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(レポ&写真) [ZST GP] 1.11 Zepp:ゼスト4兄弟初戦全滅。アウレリロが優勝

ZST事務局 "ZST GP決勝大会"
2004年1月11日(日) 東京・Zepp Tokyo
観衆・986人(超満員札止め)

  レポート:古谷わか 写真:井原芳徳

  【→11月の開幕戦の記事】
  【→大会前のカード紹介記事】
  【→掲示板・ZSTスレッド】

第1試合 二回戦(1) 5分2R
×小谷直之(日本/ロデオスタイル)
○リッチ・クレメンティ(米国/チーム・エクストリーム)
判定0-3


 1R 打撃の牽制から組み付いた小谷をクレメンティがテイクダウン。下から三角を敢行した小谷。みるみる赤くなるクレメンティの顔色。早くも小谷一抜けか?と会場はヒートアップ。だがクレメンティはパワーで脱出すると形勢逆転。ハーフ〜サイドについてボディにパンチを落としながら腕を狙う。小谷のガードの前クレメンティが体制を立て直そうとイノキ・アリ状態になったところでゴング。
 2Rはクレメンティがスタンドを突破口にテイクダウンしパワーで押さえ込むというループ気味の展開に。中盤、クレメンティの右ストレートがクリーンヒットし小谷は鼻から激しく出血し、ペースを崩されてしまう。クレメンティが引き込んで下からチョークを狙ったところでタイムアップ。

 判定3-0。相手に与えたダメージと有効打数で上回ったクレメンティが、念願の小谷狩りと準決勝への一抜けに成功した。一方の小谷はゴングが鳴った瞬間、鼻から血が流れるままにがっくりと両膝をついた。“エース”としてのプレッシャーも大きく感じていたという。だがZSTの上原広報は旗揚げ以来約1年ZSTを引っ張ってきた小谷の奮闘を高く評価し、「今度はバーリトゥードでも彼の実力を見せたい」と語っていた。

第2試合 二回戦(2) 5分2R
×所 英男(日本/STAND)
○TAISHO(日本/Team BARBOSA JAPAN/DEEP代表)
1R 0'53" KO (スタンド打撃)


 スタンドでのスピーディーな攻防からスタート。所が飛び膝からコンビネーションを繰り出すが、冷静に見切ったTAISHOがお返しの右ストレート。いい一発にグラっときた状態に更に左ハイを見舞う。もはや意識が飛んだ状態の所だが最後の闘争本能でTAISHOに向かって立ち上がってタックルに行こうとする。そこへトドメをささんとばかりにTAISHOが右ハイ。それでも所が再びタックルで突進し、TAISHOを場外に投げ飛ばそうとしたところでレフェリーストップとなった。
 1回戦を鮮やかな寝技で突破したTAISHOが、今度は鮮やかな打撃を魅せてコマを進める結果に。所は試合後「悔しいです。TAISHO選手は自分よりも人間的にも技術的にも上でした。練習するしかありません」と語りながら大粒の涙をこぼしていた。

第3試合 二回戦(3) 5分2R
×矢野卓見(日本/鳥合会)
○レミギウス・モリカビュチス(リトアニア)
1R 4'37" TKO (レフェリーストップ:失神)


 いつもどおり半身背面でかまえる矢野の周りを、鬼の形相でプレッシャーをかけながら回転するレミーガ。一発強烈な左ローを叩き込まれた矢野はグラウンドに。この野郎!とばかり踏みつけに行くレミーガ。その後、スタンドで背面の矢野にレミーガがローキック〜寝てはまた立ちの矢野、というループ。レミーガはバンビ状態の矢野の周りをハイエナのようにぐるぐると回り、アドレナリンを増幅させていく。
 なかなか噛み合わない二人だったが、残り一分、矢野が逆水平をきっかけに組み付き、ついに下のポジションを手に入れ、すかさず三角から腕十字を狙いに行く。するとレミーガは体格差を活かしたパワーで応戦。腕を極められたまま矢野を持ち上げると、そのまま豪快にマットに叩きつける。すると受け身を取れない矢野は失神。レフェリーは試合をストップさせた。喜ぶレミーガの一方で、完全失神の危険な状態で担架で退場する矢野に、場内は騒然となった。ZST4兄弟、長男までも撃沈。 
 この後、無事に控え室で甦生した矢野。頭ではなく、最初に落ちた右肩を痛めたとのことで三角巾で吊っていた。

第4試合 二回戦(4) 5分2R
×今成正和(日本/TEAM ROKEN)
○マーカス・アウレリロ(ブラジル/アメリカン・トップ・チーム)
判定1-2


 小谷、所、そしてタッグパートナーのヤノタク。相次ぐ“兄弟”達の敗退を前に、明らかに動揺を隠せない面持ちでリングインした今成。1R、スタンド勝負でプレッシャーをかけてくるアウレリロに対して、ノーグローブでガードをとりつつ、足元への滑り込みを狙う。しかしアウレリロは今成が滑り込むたびに体を後ろに引き、徹底して足を取らせない対策だ。逆にグラウンドになった今成の両手両足をまとめて掴むとマウントを奪い、1回戦のタクミ戦でも見せた脅威的なバランスで上から今成をコントロールし、肩固めを狙う。今成も下から腕をとるが決め手にはならずゴング。
 2Rも今成は足元に滑り込むがアウレリロの防御の前にチャンスを掴めない。上になって昇っていくアウレリロは右腕で肩を固め、空いた左腕で今成のボディにパンチを落としていく。残り1分、下からのフロントチョーク〜腕十字を渾身の力で繰り出す今成だったがブレイク・・・。奇襲の飛び込みなどで突破口を狙うもマーカスにコントロールされ、サイドからパンチ&膝をボディにくらう中でゴングを聞くこととなった。
 判定2-1、アウレリロの勝利、ZST4兄弟、揃って撃沈。しかし今成の変則的な動きと足関狙いに苦しんだのか、試合後のアウレリロは安堵ともとれる表情。大会後は「一番苦戦したのは今成との試合だったよ」と振り返っていた。

第6試合 準決勝(1) 5分2R
○リッチ・クレメンティ(米国/チーム・エクストリーム)
×TAISHO(日本/Team BARBOSA JAPAN/DEEP代表)
判定3-0


 1R スタンドでの展開からスタート。クレメンティは右、左のパンチで突進するとTAISHOの左腕と首をとり、膝を叩き込んでいく。差し合いから渾身の力でTAISHOが足をかけて倒すも、パワーでめくり返すクレメンティ。1.5階級分ぐらいある体格差を十分に活かしている。
 その後クレメンティがTAISHOを引き倒し、グラウンドに持ち込んだ際に顔面にパンチが入ってしまい、注意が与えられる。TAISHOは既に口の中を激しくカットし出血している。再開後、打撃合戦〜クレメンティーが上になったところでゴング。

 2R 激しいロー合戦から組み付いたクレメンティがパワースラムのように叩きつけると、待ってました!と下から右腕をとり三角を狙うTAISHO。だが惜しくも極まらず、クレメンティは上をとるとパワーにものを言わせてフロントチョークや足関を狙う。ブレイク後、差し合いから意地むき出しで左足をかけて倒し、上を奪いサイド〜上四方と昇ったTAISHOだったが、汗でスリップして形勢逆転。足を獲られてしまうがなんとか耐え抜き、ほどけた二人。最後まで1本を狙って組み付き合う中で終了のゴング。
 共に決定打はなかったものの、積極的に試合を進めたクレメンティが3-0の判定で決勝への進出権をもぎとった。唯一日本人で準決勝に勝ち上がり、圧倒的なパワー差の前にも最後まで諦めずに攻め続けたTAISHOの健闘ぶりが光った。

第7試合 準決勝(2) 5分2R
×レミギウス・モリカビュチス(リトアニア)
○マーカス・アウレリロ(ブラジル/アメリカン・トップ・チーム)
1R 1'48" 三角絞め


 まるで早送り再生をしているようなスピーディーな打撃戦でスタート。アウレリロがレミーガのワンツーをかわして胴タックルで組み付き投げを放つ。レミーガは時々ロープをつかみながらも必死でスタンド状態をキープする。しかしアウレリロの組技が上回り、レミーガの腰に回したがっちり腕をクラッチしたままグラウンドに引き込む。
 ここからはアウレリロの柔術黒帯っぷりが爆発。下からあっという間に長い足をレミーガの首に回すと三角地獄へ誘い込む。矢野戦同様、必死にパワーで抜けようとするレミーガだが、強烈なクラッチが解けることは無く、ついにタップアウト。ミルコVSノゲイラ戦を思わせる終末となった。
 レミーガは具体的箇所を明かさなかったが、直前に大きな怪我を負い試合に臨んでいたという。アウレリロ×クレメンティの決勝終了後、2階の記者席で人目もはばからず滂沱の涙を流していたレミーガ。自分を責めるように壁に拳や額を打ちつける姿は、遠い異国の檻の中で力を持て余す悲しいライオンのようだった。

第9試合 決勝 5分2R(延長3分1R)
×リッチ・クレメンティ(米国/チーム・エクストリーム)
○マーカス・アウレリロ(ブラジル/アメリカン・トップ・チーム)
1R 0'40" TKO (戦意喪失によるタップアウト)

※アウレリロが優勝

 スタンドでの見合いからアウレリロが右のパンチをヒットさせつつ飛び込みテイクダウン。上になったアウレリロがさらに試合を進めようとしたところで、クレメンティが突然のタップアウト。左眼を指差し、戦闘続行不能をレフェリーにアピールすると、和田レフェリーが試合をストップさせた。
 なぜストップしたのかわからない満員の観衆は、あっけない幕切れに騒然としたが、序盤の右パンチが致命傷となった模様。左目眼窩底骨折の疑いがあるとのことで病院へ直行した。打撃、寝技のオールラウンダーっぷり、スタミナの強さをいかんなく披露し、未知のパワーをまだまだ残しながらも、アメリカン・トップ・チームの刺客、マーカス・アウレリロがトーナメント優勝を飾った。


第5試合 ZST GPリザーブマッチ 5分2R
○坪井淳浩(日本/ALIVE)
×ジェイソン・マックスウェル(米国/チーム・エクストリーム)
1R 2'14" TKO (ドクターストップ:左目尻のカット)


 マックスウェルがパンチと膝蹴りで優位に試合を運び、テイクダウンで上になるも、突然左目尻から出血し、傷口が深くドクターストップとなった。どうやら左写真のようにテイクダウン際のバッティングが原因の模様。坪井は「バッティングなら僕の頭も痛いはずなんですけど…」と唖然としていたが、試合中は意識が高揚しているせいもあり気付かなかったのかもしれない。(井原)

第8試合 ウェルター級シングルマッチ 1,2R5分+3R3分
×飛田拓人(日本/インプレス)
○アルバート・クレーン(米国/サンタフェ・アカデミー)
3R 2'05" 腕ひしぎ十字固め

<ジェネシスライト級トーナメント>


第9試合 決勝 5分2R
×内山貴博(総合格闘技武蔵村山道場)
○櫛田雄二郎(高田道場)
判定0-3
※櫛田が優勝


 ZST GP準決勝前に行われたジェネシスライト級トーナメント決勝。高田道場の櫛田が上四方からのチョーク、アームロックを極めかけ、マウントを取られてからの返しや側転パスガードも見せるなど、ZST流儀で言えば「小さな桜庭」と呼びたくなるような華麗な動きで観客を魅了。本戦を喰うような好勝負となった。だがそうなったのは負けた内山の技術も高かったからこそ。両者とも揃って今後脚光を浴びることになるだろう。(井原)


第8試合 準決勝(2) 5分1R
○櫛田雄二郎(高田道場)
×磯崎則理(U-FILE CAMP)
1'37" チョークスリーパー

第7試合 準決勝(1) 5分1R
○内山貴博(総合格闘技武蔵村山道場)
×代官山剣Z(TEAM ROKEN)
判定3-0

第6試合 クルーザー級シングルマッチ 5分1R
△渡辺悠太(G-スクエア)
△滝野吉通(ロデオスタイル)
時間切れ

第5試合 リザーブマッチ 5分1R
○佐藤 力(SKアブソリュート)
×清水裕輔(RIKI GYM)
0'40" アキレス腱固め

第4試合 二回戦(4) 5分1R
○磯崎則理(U-FILE CAMP)
×ローランド・ファビレ(フリー)
1'21" KO (ストレート)

第3試合 二回戦(3) 5分1R
○櫛田雄二郎(高田道場)
×堀 友彦(フリー)
判定3-0

第2試合 二回戦(2) 5分1R
○代官山剣Z(TEAM ROKEN)
×風間 奨(パレストラ東京)
3'36" ヒールホールド

第1試合 二回戦(1) 5分1R
○内山貴博(総合格闘技武蔵村山道場)
×小松俊明(ロデオスタイル)
判定3-0


 

 

Last Update : 01/13

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