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(レポ&写真) [IKUSA] 2.11 ニューヨーク:大宮司、敗れるも好勝負

Combat at The Capitale III - The Combat vs. IKUSA -
2005年2月11日(金) アメリカ・ニューヨーク:The Capitale

  レポート:シュウ・ヒラタ(BoutReview USA)  写真:吉田みのり  【→カード紹介記事】 【→掲示板】

第14試合 メインイベント WKAプロムエタイ世界140パウンド(63.56kg)級タイトルマッチ 2分5R
○シェネン・マセオ(アメリカ/チーム・タイガー・シュルマン)
×大宮司進(日本/シルバーウルフ)
判定3-0 (48-46/49-47/48-46)

※マセオが新王者に

 マンハッタンを復帰戦の舞台に選んだ大宮司進。そんな彼へのニューヨーカーたちの声援は温かかった。
 肘打ち、顔面膝蹴りが州法で禁止されているニューヨークで、本格的なムエタイの技術をもった選手の試合を見られる機会はほとんど無い。ちなみに総合格闘技の興行は同州では全面的に禁止。格闘技ファンの視点からすると非常に「保守的」な街でもあるこのニューヨークに、格闘技のメジャーリーグ・日本からトップ選手がやってくるのだ。指定席のチケットは販売開始から二週間で完売。当日用意された立ち見席も発売から1時間で完売。午後11時30分。メインイベントに大宮司が登場した時、会場のボルテージは一気に最高潮に達した。
 対戦相手のシェネン・マセオは、第2回大会に引き続き今大会もメインを務める「Combat at the Capitale」のエース的存在だ。試合当日午後6時に行われた計量では、大宮司よりも1.8キロ重い63.1キロでパスしたが、肩幅が広いのと身長差で10センチ近く上まっているせいか、リングで向かい合うと大宮司よりもひと回り大きく見える。大宮司のベスト体重よりも3キロ近く重いのだから当然なのだが、そんな体格的なハンデをものともせず、大宮司は序盤から積極的にローキックを放っていった。

 素早いフットワークで左右に動きながら、左のジャブとローキックでペースを握る大宮司。しかしボクシング技術に自信のあるマセオはローに合わせた右ストレートで大宮司のバランスを崩すと、コーナーに追い込みワンツーのパンチからアッパーと一気にラッシュをかける。これを冷静に防御し難無く逃れた大宮司は、すかさず右ローの連発でマセオにプレッシャーをかけるが、パンチが武器のマセオもローキック対策をしっかりと練ってきただけあり、前蹴りと長いリーチを活かした攻撃で自分の間合いをなかなか崩さない。
 1分30秒過ぎ、一歩深く踏み込み右のローを放ってきた大宮司に、リーチで優るマセオの右ストレートがクリーンヒット。ややバランスを崩しぎみに後ろに尻餅をつく大宮司。痛恨のダウンだ。カウント4ですぐに立ち上がり一瞬だけ「しまった」といった表情をする大宮司。その後の動きをみてもダメージは全くない。ただ「アウェー」の土地で、しかもエース選手相手の試合で判定勝ちを狙うのは至難の技である。それを誰よりもわかっているのはこの俺だ。その時の大宮司の表情は、そんな一瞬の焦りを感じさせるものでもあった。

 2ラウンドからはローキックと右のパンチでKOを狙う大宮司と、冷静にパンチでポイントを重ね、アメリカのジャッジには「アグレッシブである」と認識されることが多い後回し蹴りなど、見た目に派手な技を時折繰り出していくマセオとの一進一退の攻防が続く。4ラウンドに入ると、スピードと技術で優る大宮司は、ジャブとローだけなく右のハイキックなども織りまぜ、マセオにプレッシャーをかけていく。明らかに体格で勝っているマセオ相手に素早いリズムで積極的に攻め続けていく大宮司に観客は大喜びだ。隣に座っているガールフレンドにしたり顔でこう説明しているファンもいた。
「あの大宮司のヘッド・ムーブメントを見ろよ。あれこそ本物のムエタイ・ファイターだよ」

 ただ今回の試合はWKA認定プロ・ムエタイ・ルールの2分5ラウンド。大宮司も
ジャブとローでリズムを作り、相手がパンチできたら右のカウンター、相手が下がったら右のハイと相手を追い込むが、やっとエンジンがかかってきたところでラウンド終了のゴングが鳴ってしまう。
 最終5ラウンドでは大宮司のパワフルな右ハイにマセオが大きくのけぞる場面も見られたが、あと一歩のところで攻めきれずそのまま試合終了。パンチと前蹴りで自分の間合いを最後まで崩さなかったマセオの判定勝ちとなった。
 この日会場を埋めた約1200人のファンは、スリリングな試合をみせた二人に大満足。退場していく大宮司の肩を叩き「凄い試合だった」と賞賛するファンの多さが、何よりもそれを物語っていた。
 試合後、マセオも「これまで闘ってきたどの選手よりもスピードがあった」と大宮司を絶賛。「今度は日本で彼と再戦したい。次は私が敵地に乗り込む番だ」と、最大の敬意を表していた。
 
 

第13試合 セミファイナル WKAプロムエタイCombat at The Capitale166-172パウンド級タイトルマッチ 2分5R
○デレック・リディック(アメリカ/クル・フィル・ナース)
×寒川直喜(日本/バンゲリングベイ)
判定3-0 (48-47/49-47/49-46)

※リディックが新王者に

 MTVアワードのアフター・パーティーや、一流デザイナーのファッション・ショー、人気DJのパーティーなどが開催されることでも知られているマンハッタンの多目的クラブ「The Capitale」。そこを本拠地として、去年の5月に産声をあげたキック・イベント「Combat at the Capitale」は、規模の小さいキックの大会しかない東海岸では超高値といえる「リングサイド75ドル」でも完売する人気イベントだ。(ちなみにこの値段はブロードウェーのミュージカルのチケットと10ドルほどしか変わらないので、この大会は、ニューヨークでは唯一Aクラスにランクされている格闘技イベントといえる)
 しかしこれまでは、アメリカ、カナダの北米勢だけでカードが組まれており、まだまだローカル色が完璧に払拭されていない感があった。だが今大会から日本のIKUSAが全面協力することで国際レベルのイベントに一歩ステップアップ。それを何よりも把握し諸手を挙げて大歓迎しているのは、この日会場に詰め掛けてファンたちだ。

 第12試合が終った時点で、会場の雰囲気が一変した。バー・エリアに設置された巨大スクリーンで、ソファに座りながらドリンクを片手に試合を楽しんでいた人たちが、続々とアリーナ内の立ち見エリアに移動し始めたのだ。
 最後の二試合だけは生で観ないと。
 そんなファンたちの熱い思いがアリーナ内に充満したその時、寒川直樹はリングに立った。

 対戦相手は「Combat at the Capitale」第一回大会から負け無しのデレック・リディック。ブルックリンにあるキックボクシングの名門ジム・クル・フィル・ナースの看板選手だ。背丈では寒川がやや優っているが、上半身の厚さはリディックに軍配があがる。
 スタートから飛ばしてきたのはリディックの方だった。やや様子を窺うようにリングを回る寒川に、得意の左フックで入り込むと首相撲から膝蹴りの連打。リディック得意の攻撃パターンだ。しかし試合前日、リディックの育ての親でもありヘンゾ・グレイシーに打撃を教えたことでも有名なニューヨークのムエタイ・トレーナー、ネスター・マルテのジムで、しっかりと対策を練ってきた寒川は、冷静に相手の首を捻りながらポジションを横にずらしバランスを崩したところに膝蹴りで応戦。五分五分の闘いが続く。ボクシング技術で一日の長があるリディックの左フックが数発寒川の額を捉え、コーナーに追い込まれる場面もみられたが、すぐにローで応戦するところを見ると大きなダメージはないようだ。2ラウンドもリディックのねちねちとした首相撲からの膝蹴りと寒川の距離をおいてのローキックの応酬が続き、試合はお互いに一歩を譲らない接戦となった。

 3ラウンドに入ると、リディックの左フックを使って前に出てくる突進力に押され寒川がロープを背にする機会が多くなってくる。しかし4ラウンドからは、リディックの勢いが除々に失速。マウスピースを半分口から出し肩で大きく息をし始める。明らかににスタミナ切れだ。動きの鈍くなった相手に、寒川はローキックから右ストレートでコーナーに追い込むが、すかさずクリンチ、そしてそこからの首相撲、膝蹴りで凌ぐリディック。アメリカのプロ・ムエタイ・ルールは、首相撲で動いている限り、選手が倒れなければブレイクが入るタイミングがかなり遅い。それを熟知しているリディックの戦法に、なかなかリズムに乗れない寒川。最終の第5ラウンドでも、右ストレートをクリーンヒットさせたが、すぐにクリンチされ次に続かない。反対に必死に首相撲にもっていき膝蹴りを連打してくるリディックの戦いのパターンから逃れられず、そのまま試合終了となった。
 3-0の判定でリディックが初代Combat at the Capitale王者となったが、お互いに決定的なダメージを与えられなかった試合なので、再戦してすっきりとした決着をつけて欲しい。そんな声があちこちから聞こえたセミファイナルだった。

※今大会の模様はニューヨークのケーブルTVの格闘技番組「Inside Martial Arts」で放映予定。

Last Update : 02/15 14:59

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