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(結果) [正道会館] 9.1 全日本:重量級加藤二連覇。軽重量級は子安の二連覇ならず

正道会館 "第4回ウエイト制オープントーナメント 全日本空手道選手権大会"
2002年9月1日(日) 大阪・大阪府立体育会館

Text by 仲村直 
Photo by 井田英登

 今回も暑い夏に負けない、熱い戦いが行われた。上位入賞者を見ると、順当なように見えるが、そこにいたるまでの道は順当ではなかった。『ミスター正道会館』子安のいる軽重量級は中量級からの新勢力とベテランが意地を見せた。
 重量級ではニューヨーク大会でのハリスへの借りを返そうと、昨年の重量級、軽重量級のチャンピオンが並んだ。先輩を、強敵を、越えることで、 選手達は何かを得ようとここに集まった。

[軽量級]
大渡の二連覇なるか。高雄が、他流派の選手が、大渡を狙う戦いになる。

優勝  大渡博之(東京本部)
準優勝 高雄文男(南大阪)
三位 綾部真弥(東京本部) 蔵本竜二(宮野道場)

<決勝戦> 
大渡博之(東京本部)[延長4ー0]高雄文男(南大阪)
 昨年の決勝と同じ顔合わせ。高雄としては「今度こそ」という思いが強い。右の下段の蹴りを効かせおしこんでいき、南大阪流ともいえる勢いで大渡に 攻めさせない。後半大渡も蹴りで応戦し距離をとる。延長に入って息があがってきた高雄に対し動きの良くなった大渡。本戦で旗の上がらなかったことで、逆に気合いが入ったのか?フットワークよく攻め何度も膝蹴りを入れる。試合の流れを引き寄せた大渡の優勝。二連覇を達成。
(本戦0ー2、延長4ー0)

<準決勝戦> 
高雄文男(南大阪)[再延長5ー0]蔵本竜二(宮野道場)
 突きと膝蹴りで攻める蔵本、対して高雄は下段の蹴りと突き。互いに近い間合いでの攻防になり、つかみによる注意が多くなる。再延長戦ではつかみによる注意が重なり、蔵本が減点1となる。試合終了間際の減点が勝敗を決めた。(本戦2ー0
、延長2ー0、再延長5ー0)

大渡博之(東京本部)[本戦3ー0]綾部真弥(東京本部)
 大渡が突きの連打から蹴りにつなげて距離をとる。綾部に攻めるタイミングを与えず、試合のペースをつくる。

<準々決勝戦> 
高雄文男(南大阪)[本戦5ー0]青木正臣(志道館)
 高雄が突きから上段、中段に蹴りを出し、自分のペースに。
      
蔵本竜二(宮野道場)[再延長3ー0]元祥玉(総本部)
 昨年と同じ組み合わせ。今回は蔵本が元をおさえて準決勝へ。(本戦0ー0、延長1ー0、再延長3ー0)

大渡博之(東京本部)[延長]三浦克仁(TEAM乱)
 延長に入って、大渡の蹴りが三浦の急所に入り注意1。2試合後に回復を待っての再試合の予定が三浦の回復が思わしくなく、試合規約第7条(c)を 適用する。(本戦0ー0、延長) 
※試合規約第7条(c)負傷の原因が双方 の偶発性による場合には、試合を続行できる方の選手を勝ち扱いとする。

綾部真弥(東京本部)[延長5ー0]山本隆一郎(東京本部)
 東京本部の選手同士の対戦。(本戦0ー0、延長5ー0)

[中量級]
昨年のチャンピオンの村尾が階級を上げたことで、昨年果たせなかった勝利をと選手
に気合いが入る中量級。

優勝 工藤健太郎(埼玉)
準優勝 石塚一睦(東京本部) 
三位安田誉志人(北九州本部) 久保秀樹(真盟会館)

<決勝戦>
工藤健太郎(埼玉)[延長4ー1] 石塚一睦(東京本部)
 技の攻防としては見ごたえのある受け返しの綺麗な両者。手数で勝る石塚、だが試合のペースは工藤が掴んでいるか、攻めきれないまま延長戦へ。延長に入り工藤の中段の蹴りが石塚をとらえ、徐々に工藤が前へおしていく展開 となる。昨年2位の工藤が優勝。
(本戦1ー1、延長4ー1)

<準決勝戦>
工藤健太郎(埼玉)[本戦5ー0]安田誉志人(北九州本部)
 前蹴り、上段、下段と蹴りわけてペースをつかむ。蹴った後のバランスの良さで確実におしていく。
 
石塚一睦(東京本部)[再延長4ー0]久保秀樹(真盟会館)
 久保の上段蹴りをよく見てかわす石塚。だが、石塚も蹴りまで繋がせてもらえず
苦しい展開。延長に入り石塚の左の蹴りが入りだし流れをつかむ。
 

<準々決勝戦>
工藤健太郎(埼玉)[延長3ー0]後藤康広(大分)
 延長に入り、工藤が突きを効かせていく。(本戦0ー0、延長3ー0)

安田誉志人(北九州本部)[延長4ー0]吉田裕幸(真盟会館)
 安田が他流派の吉田をおさえる。(本戦0ー0、延長4ー0)

石塚一睦(東京本部)[再延長4ー1]野口博基(拳武道会館)
 手数で石塚が野口をリード。(本戦2ー0、延長2ー0、再延長4ー1)
 
久保秀樹(真盟会館)[本戦 一本勝ち]宮崎忠郁(宮崎道場)
 久保が宮崎のあごに上段膝蹴りを入れ、一本勝ち。

[軽重量級]
 王座奪取を狙う子安に外岡、村尾と二人の元中量級チャンピオンが挑むと思 われ
た。ところが、子安は意外な伏兵に苦戦することになった。

優勝 外岡真徳(阿倍野)
準優勝 子安慎悟(東京本部)
三位 福永規男(中部) 春山成千(総本部)

<決勝戦> 
外岡真徳(阿倍野)[本戦4ー0]子安慎悟(東京本部)
 石井館長が裸足になり場内へ、自ら主審としてこの試合をさばく。
 昨年の準決勝の借りを返したい子安。準決勝、準々決勝と消耗する試合を上がってきた子安に対し、ここまで安定した試合運びで上がってきた外岡。決 勝に相応しく互いに気迫ある打ち合い責めの攻防だが、上段への蹴り、攻めの手数で外岡がリード。外岡の攻撃で攻防が終わることが多く、着実にあてている。後半に入っての外岡の膝蹴りの見事さ。相手の体を掴まずに突き刺す膝蹴りは接近戦での膝蹴りのイメージを変えるものだろう。今回もここまで着実に勝ち上がった外岡の勝利となった。結果、中量級と軽重量級の2階級制覇を成した。


<準決勝戦>
外岡真徳(阿倍野)[本戦3ー0]福永規男(中部)
 中部の意地を見せたい福永。だが、外岡は攻撃をよく見てかわし、近い距離からの蹴りで、じりじりと押していく。接近した状態での上段蹴りのきれの 良さがひかる。

子安慎悟(東京本部)[再々延長5ー0]春山成千(総本部)
 二試合続けての子安の苦戦。互いに試し割りまでの消耗する試合をしてきている二人が、また同じ展開となる。延長に入り子安の下段が効いてくるが、春山も負け
じと下段で応戦。子安にしては珍しく正面から打ち合っていく展開に。再延長でも決まらず両者とも二回目の試し割りに。両者同数で、子安 は二回目の再々延長戦。子安の動きのある攻めに対して、だんだんと春山の 足が止まり単発な攻めになってしまう。(本戦1ー0、延長2ー0、再延長 0ー0、試し割り、14/30ー14/30、再々延長5ー0)

<準々決勝戦>
 
外岡真徳(阿倍野)[本戦 合わせ一本]松本準也(東京本部)
 外岡が下段回し蹴りで技ありをとる。松本がペースを取り戻す間もなく、直 後にも同じ下段回し蹴りで技ありで、合わせ一本勝ち。

福永規男(中部)[再延長3ー0]鈴木修司(東京本部)
 もと寮生対決。中部対東京対決。福永が下段で右足を攻め、鈴木の動きが止 まる。(本戦0ー0、延長0ー0、再延長3ー0)

春山成千(総本部)[試し割り25ー20]村尾健司(南大阪)
 昨年の中量級チャンピオン村尾だが、軽重量級の戦いには苦戦を強いられる。試し割りで、上手く体重をのせ25枚を割った、春山の勝利。(本戦0ー0、延長1ー0、再延長2ー0、試し割り25/25ー20/20)

子安慎悟(東京本部)[再々延長5ー0]地主正孝(総本部)
 中量級からのもう一人の挑戦者地主がもちまえの勢いのよさで子安を追いこむ。3月のニューヨーク大会180ポンド未満のクラスで優勝し、勢いのある地主は、子安蹴りをくり出したかと思えば激しく打ち合って見たり、まさに試合を楽しんでいる様子。子安もそんな試合展開を楽しんでいるかの様に見えた。試し割りでも決着がつかず、再々延長戦(マストシステム)までもつれこんだ。本戦からの下段の蹴りの蓄積で地主の動きが止まってくる。(本戦0ー0、延長0ー0、再延長2ー0、試し割り17/25 ー17/2 5、再々延長5ー0)

[重量級]
中量級、軽重量級を制した沢田の参戦が注目。ニューヨーク大会での借りを返そうとハリス・ライズに挑む。加藤は二連覇することで、極真の大会へのはずみをつけたいところ。

優勝 加藤達哉(東京本部)
準優勝 ハリス・ライズ(スイス)
三位 出畑力也(東京本部)  沢田秀男(東大阪)

<決勝戦>
加藤達哉(東京本部)[本戦5ー0]ハリス・ライズ(スイス)
 この試合も石井館長が主審で行われた。昨年の決勝は加藤、ニューヨーク大 会での決勝はハリスが勝利し三度目の対戦。直突きで前に出てくるハリスに加藤は左の膝蹴りと下段の蹴りでおしていき場外へ。ハリスの突きと加藤の蹴りの意地の張り合いとなる。最後にハリスのラッシュを加藤が突きと蹴りの応戦でこらえる。突きに対して蹴りで試合のペースをつくった加藤の勝 利。重量級二連覇達成の瞬間だった。

<準決勝戦>
ハリス・ライズ(スイス)[試し割り17ー12]沢田秀男(東大阪)
 ハリスとの再戦の為に階級をあげてきた沢田、表情にも闘志がみえる。開始から1分近く、激しく打ち合う両者。ハリスの直突きに対し、正面から下突 きで応戦。そのまま沢田が突きから膝蹴りへつなげ、ハリスをおしていく。本戦後旗の数に意外そうな沢田。延長、再延長とハリスの突きを受け続け沢 田の体力の消耗は激しい、が、気持ちで前へと蹴り突きでむかっていく。一方のハリスも消耗しているのは同じで、決めることはできない。結局試し割 りにより、ハリスの勝利。瓦5枚が沢田のリベンジをとめた。
(本戦0ー2、延長0ー1、再延長0ー2、試し割り17/20ー12/21)


加藤達哉(東京本部)[再延長4ー0]出畑力也(東京本部)
 加藤はここで先輩出畑をこえて、決勝へ進みたいところ。出畑にも後輩に負けら
れない意地がある。両者とも手の内を知っていてやりにくいのか、出方を見るところもあり、両者の意地は再延長までもつれこむ。加藤が前蹴りと 膝蹴りで出畑の攻めをとめ決勝へ進む。
(本戦0ー0、延長2ー0、再延長 4ー0)

準々決勝戦 
ハリス・ライズ(スイス)[延長 合わせ一本]中田太郎(総本部)
 ハリスの重たい突きをこらえひざ蹴りを出す中田。延長に入ってハリスが中
 段の突きで技ありをとり、ペースにのる。直後にまた中段の突きをきめ、合わせ一本勝ち。(本戦0ー0、延長合わせ一本勝ち)

沢田秀男(東大阪)[本戦5ー0]森貴史(東京本部)
 一回戦では苦戦した沢田が本来の動きを取り戻し、自分のペースで技を出す。
 (本戦5ー0)

出畑力也(東京本部)[再延長4ー0]高原信好(中部)
 軽重量級についで、中部対東京対決。後半前へ出ていった出畑が高原の足を とめる。
(本戦0ー0、延長0ー0、再延長4ー0)

加藤達哉(東京本部)[本戦5ー0]徳原泰禎(総本部)
 加藤が得意の左の蹴りをきれいに蹴りわける。(本戦5ー0)

[敢闘賞]地主正孝(総本部) 
[審議委員特別賞]地主正孝(総本部) 
[最優秀選手賞] ハリス・ライズ(スイス)

「ごく私的な大会の見方」
ここは、敢闘賞、審議委員特別賞の二つの賞をとった地主正孝(総本部)、
東大阪の秘蔵っ子沢田秀男(東大阪)らのコメントの紹介をしながら
ごく私的なエールをおくるコーナーです。

「ごく私的な大会の見方 其の一」
ミスター正道の子安を苦しめた試合が評価され、敢闘賞、審議委員特別賞の二つの賞をとったのは、地主正孝(総本部)。今回の軽重量級を一番盛り上げたのはこの人かもしれない。昨年の中量級で村尾選手と準々決勝で元気よく気合いの入った試合をした暴れん坊。同じく軽重量級で村尾がらしさを出せなかったのにたいして、敗れたとはいえ十分にらしさを発揮しそれが評価されて二つの賞をとることとなった。子安蹴りを本人に対して出すところでは、一番会場が沸いた。 来年もこの対戦がみたい!
子安と地主のコメントを紹介します。

(子安選手)
・決勝は早くに旗があがっちゃいましたね
「そうっすね、なんなんでしょうってかんじで はい」
・後半勝負的なことは考えたんですか?
「まあ僕は普通に、決勝まできたら流れに任せてみたいなかんじで」
・淡白な試合になっちゃってた?
「そうですね、不完全燃焼みたいなかんじで、でもまあ他の試合も結構やってて楽しかったんで。疲れましたけど(笑)」
・今年は空手に専念してたんですか
「けがしてたから」
・今年こそはって言うのもあったと思うんですけど
「あんまりでも、結果とかは求めてなかったですけど。自分のやってきたことがまあ、どこまで出せるかみたいな。」
・けがの影響は?
「影響んー、確かに不安と言えば不安だったんですけども、試合に向けて調整してたんで問題はなかったです。はい、」
・今回の目標は?
「そうですね、さっき言ったように自分のやってきたスタイルって言うのが、練習したことがだせるってかんじ。どんな相手でも、自分のスタイルでできるかっていう。」
・相手に子安蹴りを出されてたけど、
「ああ、それはぜんぜん問題はとくに。(笑)いや、楽しかったんで。」
・今回は、空手を楽しみたいといってましたが
「そうですね、久しぶりってかんじが自分の中にあったんで、一回こう、足元を見直すっていう意味で、」
・今年に入っての練習の割り合いは?(空手、グローブ、総合)
「そうですね、やっぱりけがで長期間休んだんで、自分の原点は空手なんで空手をもう一回しっかりやりなおす、見直すという意味で今回の大会にも出さしてもらったんで、」
・初戦から、自分からどんどん技をだしていってたように見えましたが
「それもやっぱり、後手にならないように思ってしてたんで」
・準々決勝、準決勝と厳しい判定が続きましたが
「それは、まあしょうがないですね。 いじめられっこなんで(笑)
・準決勝ではかなり消耗していたような?
「消耗しきったってことはないですけど、ちょっと疲れましたけど。」
・試し割り一日2回やってどうでした
「試し割りなんか自信なくなってきちゃった。(笑)あんだけやらされると。」
・今後も空手で
「そうですね、今後試合とかまだ全然考えてないですけど。練習はまたみんなと混ざって空手を楽しく練習してって感じで。それでまたいろいろkー1なり、お話がくればそのときの自分の気分次第で、いい経験として出たいなっていうのはあります。」
 ・今後プロで踏み込んでやっていこうという気持ちは
「んー、とりあえず、わかんないですね。今は、終わったばっかりなんでゆっくりしたいなみたいな。またモチベーションがあがれば、気合い入れて練習しようと思ってるんで。」


(地主選手)
・中量級から軽重量級に変わったのは?
「太っちゃったからっていうのもなきにしもあらずで(笑)それと、軽重は強い人がたくさんいるんで。村尾君も去年負けてしまったんで追いかけるかたちで。道場で一緒の外岡先輩にも勝ちたいなと思ったんですけど」
・軽重量級は?
「去年まで中量級やったんで、あたりっていうのを強く感じたんですけど。
一つ上げたことでのあたりを強く感じたんですけど。まあ普段道場でやってる人が僕と一緒ぐらいとか大きい人とやってるんで、さほど感じなかったです。」
・子安戦はどうでした?
「今回軽重量級にあがるにあたって、やっぱりやりたい選手っていうか、子安先輩とやりたかったです。はじめからやりたいと思ってました。どうせやるなら強い人とやりたいと思ったんで。」
・やりたかった子安選手と瓦わり、再々延長まで持ち込んで
「負けってしまったんで。 誉めてくれる人も多いんですけどやっぱり、どっかに負ける原因があったと思うんで、そこをこれから強くしていきたいなと思っています。」
・前半はペースとってるように見えましたが
「おされてる感じは無かったですけど、思ったよりはやりやすかたけど、やっぱり子安さんの適確なローが・・・」
・試合重ねるときいてきました?
「まあ、そうですね。認めたくはないですけど、そうですね。」
・再々延長戦は?
「子安さんが打ちにきてくれましたんで、僕もトリッキーなんをやめて、もう殴って蹴ってっていうのでどちらが強いかをやりたかったんで、パンチと蹴りだけで純粋に我慢比べしたかったんですけど、ちょっとだめでした。」
・今大会での目標は?
「自分らしく楽しく組み手をやります。楽しく組み手をするって言うのが僕の試合する時のモットーなんで。派手にしようとかは思って無いんですけど、結果的に派手になったしまうんですけれども、んー気持ちが楽しいから派手になるんでしょうね。計算はしてないんですけど、あれしたろうとかはないんですけれども」
.来年にむけては?
「楽しくやります。僕は楽しくやった方が絶対いいと思うんで。」
・暴れん坊も入れといて下さいね
「まあ、それは大丈夫だと思います(笑)

「ごく私的な大会の見方 其の二」 
子安選手と善戦したもう一人の選手、春山成千(総本部)
村尾、子安という元チャンピオンと戦って追い込んだ地力の強さはさすが。25枚の瓦を綺麗に割ったのは見事の一言。「ロートルにはきつかったですね。」なんていわず、まだだま前に出てきてほしいものです。

(春山選手)
・村尾選手との試合は?
「一緒に上級コースで練習とかしてたんですよ。何回か手合わせしていて強いのはわかってたんで、逆に練習ではけっこう僕の方がやられていた方なんで。今回もう吹っ切っていくしかないなっていうかんじ。」
・瓦わりは?自信ありました?
「いや、自信うんぬんより、終わって全部割れてて気持ちよかったです。
(25枚は)嬉しかったです。」
・子安戦でも瓦わりで、
「あれは欲かいちゃいましたね。30枚っていったら会場沸くかなって。(笑)」
・子安選手の印象は?
「実は一回やって負けてるんですよ。別にリベンジっていうわけでもないんですけど。前回子安君に負けたっていうのは、こっちが気持ちで負けてたんで、」
・子安選手の名前に飲まれていた?
「そういうところはありましたね。今回はそれだけはないように思っていきましたけどね。」
・今回は村尾、子安と元チャンピオンとのきつい対戦が続いて、「勝てるぞ」という声もありましたが
「結構、ロートルにはきつかったですね。(笑)」
・そうは見えませんでしたが
「とにかく気持ちで負けて試合終わって「あー又いかれへんかった」っていうのが僕多いんで、今回それがないようにって思ってたんですけど。」
・今回はその気持ちのところが目標になってたんですか?
「そうですね、とにかく、だから優勝しようとかそういうのよりも、とにかく自分の思ったように切れていこうと」
・切れて?
「とにかく後先考えずに。もう一回戦から切れていこうというのが自分の中に課した課題だったんですけどね。」
・それは果たせました
「充分とは言えませんけど。まあ、悪くはなかったんじゃないかなと思いますけど」

「ごく私的な大会の見方 其の三」
重量級の中でも194cmという大きな身体の中田太郎(総本部)。挑戦を重ね初めて本戦に出場した。そして、重量級の壁ハリスとの対戦という大きなチャンス。まさに一粒で二度おいしい経験をした彼に、本戦の空気と、重量級の壁ハリス選手の印象を聞いてみた。 来年も本戦に出てきて、今回のおいしい経験を活かして下さい。

・ハリス選手の印象は?
「予想どうりだったと思うんですけど。突きの威力そのものも予想どうりで、耐えられなくもないと思ったんですけど、連打になると・・」
・ハリス選手の強さはどこに?
「身体の強さ、前に出てこられたときの対処が、爆発力を受け止めきれなかった。そのときに、身体の強さを感じた。日本人と違うパワーをかんじた。」
・本戦に出たことの感想は
「格別というか、今までと違う、感無量というか、言葉で形容しがたい感激があった。雰囲気が違う、良かったです。」
・来年に向けて
「ひとつ目標をクリアしたので、また来年はもっと上を。」

「ごく私的な大会の見方 其の四」
言っただけのことはやる、東大阪後川支部長の秘蔵っ子、沢田秀男(東大阪)
三月に「次は重量級にでますよ。」(あまりのことに絶句)「ハリスとやりますよ。(ニューヨークで)負けたけど、自分では負けたと思ってないし、つぎは倒しますよ。」と言って半年後、本当に重量級に出てきたのは、嬉しかった。やってくれるなと
思った。結果は瓦に阻まれたものの、ハリスと打ち合っていった姿は見事。一方、同じくニューヨークでハリスに敗れた加藤達哉(東京本部)が今回、先輩越えとリベンジをはたし二連覇を達成。
今、勢いにのっている東西の選手。直接対決が早く見たい。

(加藤選手)
・胸が真っ赤ですね
「直突きですね、あれがドンドンきいて」
・ハリスの突進止めなきゃいけないと
「そうですね、沢田君がずいぶん疲労させててくれたんで、よかったですけど。非常にきつかったです。」
・今日勝てたのは?
「準決勝、決勝は気持ちがのってたんで 結構、試合前練習できてたんで
まあ、ここであきらめたらもったいないなってかんじで 技術的にはまだまだですけど気持ちがとぎれなかったですね。」
.決勝は石井館長が審判でしたが
「緊張しました。 館長がやっていただいたんで、スタミナ切れてたんですけど、なんとか動くことができました。」
.最後の方は表情が苦しげでしたが?
「ほんと、気持ちだけで戦いました。」
・去年と比べてどう
「去年は試し割りでの決着とかありましたんで、今年の方がよりパーフェクトに勝ちたいなと思う気持ちがありました。」
.コンディションはどうでした
「いや、きつかったです、ほんとに。みんな戦歴とかのすごいある人しかまわりいなかったんで。ちょっと、ナーバスになってたんですけどなんとか。」
・11月の極真にむけて。去年はベスト8でしたが
「今年はまあ決勝行きたいとか、言いたいところですけど。 とにかく8に残って、来年の世界の切符がとれるように、なんとしても合計4回ですね、今日と同じで4回勝つと。まあ組み合わせの厳しいことは予想されるんですけど、その中で、とにかく気持ちで4回勝てるように頑張ります。」
・今日の優勝は自信になりますか
「なりますね。今年は3月にニューヨークでハリスに負けてまして、6月のウェイト制で2回戦であっけなく負けてるんで、ちょっとまあ勝ちを忘れてるところがあって自信失いかけてたんですよ。今日で失われた自信が取り戻せました。」
・出畑選手に勝ちましたね
「そうですね、出畑先輩は黄帯のスパーリングやり出すころから目をかけてもらって、出畑先輩に倒されながら早くに成長することができたってとこがあったんで。ひと際思い入れの強い先輩なので感慨無量でした。」
・ニューヨークの決勝でハリスと?
「なにもできずに負けてしまったんで。そうですね完敗でしたね。去年僕が勝ってたぶん(ハリスは)研究したと思うんですね。僕は何も研究しないで行ったんで、まっあっさり負けてしまって。今回逆に僕が考えたんで彼を倒すのにどうしたらいいか。下段を見せ技で左の膝をきかせていこうと思ったんですけど、思いのほかひだりの下段がきていたみたいで。」
・二連覇しましたが、
「今まで三連覇している方はいますが、できたら誰もやったことない四連覇を・・。いやとりあえず三連覇めざして。でも他の大会とか挟むんでどうなるかまだわかりません。」
・グローブの練習は?
「前はよく誘われてたんですが。僕の場合極真にでたり、余裕が無いっていうかどんどん空手の方でチャンスをいただいてるので、まずはそっちを優先。」
・ハリスのあたりは?
「脂肪無しの105キロで、骨格も違いますんで普段くらうことのないような攻撃でした。」
・蹴りでかなりおしてましたが
「アドレナリンが思いっきり出てたんで良かったんですけど。試合中は感じなかったんですけど、大胸筋がちょっと。なんちゅうんですか、胸骨が痛くなることはあるんですけど大胸筋がもう破裂したようなかんじ。」
.今大会の目標は?
「自分の組み手としては、ほんとは倒す組み手がやりたかったんですけど。得意の左の蹴りを中心に組み手を組み立てるというのがありまして。僕は一回一回組み手が違っちゃって自分のスタイルを持って無かったんですけど、この一年試合出てみて、左の蹴りを中心に組み立てるっていうのがやや確立してきたんでそれを試したいと。」

・沢田とハリスの試合は?
「全部みてました。ハリスとパンチで互角に張り合ってたんで、僕にはできない戦法でやってたんですごいなと思って見てました。」
・沢田が上がってきてたら、
「沢田君が上がってきてたら作戦変えてますね。ハリスの方がパワーとかすごいですけどまあ戦い方は単純なんでやりやすいですね。」
・ハリスで良かったと
「正直それはありますね。沢田の方がややこしかったと。」
・これでハリスと二勝一敗ですね
「もう勝ち逃げしたいですけど(笑)」
・また来年追ってきますよ
「負けないようにお互い切磋琢磨していきます。」

(沢田選手)
・お疲れ様でした
「今日は最後に負けたんが悔しかったですね。次頑張ります。(ハリスと)
二回目やって、二回とも負けて。自分では二回とも納得できない結果で、次はちょっとスカッと勝ちたいですね。」
・今回手ごたえは
「めちゃめちゃあったんですけど。流れてきにはね、ちょっと押されてるかなっていうのはあったんですけど、本戦に比べて再延長の流れで勝ちにしちゃうことが・・本戦ぐらい押しこんでたら」
・軽重量級から重量級になってどう?最初は動きにくそうでしたが
「んー、すごく重たい。重たくて足蹴っても太いから「ええっ」と思ったんですわ。相手が重たいし下がらないし。二回戦ぐらいから自分の動きが出来てきたんですけど。」
・確かに一回戦は動きにくそうでしたね。後川支部長も身体を大きくしたぶん動きが心配みたいなことは話してたので気になったんですが、二回戦からかわってきましたよね。
「そうですね、試合と練習全然違うんで。経験積まないと重量級の戦い方全然わからないんで。今日はちょっと感触だけつかんだかなっていう。」
・ハリス戦は中盤まで押してたと思うんですがあそこで押し返されたのは?
「あのね、彼はねスタミナっていうかね持ってるパワーがあるじゃないですか。僕はかなりフル回転でやってたんやけど、彼は普通にやっててもああいう、延長でも再延長でも同じパワーでくるんですよ。落ちないんですよ。僕は無理矢理上げていかないと。いやすごいパワーですねやっぱり。」
・加藤選手は勝ち上がってくるんじゃないかと思って見ていたと
「ハリス自身もボディもきいたって言ってるし、強くなってたって言ってたんで感触はよかった」
・今日は加藤選手のためにハリス潰してやったような
「なんかね、弱ってましたね。もったいない。」
・今後は?
「加藤さんは又勢いつけて、極真とか出てくるんじゃないですか。僕も出さしてもらえるなら、極真もでたいですけど。今はまだわからないので」
・グローブの練習とかは?
「これ終わって、ちょっと一呼吸着いたらやろうかなと。」
・全日本一回とってkー1へ?
「そうですね、顔面の練習していきたいんで。ほんとは今年とって上がりたかったんですけど、まだそんなにあせらなくても。後川先輩とかも顔面はじめたのが25歳ぐらいだし。あせっても、きっちり力つけていったほうがね。」
・加藤さんは三連覇、四連覇狙って記録作るっていってますが
「来年は無理でしょう。(笑)止めたいですね。」

<終わりに>
今大会も熱い大会だった。先輩を越えたり、リベンジを果たした選手。そのことは大きな自信に繋がったにちがいない。一つの目標をもち、達成すること、それはどのような場面でも、仕事でも他のスポーツでも同じことと思う。だからこそ、応援するにも力が入る。 だが、そこで満足していると前には進まない。目標を達成したことの喜びは、新しい目標を持てるようになることにもある。 今大会の結果を受けて選手たちは次の目標を目指している。それは、来年の大会だったり、他の団体での試合だったりする。 新しい目標に向かう熱い思いがみえるかぎり、この大会は選手にも、見守るものにとっても熱い場所であり続ける。

(文章中、敬称略。)

Last Update : 09/29

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