BoutReview
記事検索 by google
news

(レポ&写真) [大道塾] 7.17 後楽園:グラントロフィーとの対抗戦は日本勢圧勝

大道塾 "THE WARS 6 〜新たなる胎動〜"
2002年7月17日(水)東京・後楽園ホール
観衆・1,238人

 【→大会前のカード紹介記事】

・日本対フランス・グラントロフィー対抗戦
 ※対抗戦、3勝1敗3分けにより大道塾の勝利


第9試合 グラントロフィー対抗戦 WARSルール -67kg契約 3分3R
○小川英樹(大道塾中部本部)
×ブノワ・ドゥロ[DEROT BENOIT](パンザ・アンドレ)
2R 2'40" ヒールホールド

 「93-97、2001北斗旗軽量級優勝、98-99北斗旗中量級優勝、2001空道世界大会軽量級優勝」と小川の戦歴がとコールされると、会場からどよめきが起きる。ジャケットをまとった試合では軽量級、中量級、敵無しと言われる小川の対戦相手は、総合格闘技の大会で優勝経験もあるブノワ。引退説が囁かれるなか、小川のWARS、2度目の参戦となるこの試合に注目が集まった。

 1R、低い構えから、ローキックを放っていく小川。組み合った状態からブノワを倒すと、両者、足関節を狙う攻防に。しかし、ここはヒールホールドを得意とするブノワが有利に展開し、小川は回転して場外に逃げる。実は、最初に決まったルールではヒールホールドは禁止のはずだった。しかし、前日のルール会議でブノワがヒールホールドの解禁を強く主張。小川は受けて立つ立場からこれを了承するといった経緯があった。
 すぐに立ち上がる小川だが、このヒールを試合後、小川は「バキッて音がして膝カクンカクンってなるって、ああいうことなんだと思いました。」と足を冷やしながら振りかえっていた。しかし小川はそんな足の状態ながら、ミドルからパンチの連打を見せ、ポイントこそ奪えなかったもののブノワを一瞬ぐらつかせる。
 2R、小川はジワジワと前に出て行き、プレッシャ−を掛けると、パンチの連打からテイクダウンを奪い、足関節へ。そして「見よう見真似でやりました」と今度は相手のお株を奪うヒールホールドをがっちりと決めると、ブノワはたまらずタップ。勝ち名乗りを受ける小川はセコンドについた後藤龍治と一緒に決めのポーズをとり会場を沸かした。
 試合後、引退を否定した小川。ヒールホールドによるダメージが心配されるが、その傷が癒えた時、天才小川は再び我々の前にその勇姿をみせるだろう。

■小川選手コメント
「悔しかったですね。今日は自分の集大成のつもりで、勝ったら引退のつもりだったんですけど。ほとんど向こうのペースでしたね。あんなに組み技が強いとは思いませんでした。打撃だけでいける小川を見せたかったんですけど。最初のヒールで膝がバキッ音がして。ロー蹴っても軸しっかりしないし、パンチ打ってもぐらぐらするし。自分の技をいかに格好よく見せるしか考えていなかったんで、ああいう試合運びは悔しいですね。
(今の気持ち的には?)ちょっともう1回。もう1回、ワーワー言われたいですね。もうちょっとやれるかな(笑)。本当は自分もうちょっと上手いんですよ。相手のパンチを全部かわして、遊んでるようにしていつのまにか決めてるみたいなのが理想なんで。
(次の試合予定は?)正直、北斗旗という形は世界大会で終わってると思うんで。違う大会が・・・でも1番好きなのは北斗旗ルールなんで。今日みたいに、北斗旗ルールで素面というのは斬新だったし、面白かったです。またやりたいです。ジャケットの試合が好きなんですよね。裸は汗がべとべとして、嫌いなんですよ(笑)。(セミファイナルの山崎選手の試合後のエールは?)あれは効きましたね(笑)。引退はしません!がんばります。」

第8試合 グラントロフィー対抗戦 WARSルール -82kg契約 5分+3R
○山崎進(大道塾総本部)
×パトリック・フォートリー[FORTRIE PATRICK](パンザ・アンドレ)
判定 3-0 (パンチ)

 山崎の対戦相手のフォートリーは柔道でフランスナショナルチームに選ばれ、グラントロフィーでも85キロトーナメントで3連覇の強豪選手。先に仕掛けたのはフォートリー。足を掛けてテイクダウンに成功するも、これは場外となりスタンドへ。山崎は道衣を掴みながら膝蹴りを放つ。更に、隙を突いてバックを獲り、絞めを狙うもこれは決まらず。打撃に活路を見出したい山崎は、1R終盤、豪快なフックでフォートリーをぐらつかせ3点を奪う。
 2R、フォートリーも反撃を見せる。ローキックからパンチ、道衣を掴んでの膝蹴りで山崎を攻めこむ。しかし、山崎も黙っていない。惜しくもポイントにはならなかったものの、左フックでぐらつかせ、倒すとすぐさまバックマウントを奪う。だが、これはグラウンドの時間切れでスタンドに。終盤若干疲れの見える山崎に対して、フォートリーはパンチで攻めこむもポイントを奪うまでには至らない。
 結局、山崎が1Rの得点を守りきり、判定で勝利を挙げた。これにより日仏対抗戦の日本の勝利が決まった。山崎は「メイン、いよいよお待ちかねの小川英樹が出場します。僕以上の素晴らしい試合を見せてくれると思うんで、しっかり目を凝らして見てください。」とリング上で小川にエールを送った。

■山崎のコメント

−−おめでとうございました。
山崎 ありがとうございます。いくべきところでいけなかったですね。 残り時間を見てしまって。(お客さんに)申し訳ないです。
−−相手の選手はどうでしたか?
山崎 とりあえず柔道は強いって聞いてまして、打撃は安パイかなと思っていたんですけど、予想以上にパワーが強かったですね。かなり前半抑え込まれたので。普通に1本狙っていたんですけど。
−−対抗戦を勝ち越しを決めましたね。
山崎 というより僕の前の試合で、藤松が勝ったので、彼は今ノリノリで、僕は北斗旗で負けてて、差が開きそうなのが怖いので、藤松を意識して試合をしました。
−−WARSは燃えるものがありますか?
山崎 自分の試合を「たいしたこと無い」って言われるのは癪(しゃく)なんで。今回は自分のことだけに集中しようと思ったんですけど、試合を見ると大道塾の選手が勝ってなかったので、また相手の選手が強いって前評判が高かったので俺がやらなあかんと思いましたね。やっぱ気合は入りますね。
−−11月の世界選手権で悔しい思いをしてから、今日で復活したわけですか?
山崎 今日は、あの試合(世界大会)以来の試合で、久しぶりだったので勝ててうれしいですね。後半もがんばります。
−−次の目標は?
山崎 裸の総合格闘技に臨んでいきます。借りのある人がいるので返したいですね。
−−美濃輪育久選手ですか?
山崎 個人名は出せないですけど。総合格闘技という競技に対して僕もコンプレックスを持ちながら常に練習しているし、現役も長くないので、借りをしっかり返して、それで僕の格闘技生活を終わりにしたいなと思いますね。

第7試合 グラントロフィー対抗戦 WARSルール -87kg契約 3分3R
○藤松泰通(大道塾総本部)
×デニス・フランソワ[DENIS FRANSUIS](パンザ・アンドレ)
判定 1-0 (右フック)

 開始早々、右フックで1ポイントを奪う藤松。さらにテイクダウンを奪いマウントを取ると腕十字を狙う。一瞬がっちり決まったかと思われたが、これは惜しくもかわされる。2、3R藤松はポイントこそ奪えなかったものの有利に試合を展開し、判定で勝利を物にした。

第6試合 グラントロフィー対抗戦 WARSルール -70kg契約 3分3R
△飯村健一(大道塾吉祥寺支部)
△ファド・エズベリ[FOUAD EZBIRI](パンザ・アンドレ)
判定 0-0(ポイント差なし)

 ローキックからパンチで攻めこむファドに対して、飯村はミドル、そしてカウンターの膝蹴りを合わせる。するとここで、ファドが突如意識を無くし、フラフラとリングの外に倒れこむアクシデントが発生する。飯村曰く、「最初、誘っているのかなと思ったんですけど。その前にテンカオが入ったので、それで効いたのかなと思って。ボディは一瞬遅れて効いてくるから。」と振り返る。ファドはドクターチェックを受け、試合は再開となった。しかし、ファドはここから力を発揮する、ローキックからパンチで前に出て行き、飯村を追い詰める。
 2Rにはいってもファドはローキック、ミドルからラッシュを仕掛ける。テイクダウンを奪いマウントに移行し、腕十字を狙う。しかしこれは飯村が冷静に脱出に成功する。3Rになるとファドに疲れが見え始める。飯村は前蹴り、カウンターの膝でファドのボディーに攻撃を集中する。しかし、両者ともポイントが奪えず引き分けという結果に終わった。

■飯村コメント
−−試合の感想は?
飯村 もっと楽に行けるかなと思ったんですけど。1Rで予想の動きと違ったので、そこでペースを乱されましたね。
−−予想の動きというのは?
飯村 もっと足を使ってくると思っていたので。そしたら前に出てきたので。若い力に押されましたね。
−−相手が場外に落ちましたが、何が効いたと思いますか?
飯村 最初、誘っているのかなと思ったんですけど。その前にテンカオが入ったので、それで効いたのかなと思って。ボディは一瞬遅れて効いてくるから、それかなと思って。これで勝てたら、すげぇ楽だなと思って。気分は、もう1回勝利者になってたんですけど。立ち上がってきて、つめれば勝てるかなと思ったんですけど、また前に来て。予想通りというか、寝技の展開がほとんどなかったですね。寝技を警戒してたので、動きが雑な部分がすごい多かったんですけど、後半は良く見えて、ヒザとか入ってましたね。でもぜんぜんダメでした。
−−今後の目標は?
飯村 タイです。
−−ムエタイの試合ですか?
飯村 そうですね。
−−(空道)世界大会は?
飯村 今年、34ですよ。それは無理でしょう。今日だって若い力に押されたのに。でもまだまだ伸びると思うので、練習を重ねて頑張りたいと思います。
−−相手の印象は?
飯村 打撃の威力はないですね。パンチも大振りなんで見えてたし。スネークピッドジャパンで打撃の練習してるんでね(笑)。後半疲れてるのは分かりましたね。相手がシャドーでタックルをしてるのを見て警戒してしまいましたね。

第5試合 北斗旗ルール 3分2R
○伊賀泰司郎(大道塾関西本部)
×佐藤繁樹(大道塾東北本部)
1R 0'45" 一本勝ち(佐藤の肩関節脱臼により試合続行不可能)

 組み合った状態からテイクダウンを奪い上になる佐藤。しかし伊賀は下から襟を掴みながらパンチ、更には膝蹴りまで打ちこみ、関節を狙う。グラウンドのタイムアウトとなり両者スタンドに戻されるが、佐藤の表情が険しい。佐藤は先の攻防で肩の関節を脱臼、試合続行不可能となり、伊賀が一本勝ちで勝利を挙げた。

第4試合 グラントロフィー対抗戦 WARSルール -70kg契約 5分+3R
△八隅孝平(パレストラ東京/修斗ウェルター級)
△ディディエ・リュッツ[DIDIER LUTZ](パンザ・アンドレ)
判定 0-0(ポイント差なし)

 タイでムエタイの試合も経験し、打撃に磨きを掛けた八隅。タックルからテイクダウンを奪った八隅はサイドポジションからマウントを狙うも、これはグランドのタイムアウトでスタンドに。今度は逆に八隅の蹴り足を掴みディディエがテイクダウンを奪う。ここから両者、足関節を狙う攻防を見せるもお互い決まらず。スタンドでの攻防では八隅はパンチ主体に攻めこみ、ディディエは重たいローを放っていく。
 2R、ガードの甘いディディエに対して、パンチで攻めこむ八隅だが、ポイントを奪うまでにはいかない。結局、両者、ポイントを奪えず引き分けとなった。

■八隅コメント

−−試合の感想は?
八隅 道衣を着て、グラントロフィーで使うグローブでの試合なのでやりにくかった。準備不足でした。一月半前にオファーをもらってたんですけど、あまりこの試合用の練習をしてなかったので。
−−打撃の練習は何処で?
八隅 クロスポイント吉祥寺と大道塾です。
−−対外試合でしたが、なにか特別な意気込みはありましたか?
八隅 これまでの自分の試合とは違う部分を出そうとしたんですけど。グラウンドでの時間制限があるので、極めるスピードと、打撃に気をつけていこうと。それといきなり全く知らない相手と試合をして、どれだけできるのか試したかった。本当はマッハ(桜井速人)さんみたいに、初めての相手でも距離を詰めて打撃で勝負したかったんですけど。
−−相手のローで何度かぐらいついてましたが、効いてましたか?
八隅 そんなに効いたものはないですけど、出ようとしたところにもらったんで。
−−タックルが決まらず…
八隅 弱いレスラーの典型ですね(笑)。上のポジションを何度かとられましたけど、ガッチリ押さえ込んで動いてこないので安心感はありました。足の取り合いのときはお互いに抱えてるだけでしたし。
−−今後の課題は?
八隅 本当はキック系の人とやりたかったんですけど、試合慣れしたいです。もっと試合をこなして、精神的に強くなりたいですね。

第3試合 グラントロフィー対抗戦 WARSルール -84kg契約 5分+3R
△稲田卓也(大道塾横浜教室)
△ボナフ・ロラン[BONNAFOUX LAURENT](パンザ・アンドレ)
1R 3'30" ノーコンテスト(ドクターストップ)
※ボナフの左目尻の出血による

 右ストレートで3ポイントを奪ったボナフ。しかし、この後偶然のバッティングにより左目尻をカットして出血してしまう。ドクターチェックを受け試合再開となるが、ボナフの出血はひどくなる一方。結局3度目のドクターチェックで試合は終了。3ポイントを奪ったボナフだが、ルール上ノーコンテストの判定が下った。

第2試合 グラントロフィー対抗戦 WARSルール 女子-55kg契約 3分3R
×八島有美(大道塾横浜教室)
○ステファニー・デュカステル[DUCASTEL STEPHANIE](パンザ・アンドレ)
2R 2'15" 腕ひしぎ膝固め

 女子プロボクサーとして活躍する八島の総合系ワンマッチの初試合。対戦相手のステファニーは様々な打撃系大会で優勝、更に総合格闘技の大会でも優勝経験のある強豪選手。
 序盤から激しい打ち合いを展開する両者。しかし、お互いにポイントを奪うまでにはいかない。2R、詰めてパンチを狙う八島に対してステファニーは投げを放つとそのまま袈裟固めの体勢を取る。ここから八島の腕を両足に挟み関節を決める。八島はたまらずにタップ。ステファニーが勝利を物にした。

■八島コメント

−−試合の感想は?
八島 ブレイクと勘違いして力を抜いたところで関節を極められて悔しいけど楽しかったです。
−−楽しかった部分は?
八島 フランス対日本の対抗戦だったし、胴衣も赤と白に別れて遊びの部分といえばいいのか、北斗旗とは違った雰囲気だったんで。これまでは塾長の顔色をうかがいながらアピールしてた所があったんですけど。勝った後ガッツポーズしていいのかなとか。
−−相手の選手がサバットの選手でしたが何か対策は?
八島 サバットのジムに行ったんですが、速くて、トリッキーな蹴りで、蹴りのフェンシングのようだなって印象を持ってたんですけど、オーソドックスな蹴りでしたね。思ったより軽かったし。攻撃のパターンを見極めてから懐に入ろうとしたんですけど、右ストレートから左アッパーにつないだり、うまくパンチが当たり始めたら終わっちゃいましたね。
−−グラントロフィーのグローブの使い心地は?
八島 一ヶ月前に渡されたんですけど、「なんだこれ」って思いましたね。手の甲の部分が厚くて、拳の部分が薄いし、指の第一関節が出てるし、殴りづらいなって。試合中アッパーを打ったときは第一関節の部分が当たってたんですよ。これは「相手は嫌だろうなぁ」って思ってたんですけど。
−−分かって打ってったんですか?
八島 はい(笑)。
−−パンチとキックのバランスが良くなかったようですが?
八島 もともとキックは得意でもなかったんで。
−−寝技はどれぐらい練習したんですか?
八島 岡(裕美)さんや山崎さんと8回ぐらい。思ったよりやれるかなと。センスあるんじゃないかな(笑)。総合格闘技はおもしろいですね。
−−総合格闘技の試合に挑戦しまてみますか?
八島 道衣だったらやってもいいかな。スパッツにハーフパンツのスタイルはちょっと…。
−−ファッションが嫌なんですか?
八島 はい(笑)。トランクスならいいかな。
−−今後の予定は?
八島 9月7日のディファ有明で、ノンタイトル戦ですがオーストラリアのチャンピオンと対戦します。

第1試合 北斗旗ルール 3分2R
○平塚洋二郎(大道塾那覇支部)
×マシュー・ハミッシュ・マクレガー[MATTHEW HAMISH MACRAGER](誠空会)
延長戦 2'10" 腕ひしぎ十字固め

 1R、マウントパンチから2度の効果を奪った平塚。しかし、技あり以上のポイントがない為延長戦へ。平塚は、再びマウントを奪うと今度は冷静に関節を狙う。最後は腕ひしぎががっちりと決まり、見事一本勝ちで勝利した。

Last Update : 08/30

[ Back (前の画面に戻る)]



TOPPAGE | NEWS | REPORT | CALENDAR | REVIEW | XX | EXpress | BBS | POLL | TOP10 | SHOP | STAFF

Copyright(c) 1997-2002 MuscleBrain's. All right reserved
BoutReviewに掲載の記事・写真・図表などの無断転載を禁止します。
著作権はマッスルブレインズに属します。

編集部メールアドレス: ed@boutreview.com