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(レポ&写真) [K-1 JAPAN] 6.26 静岡:天田、WORLD GP出場権獲得

FEG "静岡第一テレビ開局25周年記念 K-1 JAPANシリーズ K-1 BEAST 2004 in 静岡 〜JAPAN GP決勝トーナメント〜"
2004年6月26日(土) 静岡・エコパアリーナ  観衆:5,500人

  レポート&写真:井原芳徳   【→掲示板スレッド】

第3試合 JAPAN GPトーナメント一回戦(A) 3分3R(延長1R)
○堀 啓(日本/チームドラゴン)
×子安慎悟(日本/正道会館)
判定3-0 (黒住29-28/朝武29-28/大成30-27)


 小柄な子安がスピーディーな動きで堀をかく乱し、ミドルとローを当て続ける。だが堀のストレートが当たり始めると次第に失速。3Rは堀のワンサイドで、残り40秒に堀が左ストレートでダウンを奪い判定勝利をおさめた。

第4試合 JAPAN GPトーナメント一回戦(B) 3分3R(延長1R)
×中迫 剛(日本/ZEBRA244)
○ノブ・ハヤシ(日本/ドージョー・チャクリキ・ジャパン)
判定0-3 (御座岡29-30/岡林29-30/朝武29-30)


 去年はオランダのチャクリキの支部道場の準備に追われ調整不良だったノブだが、今年は好調な動きを披露。パンチから右ローのコンビネーションが冴え、ジャブも駆使して中迫を翻弄する。パンチをもらう場面もあったが、すぐに盛りかえしてポイントを与えず、準決勝に駒を進めた。
 敗れた中迫は最近の自分の動きに迷いがあることを明かし、7月17日の韓国大会で行われるアジアGPに出陣し、「迷いを吹っ切りたい」と語った。

第5試合 JAPAN GPトーナメント一回戦(C) 3分3R(延長1R)
×マイク・ベルナルド(南アフリカ/スティーブズジム)
○富平辰文(日本/SQUARE)
1R 1'30" KO (左ハイキック)


 開始早々バッティングでベルナルドが右目尻をカット。場内からはベルナルドが昔出ていたCMをもじって「キレテナーイ」という野次も飛んだ。その後2度のドクターチェック。その度にベルナルドは短期決戦を目論んでラッシュを仕掛けるが、富平は引く事もなく対処する。1分過ぎ、富平は首相撲から膝蹴りを2発。ヘビー級のルールでは組んでからの膝は1回しか認められないため、レフェリーは富平を注意しようとしたが、その流れのまま富平はベルナルドを突き離して左ハイ。それほど強打にも思えなかったが、ベルナルドはダウンしたまま立ち上がれず、初戦敗退となってしまった。
 ベルナルドは昨年10月のイグナショフ戦、今年3月のノルキヤ戦に続き3連続KO負け。ノルキヤとの元同門対決の後、古巣のスティーブズジムに戻ったが、復調ぶりを見せるまでもなく、あっけなくマットに沈んだ。最近の倒れ方を見ていると、脳のダメージが相当深刻なような気がする。本人は現役続行の意志を示したが、誰かが止めるべきではないだろうか。

第6試合 JAPAN GPトーナメント一回戦(D) 3分3R(延長1R)
○天田ヒロミ(日本/TENKA 510)
×内田ノボル(日本/ビクトリージム)
判定2-0 (中川30-29/岡林30-30/黒住30-29)


 天田が前に出てスピードのあるパンチの連打を放ち、内田が回って右ローを放つ試合展開。1Rは天田がポイントを取る。3R序盤、内田のハイキックに「実は結構クラクラ来ていました」と振り返った天田だが、危ない素振りを見せることなく、その後も優位をキープし、内田にポイントを与えず快勝した。

第8試合 JAPAN GPトーナメント準決勝 3分3R(延長1R)
×堀 啓(日本/チームドラゴン)
○ノブ・ハヤシ(日本/ドージョー・チャクリキ・ジャパン)
3R 2'31" KO (2ダウン:右ローキック)


 1R序盤、バッティングでノブが右目尻から出血。堀に減点1が課せられる。その後ノブは右ローで優勢。堀はこれまで同様、ローに対する弱さを露呈する。なかなか倒しきれなかったノブだが、3Rに2度ローでダウンを奪い決勝進出を果たした。

第9試合 JAPAN GPトーナメント準決勝 3分3R(延長1R)
×富平辰文(日本/SQUARE)
○天田ヒロミ(日本/TENKA 510)
3R 0'58" KO (2ダウン:右ストレート)


 天田は「一回戦はパンチを振り回しすぎて疲れた。二回戦から楽にやろうと思ったら、冷静に行けた」と振り返ったように、肩の力の入らない動きで、序盤からパンチで優勢。1分足らずで右ストレートでダウンを奪取する。10カウントぎりぎりで立ち上がった富平は、その後も耐えきるが、劣勢をはね返すことはできず。3R、1分足らずのうちに右ストレートで2度のダウンを喫し敗退した。

第11試合 JAPAN GPトーナメント決勝 3分3R(最大延長2R)
×ノブ・ハヤシ(日本/ドージョー・チャクリキ・ジャパン)
○天田ヒロミ(日本/TENKA 510)
判定0-3 (御座岡29-30/中川28-30/大成28-30)

※天田が9月のWORLD GP開幕戦出場権獲得

 ノブのコンビネーションからの蹴り、天田の距離を詰めてのパンチ連打の激突は、一進一退の好展開。トーナメント決勝というと、JAPANに限らずワールドGPシリーズでも、互いにバテバテとなるか、怪我の影響もあって動きが鈍ることが恒例だ。しかしこの試合に限って言えば、一回戦やMAXシリーズと遜色のないハイスパートな動きが最後まで繰り広げられ、観客を飽きさせない。
 2Rまで互角の展開だったが、3Rに勝負が決する。天田の左右のフックのクリーンヒットが増え、ノブは劣勢。残り10秒、天田の右フックでノブの頭が後ろにのけぞり、勝負を決定付けた。

 天田は3月14日の新潟大会でのバタービーン戦の判定勝ちから3ヶ月間、他の試合のオファーも断り、日曜も休まず練習に専念。走り込みで体力を作り、ボクシングジムでパンチの打ち方の基本から学び直し、「今迄フェイントをかけたりしていたけど、普通にやった方が当たる」と再認識した。昨年JAPAN GPの決勝に進出した武蔵と藤本祐介が今回不在だったとはいえ、天田が優勝をつかんだのは、3ヶ月試合を休み、ちゃんと練習するという、ごく普通のことをやってきた成果といえよう(さらに天田にとっては夫人と双子の子供も大きな精神的支えになっていたはずだ)。練習が減ったり、連戦が続けば、試合のクオリティが落ちるのは当然だ。K-1 MAXで当たり前に行われ、ヘビー級戦線で忘れられかけていた事を、天田とノブが今この時期に示した意義は決して小さくない気がする。

第10試合 スーパーファイト 3分3R(最大延長2R)
×ボブ・サップ(アメリカ/チーム・ビースト)
○レイ・セフォー(ニュージーランド/ファイト・アカデミー)
2R 0'49" KO (右ボディブロー)


 開始早々ラッシュを仕掛けたサップは、セフォーを倒した後も上から殴り続ける反則。デビュー当時を彷佛とさせる暴走ファイトをいきなり繰り広げる。サップは「セフォーがロープに引っ掛かって、倒れていないと思った」と釈明し、平常心を装ったが、再開後、体をダンゴ虫のように丸めてセフォーのパンチを防御する場面が多かったことが示すように、むしろ試合への恐怖が平常心を奪い、暴走を駆り立てていたようにさえ思える。
 サップはセフォーをコーナーに詰めてパンチラッシュ。だがセフォーはがっちりブロックして防御すると、パンチで反撃。今度はセフォーの膝蹴りがローブローとなり、サップが悶絶。2分のインターバルが設けられる。だがその後はサップは「足全体が麻痺して動けなくなった」といい、明らかに失速。ラウンド終盤にはコーナーに詰められ、セフォーのパンチの連打を浴び続ける。なんとかゴングまで耐え抜いたものの、コーナーにへばり込んでなかなか立ち上がれない状態。2Rになってもセフォーの軽いパンチで力なくスリップし、最後は右フックと右ボディブローの連打でマットに沈んだ。

 サップは5月のROMANEXで藤田に敗れ、プロレスのIWGPベルトも返上。映画撮影も兼ねてアメリカに帰国し、一時は音信不通とも失意の末引退とも報じられた。大会3日前の公開練習ではそれらの説を否定したが、やはり練習不足と精神的不調は隠せなかった。
 今大会は武蔵が欠場。最近のK-1 JAPANシリーズは「K-1 BEAST」の大会名が付けられ、看板やパンフでもJAPANの文字よりもBEASTの文字の方が大きい。つまりサップ抜きでJAPANシリーズは成り立たない構造となっている。
 だが今のサップから「BEAST=野獣」の面影は感じられるだろうか? 下記の谷川貞治イベントプロデューサーの発言も、日本テレビの実況解説も、今やサップへの同情ばかりで、まるで同じ日テレの24時間テレビのマラソンを走る芸能人への激励のようになってしまっている。そういう路線自体を否定する気はないが、ファンがK-1の世界観およびサップに求めている物ではないだろう。

◆谷川プロデューサー「サップには思い入れがあり、入場してきただけでも涙が出そうになり、胸がキューンとした。今日はボブの気持ちが復活して、心に残る一戦となった。本当に感動した。前日会見にボブが出れなかったのはコンディションが良くなかったせい。来日直後に風邪を引き、負けられないというプレッシャーも大きかったようだ。体調が悪く、試合の前には吐いていた。サム・グレコと伊原信一会長の励ましがあって出ることができた」
◆グレコ「ホブには『一生懸命頑張ってくれてありがとう』と言いたい。ダウンしても立ち上がると約束して、その通りにやってくれた。これがある意味、K-1選手としての第一歩になると思う」

第7試合 スーパーファイト 3分3R(最大延長2R)
○モンターニャ・シウバ(ブラジル/シッチ・マスター・ロニー)
×バタービーン(アメリカ/チーム・バタービーン)
判定3-0 (御座岡30-29/中川30-29/朝武30-29)


 異色対決として谷川プロデューサーが自信を持って組んだ一戦だったが、ビーンのロングフックがシウバの顔に届かず、シウバのキックがスローでビーンに読まれるという空回りの展開。シウバもカウンタースタイルの選手のため、派手な試合にはならず。谷川プロデューサーも大会後素直に「失敗しました」と認めざるを得なかった。

第2試合 オープニングファイト 3分3R(延長1R)
×グレート草津(日本/チーム・アンディ)
○ヴィトー・ヴィッチーノ(ブラジル/ジュニアー・アギアー・チーム)
判定0-3 (後川28-30/岡林27-30/武井27-30)
※2Rホールディングにより草津減点1

第1試合 JAPAN GPリザーブファイト 3分3R(延長1R)
○滝川リョウ(日本/日進会館)
×高萩 勉(日本/チーム・ドラゴン)
判定3-0 (後川29-28/黒住30-27/武井30-27)
※2R高萩に1ダウンあり

Last Update : 06/29

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