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(レポ&写真) [全日本キック] 8.27 後楽園:望月&皓彦が王座に前進

全日本キックボクシング連盟 "S.W.S. 〜Super Welter Struggle〜"
2006年8月27日(日) 東京・後楽園ホール  観衆:1,620人(満員)

  レポート&写真:井原芳徳  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】

第8試合 スーパーウェルター級 サドンデスマッチ
○望月竜介(U.W.F.スネークピットジャパン/3位)
×白川裕規(S.V.G./4位)
1R 2'54" KO (3ダウン:右ストレート)


 試合ごとに力をつけている白川の対戦要求が通り実現したこの試合だったが、望月という壁は白川の身長以上に高かった。1R、パンチとローのコンビでリズムをつかもうとするが、ガードが空いた隙を見逃さず、望月が右フックを当てさっそくダウンを奪取する。立ち上がった白川はパンチの連打で前に出るが、望月は落ち着いてブロックし、右ストレートでまたもダウン奪取。最後も同様のパターンでダウンを奪い、危なげなく勝利をもぎ取った。

第7試合 スーパーウェルター級 サドンデスマッチ
○ゲンナロン・ウィラサクレック(タイ/WSRフェアテックスジム)
×濱崎一輝(シルバーアックス/1位)
判定2-0 (朝武30-27/野口30-30/勝本30-29)


 ゲンナロンは開始すぐ、マットに手をつけてのカポエラ風の蹴りを披露。さらにバック肘も軽々と放ち、どこか余裕さえ感じさせる。1R終盤には右肘一発で、濱崎をダウン気味に吹き飛ばしてみせる。2R以降も右ミドルと右肘で攻め優勢。濱崎も一歩も引かずパンチを返し、ジャッジ1者からはそれなりに評価されたものの、ゲンナロンの牙城を崩すには至らなかった。これでゲンナロンは対日本人8連勝。

第6試合 スーパーウェルター級 サドンデスマッチ
×吉武龍太郎(アイアンアックス/2位)
○佐藤皓彦(JMC横浜GYM/6位)
3R 0'40" TKO (ドクターストップ:左肘打ちによる額のカット)


 佐藤のリーチを活かした右ハイ、右ミドルを前に、パンチャーの吉武は自分の距離に入れない。中途半端に近づけば首相撲で捕まえられ、膝を浴びてしまう。2R終盤には逃避行為とみなされイエローカードをもらう。その後は積極的に前に出るようになったが、3R、佐藤の左肘が見事炸裂。出血が激しくTKOとなった。佐藤はポテンシャルを開花させ、山内裕太郎の持つ王座挑戦に大きく前進した。挑戦者決定戦の相手は3位の望月が妥当か?

第5試合 スーパーウェルター級 サドンデスマッチ
○貴之ウィラサクレック(WSRフェアテックスジム/J-NETミドル級2位)
×MAD☆BULL(韓国/国際キックボクシング連盟ミドル級王者)
判定2-0 (豊永30-29/和田30-30/朝武30-29)


 貴之が左ミドルと右フックを当て続け終始主導権。タフなBULLに決定打を与えられなかったが、危なげなく勝利した。BULLは全日本キック3連敗だが、1試合ごとにキックボクサーらしくなっている。

第4試合 ウェルター級 サドンデスマッチ
○金 統光(藤原ジム/6位)
×宝樹まもる(勇心館/7位)
2R 2'15" KO (3ダウン:右ストレート)


 両者足を止めてのパンチの打ち合いを何度も繰り広げる。1Rに金がダウンを奪えば、2Rに宝樹がダウンを奪い返し、その次は金がダウンを奪うシーソーゲームに。その直後、金は右眉を切りドクターチェックを受けるが、立て続けにパンチでダウンを奪いKO勝ちを果たした。宝樹はこれで5試合連続KO負け。

 


 

第9試合 スーパーウェルター級 サドンデスマッチ(3分3R+延長1R)
○金沢久幸(AJKF/全日本ウェルター級3位・IMTC世界ウェルター級王者)
×石黒竜也(東京北星ジム/NJKFウェルター級2位)
判定3-0 (和田29-27/朝武29-27/豊永29-27)

※1Rに踏み付け、2Rに頭突き、場外逃避の反則で石黒にレッドカード(=減点)3、セコンドの乱入で金沢にレッドカード1

 両者の反則の応酬で、キック史に残る大荒れの展開に。クリンチの攻防で、石黒は頭突きをしたり、背中を向けた金沢の後頭部にパンチを当てたり、1Rから早くも荒れ模様。金沢もブレイク直後にハイを放つ反則をお返し。すると、キレた石黒はマウスピースを投げ捨て、タックルで金沢を押し倒し、顔面を踏みつける暴挙を犯す。
 ぐったりと倒れた金沢は、この時点から記憶が無かったという。普通ならこの時点で石黒が失格となりそうだが、野口大輔レフェリーは試合を継続。石黒のセコンドの玉城良光会長からも「キックボクシングをしろ」という声が飛んだこともあってか、しばらく平穏に試合は続く。
 だが2R中盤に石黒は頭突きでレッドカード。その後も馬乗りになってパンチを放つ。これには金沢のセコンドも怒り、エプロンの上に登り石黒にケンカキックを見舞う。するとリング上には審判団と両陣営らが入り騒然とした状態に。石黒がリングを降り控室に戻ろうとする一幕も。両陣営にレッドカードが出される異常事態に。

 その後も石黒は何度も馬乗りになり、金沢もタックルで倒したりするが、小さな反則はほとんど注意されない。もはやリング上は、格闘技の試合でどこまで反則ができるかという実験場と化した感さえある。途中からは勝本剛司サブレフェリーが常にエプロンに待機し、どちらかが上になる度にリングに入り制止するという、実質レフェリー2人体制に。結局3Rを消化し判定となったが、普通の攻防でダメージを効かすことは互いにほとんど無く、通常の採点の範囲では同点。レッドカードの枚数差で金沢の勝利となった。

 金沢は「反則をしてくるのはわかってたので、ああいう状況になったのは自分の責任。反則には怒ってるが、簡単に石黒選手の責任にしたくない。僕も反則をやった。戦ったものにしかわからないかもしれないが、彼の一生懸命さを感じた。ただ、彼はHERO'Sとか違う道を行くべきだと思う」とコメント。
 野口レフェリーは「試合を成立させるのが僕らの仕事」、宮田充・全日本キック興行部長も「競技だけど、興行という部分もある」と、試合を最後まで続けた理由を説明した。
 全日本キックという組織としては石黒にペナルティを課し、石黒の所属するNJKFに抗議をする方向。だが宮田氏個人としては「素質・魅力のある選手。1年ぐらいラブコールを送ってやっと参戦してもらえた」ことから、「他所の選手だけど更生して欲しい。懲りずにオファーしたい」という考えは崩さず、複雑な心境を隠せなかった。

 


 

◆ フジテレビ「SRS」、谷川K-1プロデューサーが来場

 休憩明け、この大会の取材に来ていたフジテレビの格闘技情報番組「SRS」の浅草キッドさん、西山茉希さん、ゲストとして“裏MAX”の視察に来ていた谷川貞治K-1イベントプロデューサーがリングイン。9月〜10月に試合をする全日本の所属選手たちも試合に向けての抱負を述べた。浅草キッドの玉袋筋太郎さんは、吉武龍太郎 vs. 佐藤皓彦のリングアナも務めた。SRSでは9/8(金)深夜の放送を予定している。

◆ その他の試合の結果

第3試合 ライト級 サドンデスマッチ
○村山トモキ(AJジム/全日本ライト級4位)
×押炉花者[おろかもの](町田金子ジム/NJKFライト級6位)
4R 判定3-0 (野口10-9/勝本10-9/豊永10-9)
3R 判定0-0 (野口30-30/勝本30-30/豊永30-30)

第2試合 ミドル級 3分3R
×中園貴宏(S.V.G.)
○木塚龍司(勇心館)
判定0-3 (28-29/28-29/28-29)

第1試合 ライト級 3分3R
○ユウキ(AJジム)
×白濱卓哉(建武館)
判定2-0 (28-28/30-28/30-28)


[オープニングファイト]

第3試合 フェザー級 3分3R
×甲野裕也(S.V.G.)
○レッガラー・鉄(タイ/東京北星ジム)
判定0-3 (26-29/26-29/26-29)

第2試合 ライト級 3分3R
△ソルデティグレ・ヨースケ(U.W.F.スネークピットジャパン)
△野間一暢(JMC横浜GYM)
判定1-0 (30-30/30-30/30-29)

第1試合 ミドル級 3分3R
×稲村直人(TEAM-1)
○入月健一(S.V.G.)
判定0-3 (29-30/28-29/29-30)

Last Update : 08/30 12:10

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