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(レポ&写真) [エリート] 2.16 米国:トンプソンKO負け。キンボ2連勝

Pro Elite "EliteXC - Street Certified -"
2008年2月16日(土) 米国フロリダ州マイアミ・バンクユナイテッドセンター

  Report by Fernando Avila (BoutReview USA)  Photography by Pro Elite   【→掲示板スレッド】


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◆主な結果

メインイベント ヘビー級 5分3R
キンボ・スライス(米国)
×タンク・アボット(米国)
1R 0'43" KO (左フック)


 キンボ・スライスことケビン・ファーガソンは「YouTubeで最も多く観られた選手」というコピーが大衆にすんなり受け入れられる時代の喧嘩屋で、対するデビッド・アボットは、その丈夫でずんぐりとした体型からタンクのニックネームを持つ、UFC創世記の90年代半ばに人気を博した喧嘩屋である。
 しかもキンボは随分前にストリートからは足を洗い、今やMMAというスポーツに真剣に取り組んでいる正真正銘のアスリートである。アボットも昔のようにバーで酒を飲んで喧嘩に明け暮れている日々を送っている訳ではない。レスリング、柔術などのコーチをつけ、今でもオクタゴンに初めて足を踏み入れた1995年7月の時とほぼ同じ身体を維持している。しかし打撃戦を挑んだらアボットは絶対的に不利というのが戦前の大方の予想であった。それでもアボットはスタンディングでの戦いを挑んだ。
 いきなり殴り合うがキンボの右のパンチがヒット、前に倒れながらを足をとりにくアボット。そこにキンボがパウンドを落すがこれが後頭部に入ってしまいレフェリーが一時試合をストップ。キンボに注意を与え再び試合開始。
 しかしここでも真っ正面に立ち殴りに行ったアボットに勝ち目はなかった。キンボの右フックが腕にあたっただけで吹っ飛ぶアボット。それでも立ち上がってパンチを放ったところ、キンボのカウンター気味の左フックがアゴを捉えそのまま顔面からキャンパスに倒れていった。

「一瞬レスリング勝負で倒しにいこうと思っただんけど、いや、やっぱり殴り合った方が良いとおもったのさ」と試合後のインタビューでもアボット本人は認めていたが、テイクダウンを奪ってからパウンドという戦法に出ればまだ勝ち目はあった筈。キンボも明らかにアボットのタックルを警戒していたしグラウンドにはいかない、という姿勢がはっきりとみえてとれる戦いっぷりだった。まず倒してから、という戦法でしか勝ちを見いだせないというのを周りに言われていたのだろうが、アボットはあえてそれは避けたのだ。
 喧嘩屋としてのプライドかそれともただ殴り合うのが好きなのか。またはアボットは真のプロファイターとして、プロモーター、そしてお客さんは、グラウンドに持ち込んでコツコツとパウンドを落すアボットよりも、豪快に殴り合って、相手を倒すときも、そして自分が倒れるときも、豪快にハードなアボットというのを望んでいる、というのを察知したので、こういう戦い方しかあり得なかったのかもしれない。
 この試合の翌日、タンクにKO勝ちしたポール・ブエンテロが早速キンボへの対戦要求を表明。この他にもジェームス・トンプソンをKOしたブレット・ロジャースもいるこのエリートXCのヘビー級戦線の中で、PRIDEでの吉田秀彦戦から4連敗のアボットの立ち位置は微妙になるのは必至。まだエリートとの契約が残っているのでこのままエリートのへの継続参戦はほぼ確実だが、少ししずつ充実し始めたこのエリートXCのヘビー級戦線でこのまま若手ファイターたちの餌食になっていくという事なのだろうか。10年前は豪快に相手を倒してお金を稼いでいた喧嘩屋は、今は自らが豪快に倒れることで稼いでいる喧嘩屋になっている。

ヘビー級 5分3R
アントニオ・“ペザオン”・シウバ(ブラジル)
×リコ・ロドリゲス(米国)
判定2-1 (29-28/28-29/30-27)


 1ラウンドはスタンドでの攻防が続いた。シウバがパンチのコンビネーションでプレッシャーをかけロドリゲスをケージ際までは攻め込むのだが、踏み込んでの追撃の一発を躊躇しているようにみえる。慎重すぎるという印象が強い。重い右をパンチをあててロドリゲスが後ろに下がって、軽快なフットワークで追い込むのだがそこからパンチが出ないのだ。一昨年のエリック・ペレ戦でラッシュにいったときに右のカウンターを喰らい敗れて以来、野獣のような勢いで攻め込むことがなくなったシウバ。相手を倒すというよりも試合に勝つという姿勢が前に出過ぎて、パンチは放つがノックアウトにいかない消極ファイトといわれても仕方がない試合振りだ。
 一方のロドリゲスは試合巧者だけあり、パンチを貰っても後ろにすぐ下がるとうまくインサイドに入りクリンチするか、またはタックルに入るなど相手のリズムを崩し凌いでいく。
 お互いに決めてを欠いたまま3ラウンドの後半まで続く。最後の2分を切ったあたりでロドリゲスがテイクダウンを奪い、上になるとパウンドを落し追い上げるが、結局は時間切れ。スプリット判定でシウバの勝利となった。
 ロドリゲスは、現在VH1でオンエア中のリアリティTV番組「セレブリティ・リハブ(Celebrity Rehab)」にブリジット・ニールセン、ダニエル・ボールドウィン、ジェフ・コンウェーらハリウッド俳優たちとレギュラー出演中。そのせいかそれなりに顔は知られているが、この日のような試合振り、そしてのダブついたお腹のままではファンの支持を得るのは難しいと言わざるを得ない。

ミドル級 5分3R
スコット・スミス(米国)
×カイル・ノーク[Kyle Noke](オーストラリア)
2R 0'07" KO (右ストレート)


 ムエタイ出身のノークは1ラウンド軽快なフッオワークで右にまわりながらローキック、ジャブ、右ストレートを当てる。スミスはこれを追いかけるような形でパワフルな右ストレートと右フックを放つがこれは空を切る。リズムに乗ったノークはそのローとパンチのコンビネーションで確実をポイントとダメージを稼いでいく。
 TUFシーズン5出身の人気選手のスミスは、UFCでの最後の試合ではリアリティ番組でチームメイトだったピート・セルを逆転の右ストレートで下した選手だ。自分の最大の武器は右ストレートと信じている試合振りを貫き、1ラウンドは追いかけてパンチを放つが、逆にキックとパンチを貰ってしまう展開に。
 しかしこの右ストレート狙いが2ラウンド早々吉とでた。ノークが左ジャブのあとにコンビネーションを放とうとしたその時、スミスの強烈な右ストレートがノークのアゴをとらえ、この一発でKO勝ち。エリートXCのミドル級タイトル戦線にこれで一歩食い込んだスミスは、試合後、最近ICON Sportsの同級タイトルを失ったロビー・ローラーとの対戦を熱望した。

ライト級 5分3R
イーブス・エドワーズ(米国)
×ジェームス・エドソン・ベルト(米国)
1R 4'56" KO (飛び膝蹴り)


 序盤戦はお互いに距離を取り合いながら、ハードなローキック、ミドルキックの応酬。ベルトはタックルに入りテイクダウンを奪うが、イーブスは下にからもオープンガードかすぐに立ち上がり、ベルトに攻める隙を与えない。
 フィニッシュはラウンド終了間際。首相撲の状態のままイーブスは自分の身体を右に動かすと、ベルトの顔面が横なったその瞬間に飛び膝蹴りをヒット。これをモロに喰らったベルトはそのまま後ろに倒れ、イーブスが追撃のパンチをおろしたところでレフェリーが試合をストップ。イーブスのKO勝ちとなった。

ヘビー級 5分3R
×ジェームス・トンプソン(英国)
ブレット・ロジャース(米国)
1R 2'24" KO (右ストレート)


 いつものように開始早々猛タックルで突っ込んだトンプソンだが、パンチを出すのではなく何とすぐに片足タックル。腰の強いロジャースはこれを切りトンプソンを突き放す。
 しかしトンプソンはここで打撃戦をまったく仕掛けずにすぐに片足タックルへ。これもケージ際で耐えたロジャースは差し合いの状態から、突き放すと素早いワンツーをトンプソンにヒット。これをまとみにアゴに喰らったトンプソンはそのままマットに崩れ落ちKO負けとなった。
 最近エクストリーム・クートゥアに移籍し、新たにレスリング技術を学んだからか、それともロジャースの打撃を警戒しすぎたのか、この日のトンプソンは殴り屋からはほど遠い戦い振り。結局は無理に片足タックルに固執しスタミナ切れ、そしてパンチでKOされるというまったくいい所無しの試合だった。ロジャースはこれで7戦7勝(全てKOか一本)。エリートでも2戦2勝となった。

Last Update : 02/20 12:04

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