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(レポ&写真) [K-1 MAX] 9.4 有コロ:ブアカーオ、宍戸を秒殺KO

FEG "エステティックTBC K-1 WORLD MAX 2006 〜世界王者対抗戦〜"
2006年9月4日(月) 東京・有明コロシアム  入場者数・9,950人(満員/主催者発表)

  レポート:井原芳徳、本庄功志  写真:井原芳徳  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】


 【ONLINE SHOP】佐藤嘉洋×山本優弥、SHINOBU×ヴァシコバも収録。DVD「全日本キック2005」

第5試合 3分3R(延長1R)
○ブアカーオ・ポー・プラムック(タイ/ポー・プラムックジム/MAX '04 '06 世界大会優勝)
×宍戸大樹(日本/シーザージム/シュートボクシング日本ウェルター級王座)
1R 0'15" KO (左フック)


 シュートボクシングの日本人エース・宍戸が満を持してMAXに初参戦したが、SBにとって最悪の結末が待ち受けていた。
 開始すぐ、宍戸は青コーナーのブアカーオに近づきパンチとローのコンビネーションで何度も前へ。だがブアカーオは落ち着いてブロックするとけん制の右ハイ。そして再び前に来た宍戸の右のガードが空いたのを見逃さず、アゴに左フックをクリーンヒットさせ、あっけなくKO勝ちをおさめた。
 ブアカーオの左フックは6月の世界一決定トーナメントでも佐藤嘉洋を沈め、決勝のアンディ・サワー戦で最初のダウンを奪った技。改めてその破壊力と精度の高さを見せつけられた。
 宍戸は実力を示す機会すら与えられないまま撃沈。とはいえ場内の声援は大きく、MAXファンの期待の高さが感じられた。11月3日のシュートボクシングの8人トーナメント「S-CUP」での再起、そして来年のMAXでの本領発揮を祈りたい。(井原)

◆ブアカーオ「チャンピオンとして勝たなくてはなりませんでしたが、あんなに早く勝てたのでよかったです。(宍戸から対戦を名指しされたことについて)宍戸はもっとできると思っていたたでしょう。(相手の印象は?)いい選手だと思いますし、たくさん練習してきたと思いますが、それが出せなくて残念だと思います。(KOの感触はあった?)打った時は感じませんでしたが、彼の姿を見たときに終わったんだなと思いました。ファンも満足できたと思います。これからもたくさん練習して、油断しないでやっていきたいと思います」

◆宍戸「自分としてはもっとドロドロとした接戦、打ち合いに巻き込みたかったんですけど、早く試合が終わってしまって。自分の実力ですから素直に認めなきゃならないと思います。自分としては1R行くというのは決めてたんで、それで隙ができてしまったかなと。その隙を相手は見逃さなかったということで、そこが自分と相手との差なのかなと思います。
(初めての舞台で浮き足だった?)いえ、相手は等身大に見えましたし、アウェーのリングだが浮き足だったということはなかったです。(左フックを)もらった瞬間はわからなかったです。試合を思い出していないので、何とも言えないです。(ブアカーオの)圧力を警戒していましたが、スッと自分の距離に入れたので、余計にそれで気持ちばかりがはやってしまって、ガードが甘くなってしまったかなということです。集中力の差だったと思います。
 大勢の人の前で負けてしまって、この舞台を目指しているわけじゃないですけど、オファーがあればいつでもいけるように、ホームのリングでがんばっていきたいです。シーザー(武志・SB協会)会長とはまだ会っていないんですけど、こんな試合をしてしまって、どんな顔して会えばいいかわかりません」

第10試合 3分3R(延長1R)
○アンディ・サワー(オランダ/シュートボクシング・オランダ/MAX '05 世界大会優勝)
×小比類巻貴之(日本/チーム・ドラゴン/MAX '04 '05 日本大会優勝)
判定3-0 (朝武30-26/シャルリー29-27/大成30-26)

※2Rホールディングで小比類巻に減点1、3Rパンチ連打で小比類巻に1ダウン

 小比類巻は右のロー、前蹴りで自分のペースに持ち込もうとするが、サワーは詰めて距離を潰す。1年ぶりの再戦は両者1R様子を見ているという感じだ。
 2Rに入ると一気にサワーが主導権を握る。小比類巻は1Rと同じ攻めで、相手が攻めて来たらロー、組んでパンチの連打を打たせない。しかし、サワーの右ストレートがヒットすると小比類巻がぐらつき、なんとかクリンチで逃れる。ラッシュは避けたものの、サワーが連打を打つとすぐにクリンチに逃れ小比類巻に減点1。サワーは嫌そうな顔を見せる。
 3R、またもことごとくクリンチで逃れる小比類巻にサワーが業を煮やしたか、強引に振りほどいてパンチとヒザを見舞う。小比類巻もパンチを返すが回転力が違う。こらえきれずパンチラッシュでダウンを奪われた小比類巻は防戦一方になり、その後もサワーは勢いは止まらず判定で完勝した。(本庄)

◆サワー「(相手の印象は)もっとアグレッシブに来ると思っていましたが、冷静に来て驚きました。相手が積極的に来ず、試合を上手く運べなかったが勝てたから問題ないと思います。(宍戸の敗北について)自分自身もSB代表として、負けたらSBの価値が下がってしまうので絶対負けられないと思いました。9月23日のSBは出ます」

◆小比類巻「基礎体力が向こうの方が上だった。圧力が強いし自分のペースに持ち込むのが上手かった。1Rはまあまあだったが、2Rからは相手ペースで進んでしまいましたね」

第9試合 3分3R(延長1R)
○アルバート・クラウス(オランダ/チーム・スーパープロ/MAX '02 世界大会優勝)
×佐藤嘉洋(日本/フルキャスト&名古屋JKファクトリー/MAX '06 日本大会優勝)
判定2-0 (朝武30-29/シャルリー30-30/大成30-29)


 前へ前へ出てくるクラウスに佐藤は確実にロー、ミドル、ヒザと「佐藤スタイル」の攻めを展開。佐藤は2kgの鉄アレイを持ってシャドーというパンチ力アップの練習をしてきたと言っていたが、両手はほとんどガードする為だけで、攻撃は蹴りに終始。クラウスはやはりパンチの精度は高く、ボディに散らせて顔面と速いパンチを放ち佐藤を苦しめる。佐藤は対応していたものの、度々打ち終わりを狙われ顔が揺れる場面が見られる。
 2Rも前に来るクラウスに佐藤はテンカオを多用しローを返していくも、距離を潰されリーチを生かせない。「さすが初代王者だけあって、圧力が強かった」。終始下がる展開だった佐藤はそう振り返った。結局全ラウンド通じてプレッシャーをかけつづけたクラウスが判定で勝利した。(本庄)

◆クラウス「右手を若干痛めましたが、試合前に痛めていたので試合での怪我ではありません。佐藤のビデオをいろいろ見ましたが、試合スタイルは思った通りで特に驚くような事はありませんでした。打ち合ってみて頭がとても固いという印象がありました。いい感触のパンチはあって、倒れるかなと思ったが倒れませんでした。KOできなくて残念でしたが、判定でも勝ちは勝ちなので満足しています」

◆佐藤「ショックが大きいです。技術的な事を言うと、ヒザからローに繋げることができなかったです。前回は熱くなりすぎて墓穴を掘ったんで、今回は冷静に戦おうと思っていたんですが・・・情けないです。クラウスのパンチはザンビディスより遅かったので、見えていました。効いたパンチはなかったです。まあ効いてない攻撃でも当たってればポイントになるんで。クラウスはさすが初代王者だけあって圧力が強かったです。今はスタイルを変えている段階で、自分のスタイルが通用することを証明したいです。(再三ホールディングの注意を取られていたが?)なんかメインと対応が違うなと思いました。長い人生こういうこともあるんで、這い上がってかっこいい男になりたいです」

第8試合 3分3R(延長1R)
○ヴァージル・カラコダ(南アフリカ/スティーブズジム)
×前田宏行(日本/BUKUROジム/元プロボクシング日本ライト・Sライト・ウェルター級王者)
2R 0'33" TKO (ドクターストップ:パンチによる左まぶたの負傷)

※1R左ストレートでカラコダに1ダウン

 今までMAXには鈴木悟、大東旭とボクシング出身の選手が参戦してきたが、やはり慣れないローキックに苦戦し戦跡は奮わない。今回初参戦する前田もボクシング2階級制覇という実績を手土産にK-1に挑戦するが、以前の2人と同じ道筋を辿ってしまうのかと嫌な予感は漂うばかり。しかし予想はあっさりと裏切られた。
 開始直後、前田が飛びヒザで奇襲。「俺からK-1ファンの人達に対するプレゼント」とパンチだけではないことをアピール。しかもその直後の開始7秒、前田のクロスカウンターで入った左ジャブでカラコダがいきなりダウン。出会い頭だった為、効いていなかったのかすぐ立ち上がるも、前田はすぐに左フックをヒットさせカラコダがまたも尻餅を付いて倒れる。ダウンのようにも見えたがスリップとレフェリーは判定。大きなチャンスを逃したが、前田のサプライズはまだまだ続く。速いロー、時に鋭い右ハイキックも織り交ぜる。「相手がボクシングに来ると思ったが、蹴りやヒザが来て驚きリズムを狂わされた」とカラコダも振り返るほどの適応力。しかしカラコダも左のインローで前田の足を止めようと活路を見出そうとする。また両者ボクシング出身だけあって、インファイトの打撃戦は真剣で切りあうような攻防に。
 2Rで勝負を決めたい前田であったが、開始すぐのパンチの打ち合いで左目尻が出血し大きく腫れ上がってしまう。ドクターチェックが入るものの完全に左目が塞がってしまい、無念のドクターストップとなった。(本庄)
 
◆カラコダ「ダウン取られましたが、いいパフォーマンスができたと思います。パンチで倒れましたが、飛びヒザが少し効いていて、パンチだけで倒れたわけではありませんでした。飛びヒザにはびっくりして、なんでボクシングで来ないのかなと思いました。前田のボクシング技術は素晴らしかったですが、試合が進むにつれてタイミングが見えてきて、自分らしいボクシングができました。(前田の傷は)これだっていうのは覚えませんが、ジャブが入るようになっていたので、それで切れてしまったのではないかと思います。今回のような結果でなく、完全決着を望むので、すぐにでも再戦したいと思います」

◆前田「観に来てくれた人に中途半端な終わり方で申し訳ないです。男魂を見せられたかは途中で終わってしまったんでわかりません。不完全燃焼ですね。(目の傷は)1Rに傷口が開いたらしく、2Rにパンチもらって止められるまで気付かなくて、チェック入ったら塞がってきちゃって見えなくなりました。頭が当たったんだと思います。パンチじゃないです。
 飛びヒザはK-1ファンへのプレゼントです。ボクサーはそんなことできないんじゃないか思っているK-1ファンへのサプライズ。今回は負けたとは思っていないですけど、1Rに倒しきれなかったのが敗因です。相手と拳を合わせてみて俺のほうがいけんじゃねえかと思いました。キックの練習もしてきたんですけど、試合になるとパンチだけになってしまって、引き出しはもっとありますが、それを引き出すことができませんでした。自分のパンチで世界チャンプも倒れたので、K-1でも通用すると思いました。
 ボクシングの閉鎖的な良さもあるし、K-1も開放的な良さというのがるんですけど、俺はK-1の方が合ってるなと。すごいゾクゾクとしましたね。今回の70kgは自分のベストウェイトになりつつあるんで、次にはベストの力を出せると思います。」

第7試合 3分3R(延長1R)
×須藤元気(日本/ビバリーヒルズ柔術クラブ)
○イアン・シャファー(オーストラリア/ファイブリングス・オーストラリア)
2R 0'59" TKO (レフェリーストップ:パンチ連打)

※2R右後ろ上段回し蹴りで須藤に1ダウン

 今回の入場テーマは「魔法使い」。2年ぶりにK-1のリングに登場した須藤は派手な着物に実を纏い、黒いスーツ姿のダンサーを従えていつものロボットダンスを披露。
 試合が始まると、須藤がいつものトリッキーな構えでじりじりと相手に近づいていく。しかしシャファーはノーガードで様子を見る余裕ぶりで、なんとも不気味だ。シャファーが左右のフックでプレッシャーをかけるも、須藤は上手くリングを駆け回りいなす。須藤は得意のバックハンドブローを度々狙っていたが、不発に終わり静かな1Rとなる。
 2Rに入るといきなりフィニッシュが待ち受けていた。シャファーの後ろ回し蹴りが須藤の顎をキレイに捕らえダウン。立ち上がるもシャファーの右ストレートがコツンと顔面にヒットすると、須藤が後ろのロープにもたれ、反動で前に逃げるようにふらふらとよろけ、シャファーが追撃を加えようとしたところで試合は止められた。須藤は自分の得意分野を相手にやられてしまい、しかもそれがフィニッシュブローだったという皮肉な結果に終わった。(本庄)

◆シャファー「今日の自分の出来は非常に納得しています。トリッキーな動きを研究してきたので、このような試合ができたと思っています。(バックキックは狙っていた?)狙っていたのもありますが、当たらなかったら左フックと、動きながらタイミングを作れるように待っていました。もちろん練習でも決まっていました。勝ち負けが決まるということがスポーツの醍醐味だと思うので、今回は自分の方がラッキーだったのかと思います。(立ちと総合両方やっているが、今後はどちらに?)試合することが好きなのでどちらもチャンスがあればやっていきたいです。

◆須藤「(久々のK-1だったが?)僕の原点に近いような感じはしましたね。(足を怪我しているが?)ちょっと蹴って怪我しましたね。(バックキックをくらって)自分のお株を奪われたということはないです。(最後は逃げるような形になってしまったが?)まあ、それは流れで。相手は左右のフックを連打してくる選手なので、それの対策を重視しすぎたのかなと思います。負けて悔しいですけど、負けた中で掴めたという事はありました。ここで終わりじゃないんで、負けから学んでそれをいずれ勝利に結びつけるということです。でも自分のやろうとしてたことはできました。(いろいろと他に活動していたが?)自分が選択して忙しくしたんで、いろいろ詰め込んだおかげで集中した練習ができたかなと思います。(今後もK-1で?)そうですね。ダウンしても立ち上がればいいと思っていますので、継続していくことが勝ちに繋がると思っています」 

第6試合 3分3R(延長1R)
○ドラゴ(アルメニア/チーム・イッツ・ショータイム)
×寒川直喜(日本/バンゲリングベイ/J-NETWORKミドル級王者)
判定3-0 (黒住30-28/岡林30-27/大成30-26)

※3R左ストレートで寒川に1ダウン

 ドラゴの上下のパンチを寒川はブロック。笑顔を見せる余裕もあったが、ローを返してもドラゴの勢いは落ちず、手数の差で印象を悪くしてしまう。3Rには寒川が左ミドルを放ったタイミングでドラゴの右フックをアゴにもらいダウン。その後もドラゴはバックスピン系の蹴りで場内を沸かせ、文句無しの判定勝ちをおさめた。とはいえ今年のベスト8相手に寒川は初参戦ながら健闘。このタフさはトーナメントでも強味となるはずだ。(井原)

◆ドラゴ「(寒川は)日本人としては背の高い、トリッキーな選手でした。(手を冷やしているが?)相手の頭が固かったからです。何発かいいパンチを当てたが、100%満足という試合ではなかった。夏は練習を休んでいたので、今後はどんどん試合をこなしていきたい」

◆寒川「倒れるほどの攻撃はないなと思いました。(ダウンは?)ガードの上から序々に効いてきて、その前から足が効いていたので滑ったようになったんですけど、立ち上がったらフラフラしたんで少し効いていたんだな思いました。(相手の印象は?)技術的には危険なものはなかったですけど、パワー、体幹が強いなと思いました。一発もらったら倒れるなというパンチを持ってたんで、ガードを固めて返していくという作戦でした。ジャブが計算通り当たったんで、ディフェンスをもっとギリギリで見切れるようになれば勝てたんじゃないかと思います。(K-1MAXの舞台は?)他とたいして変わらないなという印象です」
 

第4試合 3分3R(延長1R)
○ファリッド・キダー(フランス/バグノレ・ボクシングクラブ)
×山本優弥(日本/青春塾/全日本キック・ウェルター級1位)
判定2-0 (岡林30-29/シャルリー30-30/梅澤30-28)


 初参戦のキダーは前蹴りやバックスピンを多用する選手。優弥は久々の試合で、2週間しか準備期間が無かったことも影響してか、攻撃の的を絞りきれない。キダーはクリンチが次第に増え、3Rには警告1。だがボクシング経験が豊富なこともあり、2R終盤から随所でパンチの連打を当て、優弥を苦しめるように。この攻めで判定勝利をもぎ取ったものの、盛り上がりに欠く試合となってしまった。(井原)

◆キダー「山本は素晴らしい闘志でした。粘り強く体力もありました。バラエティに富んだ技術の差で私が上回ったのではないでしょうか。私は各国で試合をしましたが、K-1がテクニックも含め世界一だと感じました。次も喜んで参戦したいです。今回は来ませんでしたが、次回はジェロム・レ・バンナを呼びたいです」

◆優弥「倒しに行こうとしましたが、距離感が合わなかったです。入場の時には気分的に楽だったのに、試合が始まったら何も出来ず、周りの人に申し訳ないです。悔いの無いように前に出ようとして、ローキック、左のパンチで倒そうとしたんですけど、はまらなくて、やっぱり考えて楽しんでやることが大切だなと思いました。一ヶ月に一回くらい試合して感覚を戻して、面白い試合をしたいです」
 

第3試合 3分3R(延長1R)
×アルトゥール・キシェンコ(ウクライナ/キャプテン・オデッサ)
○HAYATΦ(日本/FUTURE_TRIBE)
4R 判定0-3 (朝武9-10/シャルリー9-10/梅澤9-10)

3R 判定1-1 (朝武30-29/シャルリー30-30/梅澤29-30)

 1R中盤までキシェンコの右ロー、左ボディ、左膝に苦しんだHAYATΦだが、終盤から右ストレートを主体としたパンチの連打が当たりだし、以降は主導権を維持する。とはいえキシェンコも打たれ強く、左ミドルを返し一歩も引かず延長戦へ。熾烈な消耗戦となったが、HAYATΦが右フックを数度クリーンヒットさせ、東欧のホープから下馬評を覆す白星をもぎ取った。(井原)

◆HAYATΦ「打ち合ってみてそんなに強くなかったです。想像してた程ボディは強くなかったです。自分の流れになった気はないんですけど、左のボディに嫌な顔したんで、それで少しペースを握ったかなと。内容は満足していないですね。素直に嬉しいですけど、これに満足することなく、また呼ばれるようにがんばりたいです」

◆キシェンコ「(判定は)勝ったと思っています。3Rですべてカタをつけるということで練習していたので、延長に入ったことは驚きました。スタミナが足りなかったのかもしれません。たくさん練習し、努力するだけです。次回はドローではありえないような勝ち方をしたいです」

第2試合 71kg契約 3分3R(延長1R)
○安廣一哉(日本/正道会館)
×アンディ・オロゴン(ナイジェリア/チーム・オロゴン)
判定2-0 (朝武29-28/シャルリー29-29/梅澤30-28)


 ボビー・オロゴンの弟、アンディ・オロゴンは、ハットにジャケットという格好で入場。やはり元モデルということもあってか、完璧に着こなしている。その後ろにいたボビーは、何故か頭にねじりはちまきのような物を巻いて登場。
 向かいあった両者はリーチ差があるものの、アンディの足の線の細さが目立つ。しかしリーチを生かし左ミドルで安廣を牽制。安廣は懐に入り果敢にパンチを当てていこうとするが、相手の手足が長くかなりやりづらそうな感じだ。アンディはパンチのガードはしっかりしていてクリーンヒットはもらわない。
 ラウンドを経過していくにつれて、経験で勝る安廣が徐々に前へとプレッシャーを掛け始める。またローでその長い足を止めにいき、ペースを握っていく。3Rに手数が少なくなったアンディに、安廣はパンチ主体で圧力を掛けていく。アンディは蹴りで距離を取りたいものの、安廣が胴回し蹴りなども見舞いプレッシャーを与え続ける。両者決定打は無く試合は終了し、安廣が勝利したものの、予想以上にアンディが善戦したことが印象に残る内容だった。(本庄)

◆安廣「(感想は?)相手はちゃんとファイターでした。(相手の良かったところは?)キレイなミドル打ってきたんで、懐が深く入りづらかったです。最終ラウンド向こうが引いてるのがわかったんで気持ちで行こうと思ってました。強かったです。前回のHERO'Sが近かったので、正直調整が難しかったです。勉強になりましたね。こっちはデータがなかったんで、逆に向こうはデータがあったんで作戦を立てやすかったのかなと。ローかパンチで倒さなきゃっていうのはありました。1年であそこまで仕上げてくるのはたいしたもんだなと思いました」

◆アンディ「K-1に出ることができて関係者の方々に感謝です。周りは『よくできた』と言っていましたが、自分自身は何も出せなかった。練習してた事が1つもできていなかったです。兄は試合中『ガードを上げろ、顎を下げろ』と言ってくれて尊敬しています。(ファンには)試合を観てもらって、話題性だけではなくちゃんとできるということをわかってもらえたかなと思っています。(継続参戦は)心と体が一致して、周りの人からもOKの返事が出たらまた出たいです」
 

第1試合 3分3R(延長1R)
○マイク・ザンビディス(ギリシャ/メガジム)
×TATSUJI(日本/アイアンアックス/MAX '06 日本大会準優勝)
判定3-0 (朝武30-29/シャルリー29-28/梅澤30-29)


 両者の豪腕の打ち合いを期待されて始まったこの試合。1Rはザンビディスの右フック、左ボディと回転の速いパンチで試合をリードする。TATSUJIも123、アッパーのコンビネーションと時折ヒザも織り交ぜるながら攻めるも、相手のガードは固い。2Rに入ってもザンビディスのガードは固く、TATSUJIはクリーンヒットを与えることができない。逆に単発ながらも打ち終わりにパンチをもらってしまい印象は悪い。最終ラウンド終盤に両者足を止めて打ち合い、会場は沸くも、決定打は無し。全ラウンド通じてパンチヒットの多いザンビディスに軍杯が上がった。(本庄)

◆ザンビディス「TATSUJIは強くて楽しかったです。ブアカーオ戦前、佐藤戦前はベストではなく残念でしたが、今回は良くなってきています。でも100%ではなく、65ぐらいです。(目を怪我しているが?)4〜5針縫いました。3Rの相手のパンチで血が出て前が見えなかったです。次は必ず良い試合を見せたいと思います」

◆TATSUJI「判定は納得してないです。パンチは少しもらいましたけど、自分のパンチも当たっていたんで正直、延長かなと思いました。(相手の印象は?)小さいなと。アマチュアボクシングって言ってて、オリンピック候補とか言ってましたけど、嘘だなと思いましたね。見えていて、効かなかったです。正直負けはしましたけど、こんなものかと思いました。絶対来年世界獲ってやると思いました。次はサワー、クラウス選手とやりたいです。来年の世界大会でブアカーオを倒してやろうと思っています。
 最後に、負けはしましたけど相手はヘビー級でもいいんで、Dynamite!!に出たいです。日本人で盛り上げられるのは自分だけかなと。総合でもいいんでやりたいです。もう総合はケンカで。Dynamite!!はお祭りなんで暴れてやろうと思っています」

オープニングファイト2 3分3R(延長1R)
×SHINOBU・ツグト・アマラ(モンゴル/チーム・ハードコア)
○ジョーダン・タイ(ニュージーランド/レイ・セフォー・ファイトアカデミー)
判定0-3 (川上27-30/市瀬28-30/ゴメス27-29)

※3R左フックでSHINOBUに1ダウン

 SHINOBUは左ミドルを当てるが、タイの近距離からの右ハイをもらい、2R終盤のパンチの打ち合いでも劣勢に。3Rには右フック、右アッパーで反撃するも、終了間際、左フックをもらい後方にぐらつきダウンを宣告される。K-1 2連敗を喫してしまったSHINOBUだが、この試合を谷川Pは高く評価しており、来年はまたチャンスを得ることだろう。(井原)

オープニングファイト1 3分3R(延長1R)
○サトルヴァシコバ(日本/勇心館/全日本キック・ライト級1位・前王者)
×タカオサミツ(日本/伊原道場/新日本キック・ウェルター級2位)
1R 0'55" KO (3ダウン:左ストレート)


 開始すぐ、ヴァシコバがパンチの連打で前に出て、得意の左ストレートでダウンを奪取。これで完全に流れをものにしたヴァシコバは、左ストレートで再びダウンを奪う。タカは大の字。なんとか立ち上がるが足元はおぼつかず、ヴァシコバのパンチの連打を浴び棒立ちになったところでレフェリーストップがかかった。
 急遽決まった試合でタカもベストとは言えなかったかもしれないが、ヴァシコバも同様で、しかも階級の壁を越え圧勝できた意義は大きい。秘蔵っ子を潰された新日本側は、これを機に全日本との交流戦に本格的に踏み出すのか?今後の動向に注目したい。(井原)

◆ヴァシコバ「(終始笑顔で)勝っても負けてもKOしかないと思いました。(買った直後、上を向いている時はどんな事考えていた?)俺勝ったー、つえーって感じです。嬉しいと上向いちゃうんですよ。(青く染めた髪について)赤よりも熱い試合をしたいから青くしました。火は赤より青の方が熱いですからね」

Last Update : 09/05 21:49

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