(レポ&写真) [パンクラス] 12.21 有明:山宮、郷野と一心同体のボクシング
パンクラス "Sammy Presents PANCRASE 2003 HYBRID TOUR" 2003年12月21日(日) 東京・ディファ有明
レポート:井原芳徳 写真:湯本恵子 【→大会前のカード紹介記事】 [→掲示板スレッド]
セミファイナル ライトヘビー級 5分3R △山宮恵一郎(パンクラスGRABAKA/8位) △ブレット・ブレグマーク(米国/シーザー・グレイシー・アカデミー) 判定1-0 (廣戸30-30,岡本30-29,梅木29-29)
GRABAKA移籍第1戦となる山宮は、GRABAKAのTシャツを着て入場。セコンドには山宮をGRABAKAに勧誘した郷野と、郷野のボクシングトレーナーがつく。 山宮はサウスポーの構えのまま距離を取ってリングを周り、左ストレート、ボディ、フックを放つ。郷野は「フェイントかけてアッパー!」等と随時的確なアドバイス。カウンター狙いの山宮に観客から「もっと行け」という声が飛んでも、郷野は「省エネファイトでいいですよ」とその声を制するようなアドバイスを送り、精神的な支えにもなる。 ファイトスタイルは郷野が乗り移ったように終始ボクシング主体。2Rには距離を詰められると走ってリングを一周し、郷野がやるようなダッシュのアクションをしてみせ、ファンを驚かせる。
だがボクシング主体となったのには理由がある。山宮は黙っていたが、大会後、尾崎允実パンクラス社長は「山宮のろっ骨にヒビが入り、麻酔を打って試合に出ていた」と明かした。それでも「前だったら1Rで試合を投げてたのかなと思う。GRABAKAに移ったことは凄くいいものになるのじゃないか」と尾崎社長も語ったように、山宮は終始気持ちを切らすことなく、落ち着いてボクシングを続ける。
ブレグマークのフックで一瞬ぐらつく場面もあったが、すぐ組み付いて防御。豪快に投げられバックからスリーパーを狙われる場面もあったが、バランスの崩れた隙を突きリバーサル。ピンチになると、必ず郷野の熱心で的確アドバイスが飛んできて、山宮はその声を信頼しその通りに動く。この試合が初めてとは思えない。まるで昔から深い絆で結ばれていたように、山宮と郷野は一心同体となり試合をしている。 試合が進むほどに、山宮の表情がイキイキしていったように見えたのは気のせいだろうか? 3R残り1分、リスクを恐れず山宮はブレグマークと近距離でのパンチの打ち合い。最後は左フックを放って試合終了。倒しに行く姿勢を最後まで崩さなかった。 結果はドロー。郷野に耳打ちされてからマイクを持つと、「GRABAKAファンのみなさん、はじめまして。ismファンのみなさん、裏切り者の山宮です。判定ドローですみません」とアピール。GRABAKAファンにも、ismファンにも、五分五分の配慮(?)をする山宮らしさに、郷野風の毒がいい具合で加味されていた。マイクアピールも、郷野から勉強中である。
◆山宮 「移籍第1戦と考えればGRABAKAメンバーに申し訳ない。でも2週間で変わるわけじゃないですから。前回同様、前向きです。 (スタンドにこだわった理由は?)ありますけど、ここでは言えません。 (ブレグマークは?)力は強かったけど、すべては自分の失敗だと思ってます。自分は今までと変わってないけど、うーん、マイナスということではないです。2週間で自分の気持ちもバタバタした中で、よくやった、ということにしておきます。 (2週間で新しい面は出た?)今日はうまくいかなかったですけど、凄く(色んなことに)意識して試合できたと思います。いつものように、1点だけ見てやる試合じゃなかったと思います。(セコンドが今までと変わったことは?)落ち着いて考えてできましたね。次からは考えてやるんじゃなくて、体から動いてできるようにしたいと思います。まだ(ism時代の)クセが抜けないのがやりながらわかりますね。 (ismで戦いたい相手は?)近藤有己ですね。でも今やってもやられますから、確実に勝てる自信がついたら」
メインイベント ライトヘビー級 5分3R ×佐々木有生(パンクラスGRABAKA/7位) ○デビッド・テレル(米国/シーザー・グレイシー・アカデミー) 2R 0'15" KO (左ストレート)
今年のアブダビコンバット3位のテレルが、寝技だけでなく立技でも高度な技術を披露。伸びのある左ハイからすぐタックルに移行する動きでテイクダウンに成功すると、ハーフガードから強烈なパスガードのプレッシャーを仕掛ける。だが佐々木はマットに寝たまま一回りし、クロスガードに戻す。GRABAKAの面目躍如だ。 テレルは上から3分ほどコツコツパンチを落とすが、攻め手に欠きブレイク。またもテレルは左ハイからタックルのコンビネーションで組付くが、動きを見切った佐々木はタックルを切り防御。テレルが引き込んで下になったところで1Rが終了する。
ハイレベルな攻防が2R以降もしばらく続くかと思われた矢先、試合は突然のフィナーレを迎える。またも左ハイを出したテレルは、すかさず左ストレート。顔面にもらった佐々木はしばらく立ち上がれなかった。 大会後尾崎社長は、佐々木が左手親指を脱きゅうしており、麻酔を打って試合に出ていたことを明かした。一時は欠場も検討され、まともな練習ができなかったとも聞く。ギリギリの肉体状況が、2R開始まもなくの集中力に影響を及ぼした可能性は高い。テレルの打撃で佐々木の口唇は断裂。肉が左右に広がった状態になった。ここ6試合の戦績が1勝5敗と結果に恵まれない佐々木。冬はじっくり療養し、春にまた花を咲かせて欲しいものだ。
第6試合 ミドル級 5分3R ×長谷川秀彦(SKアブソリュート/7位) ○石川英司(パンクラスGRABAKA/10位) 判定0-3 (梅木27-30/廣戸28-30/岡本27-30)
1、2Rとも、石川がバックを取りパンチを連打する場面があり、長谷川の鼻から出血を誘う。長谷川の下からの関節狙いにも冷静に対処。パンチを効かせてからのタックル、立ち上がり際の顔面キック等、いわゆる「際(きわ)」の動きがスムーズで、練習量の豊富さを伺わせる。最後まで運動量が落ちる事がなく攻め続け、文句無しの判定勝ち。総合力の高まった石川の、来年の飛躍が楽しみだ。
第5試合 ライトヘビー級 5分2R ○渋谷修身(パンクラスism/10位) ×栗原 強(チームRoken) 判定3-0 (梅木20-18/廣戸20-18/松宮20-17)
渋谷がスタンドでは左ストレートを有効的に当て、グラウンドでもハーフガードからパンチをコツコツ当て続け危なげ無く勝利。
第4試合 ヘビー級 5分2R ×ハー・スン・ジン(韓国/ネオファイト) ○内藤征弥(A-3) 1R 2'34" 肩固め
ハーの大振りの右フックをかわした内藤はタックルでテイクダウン。ハーがリバーサルを狙った隙を突いてパスガードに成功すると、変型の肩固めで締め上げる。ハーはしばらく耐えるがやむなくタップアウト。ハーの寝技が未熟だと読み切った内藤の作戦勝ちだった。
第3試合 ウェルター級 5分2R ○大石幸史(パンクラスism/1位) ×飯田崇人(A-3) 判定3-0 (岡本20-18/梅木20-18/松宮20-18)
大石が両ラウンドともグラウンドで上からパンチを落とすなど優位をキープし続け完勝。だが格下の飯田から一本勝ちできなかったせいもあってか、勝ち名乗りを受けるやすぐに退場していった。
第2試合 ウェルター級 5分2R ○伊藤崇文(パンクラスism/2位) ×リンソン・シマンジュンタク(インドネシア/バイオ・ファイティング・クラブ) 1R 3'46" アームロック
リンソンが右ストレートからタックルのスムーズな動きで伊藤をテイクダウン。そこそこの技術水準を見せる。その後上下が2度入れ替わり、またも下になった伊藤だが、三角絞めを極め、最後はアームロックも絡めてレフェリーストップ勝ちをおさめた。マイクを持った伊藤は「パンクラスismは解散なんかするか!アホ!11年目しっかり見とけよ。パンクラスismは最後に笑うんじゃ」とアピール。11月両国大会の船木発言に噛み付いた。
第1試合 ウェルター級 5分2R △アライケンジ(パンクラスism) △花澤大介13(総合格闘技道場コブラ会) 判定0-1 (岡本19-20/梅木20-20/松宮19-19)
パワーと体格に勝る花澤が1Rは寝技で上を制し続ける。2Rは寝技で上下の入れ替わりの激しい攻防となるも、互いに決定打がなくドロー。アライはこの階級で頑張るのなら、体作りから見直すべきだろう。
パンクラスゲート第2試合 ウェルター級 5分2R ○五十里祐一(P'sLAB東京) ×高本裕和(アンプラグト国分寺) 2R 3'28" KO (顔面パンチ) ※五十里にローブローによるイエローカード1
パンクラスゲート第1試合 フェザー級 5分2R △山本 篤(キラー・ビー) △佐々木哲(A-3) 時間切れ
Last Update : 12/22
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