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(レポ&写真) [K-1 WGP] 12.2 東京:シュルト2連覇。ホースト引退

FEG "FieLDS K-1 WORLD GP 2006 in TOKYO 決勝戦"
2006年12月2日(土) 東京・東京ドーム  観衆:54,800人(主催者発表)

  レポート&写真:井原芳徳  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】


◆ワールドGP

第1試合 リザーブファイト(1) 3分3R(延長1R)
○ピーター・アーツ(オランダ/チーム・アーツ/昨年世界GPベスト8)
×武蔵(日本/正道会館/昨年世界GPベスト8)
1R 2'53" KO (2ダウン:パンチ連打)


 「体調は100%だった」というアーツが、序盤からパンチと蹴りを積極的に当て先手。武蔵も左ミドルを返すが、アーツもしっかり右ストレートを左ローを返し、一歩も引かない。すると武蔵がロープを背にしたところで、アーツの右ストレートがクリーンヒット。チャンスを逃さず、上下に打ち分けるパンチのコンビネーションでダウンを奪う。武蔵は立ち上がるもフラフラ。アーツは同様のパターンでもう1度ダウンを奪い完勝した。

第2試合 準々決勝(1) 3分3R(延長1R)
○セーム・シュルト(オランダ/正道会館/昨年世界GP優勝)
×ジェロム・レ・バンナ(フランス/レ・バンナ・Xトリーム・チーム/昨年世界GPベスト8)
判定3-0 (御座岡30-27/岡林30-28/大成30-28)

※2R左ハイキックでバンナに1ダウン

 1R、バンナが左右のフック、左ミドル、左ロー等を手数多く当てる。シュルトのハイもしっかりブロック。滑り出しは順調だった。しかし2R、シュルトのローをもらうと、組み付く場面が増える。レフェリーは再三注意。シュルトは1Rから使っていた膝を当てる機会が序々に増え、終盤には左ハイを側頭部に当てダウンを奪うことに成功する。
 決定打はこれぐらいだったシュルトだが、3Rもストレートを随所で当て、バンナを攻めさせず。前日会見の言葉どおり、トーナメントの「3人のうちの1人にすぎない」といわんばかりの鉄壁の勝利だった。

第3試合 準々決勝(2) 3分3R(延長1R)
○アーネスト・ホースト(オランダ/チーム・ミスター・パーフェクト/推薦選手)
×ハリッド・“ディ・ファウスト”(ドイツ/ゴールデン・グローリー/USA GP王者)
4R 判定3-0 (御座岡10-9/岡林10-9/朝武10-9)

3R 判定1-0 (御座岡30-30/岡林30-28/朝武30-30)

 ホーストはハリッドの大振りフックをかわし続け、得意とするストレートの連打でコーナーに詰める攻撃で主導権。打ち終わりにはローか膝を当てる。1Rには全盛期を思い出させるようなハイキックを当てる場面も。3Rまでハリットにほとんどチャンスを与えなかったが、なぜかジャッジ2者は手数とゲーム運びを評価せず延長へ。だがそれでもホーストの主導権は変わらず、パンチを当て続け文句無しの準決勝進出を果たした。

第4試合 準々決勝(3) 3分3R(延長1R)
○グラウベ・フェイトーザ(ブラジル/極真会館/昨年世界GP準優勝)
×ルスラン・カラエフ(ロシア/フリー/昨年世界GPベスト8)
1R 1'11" KO (左ハイキック→パンチ連打)


 ルスランの回転蹴りをフェイトーザは冷静にかわし、ロー等の蹴りを的確にヒット。そして得意の軌道の変わる左ハイ、ブラジリアンキックをルスランのアゴに叩き込み、棒立ちのルスランにパンチを連打。スタンディングダウンを宣告されたルスランは目の焦点が定まっていなかったようで、豊永レフェリーはKOを宣告。フェイトーザは最短タイムで準決勝に駒を進めた。

第5試合 準々決勝(4) 3分3R(延長1R)
○レミー・ボンヤスキー(オランダ/チーム・ボンヤスキー/昨年世界GPベスト8)
×ステファン・“ブリッツ”・レコ(ドイツ/ゴールデン・グローリー/最終予選優勝)
判定3-0 (御座岡30-27/朝武30-27/大成30-27)

※1Rレコにローブローの反則により減点1、3R右フックでレコに1ダウン

 開始すぐ、レコが左ミドルを放った際、ボンヤスキーが飛び蹴りを放ったため、レコの蹴りがローブローとなってしまう。4分の体力回復時間でも回復せず、リザーブファイト(2)の後に17秒経過時点から再開することに。
 ところが再開直後にはレコのバックスピンキックがまたも下腹部にヒット。ボンヤスキーは吐き気を訴えているかのような様子だったが、3分の休憩後にはほぼ問題なくファイト。レコと激しい蹴りの打ち合いを繰り広げる。
 ボンヤスキーは左右のミドルと膝蹴りと右ロー、レコはアッパー、ボディブロー、右ロー主体。なかなか流れは傾かなかったが、3R中盤、ボンヤスキーの右フックでレコがダウン。レコはローブローの反則の失点1と加算し3ポイント付けられ、そのまま挽回できず判定負けとなった。

第6試合 リザーブファイト(2) 3分3R(延長1R)
○レイ・セフォー(ニュージーランド/レイ・セフォー・ファイトアカデミー/昨年世界GPベスト8)
×メルヴィン・マヌーフ(オランダ/ショータイム)
1R 0'40" KO (右フック)


 開始すぐ、マヌーフのハイをかわしたセフォーは、右フックをヒット。マヌーフは少し効いた様子で後ずさりすると、突然片膝をつく。身体能力の高さで少しは持ちこたえたが、かなり脳に来ていたようだ(マヌーフは試合後、後頭部を殴られたと話していた)。膝をつくと同時にセフォーの右フックがまたもヒット。倒れたマヌーフはダウンを宣告され、立ち上がるもぐらついていたためKOとなった。

第7試合 準決勝(1) 3分3R(延長1R)
○セーム・シュルト(オランダ/正道会館/昨年世界GP優勝)
×アーネスト・ホースト(オランダ/チーム・ミスター・パーフェクト/推薦選手)
判定3-0 (御座岡30-28/岡林30-28/大成30-27)


 両者の過去の対戦成績はシュルトの1勝1分。02年のDynamite!では引き分けたが、昨年のDynamite!!ではシュルトが2R TKO勝ちをおさめている。ホーストにとっては最後のリベンジのチャンスだ。
 ホーストはフックで飛び込んでクリンチして防御するしか為す術がなく、1R、2Rにレフェリーから警告を受ける。シュルトもなかなかクリーンヒットは無いものの、組み付かれる度に膝蹴りを当て対処。2R後半あたりからは何度もコーナーに詰め攻勢をキープし、ホーストを完封した。
 判定負けを宣告されたホーストはこれで引退。最終ラウンドにはファンから大きなホーストコールが起こった。ホーストが涙を流しながら四方に礼をすると、観客の多くが立ち上がり、暖かい拍手を贈った。今後もマネージメント等の立場で格闘技に関わるという。

第8試合 準決勝(2) 3分3R(延長1R)
×グラウベ・フェイトーザ(ブラジル/極真会館/昨年世界GP準優勝)
○ピーター・アーツ(オランダ/チーム・アーツ/昨年世界GPベスト8)
2R 1'02" TKO (レフェリーストップ:左アッパーでダウン後)


 準々決勝(4)の勝者・ボンヤスキーは、レコ戦での2度のローブローの影響で控室で嘔吐しドクターストップ。次に権利を得る敗者・レコも、左足に大きなダメージを負ったといいドクターストップ。これにより、リザーブファイト(1)で武蔵をKOしたアーツのまさかの準決勝進出が発表されると、ホーストの引退の余韻を引きずっていた会場の空気が一気にヒートアップする。
 アーツは自分が本戦に出るチャンスが無いと思っていたといい、1Rはまだスイッチが入っていない様子。序盤からフェイトーザのブラジリアンキックが2度ヒット。アーツは一瞬ぐらつくがなんとか耐える。その後はアーツの右ロー、フェイトーザの左ミドルの応酬。
 1Rはまだ差が無かったが、2Rからは一気に試合が動く。アーツが距離を詰めると武蔵戦同様のパンチと蹴りのラッシュ。膝蹴りも絡めつつ、右フックと左アッパーの連打でダウンを奪う。フェイトーザは立ち上がったが、足元がおぼつかずレフェリーはストップ。昨年世界GPのフェイトーザを再現するかのように、アーツがリザーバーから決勝に勝ち上がった。

第10試合 決勝 3分3R(延長最大2R)
○セーム・シュルト(オランダ/正道会館/昨年世界GP優勝)
×ピーター・アーツ(オランダ/チーム・アーツ/昨年世界GPベスト8)
判定3-0 (御座岡30-27/岡林30-27/朝武30-28)

※2R左膝蹴りでアーツに1ダウン
※シュルトが2年連続2度目の優勝

 今年3月のニュージーランド大会で両者は対戦。その時は昨年GP覇者・シュルトをアーツが僅差の判定で破った。今回はK-1草創期をアーツと共に支えたホーストに、シュルトが引導を渡した後の対戦。奇跡の決勝進出を果たしたアーツへの声援はひときわ大きかったが、サプライズの連続はならなかった。
 1R序盤こそアーツが左右のフックとローで主導権を握るが、終盤にシュルトが左膝蹴りを当てたのをきっかけに、コーナーに詰めてのパンチと膝のラッシュ。アーツはなんとか耐え抜き、2Rにはパンチで挽回したが、その後再びシュルトの左膝を浴び、ダウンを喫する。
 アーツ万事休すかと思われたが、ここから驚異の粘りを発揮。シュルトをロープに詰め、武蔵とフェイトーザを沈めたパンチの連打で猛反撃。多くの観客が立ち上がり、会場はこの日一番の盛り上がりとなるが、シュルトは逃げ切る。結局3Rもシュルトがパンチと膝で手数多く攻め、アーツの4度目の優勝の夢は途絶えた。
 今年前半は新ルールに戸惑い苦戦したシュルトだが、決勝トーナメントではバンナ、ホースト、アーツと旧世代の実力者をことごとく破り2連覇を達成。果たして誰がシュルトを止められるのか? アーツの復活も光ったが、若い世代の成長が無い限り、当面はシュルトの天下が続きそうな気配だ。


◆本戦スーパーファイト

第9試合 3分3R(延長1R)
○バダ・ハリ(モロッコ/ショータイム)
×ポール・スロウィンスキー(オーストラリア/ファインダーズ・ユニ・ムエタイジム)
判定3-0 (黒住30-27/ヨシダ30-27/朝武30-29)


 開始しばらくこそ、スロウィンスキーが得意のローを当てていたが、ハリはすぐにリーチを活かした左ジャブと左ミドルを当て主導権。随所で右ストレートをうまく当て、最後までペースを握る。さすがに合計3ポイント差は大きすぎる気がするが、ハリの完勝だった。

◆オープニングファイト

第3試合 3分3R
○堀 啓(チームドラゴン)
×キム・ギョンソック(韓国/チーム・ラジェンカ)
判定3-0 (ヨシダ29-28/市瀬29-28/勝本29-28)

第2試合 3分3R
○澤屋敷純一(チームドラゴン)
×野田 貢(シルバーアックス)
判定2-1 (川上28-29/豊永30-29/梅沢30-28)

第1試合 3分3R
×高萩ツトム(チームドラゴン)
○佐藤 匠(極真会館)
2R 2'43" KO (3ダウン:パンチ連打)

Last Update : 12/04 12:16

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