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(レポ&写真) [HEAT] 11.25 名古屋:ロバーツ、富平に逆転勝利

志村道場・日本拳法 同心会館 "HEAT 5 〜 MEGA BATTLE HEAT from Nagoya 〜"
2007年11月25日(日) 愛知・名古屋国際会議場イベントホール  入場者数:1400人(主催者発表)


  Report:木佐木昭  Photo:井田英登  【→カード紹介記事】 【→掲示板キックスレ】 【→掲示板総合スレ】

  ■Fighting TV サムライ(SkyperfecTV Ch 301ほか)(2時間バージョン)
   12月3日(月)22:00〜/5日(水)19:00〜/9日(日)13:00〜/12日(水)8:00〜/20日(木)1:00〜
 ※映像素材未着のため、放送中止
  ■東海テレビ放送日時 12月13日(木)25:35〜26:05
  ■スターキャット放送日時 12月20日(木)18:00〜18:58(年内連日再放送)
  ※三重テレビの放送日時は後日発表


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第9試合 メインイベント HEATキックルール(肘無し) 無差別級 3分3R
×富平辰文(SQUARE)
アレックス・ロバーツ(米国/空柔拳会館)
判定0-3

※1R左フックでロバーツに1ダウン、2Rパンチ連打で富平に1ダウン

 K-1ジャパン戦士として長年日本のヘビー級のトップ戦線で闘い、今後HEATのエースにと目される富平にとって、身長194cm、6連続KO中と絶好調のアレックス・ロバーツは、巨大すぎる伏兵であり、危険なチャレンジャーでもある。一般のファンにはまだ馴染みは薄いが、既にWBCムエタイ王者ネイサン・コーベットをKOした実績もある。この一戦がK-1本戦の舞台で実現していても、何の不思議も無い組み合わせである。

 1Rから、富平はグローブ一個分のリーチ差を感じさせないステップで攻撃を仕掛ける。キャリアに勝るベテランの積極性に気後れしたのか、手数のでないアレックスに対し、富平はいきなりパンチでアゴを打ち抜く奇襲攻撃に成功。アレックスは巨体を折り曲げて、腰からマットへ。カウント半ばで立ち上がったものの、ダメージの残る様子。若干動きの鈍ったアレックスのふくらはぎ目がけ、富平はローを畳み込む。その攻勢は速攻勝利かとも思われたが、富平のホームでもある名古屋のファンの希望は、そこで脆くも打ち砕かれることになる。

 反撃に出たアレックスのパンチは、ガード上からでも容赦なくぶち込まれ、ミドルを蹴られるたびに富平の動きはとまり、上体を崩されてしまう。ミドル・ローが入ろうものなら、「バチン!バチン!」と破裂するような音が鳴り響く。幕開けの一発が、逆に巨神兵の眠りを覚ましてしまったのかもしれない。接近して戦いたい富平に対し、2Rに入るとアレックスは首相撲から、強烈な膝蹴りをボディに見舞う。完全に攻略法を見失った富平は、右フック被弾を皮切りに、パンチとキックのラッシュで金網まで押し込まれたところでスタンディングダウン。その場はなんとか耐えしのいだ富平だったが、ダメージが持ち前の気力を上回ったのか、インターバル時には、金網に手を付き座り込む姿も見られる。

 3Rには、ベテランらしく判定で乗り切る戦略か、再び手数を出し始めた富平だったが、やはりアレックスのパンチの威力が上回る。そして互いの距離が詰まると、アレックスは執拗に首相撲からの膝をぶちこんでくる。HEATキックルールではK-1同様、首相撲からの攻撃は1発なので、連打はレフェリーのストップに阻止される。富平はそのルールに助けられた部分も少なからずうかがえたが、それでも全身にはかなりのダメージを負っている筈。最後まで攻撃の手を緩めず戦い抜いたのは、ベテランの意地であり、地元で闘っているという意識があったからだろう。終わってみればアレックスは鼻血こそ流したものの、他に目に見えるダメージはなく、フルマークで判定勝利を収めた。

 

第8試合 セミファイナル HEAT総合ルール(肘有り) 66kg契約 5分3R
日沖 発(ALIVE/修斗ライト級(65kg)世界10位・TKOフェザー級(約66kg)王者)
×ブライアン・ゲラティー(米国/フリースタイル・アカデミー)
判定3-0


 ここ2戦、強豪外国人相手に不運な判定で連敗中の日沖。内容を見れば負けているという印象は無いが、今回は白星というハッキリとしたカタチで結果を残したいところだ。

 1R、日沖は長い右足でロー、ロー、ハイと攻め、さらにパンチで攻めると、ゲラティーは真後ろに下がってしまい、それを突いて日沖がタックル。両太腿を右に払いながらバスター気味にテイクダウン。サイドポジションからバックを奪う。
 あとはチョークを極めるだけ、と観ている者に楽勝ムードを感じさせたが、ゲラティーは必死に日沖の腕をたぐり、そして金網を蹴って体勢を変えようとするなどしてなかなかチョークを極めさせない。「パンチもあるよ!」というセコンドの声に反応した日沖は、バックからゲラティーの側頭部に数発パンチを見舞いながらチョークの機会をうかがうが、立ち上がられる。再びスタンドで日沖がローを放つと、踏み込めないゲラティーはまたパンチをもらいながら後ろに下がり、テイクダウンを奪われ、そこでゴング。

 2R、日沖がまた単発のローを、パン!パン!パン!パン!と計4発、ゲラティーに叩き込む。そして1R終盤に見せた光景が再現されると、日沖はガード内からパウンドを振り落とす! 海外でのケージファイトの経験のある日沖は、ゲラティーの体を徐々に金網に押し付けながらパウンドを落とし続ける。日沖のパスガード時を狙って立ち上がって逃れたゲラティーだったが、再度テイクダウンを許し、また金網に押し込まれる。今度は肘を織り交ぜる日沖のパウンド攻撃に、ただただ耐えるしかないゲラティー。また立ち上がってスタンドに戻ると、ゲラティーはようやくストレート1発をお返しし、2R終わり間際に初めて有効な攻撃を見せた。

 3R、作戦変更したのか日沖はタックルを使わなくなる。1、2Rと違ってゲラティーも打ち合えるようになると、日沖の色白の顔面に赤みを付けさせる。次第に日沖はキックも出さなくなり、さながらボクシングのような打ち合いとなる。と、そこで日沖は意表を突くようにタックル!そしてクロスガードは割らせてもらえないが鉄槌をゴツゴツぶつけていく。ブレイクされてスタンドに戻るとゲラティーがコンビネーションをまとめ始める。パンチを嫌った日沖が遠距離からタックルに行くが、それは切られ、組み付くと金網に押し付けながら膝蹴り。しかし、決定打のないまま終了。

 判定勝利後、マイクを渡された日沖はマイクを与えられるが、泣きながらの絶叫だったので、内容はほとんど聞き取れない。インタビュースペースでも嗚咽交じりに語る日沖。「負けが続いていて、ここで落とせば引退も覚悟していた」と驚きの告白。マイクアピールの内容も、その思いを観客に伝えようとしたものだったようだ。確かにこのところ2連敗で、当人的には大きなプレッシャーを感じていたにちがいない。ただ、その試合内容からすれば、決して引退を考えるような『崖っぷち』ではなかったように思う。あくまで日沖の見据えているのは、世界クラスの『頂上』であり、我々常人の遥か上にあるのかもしれない。

第7試合 HEATキックルール(肘無し) 無差別級 3分3R
×野地竜太(TEAM GARO)
○アンドリュー・ペック(ニュージーランド/フリー)
判定0-3


 契約体重が無いためか、野地はかなり太目のボディー。しかし、野地は前回のキックルールの試合で勘を取り戻したのか、いい動きを見せる。
 1R、まず野地の右フックがペックの顔面を捉える。野地の右拳は確かな手ごたえを掴んだ筈だが、ペックはダメージを気にしない・・・。この時点でいきなり、いかんともしがたい体重差と身長差をまざまざと見せ付けられる。
 ペックは右ローを2発当てるとさっそく肘を使うも、これは野地がガード。その瞬間、ペックはさらに右ローを追撃!「肘ありルールだから使ってしまえ」というような付け焼刃の肘打ちでは無いのが分かった。ペックがとにかく右肘を使うと、ガードするのも危険な為、野地も下がらざるを得ない。ペックが肘の距離感を掴み始めると、跳び込みながらの肘を野地の顔面にブツける!ムエタイ選手が使うような切り裂く肘ではなく、ゴン!とブツける肘だ。その肘が何度も野地を顔面を襲う。
 2R、右ロー、左ミドルと攻撃を散らす野地だが、ペックはカウンターで右肘を当てる。ペックの左ハイに野地はダウン気味に倒れるが、これはガード上からの攻撃のためスリップ。離れて戦うとペックの距離となり、中途半端に近付くと強烈な肘が跳んできて、接近すると首を掴まれる。案の定、肘の間合いを避け接近したところペックは野地を首をブン取り右ヒザ、そして右ストレート、左ミドルを当てる。
 3R、もはや成す術の無い野地は、跳び込んでの左フックを当てるが、ペックはインファイトとアウトボクシングを冷静に使い分ける。この頃にはペックは左肘も使うようになる。防戦一方の野地は、このままでは判定負けだと悟り、跳び蹴りで大逆転を図るがことごとくかわされる。その後も、肘を多いに織り交ぜた攻撃に苦しんだまま終了。ペックの完勝だった。
 

第6試合 HEAT総合ルール(肘有り) 83.9kg契約 5分3R
×渋谷修身(Ingram)
○ジル・フレイタス(ブラジル/アカデミア・バルボーザ・サンパウロ)
判定0-3


 フリー転向後、白星が思うように伸びず、MARS、CAGE FORCEと戦場を求め彷徨う渋谷は、HEATのケージをくぐる事になった。新たな舞台は、こうした格闘家のリセットのチャンスでもある。柵の外では、やはり同じ境遇であるパンクラス時代の同僚、國奥と謙吾がセコンドとしてサポートする。

 ジルは渋谷のパンチに合わせタックルに行くという戦法を徹底的に貫く。渋谷はテイクダウンされるもガードは割らせない。ガード内でジルはパウンド、スタンドでは右のロングフックで攻め立てる。3度目のテイクダウンでジルの強烈なパウンドが2発!ジルはハーフをパスしきれず猪木アリの状態へ。しかし、ジルはそこでも跳び込んでの右のダイビングフックを繰り出し、守勢の渋谷に襲い掛かる。

 2R、不用意なパンチを控える渋谷は打撃の交換から飛び膝蹴り。しかしこれはクリーンヒットせず。ジルは片足タックルでテイクダウンしインサイドに入るが、渋谷が寝たまま下がると猪木アリへ。そこからジルは膝を差して跳び込み、ハーフを奪うとボディーへのパウンド。渋谷が足で突き放すも、また跳び込みながら必死の形相でパウンド!スタンドに戻ると渋谷も組み付きから外掛けでテイクダウンをようやく奪うが、ガード内で攻めあぐねてブレイク。ジルも柔術家の割には下からの攻め手が無い。超低空タックルでジルが渋谷の片足に襲い掛かるが渋谷はなんとか耐え金網を背にする。と同時にフロントチョークをかけるが、ジルのガードが堅くブレイク。渋谷はお見合いからまた跳び膝を放つも完全に見切られる。

 3R、渋谷はジルの攻撃に細かく対応するものの、有効的な攻撃は何ひとつさせてもらえず、テイクダウンされるとクロスを組んで守るのが精一杯だった。
 

第5試合 HEATグラップリングルール 5分2R
梅村 寛(NEX)
×マテウス・フォルチ(ブラジル/静岡ロータスクラブ・ジャパン)
2R 2'54" クロスヒールホールド


 出場予定だったナット・マッキンタイアが負傷し、大会3日前にカードが消滅。ルールがグラップリングに変更され、変わってフォルチが参戦。モチベーションの上がらない梅村と、緊急参戦のフォルチというカードだが、共に中部で活動する黒帯柔術家同士の意地がかかった一戦だ。
 1R、フォルチが引き込みに失敗すると梅村はハーフを奪い、そのままパスすると見せかけ逆サイドへのパスガードへ。これはフォルチがなんとかガードし、またハーフの状態に。ハーフから足を抜いてすかさずニーオン、バックとを奪うが、なぜか完全なバックフックには行かない。何かを狙っているのだろうか?チョークを奪える形になるとようやくバックフックするが、なぜかここでもチョークをしかけず、積極的に勝負をつけに行かない。梅村はバックを取ったまま、目の前にいるセコンドに残り時間を聞きながら1Rをやり過ごした。インターバル時も梅村は余裕の表情で笑顔すら見せながらセコンドとやり取りする。
 2R、梅村のタックルに対し、フォルチはサイドに回りバックを取ろうとするが、梅村はもぐってインサイドガードへ。すると梅村はパスを狙いながら得意のヒールを仕掛けると、フォルチは足を捻られながらも耐えしのぐ。互いに膝立ちの状態から梅村がタックルすると、フォルチはガブり、サイド、バックと奪うチャンスだったが梅村は前転で逃れ、その逃れる途中の梅村の体をフォルチがサイドから潰しにかかる。サイドを奪われそうになる梅村だったが、耐えに耐えると、お互いグラウンドで足を持ち合う状態になる。そしてヒールをしつこく狙い続ける梅村と、足をかばいながらサイドを狙うフォルチ。互いの思惑がブツかり合う。それでも梅村はヒールを諦めず、もつれ合って倒れたところでクロスヒールホールドを極めた。

第4試合 HEATキックルール(肘有り) 68kg契約 3分3R
×坪井淳浩(GSB)
○丸山準一(ザ・スピリットジム)
判定0-3

※丸山に2Rローブローによるイエローカード1

 1R、丸山の右ローが入ると、坪井も右ロー、左ローと返して行く。丸山は慎重な動きを繰り返し、遠めからキックを放つが、坪井の右手によるパーリングでかわされる。約20cmの身長差を感じさせず、坪井がローで丸山を嫌がらせる展開が続く。
 2R、坪井は距離を詰めて右フックを当てる。それでも丸山は動じず、やはり遠めから右のキックをまんべんなく打ち分ける。しかし、ミドルとハイが完全に見切られていると悟ると、攻撃は次第にローが増えていく。そして1分12秒、身長差が災いし、丸山のキックがローブローとなり口頭注意。試合は再開されたが、その7秒後・・・、またもや丸山のインローがローブローとなってしまう・・・!
 丸山にはイエローカードが出され、坪井はイスに座りツラそうにしている。規定の2分間を休んだ坪井だったが、明らかなダメージを負いながらも試合を諦めず、再び丸山に向かい合った。申し訳無さそうな表情の丸山だが、いざ手を合わせればそこは戦場だ。再びローを坪井の足めがけて繰り出すと、ローカットしようとした坪井の膝に強烈なヒット!支えを失った坪井はリングに倒れ込みダウン。和田レフェリーは一瞬ローブローと勘違いしたが、坪井の足のダメージに気付きカウントを始める。坪井は寝たまま右足をゆっくり動かし宙をかく。カウント終了間際になんとか立ち上がるも、丸山は容赦無いロー攻撃で坪井の両足を攻める。坪井はそのローを一切カットできずひたすらガマン。
 3R、丸山が一気にKOを狙うかと思われたが、1Rから変わらず距離を保ち続ける。もはや坪井の下半身は丸山の牙城を崩せる状態ではない。この試合初めて坪井が組み付くと、肘を打つがこれは当たらない。そして試合は丸山が優位に進めたまま終了。2Rでのローブローのダメージが勝敗を大きく分けた。

第3試合 HEAT総合ルール(肘無し) 無差別級 5分2R
×クリスチアーノ上西(AXIS柔術アカデミー)
田澤和久(フリー)
判定0-2


第2試合 HEATキックルール(肘無し) 68kg契約 3分3R
○ダニロ・ザノリニ(ブラジル/志村道場 / ブラジリアン・タイ)
×大石駿介(大石道場)
判定2-0

第1試合 HEAT総合ルール(肘無し) 76kg契約 5分2R
○マックス・フェルナンデス(ブラジル/エクストリーム・バルボーザ)
×渡辺良知(AACC)
1R 1'12" 腕ひしぎ十字固め

◆ニューエイジファイト

第2試合 HEATキックルール(肘無し) 64kg契約 3分3R
−酒井 楽(志村道場/第1回アマチュアHEATキックルール-65kg優勝)
−鈴木博昭(Striking Gym Ares/第1回アマチュアHEATキックルール-65kg予選トーナメント優勝)
1R 2'12" ノーコンテスト
※鈴木の偶発のローブローによる酒井のダメージが回復しなかったため
※鈴木に1Rローブローによるイエローカード1

第1試合 HEAT総合ルール(肘無し) 70kg契約 5分2R
○鈴木大樹(風吹ジム/第1回アマチュアHEAT総合ルール-70kg優勝)
×日置芳和(EVOLUTION)
判定2-1

Last Update : 11/30 12:32

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