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(レポ&写真) [PRIDE] 10.21 ベガス:ヒョードル、ショーグンら完勝

ドリームステージエンターテインメント "PRIDE.32 - THE REAL DEAL -"
2006年10月21日(土) 米国ネバダ州ラスベガス・トーマス&マックセンター

  レポート:井原芳徳  写真:Kevin Thompson  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】


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第8試合 5分3R
○エメリヤーエンコ・ヒョードル(ロシア/レッドデビル/PRIDEヘビー級王者/101.7kg)
×マーク・コールマン(アメリカ/ハンマーハウス/101.7kg)
2R 1'15" 腕ひしぎ十字固め

 しつこくタックルに来るコールマンをヒョードルは落ち着いてさばき、離れ際にパンチを当てギロチンチョークも狙う。1R中盤過ぎにはパンチラッシュから右フック。ダウンしたコールマンはそれでもタックルをやめなかったが、ヒョードルは容赦なく鉄槌とアッパーを叩き込む。コールマンは左目尻を切り目の下が腫れ上がりドクターチェックを受ける。2Rもコールマンはタックルでのテイクダウン狙い。ようやく倒す事に成功したが、ヒョードルは前回の対戦と同じく下から素早く腕十字を極め一本。堂々とした横綱相撲で復帰戦を白星で飾った。
 試合後のコールマンは二人の愛娘と抱擁。紹介VTRでも二人のために勝ちたいという内容がフューチャーされていた。42歳のコールマンは「また戻って来る」と誓った。

第7試合 5分3R
○マウリシオ・ショーグン(ブラジル/シュート・ボクセ・アカデミー/PRIDE GP 2005覇者/93.5kg)
×ケビン・ランデルマン(アメリカ/ハンマーハウス/92.2kg)
1R 2'35" 膝十字固め


 ランデルマンは肺に水の溜まる病気の手術に成功し、1年ぶりの試合。ゴング前から興奮状態がおさまらず、開始と同時にショーグンに突進して上になるが、ショーグンは落ち着いた様子。下からヒールホールド、アンクルホールドを仕掛ける。ランデルマンは苦痛の表情を浮かべながらもなかなかタップしなかったが、最後は膝十字がガッチリと極まりギブアップした。

第6試合 5分3R
○ジョシュ・バーネット(アメリカ/フリー/パンクラス無差別級王者/110.3kg)
×パウエル・ナツラ(ポーランド/高田道場/106.7kg)
2R 3'04" アンクルホールド


 9月のGPの時よりさらに5.8kg体重を絞ったジョシュだが、激しい2連戦から1か月半での試合はさすがにキツかったようで、調整不良を露呈。差し合いの攻防が続き、1Rはナツラに2度倒され主導権を譲る。終了間際、膝十字が極まりかけるがゴング。ナツラは右膝を痛めるが、2Rには疲れを見せ始めたジョシュに左右のフックをヒットさせあわや金星奪取かという場面も。さらにサイドポジションを取ると腕十字へ。だが仕掛けが甘く、ジョシュはリバースして上四方のような状態になると、すぐさまアンクルホールド。既に右足を痛めていたナツラはすぐさまタップし、ジョシュが辛うじて勝利した。

第5試合 5分3R
×ショーン・オヘア(アメリカ/バラー・ファイティング/124.8kg)
○バタービーン(アメリカ/チーム・バタービーン/180.7kg)
1R 0'29" TKO (レフェリーストップ:右フック)


 マーク・ハントがビザの問題により欠場。急遽オファーを受けたオヘアはスピードのない右ハイと左ミドルを当てるだけで、ビーンの右フックをもらうとあっさり失速。ビーンのパンチの連打を浴びた後、右フックで懐に飛び込んだが、脇を抱えられたまま右のパンチの連打を浴び、膝からマットに崩れ落ちた。

第4試合 5分3R
○ダン・ヘンダーソン(アメリカ/チーム・クエスト/PRIDEウェルター級王者/89.0kg)
×ビクトー・ベウフォート(ブラジル/フリー/93.0kg)
判定3-0 (ウィルソン・ハミルトン30-27/マーカス・ラザー30-27/ジェフ・コリンズ30-26)


 1R、ヘンダーソンがお得意の変則パンチ→タックルでテイクダウンに成功。ベウフォートはリバースに成功するが、下からの膝十字の仕掛けに失敗。後半も同様の流れとなるが、ベウフォートのリバースのカウンターでヘンダーソンはギロチンを仕掛け、上をキープする。
 2R以降はベウフォートのパターンを読んだヘンダーソンのペースに。上から腰を上げてちょうどいい距離を取り、強烈なパウンドを落とす場面も。3Rにリバースを許すと、場内は「ヴィトー」コールに包まれるが、この日のベウフォートからは覇気が感じられない。終盤にはヘンダーソンが足をつかんでリバースに成功し、コーナー際でバックを取りかける場面も。
 最後はベウフォートが上になるが時間切れ。各ラウンド10点法の一般的な採点法に基づき、ヘンダーソンに勝利が告げられた。

第3試合 5分3R
○フィル・バローニ(アメリカ/ハンマーハウス/88.1kg)
×西島洋介(日本/高田道場/88.5kg)
1R 3'20" TKO (レフェリーストップ:アームロック)


 バローニは西島の打撃戦に付き合うことなく、大振りのフックに合わせてタックルでテイクダウン。あっさりとサイドを取るとニーオンザベリーからのパンチや肩固めで攻め、最後はサイドポジションからアームロック。西島は耐えるだけで為す術なし。最後は島田裕二レフェリーが試合をストップした。

第2試合 5分3R
○中村和裕(日本/吉田道場/93.0kg)
×トラヴィス・ガルブレイス(カナダ/PGファイトクラブ/93.0kg)
2R 1'16" TKO (レフェリーストップ:膝蹴り)


 1R序盤、中村が左フックでガルブレイスをダウンさせる。だがダメージは小さめ。ガルブレイスは下から腕十字を仕掛け、ダメとみるや膝十字に移行し、最終的にはリバースに成功してみせる。ラウンド最後には中村が大腰を成功。アメリカ人の観客を楽しませる。
 2Rは中村が先にグラウンドで攻める展開からスタート。スタンドに戻すと、ガルブレイスは急なオファーの影響か、息切れ状態に。コーナーに押し込まれた中村だが、冷静に対処し頭を下げさせて膝蹴り。亀になったガルブレイスにパンチを連打したところでハーブ・ディーン・レフェリーが試合をストップした。

第1試合 5分3R
○ロビー・ローラー(アメリカ/ミレティッチ・マーシャルアーツ/84.0kg)
×ジョーイ・ヴィラセニョール(アメリカ/ジャクソンズ・サブミッション・ファイティング/84.0kg)
1R 0'22" TKO (レフェリーストップ:飛び膝蹴り)


 ローラーがサウスポーの構えで周り左ハイをヒット。ヴィラセニョールがコーナーに下がると、左の飛び膝を決め、見事秒殺勝利をおさめた。


■高田本部長、シウバらがマイクアピール

 第5試合終了後の休憩明けには、高田延彦PRIDE統括本部長がリングイン。「ハロー、アメリカ!」という呼びかけから、最後まで英語中心で喋り続け、「PRIDE is here to stay」とも話し、継続開催を約束した。続いて「出て来いや!」という日本でと同じ呼びかけの後、吉田秀彦、藤田和之、桜井“マッハ”速人がリングイン。藤田は「Next time, My time」と話し、来年2月24日(土)今回と同会場で開催される「PRIDE.33」への出場を希望した。
 セミのショーグン戦の前には、PRIDEミドル級王者・ヴァンダレイ・シウバも登場。UFCライトヘビー級(93kg)王者・チャック・リデルへ対戦を呼びかけた。
 なお、DSE側が招待していたマイク・タイソンは来場しなかった。

【総評】“本物”の勝負は来年から

 初のアメリカ大会は、ルール、審判団の7割方を除き、日本のPRIDEのショーをほぼそのまま輸出したような格好に。舞台演出や音響はもちろん、開会式、休憩前のラウンドガールのパフォーマンスまでもそのまま。アメリカのPRIDEファンは日本の大会とほぼ同じ雰囲気に熱狂した。
 最も大きな声援が飛んだのは、アメリカ人のコールマンでもヘンダーソンでもなく、それぞれの対戦相手のヒョードルとベウフォートだった。アメリカ人びいきの傾向の強いUFCのファン層と、国籍に関係無く伝説を築いて来た実力者を応援するPRIDEのファン層の違いが浮き彫りとなった。大会前のレフェリー・ジャッジ紹介で、ネバダ州アスレチックコミッションの面々にブーイングが飛び、日本から来た面々に声援が飛んでいたことも印象的だった。
 客入りはほぼ満員で、どれも動きの多い試合に。一回目の大会は多くの人にPRIDEの魅力のアピールすることに成功した。二回目以降は一回目に訪れた客をどれだけリピーターにできるか、そして新たなファン層をどれだけ開拓できるかが課題となる。武道館規模の会場に東京ドーム並みの舞台演出を施したといわれるが、選手のギャラを含め、費用対効果の面も無視できない。UFCを筆頭としたアメリカの各団体も、日本からの侵攻に黙ってはいないだろう。はたしてこれらの状況に、PRIDEはどういった策を打つか? アメリカでのPRIDEの「REAL DEAL(本物)」の勝負は、来年から始まる。

Last Update : 10/24 22:39

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