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(レポ&写真) [MAキック] 11.21 有明:防衛は木村だけ

マーシャルアーツ日本キックボクシング連盟 "SUPREME-7 CHAMPION CARNIVAL 〜7階級タイトルマッチ〜"
2004年11月21日(日) 東京・ディファ有明

  レポート:永田遼太郎・井原芳徳  写真:米山真一  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】

第13試合 MA日本ライト級タイトルマッチ 3分5R
○木村 允(土浦/王者)
×南雲裕一(橋本/2位)
判定3-0 (大沢50-48/小林50-48/緒方50-49)

※木村が防衛

 この日行われた7つのタイトルマッチのうち、王者決定戦を含め6階級で新王者が誕生した。しかも1試合の反則決着を除き、全てが判定決着。この結果はある意味、MAキック内の各選手はダンゴ状態で、絶対的なチャンピオンがおらず、タレント不足であることを浮き彫りにしている。
 ただしそれはこの日メインを飾ったライト級以外での話。この7大タイトルマッチの大トリを任せられた木村允(まこと)は、現在のMAキック内において誰もが認めるエース。全日本キックの「全日本ライト級トーナメント」の参戦を現在、もっとも待ち望まれている選手の一人でもある。
 例え他の階級が群雄割拠の状態であったとしても関係なく、木村自身はエースとしての存在をここでアピールしたい。まして10月のARANAMI新潟大会でのテーワリットノーイ戦の敗戦を拭い去りためにも、ここで立ち止まっている場合じゃない。

 1ラウンド、木村は相手の攻撃を見切り左のローを確実にヒットさせ勢いに乗る。ベルト奪取を狙う南雲の出鼻をくじく。
 南雲も2ラウンドからはローにはローでと言わんばかりに打ち返し、まるで鏡合わせのような我慢比べが展開された。しかし木村のローとカウンターのヒジを警戒してか、南雲得意の左ストレートにいつもの威力は見られない。それでも後半ラウンドにローを効かせるが、木村の右のテンカオなどにたじろく場面もあり、ポイントを奪うまではいたらない。

 試合はポイント的には僅差だったが木村の完勝と言える内容だった。「追われる立場はキツイすね」。試合を振り返って木村は苦笑いを浮かべたが、半分は本音もあり半分は建て前でもあるだろう。
 たしかに南雲は健闘したが、それ以上のものをアピールするまでにはいたらなかった。南雲の気合を終始感じたという木村だが、「チャンピオンはそれだけじゃ獲れないよ、というのを見せ付けたかった」と話に付け加えた。

 実はこのセリフ、木村がベルトを腰に巻く以前に師である山本会長に常々と言い聞かされていたものである。今から三年前、木村の上には常に井上哲という大きな壁が存在した。木村のタイトル挑戦を推す声に当時、山本会長はこう話していた。
「うちみたいな小さなジムに、何回もタイトルマッチをさせてくれるチャンスなんて来ないんですよ。相手だっていつまでも待ってくれやしない。世界にだって行きたいだろうし、他団体とやったりするだろうし。だからやるときは『6対4で勝てる』なんて甘い気持ちじゃダメなんです。ドローもあるわけですから7対3で初めて五分。タイトルマッチに挑戦するってことはそういうことなんです」

 その末に頂点に上り詰めた木村だからこそ、「せっかく頂いたベルトだから、そんなたやすく渡せませんよ」という言葉に説得力がある。かつての木村のような存在になりつつある南雲にとって、木村は今後、高い壁になりそうだ。(永田)

◆木村「いやあ強かった。相手は気合入っていたんで、キツかったすね。パンチは上手いの知っていたから警戒はしていました。(木村もサウスポーだが)サウスポーとはあまりやったことがないんで、多少やり辛かったですけど、もうそんなん言ってる立場じゃなくなったんで、一つの勉強にはなりました。
 まだまだ若いやつには負けられませんね。(井上哲さんや山崎さんに比べると)自分も若い方ですけど、やっと手にしたベルトなんで「チャンピオンにはそんな簡単にはなれないよ」って見せ付けられたかなって。やれるチャンスがあれば誰でもかかってこいって感じですかね。外にも乗り込んで行きたいし、テーワリットノーイにこの前負けちゃってムエタイに借りを返したいのもあるし。
 ただ今日戦っていて(南雲の)必死な気持ちってのは伝わりました。結構自分プレッシャーに弱いんで(笑)。それに負けない自分を作っていかなきゃなと思います。この前の負けが気合いを入れ直すきっかけになりましたね。今日の勝ちも次に繋げていきたいです。」

第12試合 MA日本スーパーライト級タイトルマッチ 3分5R
×井上 哲(山木/王者)
○水町 浩(士魂村上塾/1位)
判定0-3 (秋谷46-50/大沢47-50/緒方47-50)

※水町が新王者に

 井上が肘を振り回すが、水町は組み付いて防御。1Rから水町が当て続けたローが2Rから効き始め、井上は前のめりにバランスを崩し、スリップするシーンが増える。ダウンを取られてもおかしくなかったが、うまくごまかして倒れるあたりがベテランの妙味か? 逆に水町は攻勢をキープするも倒しきれず。結局最後まで水町が攻め続け王座を奪い取った。(井原)

第11試合 MA日本スーパーフェザー級タイトルマッチ 3分5R
×山田健博(東金/王者)
○小石原勝(習志野/3位)
判定0-2 (秋谷49-50/大沢49-49/松田49-50)

※小石原が新王者に

 2Rまで静かな展開だったが、3Rは小石原が左ハイキックをきっかけに、パンチラッシュで主導権。5R終盤に山田もようやくパンチで反撃するが、小石原がかろうじて逃げ切り、王座奪取に成功した。(井原)

第10試合 MA日本フェザー級タイトルマッチ 3分5R
×小林秀紀(マイウェイ/王者)
○大高一郎(山木/1位)
判定0-3 (秋谷47-48/小林48-49/松田48-49)

※大高が新王者に
※4R左フックで小林1ダウン

 フェザー級のタイトルマッチは目まぐるしく展開が変わる熱戦に。大高は前半こそ小林のローに苦しみ押され気味だったが、3ラウンドに左フックをカウンターで合わせダウンを奪い、2ポイントを奪取。後半小林も巻き返しを図ったが大高が逃げ切り新王者になった。(永田)

◆大高「前のジムで凄いお世話になった先輩だったので、こんな形でリングで対峙するなんて思わなかったです。でも思い切り打ち合えてスッキリしています。判定は正直意外でした。試合後に小林さんに『強くなったな』って声をかけられてホッとしました。自分より強いランカーの人は他にたくさんいるんで、ベルトを取ってもまだまだ自分なんか…って気持ちです。(山木出身のフェザーと言えば山口元気選手って感じですが)いえ、自分なんかまだまだ足元にも及ばないです。少しでも追いつけるように頑張ります」

第9試合 MA日本バンタム級タイトルマッチ 3分5R
×アトム山田(武勇会/王者)
○高橋拓也(習志野/1位)
判定1-2 (松田49-50/緒方50-49/小林48-50)

※高橋が新王者に

 互いに肘を活用するムエタイスタイルでなかなか見応えがあったが、決定打に欠く。しかし5R、高橋がストレートの連打と肘打ちで主導権を握り、山田の右目の下をカット。山田も終盤反撃するが間に合わず、判定は割れるも高橋に軍配が上がった。(井原)

第8試合 MA日本ヘビー級王者決定戦 3分5R
×神谷友和(橋本/1位)
○小林昭男(士魂村上塾/2位)
判定1-2 (緒方49-50/小林50-49/大沢48-50)

※小林が新王者に

 神谷がサウスポーから左ミドルを何発も当てるが、威力が弱く決定打にならない。次第に小林の右フックのクリーンヒットが増え、小林の判定勝ちとなった。(井原)

第7試合 MA日本フライ級王者決定戦 3分5R
×森田晃允(橋本/1位)
○小暮正祥(土浦/3位)
5R 失格

※小暮が新王者に
※森田が3Rに倒れた相手への攻撃の反則で減点2、5Rにブレイク後の攻撃の反則で減点1。累積で減点3となり、規定により小暮の勝利に。

 開始早々から左右のパンチでプレッシャーをかけていく森田に対し、小暮も持ち前の気の強さで「やられたらやり返せ」と言わんばかりの蹴りを返していく。だが序盤から森田からしつこく繰り出していったローが効き始め、小暮は再三バランスを崩す。さらに上下のコンビネーションでプレッシャーをかけると、3R終盤ついに小暮がダウンする。
 しかしこの時に膝をついた小暮に対し、勢い余った森田が強烈な膝を胸部に打ち込んでしまう。小暮は悶絶。森田はすぐさま減点1に。しばらく立ち上がれない状態の小暮の様子を重く見た審判部は、さらに倒れた相手への必要以上の攻撃とみなし、減点2に処分を変更する。
 その後小暮がなんとか立ち上がり試合は再開されたが、ダメージは大きく精彩を欠く。それでもなんとか持ち堪え最終ラウンド。またしてもアクシデントが発生してしまう。

 開始早々の激しい打ち合いのあと、もつれた両者をわけようとレフェリーが制止に入ったところで、森田がさらに攻撃を続けてしまい、これがさらなる減点を招く。森田は減点の累積が3となり、既定により反則負けが宣告された。
 結果的に新王者となった小暮だが、3Rの反則で受けたダメージが重く、すぐに救急車で病院に運ばれた。診断の結果、胸部に骨折箇所が判明。呼吸器官に穴があく危険性もあったという。(永田)

◆小暮「(3Rの負傷は)呼吸がきつい状態で苦しかったです。(ここでセコンドが胸部を軽く押すとかなり痛がる)途中何度も気持ちが折れそうになったけど、みんな遠いところ(出身の群馬)から応援に来てくれたので、それが力になって最後まで頑張れました。タイトルは獲れましたが、試合では押されていたんで、獲った気は全然してないです。森田選手も納得しないだろうし、再戦は身体が治り次第受けたいと思います。ただ、このところずっと連戦だったんで少し休みたい気持ちもあります。会長と相談して決めたいです」

第6試合 ウェルター級 ショーダウンマッチ(3分3R・最大延長2R)
○山崎通明(東金/元3階級王者)
×綱島容一(山木/7位)
2R 0'44" KO (ローキック)


 2ラウンド開始早々カウンターの右フックで最初のダウンを奪った山崎は、ガードを固める綱島をパンチの連打でサンドバック状態に追い込むと、最後はローキック一発で仕留め完全復活。試合後にはスーパーライト級王座への挑戦をアピールした。38歳からの4階級制覇なるか注目だ。(永田)

◆山崎「前回の敗戦のビデオを見て、後半ガス欠になっていたことが分かったので、今回の復帰に向け、徹底的に食事を改善し、良質のサプリメントを取り入れました。今は体にカロリーも行き届くようになり、状態は休む前に比べると格段にいいです。もう一つの敗因であったオーバーワークも気にして、最近は練習で疲れたらしっかり休むようにもしています。自分は元々酒は飲まないのですが、他の選手の場合だったら酒を控えて体をいたわって食べ物を気にすればいいと思います」

第5試合 ミドル級 ショーダウンマッチ(3分3R・最大延長2R)
×森 脩(谷山/3位)
○永田健一(マイウェイ/4位)
判定0-2 (松田28-29/大沢29-29/緒方28-29)

第4試合 ウェルター級 2分3R
○河野雄大(武勇会)
×富平忠将(早川)
判定3-0

第3試合 ライト級 2分3R
○竹内祐二(菅原)
×近藤一輝(真樹アイチ)
判定3-0

第2試合 バンタム級 2分3R
×磯部 大(明和心塊)
○岩波祐二(渡辺)
判定0-2

第1試合 バンタム級 2分3R
×田平和男(真樹アイチ)
○水谷善幸(早川)
1R 1'05" KO

Last Update : 12/03 12:50

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