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(レポ&写真) [レスリング] 1.26-28 天皇杯:KID、2回戦で秒殺負け

日本レスリング協会 "天皇杯 平成18年度 全日本レスリング選手権大会"
2007年1月26日(金)〜28(日) 東京・駒沢オリンピック公園総合運動場 体育館

  レポート&写真:井原芳徳  【→KIDの北京五輪挑戦表明の記事】 【→掲示板・HERO'Sスレッド】
 


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◆3日目(28日)「KID、2回戦で秒殺負け」

 北京五輪への挑戦を表明した山本“KID”徳郁(KILLER BEE)が、その第一関門となる天皇杯の男子フリースタイル60kg級に出場したが、右肘を脱臼し2回戦で敗退した。

 1回戦は昨年全日本社会人選手権3位の土田章博(自衛隊体育学校)と対戦。第1ピリオド、いなし合いの膠着状態が続く。KID目当てに多くの観客がつめかけたが、それほど声援は無く、攻防を固唾を呑んで見守る。逆に自衛隊応援団の「いけいけ土田」という掛け声の方が場内の空気を支配している印象だ。
 終盤、ようやく試合が動く。KIDがタックルで倒すと、同時に土田も返し技の投げに成功し、最後にKIDがバックを取る。ビデオ審議の結果、KIDが3点、土田が2点を獲得。土田の応援団から不満の声が飛ぶも、KIDが第1ピリオド先取に成功した。
 第2ピリオドは硬さが取れた様子のKID。押し出しとタックルで次々とポイントを奪取。結局5-1の大差でこのピリオドを制し、全3ピリオド中の2ピリオドを先取し1回戦突破に成功した。前日出場した宮田和幸が話していた、「KID君は7年やってなかったから、対応が大変だと思う」という不安を払拭したかのように思えたが…。

 2回戦の相手・井上謙二(自衛隊体育学校)は04年アテネ五輪銅メダリスト。学生時代はKIDと2勝2敗の五分の成績を残しているライバルだった。KIDはよく「オリンピックに出場できる奴は人間じゃない」という発言をするが、そんな井上の“神業”に、“神の子”KIDはしてやられた。
 開始早々、井上は得意の巻き投げに成功。相手の片腕を取ってそのまま空中で半転させる技だ。するとKIDは右手をマットに着地させた瞬間、自分の体重を肘にかける格好となり、肘を脱臼。悲鳴をあげたKIDはそのままフォールされ、第1ピリオドわずか16秒で敗退した。
 KIDは両腕の前腕部にテーピングを施していたが、これは大会前に議論を呼んだタトゥーを隠すため。KIDの師匠の高田裕司・山梨学院大監督は、「テーピングが無ければ(投げが)すっぽ抜けたかもしれない」との見方を示した。

 KIDは関係者を通じ、「軽く怪我しちゃったんで、がっちり治してきます」というコメントだけ残し、悲痛な表情を浮かべたまま病院へ。右肘後方脱臼で全治3〜4カ月と診断された。
 KIDは天皇杯で8強入りしたことで、6月の明治乳業杯全日本選抜選手権への参加資格を獲得。そこで優勝すれば、天皇杯決勝で井上を下し2連覇を果たした湯元健一(日本体育大学)とのプレーオフが待っており、その勝者が9月の世界選手権に出場できる。
 日本代表の座は一人。KIDは控室で「どれくらいで治る?」と話していたといい、まだ五輪出場をあきらめていない様子だが、万全の状態で明治乳業杯に臨むのは難しい情勢。いわゆる脱臼癖の不安も残る。“神の子”の神通力は、まだ残っているのだろうか?

◆2日目(27日)「宮田和幸は3回戦敗退」

 HERO'Sで活躍中の宮田和幸(フリー)が男子フリースタイル74kg級に出場し3回戦で敗退。世界選手権代表の最終選考会となる6月の明治乳業杯全日本選抜選手権への参加資格は得たが、出場に関しては態度を保留した。

 宮田は2000年シドニー五輪フリー63kg代表。天皇杯では99年、01年、02年の3回優勝したことがある。レスリングの試合は2年半ぶり。
 宮田の階級には17選手がエントリー。1回戦は1試合だけ行われ、宮田は2回戦から登場した。昨年世界ジュニア選手権3位の大月葵斐(早稲田大)に第1ピリオドは取られたが、第2・3ピリオドは一方的にポイントを奪い勝利した。
 3回戦も昨年全日本選抜選手権3位の萱森(かやもり)浩輝(新潟県央工高教諭)に第1ピリオドを先取され、第2ピリオドは取り返したものの、第3ピリオドで場外に押し出された時の失点1を取り返せず、惜しくも敗退した。

 宮田は「自分の時代とルールが違いやり辛かった。押し出されて1点というのは無かった」と敗因を語った。明治乳業杯出場に関しては、「ちょっとわからない。準決勝で小幡邦彦(ALSOK綜合警備保障)選手とやって感触を確かめたかった」と態度を保留。一方で「総合でもレスリングは重要なので、これからも練習は続けていく」とも話した。
 同級では小幡が準決勝で萱森に敗れ8連覇に失敗。小幡の対抗馬の長島和幸(クリナップ)が初優勝を果たした。

 3日目(27日)のフリー60kg級には山本“KID”徳郁(KILLER BEE)が登場する。KIDは26日に行われた計量をパス。1回戦では昨年全日本社会人選手権3位の土田章博(自衛隊)と対戦。2回戦では04年アテネ五輪銅メダルの井上謙二(自衛隊)と当たる可能性が高い。宮田は「KID君は7年やってなかったから、対応が大変だと思う」と心配したが、果たして?

Last Update : 01/29 12:35

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