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(レポ&写真) [Bodog] シーズン3前半戦詳報。和田・WINDYは無念黒星

BodogFight "BodogFight シーズン3 コスタリカ・コンバット"
2007年2月16日(金)〜18日(日) コスタリカ・タンボールビーチ

  レポート:フェルナンド・アヴィラ(Fernando Avila) 写真提供:bodogFIGHT(Keith Mills)
  【→カード紹介記事】  【→掲示板・パンクラススレッド】



◆ 第1話(4月17日放映) [→試合動画ダウンロード先]

ウェルター級 5分3R
×レイ・スタインバス(アメリカ)
◯ジェイク・シールズ(アメリカ/シーザー・グレイシー柔術)
1R 1'29" タップアウト (フロントチョーク)


シールズ、ボードッグ離脱!? タイトル戦に戻って来るのか?

 ストライカーのスタインバスに付き合わずファーストコンタクトでタックルに入ったシールズ。テイクダウンと奪うとハーフ・マウントから横四方、そしてマウントポジションとスタインバスを完璧にコントロール。何とかマウントから逃れハーフ・ガードに戻したスタインバスに、シールズはすかざずフロントチョーク。あっさりとタップを奪った。

 これで次はボードッグのタイトル挑戦かと思われたがシールズだが、あっさりとボードッグを離脱。6月のDynamite!! USAに出場する。
 UFC人気の御陰でMMAバブル状態のアメリカでは、毎週のように各地で大会が開催されている。シールズ・クラスの選手となると、何時どこでも比較的簡単に試合を組んでもらえる。契約で拘束されるスーパースーターやチャンピオンのような立場のひとつ下にランクされているこのシールズ・クラスの選手にとってはとてもいい時代なのだ。試合の日程さえ重ならなければ、他の大会にも出られるという、拘束のほとんどない複数試合契約を結んでいるケースが多いのである。
 ということは、またシールズがすんなりとボードッグに戻ってくることもあり得るのだ。このコスタリカの試合の時点でボードッグのウェルター級のチャンピオンはエディ・アルバレズだったが、4月14日のロシア大会でニック・トンプソンに破れ王座陥落。他にもこのコスタリカ大会からボードッグに参戦しているペレなど、このタイトルを狙っている選手は多い。いつ誰が王座に就いてもおかしくないこの混沌としたこのボードッグファイトのウェルター級戦線にシールズは果たして戻ってくるのだろうか。

ウェルター級 5分3R
×ピトール・ジャクチェィンスキー(スウェーデン)
◯スティーブ・バーガー(アメリカ/バーガーMMA)
判定1-2


シーズン3・ベストバウト賞獲得試合は壮絶な殴り合い

 今回コスタリカで行われた全34試合の中で、初めから最後までお互いに一歩も譲らないバキバキの殴り合いを演じて今シーズンの「ベスト・バウト」賞を獲得したのが、このバーガーとジャクチェィンスキーの試合。

 1ラウンド序盤はパワフルな右左のフックを振り回し来るジャクチェィンスキーのペースで試合は進んだが、中盤あたりから確実にパンチを当て始めたバーガー。そしてラウンド残り30秒を切ったあたりでバーガーの左ジャブがジャクチェィンスキーの鼻を破壊。一歩下がり折れて横をむいてしまった鼻を自分の手で元に戻すと、再びパンチを放つがここでゴング。
 2ラウンド早々バーガーは首相撲から骨折した鼻に膝蹴りをヒット。そこからパンチの連打でジャクチェィンスキーを追い込む。この猛攻を何とかパンチで応戦し凌いだジャクチェィンスキー。ここからは最後までほぼ互角の殴り合いに終始。この2ラウンド前半の劣勢が響いたのが、スプリット判定でバーガーの勝利となった。

◆ 第2話(4月24日放映) [→ダウンロード先]

ライト級 5分3R
△サミー・アジーズ(スウェーデン)
△ハファエル・ディアズ(アメリカ/アメリカン・トップ・チーム)
判定0-0


イランの元五輪レスラー、ATTの新鋭との接戦でテクニカルバウト賞

 1996年五輪出場、1995年レスリング世界選手権グレコローマン第5位、1992年ヨーロッパ選手権第3位の実績をもつ欧州期待の星サミー・アジーズ(写真右)が遂に北米デビュー。母国イランを離れ現在住のスウェーデンでプロ総合デュー。レスリングはもちろん優れたボクシング技術をも兼ね持つアジーズは圧倒的な強さで2連勝。スェーデンでは誰も彼と対戦をしたがらないという選手だ。対するハファエル・ディアズはアメリカン・トップ・チームの若手ナンバーワン。誰もが認めるテクニシャンである。

 1ラウンド開始早々すぐにディアズは片足タックルに入るが、腰の低いアジーズはこれをしっかりと切り、スタンディングにキープすると鋭いワンツーのパンチをディアズにヒット。ディアズも怯まずに飛び膝蹴りなどで前にでる。そして組み付くと足首をとり膝十字へ。アジーズは何とかディフェンスし上になるとパウンドを落とすが、ディアズも巧く防御。一進一退の攻防が続く。

 2ラウンド序盤は両者スタンディングでパンチの応酬。組み付くと背丈、体重ともに一回り小さいながらもアジーズがパワーでディアズを押しつぶしグラウンドでのポジショニングをコントロールする。だがそこから相手にダメージを与える攻撃になかなか動けず、膠着したところでレフェリーが割って入りスタンディングへ。そこでアジーズの飛び膝蹴りがディアズのアゴにヒット。ダウンしたところをアジーズは追撃にいったがディアズもすぐにフルガードで対処。このアジーズの膝蹴り以外は互角の勝負が続く。

 最終ラウンドも両者スタンディングでパンチ、飛び膝蹴りなどアグレシッブな攻防に終始。グランドではアジーズが上になりコントロールしている場面が多かったが、決め手に欠いたためジャッジの採点は三者ドロー。しかしレベルの高い技術戦となったこの試合は、シーズン3の「テクニカル・バウト」賞に選ばれた。

 アジーズは試合前日の計量を約70キロのリミットより大きく下回る68キロでパス。今後は階級をひとつ落としてフェザー級で試合をする予定らしい。ライト級では大きい部類に入るディアズを相手にこれだけの試合ができるアジーズ。フェザー級のトップ戦線に食い込むことは間違いない。

フェザー級 5分3R
◯ブラッド・ピケット(イギリス/エリート・ファイティング・システム)
×JRシムス(アメリカ)
2R 3'12" TKO


フェザー級戦線スタート。元ケージレイジ王者相手に新鋭が健闘

 UFCがWECを傘下に収め、WECを軽量級の舞台とし、世界各国からフェザー級、そしてバンタム級のトップ選手獲得に動いている現在、エリートやボードッグがいつ70キロより下の階級の試合を組むようになるのか業界では注目されていたが、ボードッグファイトはすでに今年の2月に145ポンド(65.7キロ)以下のフェザー級をスタートしている。
 そのボードッグ初のフェザー級試合は、イギリスのケージレイジの元王者のブラッド・ピケットと、アメリカのJRシムスの一戦だ。シムスは2006年にデビューしたばかりで総合戦績1勝1敗のルーキーだが、エリック・ペレのトレーナーでもスキッパー・ケルプの推薦によりボードッグ参戦となった。

 そのシムズがスタートからアグレッシブに前に出る。差し合いの状態から足を取ろうとするが、ピケットがディフェンス。シムスはいったん離れると今度は打撃戦を挑み、これが功を奏した。長いリーチから繰り出す伸びのある右ストレートがピケットの顔面にヒット。倒れるピケットに鋭いパウンドを振り下ろす。さらにはバックにまわると側頭部へパワフルなパンチの連打。あわやという所までピケットを追い込む。

 2ラウンドもピケットの右フックをまともに喰らいながらもパンチで前にでるシムス。ピケットのバックを取るとジャーマンスープレックス気味の投げでグランドに持ち込むと、どんどんパウンドを落としていく。
 しかし最後は試合経験で勝るピケットに勝利の女神は微笑んだ。コーナーに押す付けてテイクダウンに成功すると、そのまま横四方の状態でシムスの片手を両足でロック。そこからパウンドを顔面に連打しレフェリーストップとなった。

 試合後のシムスの様子ではまだまだいけそうな感じだったが、あれだけ防御できずに顔面にパンチをヒットされたらストップも致し方ない。しかしプロ3戦目にしてピケット相手にこれだけの試合をしたシムス。フェザー級の台風の目になるのでは?と感じさせるのに充分な試合内容だった。

◆ 第3話(5月1日放映) [→ダウンロード先]

ウェルター級 5分3R
◯スティーブン・ハイグ(アメリカ/ファイト・ファクトリー)
×和田拓也(日本/SKアブソリュート)
3R 1'37" チョークスリーパー


和田拓也、アルバレズの寝技の師匠に一本負け

 スティーブン・ハイグはエディ・アルバレズのトレーナーでありファイト・ファクトリーの創立者でもある。元々はグラップラーだが、6年以上も続けているムエタイの技術もなかなかのもので、飛び膝蹴り一発で相手を仕留められるだけのセンスも持っている選手だ。
 1ラウンドはお互いに手の探り合い。ローとパンチで相手をみるハイグ。対する和田拓也もパンチを1、2発放ってからまだ下がるという慎重な戦い振りをみせる。ラウンド中盤、和田が差し合いの状態から投げでテイクダウンを奪った以外は、互角の展開。2ラウンドもお互いに決め手に欠くが、手数でまさるハイグがややリード。3ラウンド早々すぐに組みついた和田は再び投げを狙うがこれをハイグに押し潰され下になる。ここからハイグはハーフ・マウントからパンチを連打、和田を背を向けるとすぐにバックをとりチョークスリーパーでタップを奪った。

ヘビー級 5分3R
◯ダン・イーベンソン(アメリカ)
×ジェルマイヤ・コンスタント(カナダ)
1R 1'26" TKO


 レスリング出身のジェルマイヤ・コンスタントはタックル一辺倒の攻撃。対するダン・イーベンソンはこれを切ると差し合いから膝蹴りをボディに叩き込む。最後はタックルを切り、コンスタントの顔面ががら空きになったところにイーベンスンがパンチを連打し試合を決めた。

◆ 第4話(5月8日放映) [→ダウンロード先]

ウェルター級 5分3R
×ザック・ライト(アメリカ/チーム・オーヤマ)
◯ジェイク・エレンバーガー(アメリカ/ミッドアメリカ・マーシャル・アーツ)
1R 3'51" TKO


混沌のウェルター級戦線にミドル級新鋭も転向

 ミドル級から体重を落としてきたエレンバーガーが終始試合をコントロール。レスリング技術には定評のあるライトは、テイクダウンを奪い袈裟固めを狙ったりマウントポジションをとったりと果敢に攻めるが、身体がひとまわり大きいエレンバーガーはいとも簡単にスイープしすぐにスタンディングに戻してしまう。
 最後はボディへの膝で動きを止めパンチでダウンを奪い、そこからパウンドというストライカー得意のパターンでエレンバーガーが勝利。これで総合戦績を15勝2敗にしたエレンバーガーは、これまで負けた2試合は判定で勝った試合がすべてKO勝ちか一本勝ちというアグレッシブなストライカー。ひとつ下のウェルターという階級でこれから猛威をふるいそうな予感をさせる。そんな圧勝劇であった。

女子125ポンド(56.7キロ)契約 5分3R
◯ロッシー・セクストン(イギリス/フリー)
×WINDY智美(日本/パンクラスism)
2R 1'05" TKO (足首骨折)


WINDY、無念の負傷リタイアも「世界は見えた」

 グラップラーであるロッシー・セクストンは膝蹴りなどで距離を詰め組み付こうとするが、WINDY智美はリングをまわりながらパンチとキックを繰り出す打撃勝負。しかし1分過ぎ、セクストンにタックルで捕まるとグランドに持ち込まれすぐにマウントポジションを奪われてしまう。ロッシーはパウンドを何十発も落とすが、WINDYは下からブリッジをしながら顔面をしっかりとガード。クリーンヒットを許さない。
 3分近くパウンドの嵐を凌いだWINDYは、ロッシーが腕十字を仕掛けた時にうまく体勢を入れ替え、上になってパンチを落とす。ロッシーもすぐにラバーガードでWINDYを下からコントロールしたところでラウンド終了。

 2ラウンドも同じ展開が続く。組み付こうとするロッシー、そしてリングをまわりながら素早いパンチとキックのコンビネーションを当てるWINDY。1分過ぎ、ロッシーがWINDYに組み付きバックから足をスイープしたときにアクシデントは起きた。グラウンドに倒れた時にWINDYは右足首を骨折。ドクターストップとなった。タンボール・ビーチの特設リングから救急車、ヘリコプターで首都サンホゼの病院まで搬送されたWINDYは、その日のうちに手術を受けた。
 2ラウンドでは優勢だったWINDY。「世界は見えた」と本人も言っていたが、女子125ポンド以下で日本人選手が世界を取れる可能性を充分に感じさせる試合内容だった。


◆ 第5話(5月15日放映)には高橋義生(パンクラス)が登場 [→ダウンロード先]。第7話(5月29日放映)には竹内出(SKアブソリュート)が登場します。

Last Update : 05/17 12:53

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