(レポ) [日本女子ボクシング協会] 11.20 倉敷：ジプシー復帰戦黒星

フジワラボクシングジム＆マーシャルアーツクラブ "OKAYAMA GIRL'S FIGHT BOXING Vol.1"
2005年11月20日(日) 岡山・倉敷山陽ハイツ
認定・日本女子ボクシング協会

　　レポート提供：森山豊（日本女子ボクシング協会事務局長）　　【→掲示板女子スレッド】


メインイベント　49kg契約　2分6R
○池山　直（フジワラ）
×ジプシー・タエコ（ジプシードリーム）　
判定3-0

　岡山初の女子ボクシング大会が倉敷市山陽ハイツにて開催された。
「女子ボクシングのイメージを大切にして、六本木ヴェルファーレ大会をお手本にした」とは、主催者にあたるフジワラボクシングジム、藤原英治会長の弁。確かに、リングサイドには鉄骨を組み、会場の至るところにまでスポット・ライトを配するという演出面での徹底ぶり。一足早いクリスマスを思わせるような、年内最終興業に相応しい絢爛豪華な大会となった。

　メインの大役を務めたのはもちろん、今大会の主催者にあたるフジワラジムのエース、池山直。地元岡山のリングで、公式戦最多出場記録を誇るベテラン、ジプシータエコを迎え撃つことになった。
　菊地奈々子の世界タイトル挑戦にともない、空位になった日本ミニフライ級王座に最も近い存在と言われる池山と、満を持して1年9ヶ月振りの復帰戦に挑むジプシーとの一戦。この試合のポイントは、ジプシーが、全盛期の実力をいかにキープして、ベスト・コンディションで臨めるかにかかっていたと思う。2004年2月に行われた袖岡裕子との日本タイトル戦において、無類のタフネスを誇るジプシーが、無残にも6ラウンドKOで敗れた試合を観て、関係者の多くが、彼女の引退を示唆していた。天性の打たれ強さを武器に、ここまで上がって来た選手にとって、『打たれ弱くなる事＝勝てない事』に繋がるからである。

　そんな関係者の心配を払拭するかのように、お気に入りのテンガロン・ハットをかぶり、颯爽とジプシーは、リングインして来た。この日15戦を数える歴戦の兵(つわもの)としての貫禄を十分過ぎるほど醸し出しながら、余裕の笑みを称え、入場して来る彼女の様子を観て、名勝負の予感に胸が膨らむ。アウェイのリングにも関わらず、大きな声援が送られた。
　一方、地元応援団の大歓声の中、威風堂々と入場の池山。一足先に世界王者になった菊地奈々子と、互角以上にわたりあった自信を全身から漲らせ、早くも王者の風格すら漂わせている。果たして、役者は揃った。

　試合は図らずも、パワフルなコンビネーションで攻め込む池山に、打たれながらも必死に返すジプシーということで、全ラウンドを通じて、手に汗握る攻防が展開された。途中、2回ダウンを奪われたジプシーであったが、ダウン・カウント中にも、「全然効いていない」とのアピール。以前の打たれ強さが蘇って来たのである。
　また、この大会からフリー選手となった彼女であったが、「ジプシー」のリング・ネームどおり、新しい技術習得のため、多くのジムに転々と出稽古に行き、ディフェンス技術がアップした事も功を奏した。豪腕、池山のパンチを、ジプシーの固いガードが幾度となくブロック、辛くも勝負は判定に縺れ込んだのである。

　結果はダウンを奪われたジプシーが大差の判定負け。ただ、「ジプシー選手は、今まで闘った選手の中で、一番打たれ強い」と勝利者インタビューに答える池山の声からも、ゾンビのように打たれ強いジプシーの様子を窺い知る事が出来た。
　予想に違わぬ名勝負を演じてくれた2人であるが、池山が日本タイトルに王手、そして、ジプシーが完全復活ということで、勝った者だけでなく、負けた者にとっても、収穫の多い一戦だったように思う。何よりも、その事は、おでこを赤ん坊の拳大(こぶしだい)に腫らしながらも、インタビュー・スペースで、にこやかに笑っている敗者、ジプシーの姿を見て感じ取る事が出来た。

　日本一選手層が厚いミニフライ級戦線であるが、古豪の復帰で、ますます混沌として来た。来年の王座決定戦に、今から、胸が高鳴る私である。


セミファイナル　ミニフライ級　2分4R
○藤澤ノリ（マーシャルアーツ）
×関友紀子（SOD女子格闘技道場）
判定3-0

ミニフライ級　2分4R
○森山晶（フジワラ）
×星畑裕香（HERO）
3R 1'56" TKO

50kg契約　2分4R
○宇都実穂（マーシャルアーツ）
×アンリ（山木）
判定2-0

53kg契約　2分4R
○玉木　彩（フジワラ）
×沢田真理（MAX）
判定3-0

バンタム級　2分4R
×神原ジュンコ（マーシャルアーツ）
○ツナミ（山木）
判定0-3

Last Update : 11/22 21:18