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(レポ&写真) [沖縄格闘技連盟] 3.2 沖縄 : 熊澤、グレイシー黒帯から一本

沖縄格闘技連盟 "沖縄格闘伝説"
2008年3月2日(日)沖縄・テルヤ・ダイヤモンドホール

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第7試合 OMAFミドル級タイトルマッチ 3分3R(延長あり)
○屋比久タケツグ(陽明館/王者、ISKA沖縄ウェルター級王者)
×村井義治(理心塾/挑戦者)
2R 2'00" KO

第6試合 総合ルール 65kg契約 5分2R
熊澤伸哉(闘心)
×アレッシャンドル小川(ブラジル/チーム・ドラクリーノJAPAN)
2R 2'53" ヒールホールド


 グレイシーバッハの直轄チームドラクリーノ所属の小川は、日本在住の日系二世柔術家で、2006・ 2007年のブラジリアン柔術世界選手権、茶帯プルーマ級で連続優勝を始め、アジアオープン2006,7年連続優勝、ヨーロッパ選手権2006,7年連続優勝など輝ける戦績を持つ。マウリシオ・ソーサ(BONSAI柔術師範/黒帯)に敗れるまで、三年間柔術無敗を維持。今回がMMA初挑戦となるものの、ポテンシャルで言えば世界クラスの強豪にも匹敵するものがある。入場では、ヒクソンにちなんで映画「ラスト・オブ・モヒカン」を使用。グレイシートレインでリングサイドを一周するという凝った演出で登場する。

 沖縄代表として迎え撃つ立場の熊澤は、近年海外での試合を中心にキャリアを踏んでいるが、ドゥエイン・ラドウィックら海外トップ陣との対戦で連敗中ということもあり、今回から65kg級に転向。地元で復活の第一歩を記したいところだろう。


 小川は柔術家らしく、首相撲からヒザを打ち込もうとする熊澤を、グラウンドに引きずりこむ。巧妙にアンダーポジションからの三角締めを繰り出し、あわや秒殺かというところまで熊澤を攻めたてる。緻密な小川の仕掛けが続く中、突破口が欲しい熊澤は得意の足関節で一発逆転を狙うが、逆に顔面を踵落としで蹴られてしまう。さらに、蹴り上げからほぼ踏みつけに近い勢いで跳ね上がるという、小川の痛烈な反撃で、一気にマウントを奪われ、バックマウントからのパウンドと、絶体絶命のピンチに陥る。攻防がロープ際であったため、ストップ・ドント・ムーブとなる。リング中央での再開の間隙を突いて、ポジションを入れ替えて上になった熊澤だが、すかさず下からの腕十字へ持ち込む小川。がっちり腕をクロスして防御する熊澤。ゴングでこのピンチを脱したものの、1Rは完全に小川優勢で進む。


 2Rに入っても、小川は引き込みからの展開を選択。深追いせず立ちあがった熊澤は、アリ猪木状態からローキックで攻める。しかし、小川は1Rを彷彿とさせる蹴り上げで反撃。ここで再び熊澤は足関節を狙って行く。当然のように小川の踵が顔面を襲い、取られた左足を抜きに横転する小川。しかし、熊澤は腋に取った足首を内ヒールで締め上げる。瞬間に小川の表情が歪み、レフェリーが試合を止める。

 MMAに不慣れなブラアジリアン柔術家がしばしば犯すミスだとは言え、ここまでの圧倒的な展開からすれば、完全な大逆転劇。狂喜乱舞する熊澤とマットに倒れて苦悶する小川。つい先ほどまでの攻防からは想像もつかないフィニッシュの対照であった。これまで若さもあってかピンチに陥った際に、相手に呑まれて反撃の糸口の掴めない傾向のあった熊澤だったが、この日は地元ということもあってか、心折れる事無く自分の最大の武器を手放さずに闘う精神力が光った。特に、一度は完膚なきまでに撃退された足関にあえて再度トライしたのは、“死中活”の精神力の賜物。かつて“沖縄のランデルマン”と呼ばれた頃のような肉体の威圧感は消えたが、極めのパワーと野性的直感は健在。今後スピードとテクニック勝負のこの階級でどれだけの実績が残せるかが見物だ。
 

第5試合 キック・スペシャルエキシビジョン 3分2R
−Mr.神風(神風塾)
−ノブ・ハヤシ(ドージョー・チャクリキ)
勝敗無し


 このところ本土での試合の多い神風だが、この日は大会運営側の“プレイイング・マネージャー”として、一人何役もの仕事をこなしつつのリング。ロクにアップもしないままのリング登場だったが、そこは43歳で未だ現役。どんな寸前のオファーも断らない“鉄人”の面目躍如。エキシとは思えない殺気のこもったパンチを繰り出して行く。一方、ノブはこれまでの突貫スタイルとはひと味違った、フットワークと多彩なコンビネーションで打返し、想像以上の引き出しの多さで、エキシビジョンを盛り上げる。最終ラウンドは“ガチスパー”に近い、火の出るような攻防となり、お互いが一発一発声を上げながら打ち合い、観客のヒートを誘った。
 

 


第4試合 OMAFウェルター級タイトルマッチ 3分3R(延長あり)
○トシ・キジムナー(神風塾/王者)
×高橋直弘(勇誠会/挑戦者)
判定2-0 (30-29/30-30/30-27)


 24歳と言う年令に似合わず、非常に老獪かつテクニカルな試合ぶりをみせる王者トシ。この日も、胴着でキックに挑んで来た空手家の高橋相手に、細かいパンチ連打でガードを上げさせては、ヒザやミドルを打ち込み、確実にポイントを稼いで行く。ハイやミドルにも一発一発の切れ、滑らかさがあり、ヒザにしても地味な首相撲ではなく、片手で相手の頭部をフックし、まるで飛びヒザのようにして顔面にぶちこむなど難易度の高い技を惜しげも無く多用。優勢な中、サービスなのか胴回し蹴りまで繰り出して場内を沸かせた。

第3試合 OMAFライト級タイトルマッチ 3分3R(延長あり)
○中村ヒロキ(赤雲会/王者)
×植山Ninja三千直(理心塾/挑戦者)
3R 2'21" KO


 この日、キック部門でのMVPと言ってもいい試合ぶりを見せたのは、ライト級王者の中村。よく伸びるミドルとローを武器にぐいぐい攻め込んで来る挑戦者・植山の活きのよさに下がるシーンの多かった序盤だが、2R挑発的に飛びヒザの二連打を仕掛けて来た植村に対し、怯む事無く自分も飛びヒザを打返したあたりからエンジンがかかり始め、アッパーを交えたパンチのコンビと鋭い切れ込みを見せるローで植村の攻めを封じて行く。最終ラウンドには、勢いの落ちた植村に、右ショートでまず最初のダウンを奪取。続いて、気負って振り回して来たストレートに、ヒットの瞬間K.O.と判る鮮やかなカウンターの右フックをぶちこみ、豪快な勝利を飾った。また、試合後のベルト返還のセレモニーでは、「今日も勝つつもりだったので、ベルトはウチに置いたままです」と人を食ったコメントを残し、丸腰のままリングを降りた。

第2試合 総合ルール 63kg契約 5分2R
田上洋平(闘心)
×高坂勇輝(総合格闘技道場コブラ会)
判定3-0 (20-19/20-19/20-19)


 地味ながら相手の攻めを確実に封じていく“塩漬け”攻撃で、アメリカFCC遠征戦でもATTの新鋭ハエンダ・ロドリゲスを封じたパンクラシスト田上に対し、パワーゲートで頭角を現しつつあるコブラ会の若手高坂が挑んだ一戦。
 序盤高坂の繰り出したパンチが数発ヒットし、チャンスをつかんだかに見えたが、田上は組み付くとコーナーに運び、確実にグラウンドで上のポジションをキープ。2Rにはついに田上のグラウンド“アリ地獄”に引きずり込まれた高坂。バックを奪われ長時間、スリーパーを狙う攻撃に晒される。なんとか凌いで蹴り放した高坂。スタンドでは再びパンチを当てチャンスの芽をつくるのだが、畳み込めないまま再びタックルに入られてしまう。高坂がなんとかこれを切ってバックに回り、パウンドを落としはじめたところで試合終了。高坂にもチャンスはあった試合だが、試合経験の差か、田上の“地味強”の壁を越える事ができなかった。

第1試合 キックルール 2分3R
○ハラノ(神風塾)
×ワイルドシーサー(WILD SEASER)
判定3-0 (30-27/30-27/30-27)



※第2、第3試合には神風塾所属の現役米兵選手T.I.M.とCHRISが出場予定であったが、他の米軍兵士が起こした少女暴行事件の煽りで、全米兵の基地内待機が命じられたためやむなく中止となってしまった。

 

 

 

 

 

Last Update : 03/10 10:28

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