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(レポ) [パンクラス] 12.2 ディファ:血の王座戦、観客乱入で騒然

ワールドパンクラスクリエイト "PANCRASE 2006 Special Night"
2006年12月2日(土) 東京・ディファ有明

  レポート:本庄功志  写真:井田英登  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】

第9試合 第6代ミドル級キング・オブ・パンクラス決定戦 5分3R
×竹内 出(SKアブソリュート/1位)
○中西裕一(フリー/2位)
判定1-2 (梅木29-28/大藪29-30/小菅28-30)

※中西が第6代ミドル級キング・オブ・パンクラスに

 竹内の良さとは何だろうか? コンバットサンボで培われたグラウンド技術か。はたまた豊富な試合経験で培われた試合運びの巧さだろうか。いずれも該当するだろうが、一番の強味は“自分の型にはめた時の強さ”だと筆者は思う。
 グラウンドで有利なポジションをキープし、じっくりと攻める。極められる状態になったと見るや、一気に仕留めにかかる。はまった時の竹内は、誰も超えられないのない高い山のようだ。

 しかし中西はその型を破壊してみせた。パンチのヒットで竹内をグラつかせると、尚もフックで追撃する。打撃で崩された時の竹内は、意外なほどの脆さを見せる。過去のマーコート戦もそうだろう。その後の中西の打撃は組み付いて耐え凌ぐ竹内だが、すでに歯車は狂い始めていた。
 2Rには中西のパンチがまたも竹内の顔にヒットする。竹内がタックルでテイクダウンに成功するも、大量の鼻血。チェックが入って再開されると、出血の影響か?竹内はよりテイクダウンにこだわるように。顔面が血で染まった竹内の表情からは、何が何でも勝ちにいくという姿勢がいつも以上に感じられる。
 だがそんな竹内を読みきったように、中西はカウンターを当てる。竹内の鼻血で両者のグローブとパンツは赤く染まる。

 竹内は目立った挽回ができないまま終了のゴングを聞く。勝負は判定に委ねられる。ポジショニングとテイクダウン数で上だったのは竹内だった。しかしダメージが大きかったのも竹内。判定は2-1で割れ、中西が下馬評を覆し新王者となった。

 だがこの熱戦を台無しにするような事件が、戴冠セレモニーの最中に起こってしまう。試合後、興奮した中西の応援団がリングサイドに殺到。一部はリングに上がって騒ぎ立てたのだ。排除しようとする審判団や関係者と、不心得なファンの間で揉み合い状況が勃発。場内は騒然となり、中西自身がマイクで静止したにもかかわらず騒ぎが収まらない。最後は廣戸聡一審判長がマイクをとって一喝するも、さらに椅子を投げて暴れる者までが出た。

 新王者誕生にこんな形でしか喜びを表せられないなんて悲しすぎるし、当の中西本人も嬉しいはずがない。会場には中立に純粋に試合を楽しみに来たファンも、もちろん敗れた竹内の応援団もたくさんいる。喜びを表現するのは結構だが、今回の行為は度が過ぎている。当事者達は自分達の暴挙で、他のファンを不快な気持ちで帰らせたことの悪影響、王者誕生の大事な大会を汚した罪の大きさをわかってほしい。
 
◆中西「判定はダメージを採ってくれたんだと思います。切れたのはヒザ…ですかね? 下馬評を覆せて嬉しいです。(王者として今後は?)今日以上にがんばります。(今後やりたい選手は?)特にいないんですけど。
 あと、前からうち応援団はガラが悪いと言われていたんですけど、本当にそうでした。本当にすいませんでした。格闘技は暴れる場所じゃないんで、乱闘とかは謹んでほしいです。大人気ない。」


第8試合 スーパーヘビー級 5分3R
×河野真幸(フリー)
○チェ・ムベ(韓国/チーム・タックル)
2R 1'36" TKO (レフェリーストップ:肩固め)


 試合が始まりバックに回ったムベは、いきなり“釜山投げ”を炸裂。ヒョードルも認めたというパワーは、初登場のパンクラスでも相変わらずだ。上手くガードポジションに戻した河野は、下から蹴り上げを相手の顔面にヒットさせるも、ムベの顔を軽く腫らしたのみ。それから簡単にマウントを取ったムベは、アームロックを仕掛けるなど河野を圧倒する。
 2Rになってもムベの優位は変わらない。河野の立ち上がり際に蹴りでカットを誘うなど、試合を完全に支配する。その後、簡単にマウントのポジションになったムベは、肩固めを極め勝利。ムベはPRIDE出場経験もある実力者だけに、久々の実戦でも河野相手は朝飯前だったようだ。勝利後は久々のフィーバーポーズでパンクラスファンを楽しませた。

◆ムベ「今日試合をやって、河野選手は将来すばらしい選手になると思いました。思ったよりハードな試合でした。1Rのアームロックは音が鳴ったのですが、相手が我慢したのでびっくりしました。(今後の目標は?)自分の道場を発展させたいと思います。」

◆河野「練習不足ですね。弱いと思いました。打撃をもらってしまったのがいけなかったですね。最後はギブアップしていないんですけど、顔の傷もあるし止めるのが早めになったんでしょうね。今日負けちゃったんで大晦日のオファーは来なくなっちゃいましたね(苦笑)」


第7試合 フェザー級 5分2R
○井上 学(U.W.F.スネークピットジャパン/4位)
×島田賢二(パンクラスP's LAB東京)
判定3-0 (小菅20-19/廣戸20-19/大藪20-19)


 試合はほとんどが膠着気味の展開に。井上がグラウンドで上からコツコツパウンドを放ち、印象が良く判定勝ちした。インパクトのある勝ち方はできなかった井上だが、前田吉朗の持つフェザー級ベルトを狙える一人に入ったのは確かだ。


第6試合 ウェルター級 5分2R
○和田拓也(SKアブソリュート)
×ヨシロックT(和術慧舟會A-3)※吉田直輔から改名
1R 4'22" ギブアップ (チョークスリーパー)


 最初にテイクダウンを奪ったヨシロックだったが、和田がリバーサルしそこからはグラウンドを完全に支配。バックマウントになりパウンド連打で勢いをつけると、あっさりとチョークを極め格の違いを見せ付けた。

◆和田「自分のペースで練習通りできました。全然一本取れてなかったので、一本で今年を締められて嬉しいです。」


第5試合 ヘビー級 5分2R
○水野竜也(U-FILE CAMP登戸)
×三浦康彰(禅道会広島支部)
1R 1'47" TKO (レフェリーストップ:アームロック)


 水野がパンチの連打でプレッシャーをかけテイクダウンに成功。グラウンドで上になった水野は、上四方に回り、難なくアームロックを極め完勝。前回の桜木裕司戦に続き連続一本勝ちをした水野は、来年のパンクラスヘビー級のキーパーソンになりそうだ。


第4試合 ウェルター級 5分2R
○ウマハノフ・アルトゥール(ロシア/SKアブソリュート・ロシア)
×宮崎裕治(コブラ会)
1R 1'03" TKO (レフェリーストップ:スープレックス)


 パンクラス初参戦のアルトゥールは、想像以上のインパクトを観に来た者に与えてくれた。開始すぐ、宮崎がバックを取られた体勢から相手の腕を取りかける。しかしアルトゥールはお構い無し。宮崎をジャーマンスープレックスで頭から落とし試合を終わらせた。
 次はカーロス・コンディットとやりたいと話したアルトゥール。現ウェルター級王者・石毛大蔵とは同じSK所属となるが、その包囲網にまた一人強豪が加わることになる。

◆アルトゥール「言葉で表すのは難しいですが、嬉しいです。(フィニッシュは狙っていた?)思ったとおりになりました。今後は楽しい試合ができるようにがんばります。」
◆松本天心・SKアブソリュート総帥「相手は勇気を持って試合を受けてくれて感謝しています。今後は相手選びに苦労すると思います。次は、コンディットとやって、コマンドサンボの実力を見せたいですね。もしアルトゥールに勝つ選手がいたら、自分が特別ボーナスを出したいです(笑)」



第3試合 ライト級 5分2R
○昇侍(K.I.B.A.)
×荒牧 拓(パンクラスP's LAB横浜)
1R 3'36" KO (顔面踏み付け)


 前回3秒で試合を終わらせた昇侍の勢いは未だ消えず。序盤、荒牧に上になられた昇が、リバーサルし上になるとパワーボムを連発。その後立ち上がると、踏みつけが荒牧の顔面にクリーンヒットし、無傷のまま完勝した。


第2試合 フェザー級 5分2R
×山澤勇紀(スタンド)
○吉本光志(AJジム)
判定2-0 (小菅19-20/廣戸20-20/大藪19-20)


 序盤、キックボクサーの吉本が右のストレートから左ハイのコンビネーションで相手にダメージを与えチャンス。耐えた山澤だが、吉本にプレッシャーをかけられ続け、苦し紛れにタックルにいく展開が続く。2Rは吉本がローを多用して打撃戦を支配し、嬉しい初勝利を手にした。

◆吉本「初勝利で一つの階段を上ることができたと思います。デビュー戦の時の気持ちを忘れずに、次も新鮮味のある試合をしたいです。(今後の目標は?)来年の64kg以下(フェザー級)のネオブラッドトーナメントで優勝したいです。総合格闘家として知名度を上げていくつもりです。(前回と比べてグラウンドは対応できた?)(スタンドとグラウンドの)技術差がまだありすぎて、慣れなくて試合にならないですね。スカイAで放送されるので、もっと自分の顔を売りたいです。」


第1試合 フェザー級 5分2R
△裕希斗(U-FILE CAMP.com)
△中村健太(禅道会広島支部)
判定0-0 (小菅20-20/梅木20-20/廣戸20-20)


 中村が引き込んで腕十字をキャッチ。しかし、裕希斗が中村を持ち上げると、バランスよく頭部にヒザを放ち、振り倒して回避する。
 試合は裕希斗がグラウンドで上、中村が下という展開がほとんどで、下の中村が数回関節技の仕掛けを見せるも決めるまでには至らず。その後は大きな動きを見せずドローに終わった。


◆パンクラスゲート

第2試合 ライト級 5分2R
×仲本幸介(和術慧舟會東京本部)
○荒川裕志(KILLER BEE)
2R 2'32" TKO (レフェリーストップ:グラウンドでのボディパンチ)

第1試合 フェザー級 5分2R
△廣瀬 勲(ストライプル)
△佐々木亮太(B-CLUB)
時間切れ

Last Update : 12/03 03:05

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