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(レポ&写真) [修斗] 3.28 後楽園:門脇&上田が新王者に。日沖圧勝

サステイン "プロフェッショナル修斗公式戦 supported by Crymson - BACK TO OUR ROOTS 08"
2008年3月28日(金) 東京・後楽園ホール
認定:インターナショナル修斗コミッション

  レポート:本庄功志(田村×門脇)、井原芳徳(他の試合) 写真:井原芳徳  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】


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第7試合 メインイベント 修斗世界ライト級チャンピオンシップ 5分3R
×田村彰敏(総合格闘技津田沼道場/世界王者)
門脇英基(和術慧舟會東京本部/世界3位・環太平洋5位)
判定0-2 (横山30-30/菅野29-30/鈴木28-29)
※門脇が第7代王者に

 試合が始まり最初に仕掛けたのは王者の田村。左ミドルを数発、右ローと蹴り分けて挑戦者の門脇を牽制する。門脇は、田村の左ミドルをキャッチしテイクダウンに成功するも、自らの動きを「頭になかった」と言う。「何も考えず、作戦を立てずに戦った」とのことだが、この一連の展開が勝敗を左右したと言ってもいいだろう。
 上になった門脇だが、下からの田村のラバーガードに動きが取れず、田村の腿に「手応えはあったけど…」と膝を打ち付けることしかできない。効き目はあったかもしれないが、インパクトに関しては薄いか。

 2Rになっても、1Rと同じような展開が続く。3R開始間際に会場から「田村コール」が巻き起こり、観客は王者を煽る。しかし、最終ラウンドが始まると、先手を取ったのはパンチのコンビネーションで突進した門脇。そしてタックルを決めて上になるも、田村のフロントチョークに掴まる。会場には「落とせコール」が響き渡るが、極まりは浅く抜ける。その後は田村がラバーカードに移行し、門脇が田村の腿に膝を打つという1、2Rと同じ展開。だが、門脇は田村の足をほどくことに成功すると、今回の試合初めてとなるパウンドを放ち好印象で試合を終える。

 判定はジャッジ2者が門脇を支持し、ライト級に新王者が誕生。だが、両者決定的な攻撃はなく、ドローでもおかしくない内容だった。菅野ジャッジが29対30で門脇を、鈴木レフェリーも28対29で門脇を支持した。これは、門脇のテイクダウンを評価した結果なのだろう。挑戦者のガムシャラながらもテイクダウンを狙う攻めこそが、今回の試合の勝敗を分けたのは間違いない。

 門脇はマイクを向けられると、「不思議です。(ベルトを巻いてみて)違和感があります」「(今後については?)格闘技から離れて、普通の人になりたい」と、観客がずっこけてしまうようなマイクを連発する。最後には、「夜もう遅いんで、帰り道は交通事故に気をつけてください」と、なんとも親近感の沸く、なおかつ独特のキャラクターを持ち合わせた新王者をファンに印象付けた。

◆門脇「(ベルトを獲得して)不思議です。ほんと。(試合については?)テイクダウンを何とか取れて救われました。(田村の左ミドルについては)足でかわせて、ある程度動けました。流れで(蹴り足を)掴んでテイクダウンしましたが、頭にはなかったです。グラウンドの攻防については、パスしようとしましたが、相手の足の力が強くて動けませんでした。今の自分の肉体ではパスできないですね。自分の技術面、肉体面がもっと向上していたらできたと思います。
(スタンドのパンチで若干自分の流れになった?)パンチは前回の対戦より、若干自分の流れになっていたと思います。(判定については?)パンチのダメージは与えたかなと。そこだけです。後半は相手の気迫に押された部分はありました。今回の試合は(事前に立てた)作戦で行くと勝てないなと。だから、相手の左ミドルのキャッチもしかり、何も考えずに動きました。作戦立てないで試合に臨んだのはよかったです。
(今後については?)今後はほんとに何も考えられないです。考えただけで気持ち悪くなってきます。ついさっきまで恐怖心と戦っていて、『試合に出なければよかった』と考えていました。格闘技は好きなのですが、大勢の人の前で試合するのはしんどいです。試合前に足が動かなくなってしまったことがありました。半身浴で体重を落としてたのが原因なのかなとも思いました。1週間かけて足は動くようになりましたが、結局原因はわからなかったです」
 
 

第6試合 修斗世界フェザー級チャンピオン決定戦 5分3R
上田将勝(パラエストラ東京/世界3位・環太平洋2位)
×岡嵜康悦(フリー/世界4位・環太平洋1位)
判定3-0 (菅野30-27/横山30-27/鈴木30-27)
※上田が第5代王者に

 フェザー級の無敗選手同士のタイトルマッチは、上田の持ち前のレスリング技術が存分に発揮される内容に。マットを這うような高速の低空タックルで、岡嵜が真後ろに吹き飛ぶ場面もしばしば。ファーストアタックで失敗しても、セカンドアタックの胴タックルや足を引っかけてのテイクダウンにつなぐことができるのが、上田の真骨頂だ。

 さらに上になってからも、1Rはパウンドをコツコツと落としつつ、腰を上げて相手を折り畳むような形でパスガードのプレッシャーをかける。スタンドではサウスポーの影響もあって、岡嵜のインローを前足や股間にもらってしまうが、それでも果敢にタックルを仕掛け、2Rも3度テイクダウンに成功する。3Rは「守ってしまった」といい、やや攻めあぐねる展開が続いたが、終盤に腰投げに成功すると、そのままサイドポジションを奪取。最後は横三角絞めで岡嵜を捕獲したままパウンドを落とし続け終了のゴング。完勝を印象づける幕切れだった。
 世界ベルトを巻いての勝利者インタビューでは「一生懸命頑張るチャンピオンになりたいです。防衛戦目指してまた頑張ります」とシンプルな挨拶。飾り気が無い分、華麗で多彩なレスリングテクニックが一層強く記憶に残った。

第5試合 ライト級 5分3R
日沖 発(ALIVE/世界6位・環太平洋2位)
×バレット・ヨシダ(米国/SDアンディスピューテッドジムジム)
1R 4'51" TKO (レフェリーストップ:マウントパンチ)

 日沖が序盤からテイクダウンに成功するが、バレットがすぐさま下から足関を狙ったため、日沖は逃げてスタンドに戻る。コーナーでの差し合いになると、日沖の体でバレットが隠れるほど体格差があったが、その差をうまく活かすように日沖が潰して上になるとそのままマウントに。パンチで痛めつけた後、腕十字を仕掛ける。極まる直前で回転して防御できるあたり、さすがバレットではあったが、日沖はすぐさまオモプラッタに移行。再びマウントになると、パウンドのラッシュでバレットを痛めつけ見事勝利を奪った。

 日沖戦の後、5/3 JCBホール大会のインフォメーションタイムに、まだ同大会での対戦相手の決まっていない世界4位の佐藤ルミナが「勝っても負けても自分らしい試合がしたい。若くてイキのいい選手とやりたい。相手の第一希望は日沖選手です」と発言した。
 バックステージでルミナの話を伝え聞いた日沖は「正式に話が来てから考える。会長とも相談したい」と慎重な態度ながらも、「認めてもらえたことはうれしい。光栄です」と話した。“修斗のカリスマ”と“修斗の子”の対決、プロ修斗20周年に向けての第一弾興行で実現なるか? 1ヶ月少々しか試合間隔が無いが、日沖はどう決断するか?

第4試合 バンタム級 5分3R
マモル(シューティングジム横浜/世界2位)
×菅原雅顕(和術慧舟會Duroジム)
判定3-0 (鈴木29-28/横山30-27/若林29-27)
※1R左フックで菅原が1ダウン

 開会式での選手代表挨拶を担当した菅原は「選手一同、(同日に東京ドームで再結成ライブを行った)X-JAPANに負けないような熱い試合をしたいと思います」と話し、その通りのファイトを展開する。入場時にマモルに対抗してアフロのカツラをかぶってきたのも、マモルと真っ向勝負を繰り広げると示唆したものだったのだろうか。開始すぐから回転の早いパンチの連打を仕掛け、マモルを下がらせる。マモルもパンチで応戦。ローキックや膝蹴りも織り交ぜた攻撃のバリエーションではマモルが数枚上手で、右と左のフックの連打で1R中盤にダウンを奪ってみせる。
 2R以降も壮絶な殴り合いは続く。マモルは何度かテイクダウンで上になるが、菅原はスタンド勝負を望み、マモルを逆に苦しめる。3Rも菅原は何発もマモルのパンチと膝を浴びるが、なかなか倒れず、最後までパンチを打ち返し、不屈の闘志を見せつけた。

第3試合 フェザー級 5分3R
徹肌ィ郎(和術慧舟會岩手本部/環太平洋9位)
×田中寛之(直心会格闘技道場)
判定3-0 (菅野30-28/鈴木29-28/若林29-28)

 肌ィ郎は2月に亡くなった市川崑監督の映画「ビルマの竪琴」の水島上等兵のコスプレで入場。試合では持ち前のテイクダウン能力を発揮する。3Rとも、序盤からタックルでテイクダウンに成功。1Rにはバックマウントから後頭部にパンチを連打する。2Rこそスタンドに戻され右フックを浴びたものの、3Rも寝技で主導権を維持し完勝した。

第2試合 ライト級 5分2R
×不死身夜天慶(シューティングジム横浜/世界10位・環太平洋6位)
中村“アイアン”浩士(東京イエローマンズ)※中村浩士から改名
判定0-2 (菅野19-19/横山19-20/鈴木19-20)

 日本では約1年ぶりの試合となる不死身夜だったが、開始すぐから中村のタックルにつかまり劣勢。パウンドを浴びポイントを奪われる。2R前半こそタックルを切り続け、カウンターの膝蹴りを当てたものの、後半はまたも倒されてしまい、ポイントを十分奪い返せず、クラスBの中村相手にまさかの黒星を喫してしまった。中村はこの勝利でクラスA昇格が決定した。

第1試合 ライト級(2008年度新人王決定トーナメント一回戦) 5分2R
田中半蔵(シューティングジム横浜)※田中宏茂から改名
×丸井憲一郎(アカデミアAz水道橋)
1R 3'01" KO (右ストレート)

Last Update : 03/31 10:10

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