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(レポ&写真) [UFO] 8.8 東京ドーム:ノゲイラ×菊田、まさかの打撃決着

UFO "世界最強伝説 UFO LEGEND"
2002年8月8日(木)東京ドーム 
入場者数:28,648人

レポート:井原芳徳 コメント編集:石動龍
写真:井田英登

 【→大会前のカード紹介記事】
 [→掲示板・UFOスレッド]

<ルール> 試合時間は5分3R。インターバル90秒。噛み付き、金的等の通常の反則の他、後頭部への打撃は禁止。体の4点以上がマットについた状態での頭部への打撃は可能(体重差の大きい菊田×ノゲイラのみ禁止)。こう着状態にはレフェリーの判断でブレイクがかかる。判定は3人のジャッジによるマストシステム。

メインイベント 5分3R
○小川直也(日本/U.F.O.)
×マット・ガファリ(米国/サンキスト・キッズ・レスリング・クラブ)
1R 1'56" レフェリーストップ(パンチ)

 小川のセコンドには新日本キックボクシング連盟の伊原信一会長、小川のプロレスのタッグパートナー・橋本真也、元明大柔道部監督の原吉実師範が付く。
 115kgの小川に対し、ガファリは159kg。グレコの選手らしく小川に組み付き、足をつかんでテイクダウン。ガファリは上におおいかぶさるが、すぐにまたスタンドに戻る。しつこく組み付くガファリの大きなお腹に、小川は膝を細かく打ち込む。そして離れて、ガファリが右パンチを出したのに合わせて、小川がカウンターの左ストレートをガファリの顔面に命中させる。ガファリは目を押さえ手を前に出しながら後退。ガファリが戦意喪失のような状態で亀になると、小川がすぐバックを取る。ガファリは鼻血を出している。そして小川が立ち上がり後ろから顔にパンチを軽く放ったところで塩崎レフェリーが試合をストップ。意外にあっけなく小川が勝利をおさめた。

 小川はリング上でマイクを持つと、「体重差50キロ、かなりテンパってました。こんな展開になるとは思ってなかったです。今日は運が良かっただけです」と謙虚なコメント。そして「伝説はこれが始まりです」と語り、アナウンサーに次の相手を聞かれると「基本的には誰でもいいですけど、夢のある人、まあ今日ここにも来てましたね。できれば最高だと思います」と暗にヒクソンを指名。さらに「ヒクソンに何か一言を」と迫られると、「やるなら日本で!」と答えた。バックステージでは小川は「後は彼次第じゃないですか? 俺はプロレスラーとして歩いていくだけ。目標はプロレスを復興させることですから」等とコメントした。
 ガファリは試合後「左ストレートをもらった時にコンタクトレンズがずれて目が見えなくなってしまった」と戦意喪失の理由を説明。これからも総合格闘技を続ける意志を示し、来年1月にUFOの川村会長が開催を計画しているLEGENDの第2回大会への参戦を希望した。

※メインイベントの前にヒクソン・グレイシーがリングに登場。「ここ2年間いろいろな出来事があったけど、100%元気になりました。あとはリングの上で戦うだけです」と語り、近いうちの試合を復帰を表明した。ちなみに日テレの放送ではなぜかヒクソンの無敗記録が「450」にまで一気に伸びていた。

セミファイナル 5分3R
○藤田和之(日本/猪木事務所)
×安田忠夫(日本/猪木事務所)
1R 2'46" レフェリーストップ(肩固め)

 藤田が差し合いを制してサイドポジションを取ると、安田の頭部に膝を叩き込み、立ち上がり際にもサッカーボールキックを放つ余裕の展開。安田のタックルをがぶってテイクダウンし、再びサイドポジションを取ると、今度は肩固めをガッチリと極める。安田の動きが止まったのを確認し、廣戸聡一レフェリーが試合を止めた。藤田は試合前の記者会見で「殺し合いになる」と語っていたが、蓋を開けてみれば藤田がレスリングベースの格闘技センスで安田との格の差をはっきりと見せつけるという、純粋に競技スポーツ的な試合となった。

 

 

 

第7試合 5分3R
○アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ(ブラジル/ブラジリアン・トップチーム)
×菊田早苗(日本/パンクラスGRABAKA)
2R 0'29" KO(右ストレート)

 ノゲイラは191cm、105kg。菊田は176cm、89kg。大きな体格差があるが、それをもろともせず菊田はノゲイラの寝技に応戦する。いきなり足払いでテイクダウンを奪ったノゲイラを、菊田は足で付き離しスタンドに戻す。再び菊田が下になると、ノゲイラは立ち上がり、ヴォルク・ハンばりの前転膝十字を狙う。だが菊田は一瞬の判断で上半身を起こし、ノゲイラの足の隙間に腕をはさみ入れてディフェンスし、インサイドガードに戻す。ノゲイラがリバースした瞬間に菊田はギロチンを狙うがすっぽ抜ける。ハーフガードのノゲイラが足を抜こうとしたところで菊田は付き離しスタンドに戻す。
 緊迫感みなぎる攻防に客席から歓声が起こる。だがこの後、菊田が右ストレートを放ちながら突進した所でノゲイラとバッティング。菊田は左目尻を軽くカットしてしまう。そしてノゲイラが強い左ローを放つと、菊田が寝転び、ノゲイラが上になったところでゴング。

 

 バッティングで菊田のリズムが狂ったのか? 2Rはノゲイラがすぐにペースを握る。いきなりパンチの連打を命中させると、菊田は後ずさり。さらにノゲイラは組み付いて強烈な左膝を2連発。菊田がマットに倒れ込むと、ノゲイラは「立て」というジェスチャーで菊田を挑発する。塩崎レフェリーが菊田を立たせると、菊田は不用意に突進し右ミドルを放ち、ノゲイラはその足を捕まえ菊田の動きを止め、右ストレートを菊田のアゴにクリーンヒット。菊田は大の字になってマットに崩れ落ち、レフェリーが試合を止めた。ノゲイラは初のKO勝ち。菊田も初のKO負け。菊田は担架でかつがれ退場した。

◆ノゲイラ「菊田の寝技の巧さは聞いていたが、今日の試合で私の方が巧いと証明できたと思う。菊田はとても頭が良くて、非常に柔軟性の高い選手だ。一本を狙うタイプというより、防御は堅く、ポジショニングが凄くうまい選手だね。日本の選手は技術が高いので戦うのは好きだよ。
 最後のパンチは狙ってたわけじゃないけど、当てるチャンスを待っていた。菊田の寝技の防御が優れていたので、途中から立ち技勝負に切り替えた。
 今後はヒクソンや小川と戦ってみたい。彼らを倒して自分が世界一の選手であることを証明したい」


第6試合 5分3R
×村上和成(日本/U.F.O.)
○ヴァリッジ・イズマイウ(ブラジル/カーウソン・グレイシー・チーム)
2R 3'03" レフェリーストップ(グラウンドの打撃による)

 一回り大きい村上に対し、イズマイウはしつこく食いつきテイクダウン。一瞬パスガードするも、1Rの大半はハーフガードの膠着状態で時間が経過する。
 2Rもイズマイウがカウンターの右フックを当ててからそのままテイクダウン。横四方と上四方から村上の頭に強烈な膝を叩き込む。村上はもがいてハーフガードに戻すが、口から大量の出血。イズマイウは上から容赦なくパンチを振り落とし続け、サイドをキープしてパンチを連打したところで廣戸レフェリーが試合をストップした。

◆イズマイウ「20kgの体重差があったので大変だったけど、ロサンゼルスの猪木さんの道場での厳しいトレーニングがあったから勝てたのだと思う。
 敵を泣叫ばせたい。それが俺の戦い方だ。村上を今日そうさせることができたようにね。奴は修業先のブラジルでずっと俺の悪口を言っていたからそうしたのさ。
 リングに戻れてうれしいよ。俺が本物のグレイシー・キラーさ! 俺は日本では無名だけど、ホイスをやっつけたこともあるんだぞ! もっと尊敬しろ!」


第5試合 5分3R
×坂田 亘(日本/坂田道場EVOLUTION)
○マリオ・スペーヒー(ブラジル/ブラジリアン・トップチーム)
判定0-3(スペーヒー:太田章,平直行,朝日昇)

 この試合から日本テレビの生中継がスタート。坂田のセコンドにはリングス時代の先輩・田村潔司、第1試合で勝利した横井が付く。
 坂田はいきなり投げを放とうとするが、スペーヒーに組み潰されガードポジションに。坂田がスイープしスタンドに戻ると、そのままもつれ合って引き込んでギロチンに。だが腕だけを使ったギロチンのため極まり具合が浅く、そのまま通常のハーフガードに。そしてスペーヒーが上からパンチを連打した時に、防御しようと腕を伸ばした坂田の肘が偶然にもスペーヒーの目尻に命中し出血。ドクターチェックの後試合が続行すると、スペーヒーがハーフガードのまま膠着した状態が続く。坂田は終盤にリバースに成功するが、立ち上がって猪木アリ状態となり、坂田がジャンピングのパスガードを狙ったところでゴング。

 2Rもスペーヒーが差し合いを制して上になり、ハーフガードで膠着する展開が続く。スペーヒーの出血は止まったが、疲労の色を見せはじめ、3Rも同じ展開。結局上を制する時間の長かったスペーヒーが判定勝ちで逃げ切った。

◆スペーヒー「勝てたことはうれしいけど、いい試合ができなくて残念だ。目尻を怪我したせいで頭がクラクラしていた。坂田は私の試合の映像を見てよく研究していたのだろう。防御が上手だったよ。逆に私は彼の試合の映像をほとんど見れず情報が少なかった。
(年をとって力は落ちた?)全く問題はない。他の選手が成長してきているので、もっと練習しないとね。2ヶ月前に膝を手術したが、それを言い訳にしたくないよ」

※夜7時のテレビ放映スタート直後、アントニオ猪木・UFO会長がリングに登場し挨拶。最後は恒例のダーで締めくくり会場を盛り上げた。

第4試合 エキシビジョンマッチ
−ジョアニー・ローラー(米国/元プロレスラーのチャイナ)
−中村千香(日本/女子ボクシング2002USAゴールデングローブ)

第3試合 5分3R
×アントニオ・ホジェリオ・ノゲイラ(ブラジル/ブラジリアン・トップチーム)
○ウラジミール・マティシエンコ(米国/rAwチーム)
判定0-3(マティシエンコ:太田,平,朝日)

 腰の強いマティシエンコがホジェリオをテイクダウンし、インサイドガードになるとしばらくして立ち上がり、猪木アリ状態となったところでレフェリーがブレイク。全ラウンドこの展開が何度も繰り返される。ホジェリオも2Rにはギロチン、3Rには下からの腕十字のチャンスがあったが、兄・ホドリゴほどの技の切れ味はなく、マティシエンコに逃げられる。結局試合中の大半を上になり続けたマティシエンコが勝ち星を得た。

◆マティシエンコ「とりあえず勝てて良かった。KOできなくて残念だけどね。(ホジェリオは)タフでベストなファイターだった。(ノゲイラの兄とも戦いたいか?)もちろんだよ。」


第2試合 5分3R
×村浜武洋(日本/大阪プロレス)
○ジェンス・パルヴァー(米国/ミレティッチ・ファイティング・システム)
判定1-2(パルヴァー:太田,平 村浜:朝日)

 フルラウンド通してパンチを中心とした打撃戦が続く。グラウンドの攻防は1度も無し。体格の勝るパルヴァーが膝とハイを主体に手数で上回り判定勝ちをおさめた。だが3Rから足の動きが止まり、逆に村浜がスタミナの豊富さを見せつけた。

◆パルヴァー「村浜とは最初からスタンドで戦うつもりだった。村浜に勝つことで、自分が優れたスタンディングファイターであることを証明できると思ったからさ。村浜のK-1での魔裟斗との試合を見て、非常にタフな選手だと感じていた。実際戦ってみて、パンチが早く、コンビネーションが優れていると感じた。僕もサブミッションは得意じゃないから、KO勝ちを狙っていたのさ。判定勝ちはうれしくないね。(今後は?)誰とでも戦うよ。マッチメイクされた相手とやるだけだよ。(次は10月にカナダでドゥエイン・ラドウィッグと総合ルールで戦うことが決定している)」



第1試合 5分3R
○横井宏考(日本/チーム・アライアンス Gスクエア)
×ブルドーザー・ジョージ(カナダ/カナディアン・トップチーム)
1R 1'47" ギブアップ(チョークスリーパー)

 横井は一回り大きいブルドーザーに突進しすぐにテイクダウン。ハーフ、マウント、バックと素早くポジションを移行し、最後はスリーパーを極め完勝した。

◆横井「何もさせないように勝つのが当然の試合でした。(相手の印象は?)わからないまま試合が終ってしまいました。(プロレスを経由して)何とか総合の世界に戻って来れてうれしいです。これからはUFC出場に向けて頑張りたいと思います。UFCで高阪さんのセコンドに付いて、日本のリングよりも燃える物を感じたので。あそこで命を削るような戦いをしたいと思います」




Last Update : 08/09

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