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(レポ) [FFF] 11.3 米国:赤野仁美、ブラジル新鋭のポルトに惜敗

Fatal Femmes Fighting "FFF 3 - War of the Roses"
2007年11月3日(土) 米国カリフォルニア州オンタリオ・コンベンションセンター

  レポート:シュウ・ヒラタ(BoutReview USA)  【→掲示板スレッド】


 今回で三回目を迎えたアメリカで唯一の女子総合のケージ大会FFF(Fatal Femmes Fighting/フェータル・フェムス・ファイティング)。
 当初はロクサン・モダフェリとリサ・ワードというこの大会のスター選手ふたりがダブル・メインイベントでそれぞれタイトル防衛戦を行う予定だったが、大会二週間前の時点でロクサンが肩のケガでアウト。更にはリサのフライ級タイトルマッチも、110ポンド以下という体重枠で彼女の持つタイトルへのチャレンジ権を与えるだけに相応しい実績、そして戦績を持つ選手がみつからずキャンセル。リサは急遽125ポンド以下の階級でスーパーファイトを行うこととなった。
 大会3週間前までFFFはリサのチャレンジャーを探したが、カリフォルニア州のアスレチック・コミッションは対戦する選手2人がお互いに同等の戦績でないと対戦カードを受理しないので、今回はFFFもリサもタイトルマッチを断念したのだ。体格の大きい選手が多いアメリカでは110ポンドという体重は女子でも「超」がつくほどの軽量級。そこまで軽い体重で(少なくともカリフォルニア州で開催される大会では)9勝3敗のリサと試合ができる選手を探すのは非常に難しいというのが現実なのだ。
 この二つのタイトルマッチに替わり「FFFメガ・ファイト」と名付けるだけに相応しいスーパーファイトとしてなり得る選手、そしてカリフォルニア州のアスレチック・コミッションのルール、ガイドライン的にも問題のない選手を探さなくてはいけなくなったFFF。そこで白羽の矢がたったのが赤野仁美と薮下めぐみというふたりの日本人選手だったのだ。
 赤野は、現在女子135ポンド以下世界最強といわれているタラ・ラ・ローサと二年前のMFCで対戦し互角の勝負を繰り広げ判定まで持ち込んでいるし、今年の4月にはエメリヤーエンコ・ヒョードル対マット・リンドランドがメインだったボードッグファイト・ロシア大会の全米PPV放送枠でアマンダ・ブキャナーと対戦しているので、アメリカの総合ファンの間での知名度は抜群。元スマックガールのミドル級チャンピオン、2007年ADCC世界選手権出場という実績、そして11勝4敗という戦績、どれをとってもカリフォルニア州のアスレチック・コミッションを納得させられる選手なのだ。
 薮下もReMixトーナメント優勝、そして初代スマックガール無差別級王者、2005年ADCC世界選手権出場という実績だけでもちろん充分なのだが、アメリカのファン、そして選手や関係者たちの間では今でも2000年の対グンダレンコ戦の評価が非常に高い。メインのタイトルマッチが二つとも飛んでしまったアメリカの女子総合の大会。これを救う形となったのが赤野仁美と薮下めぐみというふたりの日本人選手なのだ。


第7試合 ダブル・メインイベント FFFメガ・ファイト 135ポンド契約 3分5R
×赤野仁美(日本/AACC)
◯ヴァネッサ・ポルト(ブラジル/2007年ADCCブラジル代表)
判定1-2 (46-49/48-47/46-49)


 「1ラウンドで一本とりたい」と試合前日のインタビューで語っていた赤野だが、奇襲攻撃にでたのはポルトの方だった。
 気合い満々でケージ中央に進んでいく赤野に対し、いきなり左右のパンチでラッシュ。これを何とかかわしながらも後ろに下がってしまう赤野。ケージ際まで追い込まれてもサイドに逃げる赤野だが、ポルトはここで一瞬に隙をつき背中に飛び乗りチョークを仕掛ける。これは赤野が冷静にスタンディングのままで防御し、投げるようにグラウンドに持ち込むが、すぐに立ち上がったポルトは蹴りを赤野の足にリズムよく叩き込み立ち上がるチャンスを与えないまま1ラウンド終了。
 このスタートのラッシュでリズムを狂わされた赤野は2ラウンド目も苦しい展開を強いられる。右のジャブ、右のローを当てながら左に回るポルト相手に踏み込んで組み付くことがなかなかできない。近づこうとする時に顎が上がってしまい、ポルトのジャブを顔面に受けてしまう。それでも赤野は何とか組み付き、そこから鮮やかな一本背負いを決めるが、投げられてもポルトはすぐにバックに絡み付く。赤野も体勢を入れ替え得意の下からの腕十字をみせるがこれはポルトが防御。
 赤野のセコンドについたジョシュ・バーネットはインターバルの時にもっと顎を下げてパンチを出しながら組み付くように指示。3ラウンドは赤野もその通りの動きをみせ、距離を詰めるとケージに押しつけそこから一本背負い。グラウンドでも上になりパウンドを落とす。下からの蹴りを顔面に貰う場面もあったが終始試合をコントロール。最後にはアンクル・ロックもみせたが決められずにラウンド終了。
 やっと赤野はリズムを掴んだかにみえたが、4ラウンドもポルトのスピードと手数に苦しまされる。組み付き金網まで押し込み内股や一本背負いなどを仕掛けるが、ポルトは投げられてもそのままバック狙う。最後の1分を切ったところでポルトはバックマウントを奪い、チョークスリーパーの体勢に入る。赤野は大声で「あと何分!」とセコンドに聞きながら、ポルトの左手をコントロールし何とか防御する。
 「一本かKOを取らないと勝てない」とセコンドに言われて送り出された最終ラウンド。赤野は前蹴りで距離をとり、組み付いからの投げで倒すのだが、グラウンドでのポルトのガードは固かった。一度もパスガードを許さず、赤野のパウンドもしっかりと防御。結局最後まで投げてグラウンドまでは持ってはいけるが、そこからポルトのガードを崩せずに試合終了。
 ラウンド後半、下からの蹴り上げを顔面に喰らい大量の鼻血をだしながらも、ポルトは何とか赤野の攻めを防ぎ2−1の判定で勝利。来年の2月2日に行われるFFF第四回大会において、ロクサンのもつタイトルに挑戦することが確定した。


第6試合 ダブル・メインイベント FFFメガ・ファイト 125ポンド契約 3分3R
◯リサ・ワード(米国/ハイ・アルティチュード)
×薮下めぐみ(日本/巴組)
判定3-0 (30-27/30-27/30-27)


 普段はアグレシッブなリサだが、この日は距離をおき横へまわりながら薮下の動きをみる。時折右のローを放つが、1ラウンド前半はほとんど「お見合い」状態。そろそろ観客からブーイングが出始めるかなという雰囲気になったあたりで、やっとタックルに入るリサ。薮下を持ち上げマットに叩き付けようとするが、薮下は宙で体勢を入れ替えうまく潰すようにグランドで上をとる。薮下は袈裟固めからパンチを顔面に落としてから腕十字を狙うがこれはリサが防御。
 2ラウンド目もお互いに牽制し合いながらリサはパンチとロー、薮下はパンチを放つ。このラウンド、リサは伸びのある強烈な右ローを数発、それから首相撲からの膝蹴りなどを薮下の顎にヒットさせるが、そこから追撃せずに離れるという非常に慎重な戦い方をみせる。
 3ラウンドもなかなか踏み込んでこないリサに、薮下は浴びせ蹴りを放つが、ここでもリサはステップバックするだけで攻撃を仕掛けてこない。ラウンド後半タックルに入り再び薮下を持ち上げてマットに落とすが、受け身と体重移動の巧い薮下はグランドで上に乗る。再び袈裟固めの体勢からパンチを落とすが、これはリサが抜出し再びスタンディングの攻防へ。最後まで試合を決めるのではなく、ポイントを稼ぐ戦い方に終始したリサの判定勝ちとなった。
 現在の総合格闘技のスコアリングは元々打撃系格闘技であるボクシングやキックのシステムをそのまま使ったものなので、柔術やレスリングなどのスコアリングもとりいれたものに改善が必要であることは明らかなのだが、カリフォルニア州アスレチック・コミッションが定めた「女子は1ラウンド3分」というルールのもと、3ラウンドだけの戦いとなると、どうしてもこの試合のように甲乙つけがたい展開のまま終わってしまう事がこれからも多くなることは必至である。75パーセントが打撃の攻防だったら打撃で勝っていた選手、75パーセントがグラウンドでの展開だったらグラウンドでリードしていた選手がラウンドを勝ったとみなす、というガイドラインはあるのだが、現在のスコアリング・システムだと、どうしても打撃を多く当てた方、そしてテイクダウンを多く奪った方が、グラウンドでの展開をコントロールしていたり、関節技を多く仕掛けている選手よりもスコアリングでは勝ってしまうことになってしまうのが現実なのだ。
 薮下は「リサはこの階級の方が強いと思いますよ。ローが良かったですぅ。痛かったですぅ」といつもの口調で語り、リサは来年2月2日の大会では自分の持つ「フライ級(110ポンド以下)タイトルの防衛をしたい」と試合後表明した。カリフォルニア州のアスレチック・コミッションが認める挑戦者を、果たしてFFFが探す事ができるのか注目したい。


第5試合 135ポンド契約 3分3R
◯ソフィー・バガーダイ(米国/シャークタンク・ジム)
×ミッシェル・オルード(米国)
1R 1'58" TKO (レフェリーストップ:グランドパンチ)

第4試合 140ポンド契約 3分3R
×カリーナ・テイラー(米国)
◯クリスティーナ・リダーリング(米国)
判定0-3 (28-30/28-29/29-30)

第3試合 110ポンド契約 3分3R
○ブランディー・ナーニー[Brandy Nerney](米国)
×関友紀子(巴組)
判定3-0 (30-27/29-28/30-27)

第2試合 120ポンド契約 3分3R
×アリソン・ダックワース(米国)
◯サリー・クルムディアック(米国)
判定0-3 (28-29/28-29/28-29)

第1試合 130ポンド契約 3分3R
◯シンディー・ヘイルズ(米国)
×ショーン・タマリブチ(米国/レディーズ・オブ・ペイン)
1R 1'30" 腕ひしぎ三角固め

Last Update : 11/18 13:27

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