端はすぐに立ち上がり、左のハイ、首相撲からの膝蹴り、そしてケージ際でもパンチ。この辺りからアマンダの右目の下が少しずつ腫れていく。
 3ラウンドも、端は開始と同時に左ハイ、ミドルをヒット。そのまま左ジャブでペースを作り、左のキック、首相撲からの膝でアマンダを圧倒。一度もグラウンドでの展開を許さずに、スタンディングではジャブとキック、そしてムーブメントでアマンダを完封。大方の予想を裏切り、端の文句無しの判定勝利となった。
 
 

第8試合 3分3R
◯アレクシス・デイビス(米国)
×リズ・カリエロ(米国)
判定3-0 (30-27/30-27/29-28)

第7試合 3分3R
◯サラ・シュナイダー(米国)
×アシュリー・サンチェズ(米国/レイディーズ・オブ・ペイン)
判定3-0 (29-28/29-28/29-28)

第6試合 3分3R
◯サリー・クルムディアック(米国)
×ジェイミー・リン(米国)
判定3-0 (29-28/29-28/29-28)

第5試合 3分3R
×ブリーン・ヴィッカーズ(米国)
◯エミリー・トンプソン(米国)
1R 0'57" TKO

第4試合 3分3R
×タミー・シュナイダー(米国)
◯ジェン・バブコック(米国)
1R 1'05" TKO

第3試合 3分3R
◯ミッシェル・ルーディー(米国)
×フラニタ・ゲイシング(米国)
1R 2'54" TKO

第2試合 3分3R
◯タマラ・パークス(米国)
×リナ・クーコヴ(米国)

第1試合 3分3R
◯ティエラ・アーノルド(米国)
×ヴェロニカ・ロクート(米国)
判定

Last Update : 04/30 20:07

[ Back (前の画面に戻る)]



TOPPAGE | REPORT | CALENDAR | REVIEW | XX | EXpress | BBS | POLL | TOP10 | STAFF

Copyright(c) 1997-2008 MuscleBrain's. All right reserved
BoutReviewに掲載の記事・写真・図表などの無断転載を禁止します。
著作権はマッスルブレインズに属します。