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(レポ&写真) [K-1 WGP] 3.4 横アリ:バンナ・武蔵ら敗れる波乱

FEG "FieLDS K-1 WORLD GP 2007 IN YOKOHAMA"
2007年3月4日(日) 神奈川・横浜アリーナ  観衆:9650人

  レポート:井原芳徳  写真:井田英登  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】



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第9試合 K-1スーパーヘビー級初代王者決定戦 3分3R(最大延長2R)
○セーム・シュルト(オランダ/正道会館/ワールドGP'05 '06王者)
×レイ・セフォー(ニュージーランド/レイ・セフォー・ファイトアカデミー)
2R 0'24" KO (左ストレート)

※シュルトが初代王者に

 セフォーが序盤、左右のフックを当て先手。ノーガードの挑発も見せ、観客を味方につける。シュルトは「練習で左足のつま先を痛め、前蹴りをあまり出せなかった」といい、前蹴りは使うものの、やや威力が落ちる。そして1R終了間際、シュルトが右膝を放った後、離れ際にセフォーが左フックを当てダウンを先取。まさかの展開に会場が湧く。
 だがシュルトは「押し倒される形だったのでダメージは無い。焦りは無かった」といい冷静。2R開始すぐ、シュルトが膝蹴りを放った後、離れ際にシュルトは左の前蹴り。すると1R同様、セフォーは左フックで前に出るが、シュルトは左ストレートをカウンターでヒット。ほとんどジャブといっていい攻撃だったが当たり方が良ければ威力は絶大。打たれ強さではK-1ファイター随一のセフォーが、あおむけのまま動けなくなる衝撃の結末だった。

 シュルトの初防衛戦は6/23オランダ大会を予定。早くも長期政権を築きそうな気配だが、「ランキングに基づく等、もっとシステマチックに決めて欲しい」と、 FEGの恣意で挑戦者が決まることに不満を述べた。谷川貞治K-1イベントプロデューサーは、ランキングをFEG側が決めても恣意的との批判が出るため、「第三者機関となるコミッション設立が先」と説明した。

第8試合 K-1ヘビー級タイトルマッチ挑戦者決定戦 3分3R(最大延長2R)
×武蔵(日本/正道会館)
○藤本祐介(日本/MONSTER FACTORY)
4R 1'23" KO (左ハイキック)

3R 判定0-1 (御座岡30-30/朝武30-30/岡林29-30)

 両者とも10年近い間、練習をする機会が多かった影響もあり、なかなか攻められない試合となったが、その中でも随所で藤本が右ローをパンチをヒット。2R終盤には左アッパー、3Rにはフックの連打を当て、積極性では勝る。
 3Rは藤本にポイントを付けてもおかしくない内容だったが、ジャッジ2者はドロー。角田信朗K-1競技統括プロデューサーは突如リングに上がり、「初代ヘビー級王座につながる試合のため、両者とも積極的に攻めなければ失格とする」と指令する。ルール説明に無い越権行為ではあったものの、結末は角田氏も観客も望んだ完全決着に。クリンチの後、藤本の左ハイがクリーンヒット。武蔵は前のめりで倒れ、藤本のKO勝ちとなった。

◆藤本「これで胸を張って日本一と言える。いつもなら1Rから行くけど、今回は3Rから行こうと思っていた。(角田氏の注意について)お互い積極的に攻めるとリスクの大きい試合だった。3Rの最後のラッシュの効き目があったからフィニッシュにつながったのだと思う。(3Rの判定について)攻め始める時間が遅かったから仕方ない。(決勝に向けて)上手に減量して4月(28日)のハワイ大会ではベストで臨みたい。(バンナに勝った澤屋敷について)いい試合をしたけど、まだまだ彼らの世代に譲る気は無い」

◆武蔵「いつもならサウスポーだけど、右脚を痛めたのでオーソドックスになり、ちょっと見合っちゃった。体重を落とすために走り込んで、足に負担がかかった。(角田氏の注意について)セコンドのアドバイスを聞いていたので、あまり聞いていなかった。(結果について)初めて日本人に負けて悔しいけど、彼にはベルトを獲って欲しい」
 

第7試合 K-1ヘビー級タイトルマッチ挑戦者決定戦 3分3R(最大延長2R)
×ルスラン・カラエフ(ロシア/フリー)
○バダ・ハリ(モロッコ/ショータイム)
2R 2'46" KO (右ストレート)


 スピードのあるパンチと蹴りの応酬で始まったこの試合だが、的確さではハリ。ローが苦手なルスランの足を右ローで止め、右ハイもクリーンヒットさせ、パンチで鼻血を誘う。2Rには左ストレートを当てルスランの腰が落ちる。
 だが鼻血のドクターチェック後、息を吹き返したルスランの左フックが当たり出すように。右フックと左フックの連打でついにダウンを奪取。逆転勝ちかと思われたが、なんとか立ち上がったハリは「ファンやセコンドの掛け声からパワーをもらった」「相手が積極的になると防御が甘くなると思った」といい、ルスランが再び左を狙ってきたのに合わせて右フックをクリーンヒット。ルスランはノックアウト。ドラマチックな大逆転劇で、リベンジ&ヘビー級タイトル王手に成功した。

 ルスランは「インフルエンザのせいで試合前日39度の熱があった」とコメント。ハリッドの欠場理由もインフルエンザだったため、選手間で伝染した恐れもある。インタビュー中のルスランは鼻を何度もすすり、息が荒かった。体が思うように動かず、最後の逆転ダウンも「疲れのせいでガードが下がったからだ」と話していた。

第6試合 3分3R(最大延長2R)
×チェ・ホンマン(韓国/フリー)
○マイティー・モー(アメリカ/シャークタンクジム)
2R 0'50" KO (右フック)


 モーが左ジャブ、左ボディでホンマンの意識を別の箇所に散らしつつ、頭部狙いで右のロングフックを放つ。1Rから数発当て、精度が上がる一方。2R、ホンマンも前蹴りで対抗するが、モーは左ボディの後に右フックをクリーンヒット。ホンマンは巨木のように倒れ、初のダウン&KO負けを喫した。
 ホンマンは理由は明かさなかったが準備不足が敗因と釈明。試合後のモーは「足を蹴って、前に出て来るところを狙うつもりだった」と作戦を語ったが、ほとんどローを使う必要も無く、本来は左フック狙いだったことを明かした。
 ややうまく行き過ぎたせいもあってか、KO勝利に慢心せず。「誰にでも弱点がある。私も弱点を狙われた時期があった。弱点を克服していくのが王者だ」と冷静に話す。とはいえ「今の私は上昇気流に乗っている」と話し、スランプは脱却できたと自覚。初代ヘビー級王者・シュルトとの試合も面白そうだ。

第5試合 3分3R(最大延長2R)
×ジェロム・レ・バンナ(フランス/レ・バンナ・Xトリームチーム)
○澤屋敷純一(日本/チームドラゴン/J-NETWORKヘビー級王者)
判定0-3 (黒住26-30/岡林27-29/朝武26-29)


 約20kg軽い澤屋敷は、プレッシャーをかけるバンナの周りを時計方向に回り続け、カウンターを狙う作戦。バンナが右フックで飛び込んできたところに合わせて右フックをヒットさせ、まさかのダウン先取に成功する
 その後、澤屋敷は度々ロープ際に詰められ、バンナのパンチを数発浴び、レフェリーからも積極的に攻めるよう注意を受けるが、カウンター戦法を堅持。3R終盤にも左フックの2連打でダメ押しのダウンを奪取。一発目からバンナのマウスピースが吹き飛ぶほどの衝撃で、場内は大歓声に包まれた。
 世界に通用する日本人育成を掲げた07年のK-1に、さっそくニューヒーローが誕生した。谷川プロデューサーは「勝負度胸、テクニックはもちろん、強運も感じる。チャンスを与え、大切に育てたい」と話した。

◆澤屋敷「うれしいです。作戦通りです。2〜3Rにバンナ選手が焦れてくるのはわかっていました。勝ったけど、ぬか喜びせず練習して、K-1の選手と肩を並べたいです」
◆バンナ「1月の映画の撮影中に右膝を痛め、十分練習ができなかった。澤屋敷のことは知らなかった。彼はあの作戦でしか勝てないと判断したのだろう。でも作戦は作戦。審判も注意をしていたから彼に対する悪意は無い。ぜひ彼にリベンジしたい」

第4試合 3分3R(最大延長2R)
○ザビット・ザメドフ(ベラルーシ/チヌックジム)
×中迫 強(日本/ZEBRA244)
判定2-0 (御座岡30-29/シャルリー30-30/朝武30-29)


 ザメドフが単発ながらも随所で強烈な潜り込んでの左のフックをヒット。主導権を維持し、日本デビュー戦を白星で飾った。中迫は左膝に水が溜まり、1ヶ月ほとんど練習できなかったという。

第3試合 3分3R(最大延長2R)
○アレキサンダー・ピチュクノフ(ロシア/極真会館)
×堀 啓(日本/チームドラゴン)
1R 2'27" KO (3ダウン:左フック)


 ピチュクノフが胴回し蹴りのフェイントの後、左フックを当てダウンを奪取。近距離でも腰の入った強烈な左フックで立て続けにダウンを奪い完勝した。

第2試合 3分3R(最大延長2R)
○グーカン・サキ(トルコ/ゴールデン・グローリー)
×天田ヒロミ(日本/コシ・トラスト)
2R 終了時 TKO (タオル投入)


 サキが天田の軸足狙いでひたすら左ローをヒット。もらいすぎた天田は2R終了間際についにダウン。ラウンド終了時に天田のセコンドがタオルを投げ、急遽出場のサキの完勝に終わった。

第1試合 3分3R(最大延長2R)
×シリル・アビディ(フランス/ブリゾンジム)
○野田 貢(日本/シルバーアックス)
判定0-3 (黒住27-29/朝武28-30/市瀬27-29)


 互いに前のめりでパンチを打ち合う展開が続き、2Rにパンチの連打でスタンディングダウンを奪った野田が勝利した。


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Last Update : 03/05 14:09

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