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(レポ&写真) [パンクラス] 1.30 後楽園:井上克也&昇侍が新王者に

ワールドパンクラスクリエイト "PANCRASE 2008 SHINING TOUR"
2008年1月30日(水) 東京・後楽園ホール

  レポート&写真:井原芳徳  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】


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第8試合 第3代ウェルター級キング・オブ・パンクラス決定戦 5分3R
井上克也(和術慧舟會RJW/暫定王者)
×北岡 悟(パンクラスism/1位)
判定2-1 (和田○29-29/梅木29-29○/小菅○29-29)

※井上が第3代王者に

 1R、北岡は右のインローからタックルに行く動きを繰り返した後、井上の右ローをすくってテイクダウン。倒れ際の井上は、逆立ちのままロープにもつれてしまい、北岡のサッカーボールキックをもらってしまう。上をキープした北岡はハーフ、サイド、上四方と優位なポジションへ。終盤には踏付けにアキレス腱固めと、攻勢をキープする。
 2Rの北岡は右のインローからのタックルでテイクダウンに成功。いったん井上は立ち上がるが、再び倒されると、ロープを背中にしてもたれる状態に。井上は脱出しにくく、北岡も完全に上をキープしにくい膠着ポジションが3分ほど続く。ブレイクがかかり、北岡はタックルに行くが、井上が切ったところでラウンド終了。
 後が無い井上だったが、3Rは反撃に転ずる。北岡はこれまで同様タックルを繰り返すが、テイクダウンに持ち込めない。次第にパターンが読まれ、「(井上の)プレッシャーと(体力)消耗で(体が)動かなくなった」といい、流れは井上へ。井上はタックルを切った後のサッカーボールキックという得意パターンを繰り返し、終盤にはスタンドでもグラウンドでもパンチで北岡を圧倒する。
 採点は1Rが北岡、2Rがドロー、3Rが井上に。通常の採点ではドローだが、王者決定戦のためドローが無く、同点の場合は試合全体を眺めてどちらが優勢だったかを評価するマスト判定システムが採用された。仮に各ラウンドをマスト判定で採点するシステムなら2Rも取った北岡の勝利となるが、3Rの井上の攻勢の印象がトータルでは強く、この基準の違いが勝敗をわけたと解釈できる。

 ようやく「暫定」の二文字が取れて正式な王者となり、ウェルター級での一仕事を果たした井上は、「昇侍さんの階級(ライト級:70.3kg)のベルトも狙って行きたい」とリング上で宣言。ウェルター級王座返上の意向と、世界で勝つためのライト級転向をインタビューで明らかにした。
 井上は「ベルトを穫ったら階級を落とそうと試合前から考えていました。自分はずっと暫定だったんで、ウェルター級王座だけは絶対に取りたいと思っていました」「ウェルター級も(75kgから)77kgに上がって、以前のミドル級(82kg/現在は83.9kg)ぐらいの人が落としてくると思う。外人さんだとデカい」「もっと強い人とやるんだったら落とそうと。10年、20年やれるわけではないので。行けるところまで行ってみたい」「(UFCライト級の)シャークとかBJペンとかも凄い強いけど、かといって(ウェルター級の)ヒューズとかサンピエールとかはあんまり勝てる気がしない」と理由を説明し、「自分の道場からも行っているんで行きたいですね」とUFC参戦をもう一つの目標に掲げた。
 敗れた北岡は「自分の実力の無さにあきれた」「“集大成”って言っててダメだったという残酷な結果を受け止めています。恵まれた環境、練習相手、いいコンディションで勝てなかったことは凄く重い」とうなだれる一方、「マスト判定だから逆に言えば差はなかったと取れるんで、まだ頑張ります。絶対あきらめないです」と力強く語った。井上よりも北岡のほうがむしろ体格的にライト級に近く、北岡の今後の動向も気になるところだ。

第7試合 初代ライト級キング・オブ・パンクラス決定戦 5分3R
×アルトゥール・ウマハノフ(ロシア/SKアブソリュート・ロシア/2位・ケージフォース同級王者)
昇侍(KIBAマーシャルアーツクラブ/3位)
2R 0'21" KO (左ハイキック→グラウンドパンチ)

※昇侍が初代王者に

 両者が距離を取って打撃を狙う攻防が続いた後、ウマハノフが昇侍の右ローキックをすくって上に。パウンドのカウンターで動いた昇侍が脱出しかかるが、ウマハノフは再び倒して上をキープ。昇侍の脱出を警戒してか?ウマハノフはパウンドを打たなくなり、こう着状態のまま1Rが終了する。
 2Rも昇侍のローをすくってウマハノフが上に。だが昇侍はすぐさま脱出に成功すると、強烈な左ハイをウマハノフの首筋に叩き込みノックアウト。追い打ちのパウンドを重ねたところでレフェリーが止めると、会場は大熱狂に包まれた。
 戦前、昇侍は「打ち合えば全然勝てる。『来るなら来いよ』って感じです」と話しており、打ち合いこそならなかったものの、予告通り打撃戦で仕留めることに成功した。フィニッシュの左ハイについても「ケージフォースの試合とか見ていると、横のダッキングとかボクサー的な動きをする。そういう相手にはパンチでプレッシャーをかけてハイキックというのがセオリーなので、ずっと練習してきました。作戦通りです」と試合後のコメントで明かした。

 勝利の直後の昇侍は涙を流しながら大喜び。ベルトを巻きマイクを持つと「日本人がみんなウマハノフに負けているのを見てて、日本人が絶対強いんだってのを見せたくて、ずっと対戦したかった。こうやってキング・オブ・パンクラスになれて、僕の、あの…」とまで話すと、目頭を押さえしばらく涙ぐむ。そして観客の声援に後押しされて再び前を向くと「格闘家になるために故郷の三重県を飛び出して、6年目でやっとベルトを巻く事ができました。まだまだ大きいリング、世界のリングで、日本人の強さを見せつけたいと思います」と宣言した。
 昇侍の言う「大きいリング」とは、練習仲間の所英男の活躍するHERO'S。「ずっと所選手の背中を見てきた。宇野選手や高谷選手がジダにボコボコにされたんで、僕がボコボコにしたい」と話したあと、「ウマハノフの敵討ちも」と付け加え、笑顔を浮かべた。
 一方で「日本人のレベルを底上げしたい」と日本人との防衛戦にも意欲。ウェルター級の新王者の井上克也がライト級転向を表明したが、昇侍は「元々僕の体重が68、9kgなので、僕も下の階級を狙えなくもないんですが、井上選手が来てくれれば面白い試合になると思うので、その時はぜひお願いします」と受けて立つ構えを示した。

第6試合 ミドル級 5分3R
ガジエフ・アワウディン(ロシア/SKアブソリュート・ロシア)
×久松勇二(和術慧舟會TIGER PLACE)
1R 0'41" KO (スタンドパンチ)


 久松は試合前日に日露戦争の英雄・東郷平八郎が奉られている東郷神社にお参りし、遺書も書いての覚悟でガジエフに挑む。開始早々、突進するガジエフをつかまえ、あっさりとマウントを奪うことに成功。勝利を予感させるが、ガジエフは強引に脱出すると、フックのラッシュで久松をあっさりと撃沈してしまった。

第5試合 ライト級 5分3R
小路伸亮(KRAZY BEE)
五十里祐一(パンクラスP's LAB東京)
判定1-0 (小菅30-28/谷内29-29/和田29-29)


 レスリング出身の小路が首相撲の形で五十里を押し込みテイクダウンを狙う展開が繰り返される。2Rに小路は左フックで五十里をぐらつかせるが、3Rには首相撲の攻防で五十里に膝蹴りで額を切られてしまう。小路は各ラウンド上になりマウントを奪う場面もあったが、ダメージが災いしドローに終わった。

第4試合 ライト級 5分2R
花澤大介13(総合格闘技道場コブラ会)
高橋 渉(チーム桜畑)
判定0-1 (梅木19-19/小菅19-20/谷内20-20)


 1R前半、花澤が左フックのヒットをきっかけに上になり、サイドからバックを狙おうとするが失敗。後半は逆に下になってしまう。2Rも互いに一度ずつ上になる展開に。スタンドでは左フックで互いに殴り合う。階級転向初戦の花澤は体力消耗に苦しむが、高橋も決め手に欠きドローに終わった。

第3試合 パンクラスアテナ 52kg契約 3分3R
○WINDY智美(パンクラスism)
×富松恵美(パラエストラ松戸)
2R 終了時 TKO (棄権)


 体格で勝るWINDYが、富松を首相撲で捕まえて膝蹴りを連打。2Rには富松にタックルで倒されたが、落ち着いて脱出に成功。右ローと猪木アリ状態でのボディへのサッカーボールキックで富松の戦意を奪い。1年ぶりの試合を白星で飾った。

第2試合 ウェルター級 5分2R
山田崇太郎(パラエストラ松戸)
×ストラッサー起一(総合格闘技道場コブラ会&フリースタイルアカデミー)
1R 1'42" ギブアップ (チョークスリーパー)


 開始早々、グラウンドに引き込むことに成功した山田は、セコンドの青木真也のアドバイスを受けつつ、変形オモプラッタで肩を肘を極める。そのままスイープしてバックに回ると、チョークを極め一本。国内トップクラスのグラップラーの華麗な技を観客に見せつけた。

第1試合 バンタム級 5分2R
×山澤勇紀(スタンド)
川原誠也(パンクラスP's LAB横浜)
1R 0'28" KO (右ハイキック)


 パンクラスは新階級制導入に伴い、バンタム級(61.23kg)を新設。その記念すべき第1戦は、衝撃的な内容に。パンクラス本戦デビュー戦となる川原が、キャリアで勝る山澤を右ハイ一撃でKOした。まだ未知数の部分が多い選手だが、存在感は抜群。当人はまずネオブラッドトーナメントを制することを目標に掲げるが、早くも宇野薫がケージフォースの王者決定トーナメント参戦を呼びかけるほど期待しており、同階級のKIDのようなカリスマになっても不思議では無い。

[パンクラスゲート]

第2試合 ウェルター級 5分2R
×小野明洋(チームタイゴン)
○鈴木武利(U-FILECAMP町田)
1R 4'06" KO (スタンドパンチ)

第1試合 フライ級 5分2R
×廣瀬 勲(ストライプル)
○江泉卓哉(総合格闘技道場武門會)
1R 3'47" KO (スタンドパンチ)

Last Update : 02/01 17:56

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