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(レポ&写真) [パンクラス] 9.16 ディファ:川村、アカーシオから金星

パンクラス "SEGA SAMMY Presents PANCRASE 2006 BLOW TOUR"
2006年9月16日(日) 東京・ディファ有明

  レポート:本庄功志  写真:井原芳徳  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】

第9試合 ライトヘビー級 5分3R
○川村 亮(パンクラスism/06年度ネオブラッド・トーナメント・ライトヘビー級優勝・MVP)
×ダニエル・アカーシオ(ブラジル/シュート・ボクセ・アカデミー)
2R 2'40" KO (右フック)


 川村亮がやらかした。今年のMMAで一番と言ってもいいアップセットをだ。初の3回戦、初の国際戦。仕留めた相手はPRIDEのリングでも猛威を振るったアカーシオだ。もしismの新星が敗れたとしても近藤有己という大将がいる。近藤戦の前哨戦とも思われたが、川村が大将に辿り着かせることなく撃破してしまった。

 アカーシオが開始いきなりの飛びヒザで奇襲を仕掛ける。両者序盤からパンチの打ち合いを演じ、アカーシオの左フックが先制ヒットするも川村は冷静だ。川村はワンツー、左右のフックとパンチを振っていくも当たらず、アカーシオの強烈なロー、ジャブで懐に入れず苦戦。中盤にアカーシオの左フックがクリーンヒットすると、川村がマウスピースを吐き出しダウン。踏みつけの追撃を喰らうも、川村は相手に組み付いてなんとかその場は凌ぐ。ラウンド後半にはタックルを切られ、またも踏み付けをもらってしまい予想通りともいえる苦戦の展開。

 2Rに入りアカーシオのストレートのようなジャブがヒットし、川村がぐらつく。しかし「技術うんぬんより気持ちで勝負」という川村は、大振りながらもパンチを返す。打ち合いの中、川村の右ストレートがコツンと当たる。当人は右目も腫れダメージの色は隠せないものの、パンチの勢いはまだ衰えていない。とはいえ終始劣勢なのは変わらず。このまま何も出来ず負けてしまうのかと思われた2R中盤。「適当に振ったら当たっちゃった」とフィニッシュショットとなる右フックがアカーシオのテンプルに直撃。前のめりに倒れたアカーシオを見て、レフェリーはすぐさま試合を止めた。

 大金星をやってのけた川村は歓喜の雄叫びをあげ、会場は割れんばかりの歓声。川村はマイクで「パンクラスを背負っていきます!」と力強いアピールをした。
 この日の全出場選手のインタビューはファンに公開され、川村はたくさんのファンに囲まれた。ファンがあっての自分と自覚している川村にとって、絶好のシチュエーションだ。「ここにいる人達みんな覚えてるんで、次も必ず観に来てください」とパンクラスを背負う立場として周りのファンにアピールした。坂口征夫も勝ち、勝つべき人が勝った大成功と言える興行だったのではないだろうか。ニューヒーローが誕生した2006年9月16日。この日はパンクラスにとって忘れられない日になるのかもしれない。

◆川村「(気分は?)わかんないですけど、気持ちいいですね。それだけです。てか僕のパンチ当たってないし。適当に振ったら当たっちゃった。手応えもわかんないっす。1つ言えることは今まで生きてきて、培ってきたものは間違いじゃなかったかなと。人間力、生命力で勝負すると。
(気持ちが途切れることはあった?)パンチもらって痛かったですけど、痛いと思ううちは大丈夫なのかな。冷静でいいのかなと思いました。
(パンクラスを背負うと言っていたが?)もちろん。こんな僕ですけど。自分が盛り上げて、盛り上がれば上の人も盛り上がると思います。今日はいつもお世話になっているismの人達が喜んでくれてすごい嬉しいです。あと勝った事よりお客さんが残ってくれてるのがすごい嬉しいです。
(今後は?)もっとパンクラスから発信して僕を観に来るお客さんを増やします。
(PRIDEのリングが見えてきた?)自分PRIDEのリング上がるためにやってるわけじゃないんで。パンクラスというリングがあるじゃないですか。PRIDEを否定してるわけじゃないですけど、パンクラスがあるんでこのリングに上がりたいです。(ファンへ)気持ちで絶対負けない試合をするんで、次必ず観に来てください」

◆アカーシオ「(心境は?)いい気分です。KOされましたがダメージはないです。ただ止められたのが納得いきません。11月か12月にリベンジしたいです。自分もKOしましたが、川村も2回ほど倒れたから同じKOです。相手のほうがダメージが多かったのに、なぜレフェリーは試合を止めなかったのか。今からでももう1回試合できます。レフェリーは早く試合を止めたことは反省したほうがいいでしょう。シュートボクセはリング上で死んだら負けです。次はどちらかが倒れるまで時間無制限でやりたいです。(審判団に提訴はする?)そこまではしません。自分が負けたことは受け入れます。ただレフェリーには感情を入れず公平にやってほしい」

◆尾崎允実パンクラス社長「川村やっちゃいましたねぇー。正直、この試合は川村にいい経験になればいいとぐらいにか思っていなかったんですけどね。こういう勝ち方はラッキーじゃなくて、足跡を残すということでいいと思います。
 坂口選手は父の征二さんに電話を入れて、プロとしてオファーを出したいと話しました。今後大きい大会を一つやって2006年のパンクラスを締めたいです。いい景色が見えてきましたね」

第8試合 ウェルター級 5分3R
×和田拓也(SKアブソリュート/ 7位)
○カーロス・コンディット(アメリカ/ファイターズ・イン・トレーニング/3位)
3R 4'22" アームロック


 コンディットは右ストレートをヒットさせ、尻餅を付いた和田を踏み付ける等、パワフルに攻める。グラウンドになると腕十字を狙い、極められなかったがまたしても踏みつけ、サッカーボールキックと容赦なく和田を攻め立てる。
 2Rには和田のタックルを切ったコンディットがマウント、バックと有利なポジションをキープし圧倒。だが徐々にスタミナが切れてきた様子が見られる。

 3R序盤からバックを奪ったコンディットだったが、前に落とされパウンドをもらってしまう。下からアームロックを狙うと、和田が体を移動して外す。スタンドに戻ると、タックルに来た和田に、コンディットは切りながらアームロックを極める体勢に入っている。そのままグラウンドになると、極めている腕を捻り上げ勝利した。

◆コンディット「すごいいい気持ち。もっとグラウンドテクニックを出したかったのですが、その他は完全にパーフェクトでした。和田は守りの選手という印象で、攻めて早く試合を終わらせようと思っていました。タイトルマッチは、もっと練習して挑むチャンスがあれば勝ちます。これからもみんなに楽しんでもらえるような試合をします。
(日本語を練習しているということだが?)アリガトウゴザイマス・・・他は次回までにいろいろ覚えてきます。スイマセン」

第7試合 ウェルター級 5分2R
×小路伸亮(KILLER BEE)
○星野勇二(和術慧舟會GODS)
判定0-3 (廣戸19-20/梅木18-20/和田18-20)


 星野がパンチを振っていくと、小路が組み付いて逃れるという展開が続く。ラウンド終盤には両者打ち合うも決定打に欠ける。2Rに入り星野がテイクダウンを取ると、マウントを奪取し小路が逃れるところを捕まえてフロントチョークをキャッチする。星野は体が浮くほど強く絞めたが、小路は離れ際に星野のグローブを掴んでしまいイエローカードをもらう。両者後半はガス欠気味で、目立った攻撃はなかったものの、積極的に攻めた星野が判定で勝利した。

第6試合 フェザー級 5分2R
×砂辺光久(REAL)
○井上 学(U.W.F.スネークピットジャパン)
判定0-3 (廣戸19-20/梅木19-20/和田19-20)


 井上がローなどの足技を駆使し相手を翻弄し、右ストレートで砂辺の腰を一瞬落とす場面も。グラウンドでは井上が上になる時間が長く、試合終了間際にはスピニングチョークを狙ったが極まらず判定へ。手数多く、終始アグレッシブに攻めた井上が判定で勝利した。

第5試合 スーパーヘビー級 5分2R
○河野真幸(フリー)
×ダニエル・リオンズ(オーストラリア/フェアテックス・ジム)
1R 3'46" TKO (レフェリーストップ:グラウンドでのパンチ)


 リオンズの上半身はほとんど刺青に覆われており、見た目かなりいかつい。強烈な左ローを放つと、河野の足が流れる。しかしタックルからテイクダウンを奪った河野は、サイドに回りアームロックを狙う。下からパンチの抵抗はあったものの、すんなりマウントを奪い、バックになったリオンズにパンチを連打し完勝した。

◆河野「序盤のローにビックリしました。とりあえず近づこうと。どんな形でもいいんで組み付くしかないと思ってました。(だいぶ総合慣れした?)してないですねー。してたらもっとカッコイイ勝ち方してます。だから慣れるためにもどんどん試合したいです。まだ2Rを経験してないんで未知の領域ですね。(ファンへ)またパンクラスに出るんでお願いします」

第4試合 ヘビー級 5分2R
×桜木裕司(掣圏会館)
○水野竜也(U-FILE CAMP登戸)
2R 3'20" チョークスリーパー


 水野は距離を潰し、相手の打撃を出させず徹底してテイクダウンを狙う。桜木は水野がパンチを放ってきて、得意の打撃戦になるものの、打ち合わず相手に組み付かれてしまう。
 2Rは水野がグラウンドで上になると、マウント、バックと優位なポジションをキープ。桜木は寝技になると相変わらずの劣勢で、パウンドもらい続けると最後はスリーパーを極められ完敗。水野は本戦初登場にして、実績も経験も上の桜木から金星を奪った。

第3試合 ミドル級 5分2R
○金井一朗(パンクラスism/8位)
×久松勇二(和術慧舟會TIGER PLACE)
判定3-0 (松宮20-18/和田20-18/廣戸20-19)


 マスクを被り、上半身裸でピンクのパンツを履いたダンサー達が、久松の入場に花を添える。試合は久松が左のロー、ミドルで金井を寄せ付けない。しかしラウンド終盤、金井の右フックが相手のテンプルを捕らえ、久松が尻餅を付く。金井が追撃で試合を終わらせようとするもラウンド終了。2Rも金井がパンチに来たところを久松が左ミドルで距離を取る。しかし金井が右のロングフックを度々ヒットさせ、判定で勝利した。

第2試合 ライト級 5分2R
×荒牧 拓(パンクラスP's LAB横浜)
○Dr.Yoshimura(K.I.B.A.)
判定0-2 (松宮19-20/和田19-20/廣戸20-20)


 荒牧が相手のミドルを掴みテイクダウンを奪うも、下からYoshimuraがオモプラッタを仕掛け上下を入れ替える。だが荒牧はすぐさま足関節を狙っていき、Yoshimuraもそれに応える。両者足を取り合うが、Yoshimuraは徐々に防戦一方に。荒牧も果敢に攻めるもYoshimuraに顔を蹴られ極めることができない。
 2R、Yoshimuraが右ストレートなどを当て、スタンドでは一歩リード。残り1分になった時、Yoshimuraが荒牧のタックルを切って潰すとパウンドを連打。試合は僅差でYoshimuraが勝利した。

第1試合 フェザー級 5分2R
○島田賢二(パンクラスP's LAB東京)
×裕希斗(U-FILE CAMP.com)
判定3-0 (松宮20-19/和田20-18/廣戸20-19)


 序盤島田の右アッパーで裕希斗がぐらつく。しかし裕希斗もカウンターの右ストレートをヒットさせるなど応戦。1R終盤には島田がヒールホールドを仕掛ける場面も。
 2Rも島田が左ストレートなどを当て、スタンドでの打撃で試合を有利に進める。残り1分になると、裕希斗がパンチでラッシュを仕掛けてくるも、島田は距離を潰しフットワークでかわす。島田は最後まで決定打をもらわず、判定で勝利した。

◆ パンクラスゲート

第2試合 ウェルター級 5分2R
○坂口征夫(坂口道場)
×小野明洋(チームタイゴン)
2R 2'47" KO (スタンドでのヒザ蹴り)


 坂口征二の息子、坂口憲二の兄がパンクラスゲートに登場。多くの報道陣がつめかけ、坂口の支援者の数も多く、アマチュアの試合とは思えない雰囲気だ。
 坂口はいきなり飛びヒザを見せる。組んでは首相撲でのヒザ、離れ際にパンチを当てると会場からは早くも坂口コール。しかし小野も左ストレートや左右のフックを当て坂口のまぶたを切る。
 2Rに入り坂口が前にプレッシャーをかけ、「空手時代からの得意技」だという首相撲でのヒザを幾度と無く放つ。小野も左ローで応戦するも、坂口が距離を潰し、再びヒザの連打でKO勝利。試合後尾崎代表からは「雰囲気持っている。大合格でいい。プロとしての素質を持っている。DNAってすごいね」と太鼓判を押された。

◆坂口「嬉しい、最高に幸せです。でも試合内容は赤点です。スパーしている時はすごい緊張していたのですが、リングに上がったらとにかく気持ちよかったです。試合は全部危なかったですけど、殴って蹴って打ち勝ったと思ってます。パウンドありでやりたかったですね。スタミナは思ったより持ってくれました。
(決め手の)ヒザは空手時代からの得意技で、パンチとヒザで決めようと思っていました。家族からは『好きなように暴れて来い。最初と最後はちゃんとコメント出せよ』と言われました。格闘技は35歳まで。あと2年をメドにやっていこうと思っています。プロになっても父と憲二は呼びません。二人は関係ないんで」


第3試合 ミドル級 5分2R
○藤井陸平(和術慧舟會RJW)
×長屋圭三(高田道場)
1R 2'14" 腕ひしぎ十字固め

第1試合 フェザー級 5分2R
△山澤勇紀(スタンド)
△廣瀬 勲(ストライプル)
時間切れ

Last Update : 09/17 20:25

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