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(レポ&写真) [K-1 MAX] 2.5 有コロ:佐藤、日本トーナメント連覇

FEG "Ameba presents K-1 WORLD MAX 2007 〜日本代表決定トーナメント〜"
2007年2月5日(月) 東京・有明コロシアム  観衆:8961人

  レポート&写真:井原芳徳  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】


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◆日本代表決定トーナメント

第1試合 リザーブファイト 3分3R(延長1R)
○安廣一哉(日本/正道会館)
×サトルヴァシコバ(日本/勇心館/WFCA世界スーパーライト級王者・全日本ライト級1位)
判定3-0 (シャルリー30-29/朝武30-29/御座岡30-29)


 1R、2度のローブローに苦しんだ安廣だが、2Rには右ストレートと飛び蹴りの連続攻撃で主導権を握る。互いにクリンチが多く、レフェリーの注意が連発されたが、安廣が最後まで大きなチャンスを与えず完勝した。ヴァシコバも得意の左ストレートを当てていたが、本来ライト級の選手のせいか破壊力が不十分。70kgはまだ重いか。

第2試合 一回戦(1) 3分3R(延長1R)
×小比類巻貴之(日本/チームドラゴン/MAX '04 '05 日本大会優勝)
○アンディ・オロゴン(ナイジェリア/チーム・オロゴン)
4R 判定0-3 (朝武8-10/御座岡9-10/大成8-10)

3R 判定0-1 (朝武29-29/御座岡29-30/大成29-29)
※4R右ストレートで小比類巻1ダウン

 1R、コヒが軸足狙いでローを当て主導権を握るが、1R終盤あたりから、アンディがカウンターでストレートを合わせるように。コヒは何度もアンディをコーナーに詰めるが、思うように攻められず。試合は延長戦へ。するとアンディがカウンターの右ストレートでダウンを奪取。鼻血を大量に出したコヒは挽回できず、まさかの初戦敗退となってしまった。
 実は暮れに左足首を骨折していたというコヒ。1週間前に再び痛め、欠場も考えたほどだったという。05年の世界トーナメントの時も、直前に恥骨結合かい離となり本領を発揮できずにおり、今回も同じ道を辿った。

第3試合 一回戦(2) 3分3R(延長1R)
○TATSUJI(日本/アイアンアックス/MAX '06 日本大会準優勝)
×HAYATΦ(日本/FUTURE_TRIBE/UKF世界スーパーウェルター級王者)
判定3-0 (朝武30-28/黒住29-28/大成30-28)

※1R左フックでHAYATΦ1ダウン

 1R中盤、TATSUJIの蹴りでHAYATΦのファウルカップの紐が切れ、交換のために試合が中断される。するとHAYATΦは集中力を切らしたか?再開10秒足らずでTATSUJIの上下のパンチのコンビネーションからの左フックを浴びダウンを喫してしまう。
 その後両者は壮絶なパンチ戦を繰り広げ、互いに一歩も引かず。HAYATΦもバックブローの連打等で起死回生を狙ったが、TATSUJIの勢いを止められず初戦で敗退した。

第4試合 一回戦(3) 3分3R(延長1R)
×宍戸大樹(日本/シーザージム/SB日本ウェルター級王者)
○尾崎圭司(日本/チームドラゴン/R.I.S.E. DoAトーナメント '06 優勝)
判定0-3 (朝武28-29/御座岡27-29/大成27-29)

※1R右フックで宍戸1ダウン

 1R中盤過ぎ、宍戸がパンチとバックスピンキックのコンビネーションを仕掛けるが、尾崎は落ち着いてロープ際まで下がると、カウンターで右フックを当てダウンを先取する。2Rもテコンドー出身の尾崎が得意のバックブローとバックスピンで宍戸を追いつめる。3Rは宍戸がパンチとローのノンストップラッシュの手数で圧倒したものの、ダウンは奪えず初戦で散った。

第5試合 一回戦(4) 3分3R(延長1R)
○佐藤嘉洋(日本/フルキャスト/名古屋JKファクトリー/MAX '06 日本大会優勝)
×白須康仁(日本/花澤ジム/WMAF世界スーパーウェルター級王者)
判定3-0 (朝武30-28/黒住30-28/大成30-28)


 「周りに何を言われようが、自分の思うように、のびのびと戦いたい」と記者会見で語っていた佐藤。ジャブのフェイントから、テンカオ(近距離の飛び膝蹴り)かローにつなぐ攻めを最初から最後まで貫き、1Rと3Rのポイントを取り完勝した。白須も何度かストレートを当てたが、手数と威力が足りなかった。

第7試合 準決勝(1) 3分3R(延長1R)
×安廣一哉(日本/正道会館)
○TATSUJI(日本/アイアンアックス/MAX '06 日本大会準優勝)
判定0-3 (朝武29-30/岡林28-30/大成29-30)


 一回戦(1)勝者のアンディ・オロゴンは、左足腓骨骨折の疑いがあり歩行困難のため準決勝を辞退。次に権利のあるコヒも左足首骨折によりドクターストップ。リザーブファイト勝者の安廣が出場権を得たことで、同門対決が実現した。
 手の内を互いに知っているせいか、均衡した状態が続く。両者ローブローを当ててしまう場面も多く、2Rには安廣に警告1。だが3R、TATSUJIはパンチのクリーンヒットで安廣を圧倒し、今年も決勝に駒を進めた。

第8試合 準決勝(2) 3分3R(延長1R)
×尾崎圭司(日本/チームドラゴン/R.I.S.E. DoAトーナメント '06 優勝)
○佐藤嘉洋(日本/フルキャスト/名古屋JKファクトリー/MAX '06 日本大会優勝)
判定0-3 (朝武28-30/岡林28-30/大成28-30)


 佐藤はひたすら膝とローを当て、尾崎は接近戦でパンチを狙う、一回戦の白須戦と似た構図。尾崎は一回戦の宍戸戦のローのダメージの蓄積もあったせいか、2Rからは失速。バックブローとパンチを当て佐藤を苦しめ、最後まで試合を盛り上げたものの、手数で押され決勝進出はならなかった。

第10試合 決勝戦 3分3R(最大延長2R)
×TATSUJI(日本/アイアンアックス/MAX '06 日本大会準優勝)
○佐藤嘉洋(日本/フルキャスト/名古屋JKファクトリー/MAX '06 日本大会優勝)
1R 2'27" KO (右飛び膝蹴り)

※佐藤が優勝。世界一決定トーナメント開幕戦出場権、優勝賞金500万円、KO賞30万円を獲得。準優勝のTATSUJIの賞金は150万円、3位の安廣と尾崎の賞金は75万円。

 出場メンバーが去年からガラリと変わった日本代表戦だが、残ったのは去年と同じ2人。安定度の高さを感じさせる。
 去年は3R判定3-0で佐藤が勝利したが、今年は両者ともダメージの大きさが去年より上。そのせいか短期決着に。TATSUJIのパンチを凌いだ佐藤は、ローと膝で早い段階からTATSUJIをふらつかせ、右の飛び膝をクリーンヒットさせダウンを奪取。さらに同じ攻撃で2度目のダウンを奪った後、レフェリーが試合をストップした。

 2連覇を果たした佐藤は「去年より全然キツかった。過去最高のメンバーで勝ち抜けたことがうれしい」と安堵の表情。決勝戦ではK-1で初めてのダウン奪取&KO勝ちを果たしたが、「あれはたまたま。僕の中では3分3R×3試合、完封して勝つのが最上の勝利」と話した。
 リング上の勝利者インタビューでは「愛を知る県、愛知県から来た佐藤嘉洋です」という毎度お馴染みのフレーズに続き、「試合は玄人好み、普段は素人好みの佐藤嘉洋です」という新たなフレーズを付け加えた。

 佐藤のフルラウンド淡々と攻めるスタイルは、“玄人”である往年の名選手たちからも批判を浴びた。去年、佐藤はブアカーオとクラウスに連敗した後、格闘技を始めて以来初めて1か月ジムワークを休むほど落胆したが、ジムの会長や般若心経などに感銘を受け、“玄人好み”のスタイルをとことん武器にすることを決意した。佐藤が新たな付け加えたフレーズは、大人のジョークのオブラートに包まれているが、犀の角のようにただ独り歩む決意が込められている。

 日本トーナメント優勝までは去年と同じ実績だ。果たしてその決意は吉と出るか凶と出るか。それはこれからの、破壊力が日本人とは違う世界の強豪との戦いの中で明らかになるだろう。
 

魔裟斗「俺が出ないと面白く無い」

 準決勝の尾崎×佐藤終了後の休憩明け、魔裟斗がリングイン。「急に言われて何も考えてなかったんだけど…」と困惑した様子だったが、「日本トーナメントを観てるけど、何か足りない。俺が出ないと面白く無い。まだまだバトンを渡せる選手がいない」と話すと、判定続きの長時間興行にフラストレーションの溜まっていた観客から拍手が起こった。
 続けて魔裟斗は「4月から優勝を目指す、とは言わないけど、いい試合をしたいです」とコメント。世界の強豪と渡り合う自信に関しては控えめだったが、対日本人では格が違うところをアピールした。
 これを大会後聞いた佐藤は「試合をしてから言って欲しい」と不快感を示したが、4月4日の世界最終選抜からの二人の緊張関係が、今年の世界大会戦線の注目ポイントの一つとなりそうだ。




◆ワンマッチ

第9試合 スーパーファイト 3分3R(延長1R)
×アルバート・クラウス(オランダ/チーム・スーパープロ/MAX '02 世界大会優勝)
○ムラット・ディレッキー(トルコ/ユニバーサルジム)
1R 1'27" KO (右フック)


 日本デビュー戦のディレッキーは、クラウスのパンチをスウェーすると、左フックをアゴに当てダウンを先取。立ち上がったクラウスは打ち合いに出るが、今度は右フックをもらい大の字にダウン。立ち上がるも足元がフラフラのためレフェリーがストップした。
 クラウスは03年の日本代表決定トーナメントのスーパーファイトでも、日本デビュー戦のマイク・ザンビディスにKO負けしており、同じ轍を踏んでしまった。
 谷川貞治K-1イベントプロデューサーは、敗れたクラウス、試合時間の短かったディレッキーの両者に関し、6/28の世界一決定トーナメント開幕戦に出場させるかどうかの決断を保留。4/4の世界最終選抜の対象とする考えだ。

第6試合 スーパーファイト 3分3R(延長1R)
○ブアカーオ・ポー・プラムック(タイ/ポー・プラムックジム/MAX '04 '06 世界大会優勝)
×ツグト・忍・アマラ(モンゴル/フリー)
判定3-0 (黒住30-27/御座岡30-28/豊永30-27)

※2R膝蹴りでアマラに1ダウン

 1R、ブアカーオは左ミドルと左ボディを数発出す程度で、手数は少なかったが、忍は肋骨を負傷。2Rに膝蹴りを浴びると、力なく後ずさりしスタンディングダウンを宣告される。パンチで活路を見いだそうとした忍だが、ブアカーオはノーガードでスウェーを続け翻弄。ブアカーオは「当たらない自信があったのでちょっと遊んでみた」と振り返っており、格の差を見せつけた試合だった。

K-1特別試合 60kg契約 3分3R
○HIROYA(日本/フリー)
×高橋明宏(日本/大誠塾)
3R 2'46" TKO (タオル投入:左フックでダウン後)


 中学3年生のHIROYAは、蹴りとパンチをバランス良く使い、右ローを着実に効かせる。基本に忠実でプロでも十分通用するテクニックを持っている。2Rには右ローで2ダウンを奪取。右ハイを綺麗にヒットさせる場面も。
 その後は攻め疲れ、3Rには高橋の粘りのパンチの連打を浴びてしまうが、ブロックした後に渾身の左フック一撃。これでスタンディングダウンを奪った後、高橋陣営からタオルが投入された。
 なお、この試合はアマチュア規定で行われたが、今後のK-1は17歳以上をプロとして認め、体格・技術次第では16歳でもプロとして認める特例を設ける方向だという。とはいえ“金の卵”HIROYAについて谷川氏は「大切に育てたい」と話し、急にプロデビューはさせず、成長を見守りつつ判断する方針だ。

オープニングファイト2 3分3R
×ASH-RA(日本/X-FORCE)
○蜜山剛三(日本/ファイブリングスドージョー)
判定0-3 (ゴメス26-30/市瀬28-30/勝本28-30)

※3R左右のフックでASH-RAが1ダウン

 オーストラリアからの逆輸入ファイター蜜山は、サウスポーの構えから左ミドルを中心に攻めるタイプの選手。2Rからのパンチの打ち合いでも負けず、3Rに左右のフックの連打でダウンを奪い判定勝ちをおさめた。

オープニングファイト1 3分3R
○城戸康裕(日本/谷山ジム/MA日本ミドル級王者)
×川端健司(日本/チーム・ドラゴン)
1R 2'26" KO (3ダウン:ストレート連打)


 先にパンチのクリーンヒットのあったのは川端だが、城戸がパンチの連打と左ハイのコンビでダウンを奪うと一気に攻勢。パンチの連打で立て続けにダウンを奪い完勝した。

Last Update : 02/08 12:23

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