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(レポ&写真) [PRIDE] 9.10 埼玉:ミルコ、シウバ&ジョシュ下し優勝

ドリームステージエンターテインメント "PRIDE無差別級グランプリ2006 決勝戦"
2006年9月10日(日) 埼玉・さいたまスーパーアリーナ  観衆:47,410人(満員)

  レポート:井原芳徳、本庄功志  写真:井原芳徳  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】


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第2試合 無差別級GP 準決勝 1R10分・2R5分
○ミルコ・クロコップ(クロアチア/チーム・クロコップ)
×ヴァンダレイ・シウバ(ブラジル/シュートボクセ・アカデミー/PRIDEミドル級王者)
1R 5'22" KO (左ハイキック)


 4年前の試合では両者の立場ははっきりしていた。ミルコがK-1からの外敵としてPRIDEに乗り込み、シウバがPRIDE代表として迎え撃つという形だった。時は流れ無差別級GP準決勝という舞台で相まみえた両者は、お互いがPRIDEの顔という立場になり、双方意地とプライドがあるだろう。予想通りの激戦となった試合は、無情にも両者の無差別級での実力差が浮き彫りになった。

 試合が始まると、シウバが左右のフックで突進し一気に間合いを詰めにかかる。だがミルコは得意の速いフットワークで受け流す。重く鋭い左ミドルを放ち、前へじりじりとプレッシャーをかけていくと、シウバがタックルでテイクダウンを狙う。それを簡単に切ると潰してパウンドと鉄槌の連打で早くもシウバを追い詰める。
 劣勢のシウバ。蹴って突き放しなんとかスタンドに戻すも、ミルコの左ストレートがクリーンヒットし、ゆっくりとダウン。ミルコが追撃のパウンドを連打し、早くも試合終了かと思われたが、シウバはかろうじてラッシュを耐え凌ぐ。しかし右目が大きく腫れ上がりドクターチェックが入る。シウバが「もう少しやらせてくれ」というようなサインを手で示し、長らく話し合われた末試合再開。

 シウバは下からミルコの腕をホールドし、パウンドを打たせないようにしながら体力回復に努める。ほどなくブレイクがかかると、シウバにイエローカードが提示される。再びシウバが果敢に前へ出て、ミルコの距離にさせないよう詰める。左ミドルに合わせてパンチを返すなどプレッシャーをかけるも、左ミドルに気をとられミルコの必殺技を忘れていたのだろうか…。
 少しの間が空き、ミルコが蹴りを放つ。シウバはミドルだと思ったか、右のガードを一瞬下げる。だがミルコの狙いは頭だった。シウバはガードを上げるも時すでに遅し。かすめるようにテンプルにヒットすると、PRIDEのリングでは見せたことのない倒れ方をし、試合終了。ミルコの完勝で4年越しの決着はなされ、ほぼ無傷の決勝進出となった。シウバは試合後病院に直行した。(本庄)

第3試合 無差別級GP 準決勝 1R10分・2R5分
×アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ(ブラジル/ブラジリアン・トップチーム)
○ジョシュ・バーネット(アメリカ/AMCパンクレイション/パンクラス無差別級王者)
判定1-2 (三宅=ノゲイラ/小林=バーネット/足立=バーネット)


 国立競技場でのジョシュの対戦要求から4年。ついに実現した一戦は、両者の総合技術が存分に発揮される好内容に。ジョシュは大会終了後、この試合内容を「キャッチレスリング・ワンって感じ」と表現したが、柔術とUWF系のサブミッションがこれほど美しく融合した試合は稀だろう。

 先手を取ったのはジョシュだった。序盤は動きが硬かったものの、ボクシングと差し合いの繰り返しの後、左フックでノゲイラをダウンさせる。とはいえダメージは小さく、ノゲイラは足を効かせて防御すると、リバースしてサイドを奪う。
 ところがグラップリングでもジョシュは負けてはいない。ブリッジで脱出すると、立ち上がり際にギロチンを仕掛ける。さらに再び寝技に持ち込むと、アキレス腱固めでチャンスを得る。ノゲイラに外されるとマウントを取られ、残り1分に腕十字を仕掛けられるが、ジョシュはポイントをずらして脱出する。目まぐるしく攻守の入れ替わるスリリングな展開に、場内は大盛り上がりとなる。

 2Rも見応えある攻防に。ノゲイラのタックルを切ったジョシュは上になるが、1R同様ノゲイラはリバーサルに成功する。ジョシュはあっさりとマウントを許すものの、その先の攻撃は許さず、ブリッジで返して再び上に。一瞬ノゲイラにバックを許しそうになるが、上をキープ。立ち上がって踏みつけを狙い失敗するも、ラウンド終了間際には膝十字を極める。ジョシュの試合後の話によると、ノゲイラはこのとき悲鳴を上げていたといい、終了のゴングに救われる。
 両者に大差が無く、判定の難しい試合となったが、スプリットでジョシュに軍配が上がった。ダメージ差はさほど無く、ポジショニングではノゲイラが上回った。だがジョシュは1R最後の腕十字以外、相手に大きなチャンスを許さなかった。1Rには左フックでダウンを奪い、サブミッション含め、チャンスの数の差では上回った。とはいえ、もう1Rあればわからなかった展開。いつか通常のラウンド制で再戦が実現し、新たな“融合”が見られる日が来ることを期待したい。(井原)

第9試合 無差別級GP 決勝 1R10分・2R5分
○ミルコ・クロコップ(クロアチア/チーム・クロコップ)
×ジョシュ・バーネット(アメリカ/AMCパンクレイション/パンクラス無差別級王者)
1R 7'32" KO (タップアウト:グラウンドパンチ)
※クロコップが優勝


 5分少々でシウバを料理しほぼ無傷のミルコ。15分の接戦の末勝利を得たジョシュ。決勝は二人の勢いの差がくっきりと現れる。結末はややアンフェアだった。しかし大会後のジョシュは「今日はまさしくミルコのための夜だった。彼があの体調をこれからも維持すれば、なぜ僕が負けたかわかってもらえると思う」と完敗を認め、この日が32歳の誕生日だったミルコも「今日は神様に与えられた僕の日だった。もし今日ヒョードルが4強にいたとしても勝てた」と喜びと確信を口にした。

 リング外では二人は友人。過去2度の戦いを通じ、なぜか心が通じ合った。両国の国歌斉唱の後のルール確認中、ジョシュはミルコの左目を触り、「まつげが目の中に入っているから取ったほうがいいよ」とジョークを飛ばす。ミルコは珍しく笑顔を浮かべるが、試合になればお構い無しだ。
 序盤から強烈な左ミドルでジョシュの絞られた腹部にダメージを与える。海老反るジョシュだが、うまく回って距離を取ると、右ハイキックでけん制。右ローも当てると、珍しくミルコの足が流れる。
 その後もジョシュは左ミドル、左ボディ、左アッパーを浴び続け劣勢。捨て身で左ミドルを捕まえてテイクダウンを狙うが、ミルコは倒れない。パンチ、膝で攻め、嫌がったジョシュは倒れ込み下に。この時ミルコは右眉尻を出血しドクターチェックを受けるが、深刻なダメージでは無く試合は再開する。

 ジョシュは体力回復をしつつ、下から腕を狙うが、ミルコは振りほどいてアリ猪木状態に。スタンドに戻れば、やはりミルコの独擅場だ。序盤の打撃戦と同様の攻防が繰り広げられ、ジョシュも応戦するが、流れを変えられない。左アッパー、左ボディの連打を浴び、ついにダウン。
 大チャンスのミルコはここぞとばかりパウンドと鉄槌で猛ラッシュを仕掛ける。場内が大きなジョシュコールに包まれると、ミルコファンからも負けじとミルココールが沸き起こる。顔を腫らしたジョシュはクロスガードで密着して防御。ミルコも数十秒猛撃を休めるが再開。ジョシュは起死回生の足関を狙うが、この時防御しようとしたミルコの指がジョシュの目に入ってしまう。
 ジョシュはこの時の出来事について「ミルコの居場所がわからなくなり、顔を蹴られたく無かったからタップした。でもこれは故意ではなく練習でもよくあること。ミルコは試合後僕に謝ってくれた」と試合後振り返った。もしフェアな状態で続いていたとしても、ダメージを考えればジョシュが足関を極められた可能性は低く、ミルコの勝ちは時間の問題だっただろう。
 
 悲願のベルトを巻いたミルコは涙。「僕だって人間だから涙を流すよ」。インタビュースペースでその時の気持ちを照れくさそうに振り返る。普段のマイクアピールは英語だが、この日英語で喋ったのは最後に数十秒のみで、1分近くクロアチアで喋り続ける。残念ながらクロアチア語の通訳が無く、内容はわからなかったが、母国の支援者や仲間へのメッセージだろうか。ミルコ・クロコップが、素のミルコ・フィリポビッチに戻った一時だったのかもしれない。

 だがミルコに休息は許されない。榊原信行DSE代表は、大晦日の男祭りでのヒョードルとの頂上対決実現を明言。アメリカ出身のジョシュとともに、10月のラスベガス大会にも出場させたい考えを示した。
 試合後、ミルコはジョシュに長々と話しかけ、一緒にクロアチアで練習しようと約束したという。ミルコは「ジョシュとはウマが合う。彼には『これまで3度戦ったから、もう戦うのはやめよう』と言った。彼のファイトスタイルは好きだ。彼がベストシェイプなら、彼に勝てる選手はいないんじゃないか」と話す。実力の近い練習相手に恵まれないミルコにとって、ジョシュはヒョードル戦に向けての絶好の練習パートナーとなりうる。仮想ヒョードルとしてはややスピードが物足りないが、ノゲイラをもサブミッションで攻略した頭脳も、ミルコにとって必要なものなのだろう。
 ミルコ・フィリポビッチとジョシュア・ローレンス・バーネットの友情物語という美談で片付ければ本質を見誤る。トップアスリート、ミルコ・クロコップの“頂点まであと一歩、もうミスはしたくない、もうミスは許されない”という、祖国愛や友情も力に換える驚異的な勝利への執念にこそ、この日の感動の本質を見た。(井原)

◆ミルコ「人生最高の日、最高のバースデープレゼントをもらった。今日はあらゆる面で僕の日だった。僕が世界最強の一人ということがわかってもらえたと思う。ヒョードルとは必ず試合で決着をつける。もし4強の中にいたとしても、今日の自分の戦い方だったら勝っていた。(涙の意味は?)自分も人間だから涙くらい流すさ。決勝はどちらがきても自分の試合をするだけだった。シウバは選手としてリスペクトしている。(ジョシュについて)ファイトスタイルが好き。リングを降りれば一人の友人。『3回も試合をしたからもう試合するのはやめよう』と話した。ベストシェイプの彼には誰も勝てないのではないか。彼にクロアチアに来て一緒に練習しないかと試合後誘った」

◆ジョシュ「オツカレサマデシタ。(準優勝だが?)ザンネンダネ。今日はキツイ夜でした。自分の思う流れにできませんでした。(ノゲイラ戦は?)キャッチレスリング・ワンって感じかな。でもキツイ試合でした。体のギアが入らず思うような動きができませんでした。周りからいい試合だったと言われたのが救いです。フロントチョークとヒザ十字はノゲイラの悲鳴が聞こえたのでタップしてもよかったと思います。ノゲイラに関節技を極めたのは自分だけだと思います。(ミルコとはもう1回?)2回目が終わった後ももう1回やりたいと思い、倒したいと思いました。それは自分が最高のファイターになる為です。ミルコにはベストのコンディションを維持してほしい。そしたら、僕が負けたことが理解できると思います。(ミルコが一緒にトレーニングしようと言っていたが?)是非行きたいです。(最後のタップは?)あれはアクシデントです。レッグロックを狙っていたら、ミルコの指が目に入って何も見えなくなりました。それで頭を蹴られたくないと思いタップしました」

◆榊原代表「ミルコがベルトを巻いて涙したのを見て、思わずもらい泣きしてしまいました。4人は最高の準備をして、妥協せずベストで来てくれたのは奇跡ではないだろうかと思います。ショーグン、アローナなどの若い世代が今後のプライドを引っ張っていってくれるのではないかと思います。怪我が無ければミルコをアメリカ大会に出したいです。それで大晦日にヒョードル戦を実現させたいと思っています。シウバに関しては11月のUFCでチャック・リデルと戦わせたい。シウバが負けることはないと思います。
(イ・テヒョンは)準備が全くできていなかったですね。でも打たれ強さとハートの強さ、潜在能力の高さは感じられました。(西島洋介は)残念でしたね。寝技を練習していて、対応できると期待していたんですけど残念です。厳しいのが現実。試合を続けるのかどうか話し合って、続けるのであればしっかり準備してこなきゃダメ。日本人は厳しい現実です。エース不在で“俺がエースだ”というのがミドルでもヘビーでも出てきてほしいです。
 ミルコvsジョシュはまたフレッシュな形でワンマッチが見たいと思います。ハリトーノフとショーグンは復帰戦という事で、思ったよりキレがなかったですね。ハリトーノフは昔のような寡黙に相手を仕留めにかかる恐さが感じられなかったです。(ショーグンは)アメリカ大会のランデルマン戦が正念場ですね。ジョシュもミルコもオフがあると思いますが、気持ちを切り替えてアメリカ大会に出ると思います」

◆ その他の試合


第4試合 無差別級GP リザーブマッチ 1R10分・2R5分
×セルゲイ・ハリトーノフ(ロシア/ロシアン・トップチーム)
○エメリヤーエンコ・アレキサンダー(ロシア/レッドデビル)
1R 6'45" KO (グラウンドパンチ)


 アレキサンダーの高速フックを警戒してか、ハリトーノフはタックルでグラウンドに持ち込もうとする。しかしそれを切るとアレキサンダーは徹底してスタンド勝負。ただハリトーノフのボクシングテクニックも高いものがあり、相手の打撃を間一髪でかわしながら、パンチを返していく。お互い一発で仕留めるパンチを持っているので、序盤はスリリングな打撃戦を展開する。
 アレキサンダーが右ストレートを放つと、ハリトーノフのカウンターの右フックが炸裂しアレキサンダーがダウン。そこからあっさりマウントを奪うと、ここから殺戮の公開処刑が始まるのかと思いきや、そうはさせまいとアレキサンダーが上手くガードに戻しブレイクを誘う。
 ブレイク後ハリトーノフは左のインローで相手の足を止めようとするも、アレキサンダーのロシアンフックは衰えを知らずどんどん前に振り回してくる。打撃戦の中、アレキサンダーの右ストレートがヒットするもハリトーノフが「もっと打ってこいよ」と頬を叩き挑発。しかしもう一発もらうと効いたのか苦し紛れにタックル。アレキサンダーが簡単に潰すと、パウンド、ヒザの連打で動きがなくなってきたハリトーノフを見てレフェリーが試合を止めた。(本庄)

◆アレキサンダー「大変良い気分です。怪我も無いし、まだ戦えます。(本戦には出られないが?)出たかったですけどこういう運命だったのでしょう。次のGPは勝ちあがって決勝に行きたいです。前回ジョシュと戦った時は熱があり、1Rでスタミナが切れてしまいました。だから今回はそれを繰り返さないよう気をつけました。
(ヒョードルからはなんと言われた?)ただ一言、『勝ってこい』と。(相手はかつての同門だったが?)ハリトーノフは人間的に変わったと思いました。ちゃんと接して欲しかったです。それに対しての報いを今日受けたと思っています。昔ヒョードルとハリトーノフは一緒に練習しており、多くの事を学んだと思います。しかしハリトーノフは自信がついてくるとヒョードルを倒したいと言う様になりました。」

◆ハリトーノフ「ロシアという国をかけて戦いましたが勝つことができませんでした。意識を失ってもいないし、ダメージも負ってないです。(止められて不満そうな顔をしていたが?)軍隊では最後まで行ないます。自分としては戦いたかったのですが、運営としては止めて正しかったと思います。復帰戦としては上出来で、今の自分に出来ることはしたと思います。(アレキサンダーが『リスペクトが足りない』といった話をしていたが?)それは正しくありません。同じスポーツマンとして接しているし、ヒョードル、アレキサンダーを尊敬しています。」

第7試合 ミドル級 1R10分・2-3R5分
○マウリシオ・ショーグン(ブラジル/シュート・ボクセ・アカデミー)
×ザ・スネーク(フランス/Team BOON!)
1R 5'19" KO (頭部の踏み付け)


 序盤のショーグンはリーチのあるスネークに苦戦。上手く自分の間合いに入れないのか、パンチを当てることができない。スネークは飛びヒザを放つなど、強敵相手にも気負うことなく攻めていき、スタンドでは有利に試合を運ぶ。
 ショーグンはグラウンドで戦う作戦だったのか、徹底してテイクダウンを狙う。相手を寝かし幾度と無く良いポジションを奪うも、スネークに上手くスタンドに戻されてしまい、やはり7ヶ月のブランクがあったことは否めないか。
 数度のトライでようやくマウントを奪うことに成功したものの、またしても相手に逃げられてしまう。しかし素早く相手の上四方に回ると、サッカーボールキック、踏みつけの“ショーグンショー”がスタート。こうなったショーグンはもう止められない。えげつない攻撃に成す術が無くなったスネークは、動くことができず試合はストップされた。(本庄)

◆ショーグン「7ヶ月空きましたが、フィジカル面でもよくトレーニングできてよかったです。(シウバが負けて動揺した?)不安はありました。シウバは世界NO.1の選手ですが、負けることもあります。これから沢山練習して、シウバは経験豊富なのでこれから良い試合ができると思います。(スネークは)強い選手だったので、またプライドで戦うチャンスはあると思います。(1ヶ月後にはアメリカ大会があるが?)アメリカ大会はフジマール会長に直々に頼んでの出場なので、全く問題ないです。(対戦相手の)ランデルマンは強い選手なので、難しい試合になると思います」

◆スネーク「PRIDEに出ることができて誇りに思いますし、ミドル級GP王者と戦えた事はとても光栄です。ただ、準備期間が2週間しかなかったので、もっと欲しかったです。フランスでMMAは法律で禁止されており、プロとして戦うことができません。外国に出て行って試合をするという事しかできません。フランスには良いファイターがいないと思われがちですが、今回の試合でフランスにも良いファイターがいるということがわかってもらえたと思います。是非もう1度チャンスをもらいたいです」

第8試合 ミドル級 1R10分・2-3R5分
○ヒカルド・アローナ(ブラジル/ブラジリアン・トップチーム)
×アリスター・オーフレイム(オランダ/ゴールデン・グローリー)
1R 4'28" タップアウト (右ふくらはぎの負傷)


 序盤はアリスターが勢いよく前へ攻めて行くも、アローナが左ローを放つとアリスターは簡単にバランスを崩してしまう。「このローで足が麻痺してしまった」とアリスターが試合後語ったように、もうこの時点で試合は決まっていた。
 アローナが上になると感単にサイドを奪いヒザ、バックにポジションが移るとチョークとやりたい放題。バックから振りかぶって強烈なパンチを放っていくと「足が動かなくて脱出することができなかった」とアリスターがあっさりタップ。ミドル級のタイトル戦線を占う一戦は、なんともあっけない結末となってしまった。(本庄)

◆アリスター「作戦は打撃でメチャメチャに痛めつけた後、グラウンドで極める予定でした。しかしローをもらったら作戦が変わってしまいました。(前日は再計量だったが?)前回のホジェリオ戦が95kg契約だったので、今回もそうだと思っていたのですが、PRIDE側に93kgだと言われました。双方のコミュニケーション不足だと思います。アローナがタップした後に1発パンチをしてきたので、いつか仕返ししてやろうと思います。再戦したいので、後押しをお願いします。次は必ずKOします」 ※アローナはノーコメント

第6試合 ヘビー級 1R10分・2-3R5分
○中村和裕(日本/吉田道場)
×中尾“KISS”芳広(日本/フリー)
判定3-0 (都鳥=中村/足立=中村/ヒューム=中村)


 キス発言ですっかりPRIDEではイロモノ的な感じに見られている中尾だが、確かなレスリング技術とK-1に出たこともある打撃はなかなかのもの。「世の中にキスブームを」と公言しており、キスキャラ+実績が伴えばブレイク間違いないか?
 対する中村はそのキャラに怒り心頭で、試合開始前のシェイクハンドは拒否。日本人同士では珍しく遺恨マッチとなった今回の試合だったが、盛り上がりは試合前だけだったようだ。
 中尾は全ラウンド通じて右フック狙い。ガードを固めながら右のロングフックを出すも、頭を下げてのパンチなので、中村に距離を詰められ再三顔面にヒザを狙われてしまう。だがしっかりガードすると離れ際に右フックで、この展開が大半を占めることに。
 1Rは両者多少動きがあったものの、2〜3Rはお互いスタミナも切れ、お見合い状態が続きイエローカードの連発に。前日会見で中村と仲のいいジョシュが「優勝賞金で中村と中尾の結婚祝いを買います。ハズカシーデショー」と冗談を飛ばすと、中村は「シリアスな試合なのでギャグにするのはやめてください」と完全拒否していた。だがリング上で結婚を前提とするかのような“お見合い”をやらかしてしまった中村の心中は穏やかではないはず。
 手数では中村だったがヒット数では中尾という試合で、ドロー裁定があったら引き分けでもおかしくない内容だった。中村が判定で勝利したものの、会場では当然のように大ブーイングが起きてしまった。(本庄)
 
◆中村「この間一本で勝ったんですけど、まあ振り出しに戻ったかなと。あとは調整不足でした。スタミナロスもあったし、技術も無かったです。大きいの一発狙いで楽に勝とうとしてしまいました。(中尾の印象は?)とても強かったです。レスリングが強くてテイクダウンが取れませんでした。今回は自分自身の弱さ、力不足です」

◆中尾「総合格闘技初めて初黒星ということで、単純に悔しいです。カウンター待ちの作戦だったのですが、相手もそうだったみたいですね。今回は打撃だけで行くという作戦で、もうワンステップ上に行くという意味で打撃だけで行くことにしました。1発1発の強さでは自分だと思ったんですけど、手数でやられましたね。」

第5試合 ヘビー級 1R10分・2-3R5分
×イ・テヒョン(韓国/Team Aegis)
○ヒカルド・モラエス(ブラジル/ボクセタイ)
1R 8'08" TKO (タオル投入:パンチによる左目周辺の出血)


 日本の相撲でいえば朝青龍並の知名度を韓国で誇るというテヒョン。当日は韓国のメディアも多数取材に訪れ、母国での注目度の高さが感じられたが、1か月の練習では準備不足なことは試合前から目に見えていた。
 モラエスのパンチと膝を浴び、苦しんだテヒョンが上になって休む展開の繰り返し。急遽出場の決まった39歳のモラエスも次第に攻め疲れ。まるでスローVTRのようなパンチの打ち合いとなり、場内は失笑に包まれる。最後はテヒョンが左目付近から出血し、ドクターチェックの後、陣営からタオルが投入され試合が終了した。(井原)

◆テヒョン「PRIDEのリングではたくさんの事を学ぶことができました。打撃、グラウンドを練習してきましたが、実戦は全然違いました。最後の締めくくりという部分がわからなかったです。体力には自信ありましたが、やはり練習と実戦は違いました。今後はもっと練習していきたいです」

第1試合 ミドル級 1R10分・2-3R5分
×西島洋介(日本/高田道場)
○エヴァンゲリスタ・サイボーグ(ブラジル/シュートボクセ・アカデミー)
1R 3'24" チョークスリーパーホールド


 開始すぐ、サイボーグが首相撲からの膝蹴りを当て主導権。あとはテイクダウン、サイド、マウント、パウンド、バック、チョークと基本パターンをすんなりと成功させ完勝した。西島はPRIDE 3連敗。(井原)

◆サイボーグ「チャンスをもらえて感謝しています。チーム、ショーグン、シウバのおかげです。最近結婚したので妻に良いプレゼントになりました。(相手の印象は?)強いボクサーという感じ。自分は彼より強いパンチが打てるという事を証明できたと思います」

◆西島「経験不足で何も出来ずすいませんでした。寝技のディフェンス、練習、経験が足りなかったです。相手が打撃で来るなら、ボクシングで打ち合いに行きたかったのですが、行けませんでした。(3連敗という結果について)実力不足です。寝技中心に、倒されない練習をしていきます」

Last Update : 09/12 09:18

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