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(レポ&写真) [PRIDE武士道] 7.17 名古屋:五味、PRIDEで初の判定勝ち

ドリームステージエンターテインメント "PRIDE武士道 -其の八-"
2005年7月17日(日) 愛知・名古屋市総合体育館レインボーホール  観衆:9,784人(満員)

  レポート:井原芳徳(後半4試合)、小林秀貴(他7試合)  写真:井原芳徳
  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】

第11試合 1R10分・2R5分
○五味隆典(日本/木口道場レスリング教室)
×ジーン・シウバ(ブラジル/シュート・ボクセ・アカデミー)
判定3-0


 ジーンのカポエイラ流の派手な蹴りをかわし、五味はテイクダウンに成功。サイド、バックと次々と優位なポジションを奪い、ハーフガードから強烈なパウンドを落とし続ける。だがここで仕留めきれず、アリ猪木状態でブレイク。その後も五味は上になるが、アリ猪木でブレイクが繰り返され、チャンスにつなぐことができない。
 立ち技でも時折構えをスイッチする等、打開策を見いだそうとするが、逆にパンチの打ち合いでもらってしまう場面もあり、次第にスタミナを消耗。PRIDEでは初の2Rに突入してもなかなかチャンスに持ち込めず。

 ようやく終盤、ハーフガードからアームロックでチャンス。そのままバックに移行し、最後は腕十字を極めかけるが、ポイントがずれてしまったようで、ジーンはタップしないまま試合終了のゴングが鳴った。
 PRIDE6戦連続1R勝利。紹介VTRでも「判定、ダメだよ、KOしなきゃ!」というマイクアピールの箇所が強調される等、KO勝ちのキャラが定着していたが、9月の武士道GPを控え、初の判定勝利となってしまった。

◆ 五味「前回の勝ち方が良すぎたんでしょうね。コンディション作りがダメでした。ちょっと気が抜けていたんで、いいクスリになりました。今日は50点です。(初の2R、判定勝ちについて)GPの前に逆に経験しておいて良かった部分もあるでしょうね。今日は他の選手の試合を見ていても焦りを感じました。
 あと2ヶ月ちょっと、ルミナさんや三島選手とやった頃のように、集中して練習します。生活と練習の無駄な部分を捨て、シンプル・イズ・ベストで。出稽古を減らし、木口道場での練習を増やします。総合の練習用の備品を少しずつ整えてきてくれているんでね。木口先生がやってきたように、自分の家を改装するように自分の道場を造っていくことも、プロ(としての自分のやるべきこと)だと思うんで。
 今日はとにかく重い。(体だけでなく)心も重い感じでした。相手のジーン選手は凄いハングリーで、たぶん家族とかいろんなものを背負っているんでしょうけど、僕もかつてはああいう気持ちだったはず。今日はいい勉強になりました」

第10試合 1R10分・2R5分
×長南 亮(日本/チームM・A・D)
○フィル・バローニ(アメリカ/ハンマーハウス)
1R 1'40" KO (スタンドパンチ連打)


 前日計量時点では長南82.9kg、バローニ82.3kgだが、リング上での体格の違いは明らか。バローニの右フックが序盤から炸裂し、長南は下がり気味。最後はやや腰が引けたような状態で右フックを放ち顔面のガードが空いた所に、左右のフック。持ち味を全く出せないまま完敗に終わった。
 試合後の長南は「想像以上に圧力がありました。体調も万全だったんですが。気持ちはドン底です。この内容ではGPに出る資格はない。この階級で戦うには肉体改造しないと」と猛反省。以前から「ここまで勝ててきたのはマグレ」等と語り、83kg級としては小柄な体格を本人も意識していたが、ここに来てリング上でそれらの課題が一気に噴出してしまった。

第9試合 1R10分・2R5分
○美濃輪育久(日本/フリー)
×キモ(アメリカ/フリー)
1R 3'11" アキレス腱固め


 岐阜出身ということもあり、会場人気ではダントツの美濃輪。紹介VTR、入場してからの一挙手一投足で笑いが起こる。開始早々、テイクダウンを奪われるが、パスガードのタイミングでリバーサルに成功。大ミノワコールの後、一気に得意のアキレス腱固めを極めた。最後は四方の観客に向けての「オイ!オイ!」で締めた。

第8試合 1R10分・2R5分
○川尻達也(日本/チームTOPS/修斗ウェルター級(70kg)世界王者)
×ルイス・ブスカペ(ブラジル/ブラジリアン・トップチーム)
判定3-0


 明らかに顔色が冴えず、体の張りがいまいちの川尻。試合前の相手への睨みつけも、いつものような眼光の鋭さが見られない。
 開始早々、右ストレートをもらってしまいピンチ。ブスカペに立ったまま後ろから捕まえられた状態が続くが、シャオリン戦のように簡単に脱出できず、ブレイクに助けられる。その後も後ろから捕まる展開、川尻が上になる展開が繰り返されるが、強烈なパウンドはなかなか見られず。1R終盤、パンチを当て上になってラッシュを仕掛けるが、無情にもゴングに阻まれる。

 2Rは早い段階からテイクダウンに成功。パスガード、マウント、サイドからの鉄槌や膝と攻勢となるが、四点ポジションをキープする体力が残っていない。その後も1R同様、ブスカペに後ろからしがみつかれる展開の繰り返し。残り1分を切ったところでブスカペを振り倒し、パウンドと踏みつけでラッシュを仕掛けるが、またもゴングに阻まれてしまった。
 修斗のベルトを巻き、マイクを持った川尻だが、その言葉と声からは威厳が感じられず。「プロとして失格。オーバーワークで動けなかった」と反省しきりだった。

第7試合 1R10分・2R5分
×三崎和雄(日本/GRABAKA)
○ダニエル・アカーシオ(ブラジル/シュートボクセ・アカデミー)
判定0-3


 シュートボクセが83kg以下の階級で売り出しを図っているダニエル・アカーシオは、GRABAKAの若頭、三崎和雄に接戦ながらも判定勝利。多彩な打撃のコンビネーションを駆使して、チームの期待になんとか応えた格好だ。
 立ち上がり、アカーシオが払い腰で三崎を転がし、得意の踏みつけで勝負を決めるかと思われたが、すぐさま三崎が立ち上がり、ここからはボクシングさながらの打撃戦に。アカーシオを中心に三崎が円を描くように動く展開。三崎もときおりボディーへのパンチを打ちこむなど冷静な試合運びを見せたものの、2R、アカーシオの左フックで一瞬後ろを向いてしまう。結局、この展開が決め手となったか、ジャッジは三者ともにアカーシオに軍配を上げた。

第6試合 1R10分・2R5分
×今成正和(日本/チームROKEN)
○ヨアキム・ハンセン(ノルウェー/チーム・スカンジナビア)
1R 2'34" KO (左膝蹴り)


 「かつて五味隆典に初黒星をつけた男」、ヨアキム・ハンセンがPRIDE武士道初見参。対するは「足関十段」今成正和。マニア垂涎のカードは濃密な攻防の末、「対日本人無敗」の男がその実力をいかんなく発揮する結果となった。
 序盤からハンセンの足元にスライディングして足を狙う今成。しかしハンセンはその「誘い」に乗らず、顔面への踏みつけ攻撃を狙う。1分、ようやく胴タックルから引き込んだ今成は、すぐにハンセンに立ち上がられてしまうものの、ふたたび踏みつけにきた足をヒールホールドに捉えかける。2度、惜しい場面があったが、ハンセンもかろうじてこれを防御。
 そして、一瞬の隙を見逃さないのがハンセンの「当て勘」の怖いところ。スタンドで再開して今成が最初に放ったタックルの出会い頭、今成のこめかみにハンセンの左ヒザが突き刺さり、見事、レフェリーストップでの白星を勝ち取った。

第5試合 1R10分・2R5分
×戦闘竜(アメリカ/チーム・ファイティング・ドラゴン)
○ジェームス・トンプソン(イギリス/チームMMAユニバース)
1R 1'31" KO (右アッパー)


 「勝っても負けても1分以内」が身上の突撃野郎、ジェームス・トンプソン。試合時間は1分を超えてしまったが、今回は豪快なパンチで戦闘竜を葬り、念願の勝利をものにした。
 「立ち合い」からまずぶちかまし、胴タックル、両足タックルと出て行ったのは、戦闘竜。対するトンプソンはタックルを冷静に潰してマウント、バックマウント、と意外といっては失礼かもしれないが、器用にポジションを奪っていく。馬乗りパンチから腕十字に移行しようとしたところで戦闘竜に反転されてしまったものの、すぐに立ち上がる。ここで一瞬あいた「間」にトンプソンが放った右アッパーが、見事に戦闘竜のアゴを捉え、勝負あり。終わってみれば文句なしのKO決着だった。

第4試合 1R10分・2R5分
×村田龍一(日本/吉田道場)
○大久保一樹(日本/U-FILE CAMP)
1R 9'30" 腕ひしぎ十字固め


 吉田道場対U-FILE CAMP対抗戦の第一弾。スキンヘッドの吉田道場コワモテ特攻隊長・村田が終始試合を支配したが、最後の最後にUの遺伝子、大久保一樹の「極」の餌食になってしまった。
 村田は序盤から、組んでは投げ、組んでは投げて上をとる。6分過ぎ、もつれるように上のポジションをとった村田は、カメになった大久保に対し、バックマウントからチョークスリーパーを狙う。しかし、ここで経験の差が出たか、村田は決定的なポジションを奪いながらも極めきれない。逆に1R終了間際、大久保は下からの腕十字をきっちりと極めた。村田が柔道衣を着ていたために滑りにくく、極まりやすかったのも大久保の勝因、という皮肉な結末となった。
 吉田道場対U-FILE CAMP、新たな遺恨の幕開けとなった試合だった。

第3試合 1R10分・2R5分
×中尾受太郎(日本/フリー/DEEPウェルター級(76kg)王者)
○マーカス・アウレリロ(ブラジル/アメリカン・トップチーム)
判定0-3


 ついに武士道のリングにも、「じゅたろう」の文字が入った黄色いショートスパッツが初登場。しかし“マスター・オブ・トライアングル”と期待された三角絞めは不発。対するアウレリロもグラウンドを得意とし、1年前、この武士道のリングで三島☆ド根性ノ助と激闘を演じたのは記憶に新しい。しかし実力が拮抗したテクニシャン同士の一戦は、仕方のないことではあるのだが、印象の薄い膠着戦となり、ファンへのアピールにはならなかった。アウレリロは1R中盤以降、右頬と鼻から激しい出血に見舞われ、たびたびドクターチェックを受けるなど、アクシデントに見舞われたが、2R、しつこいタックルで2回テイクダウンを奪って、薄氷の勝利をものにした。

第2試合 1R10分・2R5分
○デニス・カーン(カナダ/スピリットMC)
×アンドレイ・シメノフ(ロシア/レッドデビル)
判定3-0


 柔術ベースのカーン対サンボベースのシメノフの一戦は、不完全燃焼の判定決着。序盤のパンチのアドバンテージが決め手となったか、接戦ながらも3-0の判定でカーンが勝利をものにした。
 1R序盤、カーンの右ストレートでシメノフの腰が一瞬落ちる。しかし、見どころのある攻防はこの一瞬だけ。その後は打ちあいもかみあわず、疲れからか1R終盤、手数が少なくなったカーンに対し、シメノフのロシアンフックも空を切った。2R後半はグラウンド勝負になったものの、ここでも両者決め手を欠き、勝負は微妙な判定に。

第1試合 1R10分・2R5分
×杉江“アマゾン”大輔(日本/ALIVE)
○ジョシュ・トムソン(アメリカ/アメリカン・キックボクシング・アカデミー)
1R 2'35" 膝十字固め


 ブラジリアン柔術黒帯にして修斗ウェルター級環太平洋8位の地元ファイター、杉江の相手は、UFCで活躍するジョシュ・トムソン。試合展開は杉江のワンサイドゲームのように思われたが、結果は大逆転の足関決着でトムソンが勝利した。
 アマゾンは胴タックルから反り投げをうち、まず上をとる。クローズドガードで強固に守るトムソンをすかさずパスガードすると、サイドポジション、ニー・イン・ザ・ベリーと着実に有利なポジションに移行する。そして相手の右サイドポジションから、左腕を十字にとる、教科書通りの攻めで杉江のゲームは勝負あったかに思われた。
 しかしトムソンはここから奇跡の反撃を見せる。根性としか思えない粘りでとられた左腕を引き抜くと、目の前にあった杉江の左足をとって、膝十字に。気がついたときには膝が完全に伸びきった状態だった杉江には、タップするしか道はなかった。

Last Update : 07/20 00:12

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