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(レポ&写真) [K-1 MAX] 5.4 有コロ:魔裟斗、負傷感じさせぬ完勝

FEG "エステティックTBC K-1 WORLD MAX 2005 〜 世界一決定トーナメント開幕戦〜"
2005年5月4日(水/祝) 東京・有明コロシアム  観衆:13,918人(超満員札止め)

  レポート&写真:井原芳徳  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】

第9試合 トーナメント一回戦 3分3R(延長1R)
○魔裟斗(日本/シルバーウルフ/03年世界大会優勝)
×イム・チビン(韓国/K.pプロモーション)
判定3-0 (梅木30-28/大成30-28/朝武30-28)


 魔裟斗が接近戦になると左右のストレートやフックを着実に当て攻勢。イムも右ローやミドルを返すが、魔裟斗のプレッシャーを止められない。イムは時折サウスポーに構えを変えるが、魔裟斗はそれでも動じず。3R終盤、イムが起死回生の回し蹴りを放つも、バランスを崩したところに魔裟斗の左ストレートがヒット。イムは一瞬苦しい表情を見せる。魔裟斗がイムを追いつめた場面はこれぐらいだったが、終止主導権を維持し、危なげなく王座奪回ロードをスタートした。

 しかし危なげなく見えた裏で、魔裟斗はこれまでにないピンチと約20日間戦っていた。大会直後の記者会見で、魔裟斗は伊原信一会長に促され、4/15の練習中に左膝のじん帯を負傷していたことを明かした。直後の土日は休み、18日の月曜日にいつもどおりスパーリングをしたが、1Rしかできなかったため病院でMRI検査を受けた。医者からは欠場を提案されたが、じん帯を断裂はしていないことがわかったため、魔裟斗は「やめる理由はない」と出場を決意した。

 とはいえいつもなら直前の最終追い込の時期にも関わらず練習ができず、イライラが募る。25日の六本木ヒルズでのK-1 EXお披露目会見は風邪を理由に欠席。2日延期して行った28日にの公開練習でも、右の蹴りだけでマスコミをけむに巻いた。左の蹴りを確かめたのは前日のシャドーのみ。「狙われるから」と左足にサポーターを巻かず試合に臨んだ。
 試合ではイムの右ローを浴びたが全く動じず。左の蹴りはローとミドルと前蹴りを数回放っただけで、あとは全て右。「相手の動きが見えていた」ことから、「1Rが終わった時点で『負けはない』と思った」と確信。「完勝というか楽勝だった」と振り返るほどで、魔裟斗の恐ろしいまでの気の強さが感じられる。
 「伊原会長から『これを乗り越えたら強くなる』と言われて乗り越えられたんで、これで一皮むけました」と笑顔の魔裟斗。「1週間安静にするけど、明日からロードワーク」だといい、7.20横浜アリーナ決戦に向け、早くも気持ちを切り替えていた。


第6試合 スーパーファイト 3分3R(延長1R)
×山本“KID”徳郁(日本/PUREBRED TOKYO KILLER BEE)
○マイク・ザンビディス(ギリシャ/メガジム)
3R 0'39" KO (右フック)


 KIDはサウスポーからの左ミドル、左前蹴り主体のムエタイスタイル。右肩の負傷欠場からの復帰戦ということと、相手がパンチャーということも重なってか、パンチをほとんど使わない。最初はやや様子見だったが、接近戦でザンビディスパンチの連打をもらううちに序々に劣勢に。蹴りにしても1.5階級体の重いザンビディスの方が威力がある。KIDは2R中盤からムエタイスタイルが崩れパンチを使い始めるが単発止まり。そして3R、カウンターの右ローをもらった直後、KIDは右のアッパーを連打。するとがら空きになったアゴに右フックを合わせられダウン。すぐ意識は戻ったものの立ち上がることができなかった。

 人生初のKO負けを喫してしまったKIDだが、「超気持ちよかった。K-1最高」「人生がもっと面白くなった」と語り、打撃系格闘技の新たな魅力に目覚めた様子だった。7月のHERO'Sの総合ルールの試合で、ニューKIDが見られるのか?今から楽しみだ。
 なお、谷川貞治K-1イベントプロデューサーは、ザンビディスをトーナメントの推薦枠に抜てきする考えを示している。


第7試合 スーパーファイト 3分3R(延長1R)
○佐藤嘉洋(日本/名古屋JKファクトリー)
×ウィリアム・ディンダー(オランダ/チーム・アーツ)
判定3-0 (御座岡30-27/大成30-27/朝武30-27)


 嘉洋が長い足からロー、膝、前蹴りを繰り出す。ディンダーはパンチで応戦するが、嘉洋の懐が深く、なかなかクリーンヒットを当てられない。嘉洋の最大の武器の首相撲からの膝蹴りがK-1では1回しか許されないため、戦前は適応度が心配された。しかし嘉洋は両手で相手を押さえてから膝を放ち、膝だけでなくローも絡める連続攻撃で対応する。結局最後までこのスタイルを貫き通し主導権をキープ。展開がやや単調になり、観客を湧かせるには至らなかったが、K-1ファンに強さと不気味なぐらいの存在感を印象づけられたようだ。


第8試合 トーナメント一回戦 3分3R(延長1R)
○ブアカーオ・ポー・プラムック(タイ/ボー・プラムックジム/04年世界大会優勝)
×ワシリー・シシ(ベラルーシ/チヌックジム)
判定3-0 (大成30-27/御座岡30-27/朝武30-27)


 ムエタイスタイル同士の対決となったが、当然そうなればブアカーオが何枚も上手。ロー、ミドル、前蹴りでシシを翻弄。時折コカしては倒れ際に蹴りを放つ。シシは最後までペースをつかめず。ブアカーオの横綱相撲に終わった。

第7試合 トーナメント一回戦 3分3R(延長1R)
○アルバート・クラウス(オランダ/ブーリーズジム/02年世界大会優勝)
×ヴァージル・カラコダ(南アフリカ/スティーブズジム)
判定3-0 (御座岡30-27/大成29-28/朝武30-28)


 ボクサーのカラコダは出場選手随一のスピードのあるパンチだけでなく、時折ローキックも絡める等、キックへの対応度の高さを伺わせる。クラウスはパンチで応戦する場面もあったが、ロー、左ミドル、前蹴りが主体。追いつめるまではいかなかったが、着実に蹴りを当て主導権をキープし、2度目の優勝に向け好スタートを切った。

第4試合 トーナメント一回戦 3分3R(延長1R)
○アンディ・サワー(オランダ/シュートボクシング・オランダ)
×マルフィオ・カノレッティ(ブラジル/シッチ・マスター・ロニー)
判定3-0 (御座岡30-27/大成30-27/朝武30-28)


 サワーがパンチのコンビネーションからローか左ボディにつなぐ攻撃で終止カノレッティを圧倒。S-CUP2連続王者の強さを示した。

第3試合 トーナメント一回戦 3分3R(延長1R)
○ジョン・ウェイン・パー(オーストラリア/ブンチュウジム)
×シェイン・チャップマン(ニュージーランド/フィリップ・ラム・リーガージム)
3R 2'08" KO (左ボディフロー)


 序盤、チャップマンの右ローで力なくスリップする場面もあったが、1R終盤、ボディへの左膝蹴り一撃で見事ダウンを奪取。さらに1R終了間際に右フックでもう一度ダウンを奪い、2Rにもコーナーに詰めて左ボディで1ダウンを奪取。最後もコーナーに詰めての右左のボディ連打でチャップマンをマットに沈めた。

第2試合 トーナメント一回戦 3分3R(延長1R)
○小比類巻貴之(日本/チーム・ドラゴン/05年日本代表戦優勝)
×ダリウス・スクリアウディス(リトアニア/リングス・リトアニア)
2R 1'29" KO (左足首の負傷)


 コヒが伸びのある前蹴り、ダリウスがサウスポーの構えから鋭いローとフックを出し、距離を伺う展開。だが2R、ダリウスの左ローをコヒが下がりながら両足の太ももで受けた際、ダリウスが左足首を負傷。倒れたまま立ち上がれず、試合終了となった。コヒは本領発揮の前に相手の自爆で勝ちを拾う格好に。関係者によるとダリウスは古傷を痛めたといい、左足舟上骨骨挫傷により全治4週間と診断された。

第1試合 トーナメント一回戦 3分3R(延長1R)
×安廣一哉(日本/正道会館)
○ジャダンバ・ナラントンガラグ(モンゴル/モンゴル・プロファイティング協会)
判定0-3 (朝武29-30/大成28-29/和田28-30)


 突進ファイトのナラントンガラグを巧みにかわし続けた安廣だったが、パンチをもらううちに次第にダメージが蓄積。3Rには鼻血を出すように。カウンターの右フックでぐらつかせる場面もあったが、形成逆転とはならなかった。


オープニングファイト 3分3R(延長1R)
×朴 光哲(日本/PUREBRED TOKYO KILLER BEE/修斗ウェルター級環太平洋王者・世界3位)
○サム・スタウト(カナダ/チーム・トンプキンズ)
4R 判定0-3 (岡林9-10/梅木9-10/川上9-10)

3R 判定1-1 (岡林29-28/梅木29-30/川上29-29)

 朴は頭を下げてパンチを振り回す突進ファイト。スタウトが正統派のキックボクシングでローを当て続けると、次第に朴の息が上がるように。なんとか延長に持ち込んだが、相手の攻撃をもらうばかりでほとんど攻められず完敗を喫した。

オープニングファイト 3分3R(延長1R)
○山本優弥(日本/BOOCH BEAT/全日本ウェルター級1位)
×城戸康裕(日本/谷山ジム)
判定3-0 (岡林29-28/朝武30-28/黒住30-28)

※3R城戸が右ハイで1ダウン

 城戸が左ミドル、左ハイ等の手数で上回る。優弥はいつものように相手の打撃をもらうたびにニヤリと笑い、右ストレートや右ローを返していく。決定的な差のないまま本戦が終わるかにも思われたが、残り1分、優弥がパンチの連打で反撃。そして終了間際、城戸がストレートで突進したところで優弥が右フックを返すと、城戸がロープにもたれるようにバランスを崩し、優弥の右ハイキックが炸裂。城戸はダウンを宣告され、そのままタイムアウト。優弥が勝利をものにした。ギリギリの所でラッキーを手にするあたり、神童・優弥らしいK-1デビューだったと言えるかもしれない。

Last Update : 05/05 22:55

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