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(レポ&写真) [ADCC] 4.15 北沢:杉江、岡見、植松ら世界大会へ

ADCC JAPAN "ADCC サブミッション・ファイティング世界選手権大会 JAPAN TRIAL 最終予選"
2007年4月15日(日) 東京・北沢タウンホール

  レポート:井原芳徳&本庄功志  写真:井原芳徳&ひっとまん大場。  【→大会紹介記事】 【→掲示板スレッド】


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【最終予選突破者】
男子66kg未満級:植松直哉(クロスポイント)
男子77kg未満級:杉江アマゾン大輔(アライブ)
男子88kg未満級:岡見勇信(和術慧舟會東京本部)
男子99kg未満級:小澤幸康(TEAM-KAZE)
男子99kg以上級:永田尚道(総合格闘技道場コブラ会)
女子55kg未満級:塩田さやか[SAYAKA](AACC)
女子60kg未満級:端 貴代(和術慧舟會東京本部)
女子67kg未満級:玉井敬子[たま☆ちゃん](巴組)
女子67kg以上級:高橋洋子(巴組)

【ルール概要】
・各階級の優勝者がADCC世界大会出場権を得る。
・試合時間は準決勝まで8分、決勝16分。
・前半4分(決勝は前半8分)はポイント制無し。
・後半に入った時点で「ポイント」とコールされ、柔術のようにテイクダウン、ポジショニング等でポイントが加算される。
・警告によるマイナスポイントも有り。通常のポイントとマイナスポイントは相殺される。
・同点の場合は4分(決勝は8分)の延長戦が行われる。


【全試合結果】

◆男子66kg未満級(8人)

[決勝戦]

○植松直哉(クロスポイント)
×徹肌ィ郎(和術慧舟會岩手支部)
10-0


 肌ィ郎がお決まりの着ぐるみパフォーマンスで登場しても、会場は緊張感ある空間を保っている。1回戦、2回戦と危なげなく横綱相撲で勝ち進み、圧倒的なスピードと強さの植松。対する日本予選連覇を目指す肌ィ郎は、1回戦に若林を難なく絞め落とし、2回戦は佐々相手に苦戦しながらもポジショニングで上回った。独特で異彩を放ちながらも確固たる存在感を示している肌ィ郎。両者の決勝での遭遇に、会場は「どんなハイレベルの攻防を見せてくれるんだ」というような、待ち侘びた雰囲気に包まれる。

 試合は序盤から植松が早期決着を狙いにかかる。投げから一瞬で足関節を狙うも、肌ィ郎は体を回転させ回避。仕掛けのスピードの速さに歓声とどよめきが起こる。スタンドに戻って再び植松が払い腰で肌ィ郎を転がすと、バックに回り腕十字。かかった時間は30秒経っていないか。だが、肌ィ郎もバックを奪い返し、相手の動きに喰らいつく。

 8分を過ぎ、審判からポイントのコールが告げられると、肌ィ郎が投げを見舞う。しかし、潰した植松がポジションをキープし2ポイント先取。マウント、相手の動きに合わせてのバック、肩固めと続けてポイントを獲得する。試合時間も残り僅かになり、肌ィ郎が速攻で組み付き逆転を狙うも、植松は相手の焦る気持ちをスカすように投げを放って2ポイント。試合が終了し、合計10ポイントの差をつけた植松が磐石の強さを見せつけ優勝した。
 スタンディングで喝采を送るファン、笑顔で両者の攻防を称えるファンの拍手で、会場を心地良い雰囲気でいっぱいにした。(本庄)

◆植松「(試合を終えて)ホッとしました。やっと一番になれました。アブダビは悔しい思い出しかなかったので。組み合わせに恵まれた感もありますが、日本代表になれたので相応しい戦いをしてきます。アブダビの挑戦は、今やっとスタートラインに立ちました。世界に向けてのトレーニングをして、本番に臨みたいと思います」

[準決勝]

○植松直哉(クロスポイント)
×小野瀬龍也(REDIPS)
アームロック

×佐々幸範(パラエストラ東京)
○徹肌ィ郎(和術慧舟會岩手支部)
マイナス2-2

[1回戦]

○植松直哉(クロスポイント)
×亀田雅史(総合格闘技道場コブラ会)
チョークスリーパー

○小野瀬龍也(REDIPS)
×西林浩平(GRABAKA GYM)
2-0

○佐々幸範(パラエストラ東京)
×和道稔之(アカデミアAz)
2-0

○徹肌ィ郎(和術慧舟會岩手支部)
×若林琢磨(MAX-JIU-JITSU ACADEMY&YOGA STUDIO)
三角絞め

◆男子77kg未満級(8人)

[決勝]

○杉江アマゾン大輔(アライブ)
×山田崇太郎(パラエストラ松戸)
0-マイナス2


 本命・杉江が、苦しみながらも世界大会出場権を獲得した。杉江は一回戦、体格で上回る太田をポジショニングで圧倒し、試合終了間際に腕十字で一本。準決勝も順当勝ちかと思われた。
 ところが寺本を完封した韓国のゾン・ヨンゼに、よもやの苦戦。スタンドの攻防でテイクダウンを再三試みるも、ゾンがこらえ、場内は拍手で包まれる。ゾンはネガティブファイトで-1点があったため、その差で杉江はかろうじて決勝に進出した。
 反対ブロックから上がって来たのは、パンクラスで活躍する山田崇太郎。準決勝では4/27のパンクラスで対戦が決まっている和田拓也と、延長迄もつれ込む接戦を繰り広げ、最後に執念のリバーサルを成功させ決勝進出を果たしている。
 そんな杉江と山田の決勝も接戦となった。山田がずっと下になる展開は、準決勝の和田戦と同じ。05年大会で同級日本代表となったセコンドの青木真也の熱心なアドバイスを聞きつつ、リバーサルやギロチンを狙うが、杉江もパスガードのプレッシャーをかけ、一歩も譲らない。
 互いに消極的とみなされマイナスポイントを積み重ねる展開となり、15分経過・残り1分の時点では杉江-3点、山田-2点。大ピンチの杉江だったが、残り30秒にパスガードに成功し3点獲得。執念勝負は杉江に軍配。勝利の直後、「柔術最高!」と叫んだ。(井原)

[準決勝]

○杉江アマゾン大輔(アライブ)
×ゾン・ヨンゼ(韓国/清州ジュジスジム)
0-マイナス1

×和田拓也(SKアブソリュート)
○山田崇太郎(パラエストラ松戸)
マイナス1-1

[1回戦]

○杉江アマゾン大輔(アライブ)
×太田洋平(和術慧舟會A-3)
腕ひしぎ十字固め

○ゾン・ヨンゼ(韓国/清州ジュジスジム)
×寺本大輔(和術慧舟會タイガープレイス)
8-0

×山崎昭博(SUBMIT静岡)
○和田拓也(SKアブソリュート)
0-3

×井谷 武(K友会)
○山田崇太郎(パラエストラ松戸)
アキレス腱固め

◆男子88kg未満級(6人)

[決勝]

○岡見勇信(和術慧舟會東京本部)
×三原秀美(総合格闘技道場コブラ会)
0-2


 4/7のUFCで勝利後、約1週間しかたっていない岡見。UFCのためにアメリカに1週間滞在した影響もあり、時差ボケが抜けず、ADCC予選当日も朝5時頃に眠りにつき、朝8時頃に起きるという状態だった。
 1回戦開始は12時過ぎ。本戦では決着がつかず延長にもつれ込み、体格で劣る大類にテイクダウンでポイントを先取されるが、バックマウントのポイントで逆転し、かろうじて初戦を突破するという有様だった。
 しかし準決勝の修斗世界王者・山下との対戦では、ハーフガードからプレッシャーをかけ続け、後半に着々と得点を重ね完勝。久々だったグラップリングルールにも、体が馴染んで来たように見える。
 決勝の相手は05年日本代表の三原。岡見が上になったまま試合が続いた後の8分過ぎ、足をつかみにきた三原を振りほどいて岡見はパスガード。ポイントを取るためにポジションキープをせず、そのまま腕十字を仕掛けるが、三原は防御する。下になってしまった岡見だが、直後にリバーサルで2点獲得。その後は三原のリバーサルの仕掛けをことごとく潰し、虎の子の2点を死守した。
 「日本で負けたらシャレにならない」と試合後語った岡見。勝ちへの執念の強さは、UFCでの4勝で得た自信と経験が下地となっているはず。世界大会でもそれがどう活きるかが見物だ。(井原)

[準決勝]

○三原秀美(総合格闘技道場コブラ会)※1回戦シード
×甲斐俊光(フリー)
7-0

○岡見勇信(和術慧舟會東京本部)
×山下志功(パラエストラ東京)※1回戦シード
8-0

[1回戦]

×鶴巻伸洋(ティアゲネス)
○甲斐俊光(フリー)
三角絞め

○岡見勇信(和術慧舟會東京本部)
×大類宗次朗(SKアブソリュート)
5-2

◆男子99kg未満級(7人)

[決勝戦]
×入來晃久(JKJC)
○小澤幸康(TEAM-KAZE)
0-8


 1回戦の秋元戦は、膠着気味だったものの、確実にポイントを奪い勝利した小澤。続く2回戦は、総合でも活躍する内藤にテイクダウンからサイドに回り、ニーオンザベリー、パスでポイントを稼ぎ大差の勝利。
 決勝戦は、小澤がバックを奪うと、キープし続け入來に良いポジションを許さない。小澤は全試合ポイント判定での勝利だった為、決勝戦含め合計32分間動き続けたが、スタミナに不安を見せることもなく、トップポジションを保ち続け優勝を掴み取った。(本庄)

[準決勝]

×岡晃一郎(コブラ会EAST大阪)※1回戦シード
○入來晃久(JKJC)
三角絞め

○小澤幸康(TEAM-KAZE)
×内藤征弥(和術慧舟會A-3)
23-0

[1回戦]

○入來晃久(JKJC)
×草柳和宏(K'z FACTORY)
3-0

×秋元駿一(和術慧舟會)
○小澤幸康(TEAM-KAZE)
0-11

×大堀竜二(トライアル)
○内藤征弥(和術慧舟會A-3)
0-5

◆男子99kg以上級(5人)

[決勝]

×上本裕祥(TEAM-KAZE)※金親が負傷により棄権
○永田尚道(総合格闘技道場コブラ会)
腕ひしぎ十字固め


 準決勝を難なく突破した永田は、巨漢の上本を難なく倒すと、サイド、マウントへ。上本の腹が大きすぎるため、うまくポジションキープできなかったが、膝十字でチャンス。これは逃げられたが、バックに回ってから腕十字を極め快勝した。(井原)

[準決勝]

×上本裕祥(TEAM-KAZE)※1回戦シード
○金親幸嗣(チーム中尾)
0-12

×鬼木貴典(Team-Roken)※1回戦シード
○永田尚道(総合格闘技道場コブラ会)※1回戦シード
膝十字固め

[1回戦]

×廣瀬 悠(態仁)
○金親幸嗣(チーム中尾)
0-3

◆女子55kg未満級(8人)

[決勝戦]

×二宮亜基子(NOS)
○塩田さやか(AACC)
ヒールホールド


 1回戦は速攻の腕十字、2回戦も試合時間半分満たない内での連続一本勝ちの塩田。対する二宮も、危ないところを見せず決勝に駒を進めている。
 二宮が上、塩田が下になる場面が多く、両者手探りで静かに試合が進む。だが、塩田が下のポジションから素早くヒールホールドの体勢に入り、絞り上げて優勝した。同級世界大会推薦選手の師匠・藤井恵とともに、世界制覇を目指す。(本庄)

[準決勝]

○二宮亜基子(NOS)
×兼谷絵里(和術慧舟會A-3)
5-0

○塩田さやか(AACC)
×茂木康子(ストライプル)
フロントチョーク

[1回戦]

○二宮亜基子(NOS)
×村浪真穂(和術慧舟会トイカツ道場)
腕ひしぎ十字固め

×吉田正子(フリー)
○兼谷絵里(和術慧舟會A-3)
チョークスリーパー

○塩田さやか(AACC)
×富松恵美(パラエストラ松戸)
腕ひしぎ十字固め

○茂木康子(ストライプル)
×山口芽生(MAX JIU-JITSU ACADEMY&YOGA STUDIO)
6-2

◆女子60kg未満級(3人)

[決勝]

○端 貴代(和術慧舟會東京本部)※1回戦シード
×服部恵子(アライブ)
11-0


 この階級のテーマは、完全決着戦だろう。1回戦の服部×薮下は、去年に柔術ルールで実現し、服部がアンクルホールドで勝利したが、薮下がストップに抗議。決勝の端×服部はSMACKGIRL GRAPPRING QUEEN TOURNAMENTの無差別級決勝戦の再戦で、前回は試合残り時間わずかでブレイクがかかり、端がテイクダウンでポイントを取り勝利している。
 今回の服部×薮下は、序盤から服部が下から腕十字と足関を狙いペース。三角絞めを極めると場外に出てしまったが、そのまま試合は続行し、服部がそのままマウントなって腕を極め完勝している。
 端×服部は10分近く服部がガードポジションを取り続ける、前回と同じ展開に。だが端はセコンドから「体力なら自信を持て」という声援を受けると、それに奮起したかのようにハーフ、マウントと移行しポイント奪取。さらにサイド等でもポイントを積み重ね、11点差をつけ完勝した。スマックガールのGRAPPRING QUEENは、世界にどこまで通用するか?(井原)

[1回戦]

×藪下めぐみ(巴組)
○服部恵子(アライブ)
腕ひしぎ三角固め
 

◆女子67kg未満級(2人)

[決勝]

○玉井敬子[たま☆ちゃん](巴組)
×藤本真理子(S-KEEP)
腕ひしぎ十字固め


 互いに攻め手に欠き延長戦へ。それでもなかなか試合が動かず、消極的とみなされ-1点をもらってしまった玉井だったが、リバーサルを決めるとサイドから速攻の腕十字で一本。勝利とともに雄叫びをあげた。(井原)

◆女子67kg以上級(2人)

[決勝戦]

○高橋洋子(巴組)
×林 美花(和術慧舟會RANGER品川ジム)
アームロック


 高橋が良いポジションをキープしながら、アームロック、ヒールホールドと仕掛けていき試合の主導権を握る。試合中盤にオモプラッタで試合を動かすも、逆に林にバックを取られてしまい、腕十字に捕まりピンチ。かろうじて外した高橋は、スタンドに戻って投げからアームロックの流れで勝利した。(本庄)

Last Update : 04/20 13:40

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