(レポ&写真) [K-1 WGP] 12.8 横アリ:シュルト、アーツ下し3連覇
FEG "FieLDS K-1 WORLD GP 2007 FINAL" 2007年12月8日(土) 神奈川・横浜アリーナ 観衆:17,667人(超満員札止め)
レポート&写真:井原芳徳 【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】
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◆ トーナメント
第1試合 リザーブファイト 3分3R(延長1R) ×マイティ・モー(米国/フリー) ○ポール・スロウィンスキー(オーストラリア/チーム・ミスター・パーフェクト) 2R 0'50" TKO (レフェリーストップ:右ローキックでダウン後)
モーがオーバーハンドの右フックを放てば、スロウィンスキーは右ローをコツコツと当てる攻防。1R中盤、モーが左フックをきっかけに、パンチラッシュでスロウィンスキーをコーナーまで追い詰めるが、ケビン吉田レフェリーはスタンディングダウンを宣告せず、なぜかブレイクをかけてしまう。 これに救われたスロウィンスキーは、その後もローを当て続け、2Rに右ローでダウンを奪取。苦痛の表情のモーは立ち上がったがファイティングポーズが取れなかったため、レフェリーストップがかかった。負けたモーは“幻のスタンディングダウン”について「あそこで止められなければ倒せていた。納得ができない」と不安を述べた。
第2試合 準々決勝(1) 3分3R(延長1R) ○ジェロム・レ・バンナ(フランス/レ・バンナ・Xトリーム・チーム/前年ベスト8) ×チェ・ホンマン(韓国/フリー/推薦選手) 判定3-0 (御座岡30-29/岡林30-28/朝武30-29)
長身のホンマンに対し、バンナはサウスポーの構えで周りながら右ローをヒット。左ミドルを当てると、すぐさま右フックを顔面に叩き込むコンビネーションでペースを握る。時折ホンマンのパンチを喰らい、ダメージを受けるが、3Rには左右のフックで度々追い詰め、ホンマンが組み付いて防御しようとしても攻め手を緩めずパンチを振るい続ける。バンナの必死の形相に場内の観衆も「バンナ」コール。バンナが最後まで主導権を維持し、ホンマンへ返り討ちするとともに準決勝進出を果たした。
第3試合 準々決勝(2) 3分3R(延長1R) ○セーム・シュルト(オランダ/正道会館/前年優勝・K-1スーパーヘビー級王者) ×グラウベ・フェイトーザ(ブラジル/極真会館/前年ベスト8) 判定3-0 (御座岡30-27/岡林30-28/大成30-27)
シュルトが得意の長身を活かした顔面狙いの左右の膝蹴りを当て続け、1Rから主導権。ところが2R、フェイトーザが1Rから放ち続けていた左ハイキックがクリーンヒット。シュルトは腰が落ちるが、背後のロープにもたれ難を逃れる。ダメージはさほど大きくなく、その後はシュルトがそれまで同様に膝蹴りを当て続け主導権をキープし判定勝ち。05年の決勝で敗れたシュルトへのリベンジはならなかったフェイトーザだが、観客を大いに沸かせた。
第4試合 準々決勝(3) 3分3R(延長1R) ×バダ・ハリ(モロッコ/ショータイム/K-1ヘビー級王者) ○レミー・ボンヤスキー(オランダ/チーム・ボンヤスキー/前年ベスト8) 判定0-2 (御座岡29-30/大成29-29/朝武29-30)
1R、ハリはコンビネーションの最後に右ローを当て続け、左右のボディや左ミドルも当て、手数多く攻め先手。ところがボンヤスキーが1Rから少しずつ当て続けていた右ローが効き出すと、ハリの手数が落ちるように。3Rにはボンヤスキーが右ローの連打でハリを棒立ちにさせ判定勝ちをおさめた。 ボンヤスキーを「フェイク・チャンピオン」だと証明できなかったハリは、判定を聞くと素直にボンヤスキーに歩み寄り軽くハグした。だがバックステージでは「スポーツマンとして敬意を示しただけ。仲直りじゃない」「彼は王者になれるような選手じゃない」と毒舌は衰えなかった。
第5試合 準々決勝(4) 3分3R(延長1R) ○ピーター・アーツ(オランダ/チーム・アーツ/前年ベスト8) ×澤屋敷純一(日本/チームドラゴン/推薦選手) 1R 1'29" KO (2ダウン:右ストレート)
開始早々距離を取って回る澤屋敷に、アーツは鋭い右ローをヒット。パンチの打ち合いの直後、アーツが右ハイを当てると、澤屋敷はブロックしていたが効いてしまいダウン。10カウントギリギリで立ち上がるが足元はフラフラで、アーツのパンチとローに後ずさり。最後は右ストレートでマットに沈み、奇跡は起こせなかった。
第6試合 準決勝(1) 3分3R(延長1R) ×ジェロム・レ・バンナ(フランス/レ・バンナ・Xトリーム・チーム/前年ベスト8) ○セーム・シュルト(オランダ/正道会館/前年優勝・K-1スーパーヘビー級王者) 2R 1'02" TKO (タオル投入:右足の負傷)
去年の準々決勝の再戦。ホンマン戦での消耗の激しいバンナは、1Rから前に出る作戦で、右フックの後の左フックをたびたびヒットさせる。だがシュルトもコツコツとジャブを当てると、バンナは組み付きが増える。そして残り10秒、シュルトが右膝をバンナの顔面に叩き込み、パンチと膝のラッシュ。バンナはゴングに救われる。 インターバル後、バンナはなかなかコーナーを離れず。実は7ヶ月前に手術した右膝の靱帯をシュルトのローで痛めたといい、試合は続行したものの、シュルトの右ロー一発で力無くダウン。それでもバンナは立ち上がり不屈の闘志を見せたが、見かねたセコンドがタオルを投入。今年も夢破れたが、満員の観衆からは二人の巨人に立ち向かったバンナに暖かい拍手が送られた。
第7試合 準決勝(2) 3分3R(延長1R) ×レミー・ボンヤスキー(オランダ/チーム・ボンヤスキー/前年ベスト8) ○ピーター・アーツ(オランダ/チーム・アーツ/前年ベスト8) 判定0-3 (御座岡29-30/岡林27-30/朝武28-30)
準々決勝をノーダメージで勝ったアーツは、開始すぐから左右のボディブローと右ローキックで攻勢。ボンヤスキーは消極的だとして大成敦レフェリーから注意を受ける。2R中盤、同じように注意を受け警告1が出されると、息を吹き返したようにパンチラッシュ。これで体力を奪われたアーツは、その後攻め手の勢いが落ちる。ダメージの大きいボンヤスキーとともに3Rはドロドロの消耗戦となったが、最後まで反撃を許さず、決勝に駒を進めた。
第9試合 決勝 3分3R(延長最大2R) ○セーム・シュルト(オランダ/正道会館/前年優勝・K-1スーパーヘビー級王者) ×ピーター・アーツ(オランダ/チーム・アーツ/前年ベスト8) 1R 1'49" KO (左ストレート) ※シュルトが3連覇。優勝賞金40万ドル獲得
決勝は去年と同じ組み合わせ。観客の歓声のほとんどはアーツに対して向けられる。無敵のシュルトは完全に悪役といった雰囲気だが、今年も最後まで立っていたのはシュルトだった。 開始すぐから、シュルトは右ローを放ちつつ膝蹴りを狙い、離れては左ジャブを当てる。比較的静かに試合は動いていたが、シュルトのジャブ気味の左ストレートが炸裂すると、アーツがダウン。するとアーツは右膝を痛そうにしたまま立ち上がれず、そのままノックアウト負けとなった。 試合後のアーツの話によると「パンチのダメージは無かったけど、踏み込んだ時にリングが濡れていたので滑って、膝が変な方向に曲がって痛めた。前方十字靭帯を痛めたようだ」という。シュルトは準決勝、決勝は半ば相手の自滅といった形ながらも、ぶっちぎりの強さで3連覇達成。「来年はまだ誰も成し遂げていない4連覇を達成したい」という試合後語った夢も、あっさりと実現させてしまいそうな気がする。
◆ スーパーファイト
第8試合 3分3R(延長1R) ○武蔵(日本/正道会館) ×デビッド・ダンクレイド(フランス/ファウコン・ジム) 1R 2'59" KO (左ミドルキック)
ムエタイスタイルで右ミドル主体で攻めるダンクレイドに対し、武蔵は雄叫びをあげながらフックを振り回し、1Rは静かな展開。で、終わるかと思いきや、残り1秒で当たった武蔵の左ミドルがダンクレイドの脇腹に突き刺さり、ダンクレイドは立ち上がれず。久々に勝利を味わった武蔵は「やったぞー!」と叫び喜んだ。
◆ オープニングファイト
第3試合 3分3R ○立川隆史(日本/TRYOUT) ×キム・キミン(韓国/キョンヒ武芸アカデミー) 1R 1'21" KO (右ローキック)
第2試合 3分3R ○ヤン・“ザ・ジャイアント”・ノルキヤ(南アフリカ/フリー) ×キム・ドンウック(韓国/チーム・ベアバトル) 2R 0'11" TKO (レフェリーストップ:右ローキックをカットされた時に負傷)
第1試合 3分3R ○野田 貢(日本/シルバーアックス) ×ノエル・カデット(フランス/ファウコン・ジム) 2R 1'13" TKO (レフェリーストップ:右フックでダウン後)
Last Update : 12/10 11:02
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