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(レポ&写真) [全日本キック] 3.19 後楽園:対抗戦は引分。元気KO勝ち

全日本キックボクシング連盟
"SWORD FIGHT 2006 〜日本VSタイ・5対5マッチ〜"

2006年3月19日(日) 東京・後楽園ホール
観衆:2,080人(超満員札止め)

 レポート:井原芳徳  写真:ひっとまん大場
 【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】

 
◆ 日本VSタイ・5対5マッチ

第5試合 先鋒戦 58kg契約 3分5R
×カノンスック・フェアテックス(タイ/ルンピニーSバンタム級9位)
○山本元気(DEION GYM/全日本フェザー級1位・前王者)
1R 2'44" KO (左ボディブロー)


 元気がいつものように右ストレート、右ボディ、右ミドルを当て、1R中盤の段階から相手をコーナーに詰める場面も。だが「藤原(敏男)先生に言われたとおり、無理に行かないようにした」元気は、得意のパンチに固執せず、攻撃を上下に散らしながらじわじわとカノンスックを弱らせる。「相手の圧力も感じなかったし、肘も見えた」といい、サウスポーのカノンスックの左ミドル等にも落ち着いて対処。最後もロープ際に詰めて右ローや左ボディを当てて相手の動きを止めると、上にパンチを散らし意識を上に向けさせたところに強烈な左ボディ。カノンスックはマットにうずくまり立ち上がることができなかった。
 去年10月の第1回対抗戦を含めての日本チームの初勝利に超満員の後楽園が割れんばかりの歓声に包まれる。元気は公約通りに先鋒戦で弾みをつけた。そして藤原監督の指導どおり、大人のファイトを展開。1月の全日本キックの新年会で元気は「これからが僕のキック人生の始まりだと思っている」と話していたが、それにふさわしい華やかな幕開けだった。去年7月敗れたゲーオとの再戦を熱望しており、実現が待たれる。

第6試合 次鋒戦 59kg契約 3分5R
×デッドゥワン・ポー・ヂャルンチャイ(タイ/元ルンピニーSフライ級9位・現Sフェザー級)
○石川直生(青春塾/全日本Sフェザー級王者)
判定0-2 (和田48-49/岡林48-49/豊永50-50)


 1R、デッドゥワンはサウスポーの構えから左ボディストレート、左ミドル等を手数多く当てる。ムエタイ選手らしく2Rからスパートをかけるかと思われたが、中盤から失速。ガードを下げロープを背負う場面が増える。
 石川は右のストレート、ロー、ミドル、膝等を当て攻勢に。しかしコンビネーションで当てることができず、なかなか守勢のデッドゥワンを料理できない。結局フラストレーションの溜まる状態のまま5R終了。日本チームに2勝目をもたらしたが、石川は「元気がいい流れを作ってくれたのに。元気との差を見せつけてしまった。自分の引き出しを全部開けたけど、技術が無かった」と反省していた。
 

第7試合 中堅戦 63kg契約 3分5R
△シンバード・シットバンク(タイ/元ルンピニーSフェザー級10位・現ライト級)
△サトルヴァシコバ(勇心館/WFCA世界Sライト級&全日本ライト級王者)
判定1-0 (和田49-49/岡林49-49/野口49-48)


 開始早々、ヴァシコバは左バックブローで奇襲。だが相手の腕でブロックされてしまい、左腕を負傷してしまう。同時に相手の怒りの炎に火をつけ、右ハイやミドル、肘の猛攻を浴びることに。

 それでもヴァシコバは得意の左ストレートを何発もヒットさせ、相手の体力を奪うが、最初のダメージの影響で次第に左の手数が減り、相手の首相撲につかまりがちに。3Rには右ハイをもらい「相手が二人に見えるようになった」といい、右のストレートと蹴りの手数に押される。4R以降は互いに疲れお見合いが多くなり、5R終盤にはクリンチが多いため警告1。結局両者とも後半戦は決め手がなく、対抗戦初のドロー決着となった。
 

第8試合 副将戦 62.5kg契約 3分5R
○ヨードクングライ・ノーンカムジム(タイ/元ルンピニー・バンタム級6位・現ライト級)
×小林 聡(藤原ジム/WKA世界ムエタイ・ライト級王者)
2R 0'28" TKO (ドクターストップ:肘による眉間のカット)


 ヴァシコバが引き分けたことで、藤原ジャパンの負け越しの可能性は消えた。しかし小林の試合は、対抗戦の勝ち負けを超越したところでファンの期待感を煽る。小林がリングに立つだけで、異質の緊張したムードが会場を支配する。
 いつものように小林は左右のローを何発も当て序盤のリズムをつかむ。サウスポーのヨードクングライは左ロー主体で応戦。比較的静かな幕開けだった。

 しかしヨードクングライの左肘の連打が試合のムードをガラリと変える。これで小林は眉間を大きくカットしドクターチェック。再開後もヨードクングライは肘を振り回し続け、小林の顔面は真っ赤に。
 2度目のドクターチェックで止められても不思議ではなかったが、試合は続行する。小林もストレートの連打で反撃を試みたが、2Rすぐにまたもヨードクングライの左肘が炸裂。30秒足らずで和田良覚レフェリーがドクターチェックを促すと、リングドクターはすぐさま両手を振りストップを宣告した。

 小林は医務室に直行。どんなに壮絶な負けを喫してもマスコミの取材に応じる小林だが、この日は珍しくノーコメントで会場を後にした。タイにも修行に行き、満を持して挑んだタイの実力者との対戦で、ほとんど何もできずに完敗。眉間の傷より、心の傷の方が深かったのかもしれない。
 

第9試合 大将戦 57kg契約 3分5R
○ワンロップ・ウィラサクレック(タイ/M-1バンタム級王者)
×山本真弘(藤原ジム/全日本フェザー級&IKUSA GP-U60王者)
3R 2'48" TKO (レフェリーストップ:2ダウン後の前蹴りでスリップ時)


 対抗戦はここまで藤原ジャパンの2勝1敗1分。チームとしての勝敗は、藤原監督の愛弟子・真弘の頑張りに委ねられた。
 両者ともサウスポーの構え。ワンロップがパンチを出せば、すぐさま真弘もパンチを返し、細かい左右の動きで相手の的を絞らせない。だが一瞬でも射程圏に入ると、ワンロップの一撃は正確無比を極める。右肘を命中させた直後に左肘。真弘はブロックしたように見えたが両腕の隙間を貫いており、真弘の頭から血が流れ落ちる。
 その後はワンロップは肘に固執せず、右ジャブ、左ストレート、左ロー、右ハイ、前蹴り等、多彩な攻めでペース。とはいえ真弘も負けず劣らずのスピードで応戦。左のフックやストレート、右ローを叩き込み一歩も引かない。2R終盤には真弘が組み付いてバランスを崩し膝をマットについたところ、ワンロップの膝が真弘の顔面に当たり大ブーイングに包まれる場面もあった。しかしそれ以外の場面は終始両者の攻撃が途切れることなく、対抗戦のメインにふさわしい世界最高峰の技術戦に。二人の紬出す芸術に超満員の観衆は酔いしれる。

 とはいえこれは潰し合いであり勝負事。非情な結末は真弘のほうに待ち受けていた。3R、序盤こそワンツーを決めた真弘だったが、ワンロップの左ロー、左ストレート、左ミドルをもらううち、じわじわと手数が減る。その一瞬の隙を逃さないワンロップは、左ストレートでついにダウンを奪取。なんとか立ち上がった真弘はパンチを当て返すが、ワンロップは冷静にさばきカウンターの右肘打ちでまたもダウンを奪う。さすがの真弘も立ち上がるのはやっと。その後、右前蹴りで2連続でスリップをしたところ、野口大輔レフェリーが試合をストップした。
 真弘はこの日まで23戦のキャリアがあるが、敗れたのは04年4月の白鳥忍戦以来で、KO/TKO負けは今回が初めて。ワンロップについて「思ったよりも動きが早かった。右肘はドンピシャ。やられたって感じだった。首相撲もうまかった」と話し、圧倒的な強さを認めていた。

 結局、対抗戦は2勝2敗1分の五分に。日本勢が序盤勢いがあったが、中盤からムエタイ勢が底力を発揮した。ワンロップは山本元気との対戦を希望。会場は第1回対抗戦を大きく上回る熱気に。全日本キックの宮田充興行部長は「趣を変えてまた年内にやりたい」と話しており、打倒ムエタイが今後も全日本キックの話題の主軸となっていきそうだ。

 



◆ その他の試合

第4試合 全日本スーパーウェルター級王座決定トーナメント・一回戦 サドンデスマッチ(3分3R延長1R)
○山内裕太郎(AJジム/前ウェルター級王者)
×小松隆也(建武館/ミドル級6位)
3R 2'20" KO (3ダウン:パンチ連打)

※山内が準決勝進出。4.21後楽園大会で吉武龍太郎(アイアンアックス)と対戦

 両者ともパンチとローを当て続け、3R中盤までなかなか流れが傾かなかった。だが山内がそれまでほとんど使わなかった右肘を連続で当てると一気に主導権。右アッパー、右フックを連続でクリーンヒットさせダウンを奪うと、パンチの連打でさらに2ダウンを奪い勝利した。

第3試合 全日本スーパーウェルター級王座決定トーナメント・一回戦 サドンデスマッチ(3分3R延長1R)
○濱崎一輝(シルバーアックス/ミドル級2位)
×佐藤皓彦(JMC横浜GYM/ミドル級8位)
判定3-0 (岡林30-28/大成29-28/勝本29-28)

※濱崎が準決勝進出。4.21後楽園大会で白川裕規(S.V.G.)と対戦

 リーチに勝る佐藤が右のミドル、ロー、ハイを当てれば、サウスポーの濱崎が接近戦でパンチを当てる展開。2R中盤、佐藤が右ミドルを連続で当て主導権を握ったかにも思えたが、その直後、濱崎が右のフェイントからの左ストレートを炸裂させダウンを奪う。その後は両者とも肘も出す一進一退の展開となり一歩も引かない展開。佐藤の粘りも光ったが濱崎が下馬評どおり勝利をおさめた。

第2試合 ランキング戦 バンタム級 サドンデスマッチ(3分3R延長1R)
○寺戸伸近(BOOCH BEAT/1位)
×割澤 誠(AJジム/2位)
1R 1'01" KO (3ダウン:パンチ連打)


 開始すぐ、寺戸が右フックでダウンを奪取。右フックで2度目のダウンを奪うと、最後は右を中心にパンチを連打しKO勝ちをおさめた。これで藤原あらしの持つバンタム級王座の挑戦に大きく近づいた。

第1試合 CROSS BOUT 67.5kg契約 サドンデスマッチ(3分3R延長1R)
×北野ユウジ(ソーチタラダ渋谷/J-NETWORKウェルター級2位)
○大輝(JMC横浜GYM/全日本ウェルター級7位)
判定0-3 (大成27-30/豊永29-30/勝本29-30)


 開始早々の大輝の右ミドルの音に場内がどよめく。その後サウスポーの北野の左ミドルやローに攻め手を阻まれたが、2R終盤からその右ミドルとストレートが当たりだし攻勢に。3Rは最後まで主導権を維持し判定勝ち。プロデビュー以来連続勝利記録を8に延ばした。

 
■オープニングファイト

第3試合 バンタム級 3分3R
○大野修司(ムサシノクニ)
×菊地 慧(藤原ジム)
判定3-0 (30-27/30-27/29-27)

第2試合 ミドル級 3分3R
×横澤浩史(S.V.G.)
○守屋拓郎(NJKF・町田金子ジム)
2R 2'18" KO

第1試合 ライト級 3分3R
×渡部太基(藤原ジム)
○野間一暢(JMC横浜GYM)
2R 2'05" KO

Last Update : 03/27 11:51

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