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(レポ&写真) [新日本キック] 5.30 後楽園:武田、超合筋パンチ炸裂

新日本キックボクシング協会 "Super-Hybrid 〜新鋭〜"
2004年5月30日(日) 東京・後楽園ホール

  レポート:小林秀貴  写真:井原芳徳  【→大会前のカード紹介記事】 【→掲示板スレッド】

第14試合 メインイベント スーパーウェルター級 3分3R
○武田幸三(治政館)
×チューチャイ・ポーチョーローソーン(タイ/ラジャダムナンスタジアム・ウェルター級5位)
2R 0'07" KO (右ストレート)


 2月のK-1 WORLD MAX以来の復帰戦ということもあってか、武田は眉間にしわを寄せ、険しい表情でリングイン。対するチューチャイも気合いの入った厳しい表情。いまや武田戦はタイ人にとっても大きなチャンスだ。
 1R、武田は挨拶代わりの右ハイキック。その後は距離を取って、素早い出入りでローキックを打つ戦法。武田の構えは以前のように、後ろ足に重心をかけてゆっくりとステップするタイ式ではなく、両足に体重をかけた細かいステップに変わっている。ガードも両掌を並べて顔の前にかざす形から、左手を幾分前に出すようになっている。1R後半、インにアウトに繰り出される武田の左右のローキックが早くも効いてきたのか、チューチャイは足のスイッチを繰り返していた。
 勝負が決したのは2R開始早々、武田が放った右ストレート一発だった。倒れたチューチャイは大の字になったままピクリとも動かない。武田本人が「何年ぶりですかね?」と試合後冗談めかして振り返るほど、見事なパンチでの一発KO勝利に、場内からは爆発的な歓声が上がった。

 試合後武田に「巧い選手でしたね」と言わしめたチューチャイだったが、首相撲やヒジ、ヒザなどタイ人特有のうまさを出す前に葬り去られた。この勝利で武田はK-1復帰へのチャンスもぐっと引き寄せた形だが、次回のK-1 MAXは7月7日で、新日本キックが7月11日に開催する後楽園興行の4日前だ。武田は「両方出ることはお客さんに失礼だから自分の価値観にはない」と話している。

◆武田「(会心の一発?)そうですね。(狙っていた?)作戦通りです。(相手は)巧い選手でしたね。(相手はタイのランカーだが意識は)タイ人はランカーとそうでない人の違いがないので特に意識しませんでした。(今日から3分3R制の新ルールだったが?)1Rから倒しにいく自分のスタイルに合ってますね。(パンチでのKOについて)久々ですね。何年ぶりかな?『当たった』という手応えが残ってます。
(3月から今までの練習について)ディフェンスをいっぱいやりました。出入りを素早くすることを今日も意識してやりました。常に同じ位置にいないよう、どこにでも動けるような体勢で。その感じがフィニッシュにつながりました。(体調は?)いいです。練習以外でキックにかける時間が倍ぐらいになりました。食事もそうですし、マッサージを一日2回受けるようになりましたし。
(今年後半の予定は)個人的な意見は言えません。協会の上の人がやっていることなので。呼ばれたところでやるしかないです」


■新ルールについて協会が正式説明

 4月の市原大会から採用された5回戦=3分3R、3回戦=3分2Rの新ルールの解説が、今大会のパンフレットに掲載された。下記はその全文。
ハイブリッド・チャレンジ・ルール(仮名称)
 ルール名の通り、HYBRID(ハイブリッド=異種の配合・混合)Challenge(チャレンジ=挑む・試みる)という意味です。
 当協会が一昨年、昨年と交流をしております一撃、K-1といった競技に導入されている3R制ルールが認知され始め、頻繁に各所で多用されています。
 また、本場ムエタイにおいてもほぼ、1Rは様子窺い、2R〜4Rまでが実際の試合、5Rはポイントアウト後の消化試合。といったように、実質のラウンド数は3Rです。
 競技により多少の差異はありますが、上記等の現状を考慮し、当協会においてもキックボクシングの特出であるヒジ撃ちはそのまま有効とし、5回戦を3R制、3回戦を2R制として、よりスピーディーでエキサイティングな試合を皆様に御提供するために従来の枠に捕われずに考案した新しいルールです。

第13試合 セミファイナル -58kg契約 3分3R
○菊地剛介(伊原/日本フェザー級王者)
×李 善行[イ・ソンヘン](韓国/大韓ムエタイ協会/フェザー級)
3R 1'55" KO (3ダウン:左ローキック)


 菊地の攻撃の凄みはローキックの威力に尽きる。1Rにはローキックで相手の意識を下に向けつつ、左右フックでコーナーに追いつめる攻撃を見せ、2Rには足への攻撃を効かせた上で首相撲からの重いヒザ蹴りを打ち込んだ。
 それでも我慢していた李だったが、2R後半、ついにその我慢も限界に。奥足を根こそぎ刈り取るような菊地の左ローキックに、体をくの字に曲げ、痛みを見せ始めた。
 3Rに入ると、もう李は足の踏ん張りが利かない。菊地が組んで倒しただけで起き上がれなくなるため、2度のダウンを取られる。菊地は最後も奥足への左ロー2発をたたみかけ、韓国の19歳を地に這わせた。
 KO勝ちしてなお「つまんない試合してすいませんでした!」と叫んでリングを下りる若きチャンピオンの目指す頂上は高い。

第12試合 セミファイナル -62.5kg契約 3分3R
△石井宏樹(藤本/日本ライト級王者)
△アタポン・ポー・サムラーンチャイ(タイ/ライト級)
判定0-1 (島田29-30/稲田30-30/酒井30-30)


 1R、ワンツーから相手の前足を狙い、左右のローキックを打ち込んだ石井に対して、散発的に左インローを放つアタポン。1Rは石井が若干優勢に見えた。
 しかし2R、右フックからパンチで勝負をかける石井に対し、アタポンも呼応するかのようにパンチやヒジを返す。アタポンは自分から首相撲に持ち込む場面はほとんどないが、組んだら強く、至近距離から強烈なヒジを放つ。石井はかろうじてブロックしていたが、3Rが始まったときには額から少し流血が見られた。
 3Rもパンチで決めたい石井に対し、組んでからのヒジ、ヒザ狙いという攻防で、両者決め手を欠きドロー裁定。アタポンが1Rに攻撃をほとんど出さず、様子見を決め込むタイ流の試合運びをしてしまったことを考えると、もう少し見たいという印象を与えた一戦だった。
 

第11試合 セミファイナル -55kg契約 3分3R
○加村健一(伊原/日本バンタム級王者)
×小鳥(ホワイトタイガー/日本バンタム級5位)
判定2-0 (酒井30-30/島田30-29/深瀬30-29)


 蹴り合いの展開から1R終盤、加村はボディへのパンチやバックブローを見せる。それに対して小鳥はガードの中に飛び込んでパンチを打とうと試みるが、有効打は打てず。2R、小鳥はパンチの連打で加村を攻めたてるが、加村のパンチのガードは固い。1分51秒には両者左眉尻をカットしてドクターチェックを受けるが試合は続行。このカットでいつストップされるかわからないリスクを背負った両者。加村は遠目の間合いから蹴り中心に、小鳥は接近して相手の傷口へのパンチ、ヒジ狙いへ。判定は僅差ながら加村へ。


第10試合 セミファイナル -68kg契約 3分3R
×米田克盛(トーエル/日本ウェルター級王者)
○タップルワン・ポーチョーローソーン(タイ/ラジャダムナン・スーパーライト級9位)
判定0-3 (珠川27-30/深瀬29-30/島田28-30)


 米田がラジャのランカーの老獪なテクニックの前に攻撃を封じられた。1R、まずはタップルワンが左右自在に放つミドルキックでペースをつかむ。首相撲も巧く、米田をコロっと転ばせる。2Rもタップルワンのペース。パンチで飛び込み、左右ミドル、首相撲からヒザ、投げと攻撃を展開する余裕の試合運び。3Rもタップルワンがつかんで倒す展開となったが、相手にダメージを負わせる攻撃は与えるまでにはいかず。判定はタップルワンに。


第9試合 -68.5kg契約 3分3R
×北沢 勝(藤本/日本ウェルター級1位)
○阿佐美義文(治政館/日本ウェルター級3位)
1R 2'39" KO (3ダウン:パンチ)


 パンチとローのコンビネーションに勝る北沢が、まずは巧さを見せつける。しかし1R1分30秒、阿佐美が左ストレートでダウンを奪うと、機を逃さずパンチのラッシュ。左右フックの音が重たく響く。たまらず北沢が2度目のダウン。再開後、なおもパンチを十数発打ち込んだ阿佐美がKO勝ちを収めた。


第8試合 ヘビー級 3分3R
○内田ノボル(ビクトリー/前MA日本ヘビー級王者/94.9kg)
×柳 良夾[ユ・ヤンレ](韓国/金剛ジム/105kg)
3R 0'58" KO (右フック)


 1R、パンチで積極的に距離を詰めてくる柳に対し、内田はパンチから右ローとつなぐ攻め。首相撲からのヒザも互角か。だが2R後半から柳はスタミナ切れか、失速する。3R45秒、内田の右フック3連発で柳がダウン。一旦は立ち上がったが、再開後も下を向く柳に対し、内田は追い打ちの右フック連打。見事KO勝利を飾った。試合後、内田は「K-1がんばります」と言い残してリングを後にした。


第7試合 フェザー級 3分2R
×北野正一(誠真)
○田辺祐基(藤本)
判定0-3 (18-19/18-19/18-20)

第6試合 ライト級 3分2R
○石原祐基(伊原)
×石井達也(藤本)
判定2-0 (20-20/20-19/20-19)

第5試合 ミドル級 3分2R
×馬場 健(伊原)
○上杉亜紀斗(宮川)
2R 2'04" TKO (ドクターストップ:左眉尻カット)

第4試合 ウェルター級 3分2R
○SHINGU(治政館)
×金子翔英(尚武会)
1R 1'10" KO

第3試合 ライト級 3分2R
×塩崎達也(治政館)
○藤田善広(横須賀大賀)
判定0-2 (18-19/18-19/18-18)

第2試合 -55kg契約 3分2R
△田中義信(西八王子大塚/バンタム級)
△アントニオ塩田(メキシコ/治政館/バンタム級)
判定0-1 (19-20/20-20/20-20)

第1試合 ウェルター級 3分2R
○海津大輔(藤)
×吉田要一(山田)
1R 0'50" KO

Last Update : 05/31

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