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(レポ&写真) [パンクラス] 10.31 後楽園:郷野、山宮引き抜き宣言。高森秒殺負け

パンクラス "Sammy Presents PANCRASE 2003 HYBRID TOUR"
2003年10月31日(金) 東京・後楽園ホール  観衆:2,150人(超満員)

  レポート:荷福晶&井原芳徳  写真:井原芳徳  【→大会前のカード紹介記事】 [→掲示板スレッド]

メインイベント ライトヘビー級 5分3R
○郷野聡寛(パンクラスGRABAKA/3位)
×渡辺大介(パンクラスism/5位)
2R 3'49" KO (スタンドパンチ)


 郷野はノーガードで渡辺と対峙。渡辺はパンチを出すが当らない。逆にノーモションやフェイントから素早いキックを渡辺の足に響かせる。パンチも確実に当てていく。更に顔を突き出し挑発する。郷野の右ストレートで渡辺が真後ろに倒れダウン。郷野は直に攻撃せず咆哮して派手に立ち回る。
「あれで終わりかと思ったから。あれが終わりでないなら6月の大阪大会の佐々木も終わりじゃないはず。佐々木がかわいそう。これは声を大にして言いたい」
 試合後郷野はこの場面を振り返った。だがレフェリーは試合を続行。まだ起きあがれない渡辺を郷野は上から蹴りにいこうとするが、途中で躊躇し、立ち上がらせようと手を差し出す。もちろん渡辺は応じない。不思議なムードが場内に漂う。試合はスタンドに戻るが、郷野の優勢は変わらず。

 2R、ゴング早々渡辺は跳び膝で奇襲をかけるが、郷野は軽々とかわす。
右ロー、右ストレート、右ボディ、左ミドルキック。郷野はバリエーションの富んだ攻撃で渡辺を圧倒する。渡辺も右フックを放つが、郷野はノーガードで全てをかわしていく。スタンディングの打撃の攻防が続くが、ラウンドが終盤に差し掛かろうとしたところ、郷野の左フックが渡辺の顔面に炸裂。1R同様渡辺は真後ろに倒れ、今度はレフェリーは試合をストップした。

 マイクを持った郷野は「普段どおりできました!両国はカストロとやってきます。タイトルマッチが3試合あるけど、そのどの試合かよりは質が高いと思うので楽しみにしてください!」とふてぶてしいアピールをし、GRABAKAの全メンバーとともにリングを占拠し記念撮影に応じる。

 大会終了後、なかなかインタビュースペースに姿を現さなかった郷野。ようやく登場すると、左手を氷で冷し、時おり苦痛の表情を浮かべる。「左フックを打った時に親指を巻き込んじゃったみたい。心配です」。郷野は去年の渋谷戦で左手を負傷。大事な11.30両国のカストロ戦に向けて再び痛めないようにと警戒し、試合中何度もグローブを引っ張って位置を直す行為を繰り返していたが、既に1Rの時点から異変が起こっていたようだ。

 だが渡辺とパンクラスismの話になると、痛みが吹き飛んだように饒舌になる。「渡辺はデビュー戦の時より弱かったな。口だけは成長してるけど。彼はあれだけ言ってこれだから、両国は出る資格ないですよ。パンチは見ないで勘でよけてました。(ノーガードスタイルは)今日のレベルまでは通用するけど、カストロや外国人相手に通用するかはわからない。自分はスタミナさえ切れなければある程度いけると思う」

「あとはですね、いい素質を持っていても、今日のあっちのセコンドの言ってることとか聞いていてもね、ismでは限界があると思うんですよ。最近ismの選手の意識が変わったとか言われてるけど、本当に強くなりたいんだったら、こっちに来た方がいいと思うんですよ。そういう意味で山宮恵一郎に引抜き工作をしたいですね(笑)。彼とは2度対戦していて思い入れがあるし、ボクシングもレスリングもできて、下にならないのが凄い武器ですね。本当に覚悟があるんだったら、寝技とか一緒に練習すれば、自分たちにもプラスになると思いますし。俺も修斗を辞めてパンクラスに来たけど、何かを得るためには、何かを捨てなきゃいけないんですよ。まずは今日のギャラで1万円のセンベイを勝って、彼の両親から説得します(笑)」

 そのことを聞いた尾崎允実・パンクラス社長は「パンクラス同士の移動はあっていいと思う、ism向きもGRABAKA向きの選手もいると思うし。道場長と本人の意見が大事です」。当の山宮は戸惑いながらも、「そこまで言うんだったら話は聞きたい」と興味を示した。ism対GRABAKAの抗争は異例の引き抜き合戦に発展するのか? またも発火点は、GRABAKAの火薬庫からだ!

セミファイナル ミドル級 5分3R
△竹内 出(SKアブソリュート/1位)
△石川英司(パンクラスGRABAKA/10位)
判定1-0 (杉宮30-30,岡本29-29,梅木30-29)


 1R、竹内が組んでテイクダウン、サイドポジションから上四方を取るが、石川が上手く立って逃れる。逆にテイクダウンからサイドポジションを取られる。竹内は下からアームロックを狙う。
 2R、石川の右ハイキックが頭をかすめる。竹内がコーナーから崩して、細かいパンチをコツコツ当てる。
 3R、竹内のタックルからハーフバックポジションに持っていきハンマーパンチのラッシュを繰り出す。石川にドクターチェックが入る。再開後竹内がコーナーへ押込む。テイクダウンから石川を固めようとするが立たれる。最後はスタンドで組み合って両者譲らず。

第6試合 スーパーヘビー級 5分3R
○ロン・ウォーターマン(米国/チーム・インパクト/3位)
×石井 淳(超人クラブ/5位)
1R 1'02" ネックロック


 ウォーターマンがマーク・ケアーばりのタックルからテイクダウン。サイドポジションからハンマーパンチを1発、アームロックを狙う。さらに石井の背後に回り片手で首と肩を極めタップを奪い完勝。
 NFL出身者らしい合理的な攻めと安定感溢れる強さで存在感を示した。勝利後のポーズも何度も決めて観客にアピールした。尾崎社長は大会後、ウォーターマンを無差別級王者・バーネットへの挑戦者の「第一候補」と評価した。

第5試合 ミドル級 5分3R
×窪田幸生(パンクラスism/9位)
○中西裕一(フリー/03年ネオブラッドトーナメント・ミドル級優勝)
2R 2'46" TKO (レフェリーストップ:マウントパンチ)


 1R、中西がゴングと共に右跳び膝で窪田に突っ込む。組んでアームロックは決まらない。窪田の右ブーメランフックが当りテイクダウン、窪田は密着せず猪木アリから蹴っていく。中西も左ミドルキックからテイクダウンをとる。
 2R、中西の右ストレートが決まる。バックマウントから胴を足でロックするがブレイク。窪田をコーナーに押込みロープ際マウントをとる。ドントムーブからマウントパンチでTKOで決まった。

◆中西「マウントでKOなんて考えてなかったので嬉しい。まだ3戦目ですけど、ランキングに入れば強い選手とやるでしょうしこれからが前途多難です。(次にやりたい相手は?)サイボーグや三崎選手はこわいですね。勝率をあげたいし、強くなりたいけど、モチベーションを上げるのが下手なんです。今回もなかなか上がらなかった。Gスクウェアに週3回練習させてもらったんですがありがとうございました」

第4試合 ウェルター級 5分3R
○北岡 悟(パンクラスism/5位)
×関 直喜(フリー/03年ネオブラッドトーナメント・ウェルター級優勝)
判定3-0 (杉宮30-27,岡本30-26,梅木30-28)


 開始前から関にガンを飛ばし気合いの入る北岡。スタンドのパンチでは押され気味だが、2R以降、関のタックルを潰し、グラウンドで優位になる展開が続く。2Rと3Rにはバックを取り、3R終盤はマウントパンチで関をいたぶり続け、ネオブラ優勝者に格の違いを見せつけた。
 北岡はマイクを持つと「最近『誰が一番強いかわからない』と言う奴がいるけど、一番強いのはパンクラスismです! 今日はメインで渡辺さんがGRABAKAのうるさい火薬庫を叩き潰してくれるはずです」とふてぶてしくアピール。ismファン以外が多かったせいもあるが、北岡に対する観客の反応は冷ややかだった。

第3試合 無差別級 5分2R
×高森啓吾(MEGATON)
○ハー・スンジン(韓国/ネオファイト)
1R 0'18" KO (スタンドパンチ)


 初参戦同士の一戦。ゴングと同時に両者がパンチを出し合う。ハーの左フックで高森がよろめく。高森もパンチを出すが1発目が効いているのでまともに当らない。さらにハーの左フックが2度入り、高森はマットに仰向けで倒れKOとなった。敗れた高森はしばらく立ち上がれず。担架が運び込まれたが乗るのを拒むと、客席の応援団の方に向かって土下座をしてリングを降りた。

◆ハー「左が当ったが両方練習している、今日はたまたま左だった。総合は韓国のスピリットMCで3試合しているが今回より短い時間の試合もあった。毎試合なるべく早く勝てるよう心掛けている。10月20日からパンクラスでグラウンドを習っているが、今回はまだマスターできていないので、今までの自分の技術であるテコンドーと氣道を出そうと思った。今はグランドをマスターするのが先決で、どの選手と戦いたいというのはない。機会があればベルトにも挑戦したい。

(シャムロックやルッテンのようなかつてパンクラスで技術を学んで王者となった選手に続けるか?)何度も言うがパンクラスでグランドをマスターすれば自分は越えることができると思う。(どの階級でやりたいのか?)ウェイトは3年前は85kgで、日本に来る前は100kgでした。今回ハードトレーニングをして93.4kgになった。どれがベストかはまだ分かりません」

◆尾崎社長「高森選手は総合2試合目で失敗しただけで、今回はハー選手のいい所が出た試合だったと思います。だから高森選手に対しての評価は、以前と同じように総合のすばらしい選手という認識に変わりはありません。それ以上にハー選手がすばらしかったと思います」
(※高森はノーコメント)

第2試合 ウェルター級 5分2R
○和田拓也(SKアブソリュート/7位)
×小沢 稔(V-CROSS)
判定3-0 (杉宮20-17,岡本20-17,梅木20-18)


 1R、和田の深いタックルが決まってテイクダウン、サイドポジションを狙いながら右パンチを的確に小沢の顔面に打ち込んでいく。アームロックは不完全、終盤パンチの乱打。2R、和田がタックルを再度決めて上になる、時間までパンチのラッシュ。

◆和田「2連敗していて今回は崖っぷちだったので落とせなかった。関節は無理に取ろうとせずパンチを続けていこうと思った」

第1試合 フェザー級 5分2R
○志田 幹(P'sLAB東京)
×和知正仁(チームRoken)
判定3-0 (杉宮20-19,岡本20-19,梅木20-18)


 1R、和知はローキックを当てていくがコーナーに押し込まれてテイクダウンされる。志田が上からパンチでコントロール。2R、和知のあびせ蹴りはかわされ、志田が上になる。志田はサイドポジションに行きたいが、和知も片足を抜かさせず。終始ポジションで差がついた。

パンクラスゲート ヘビー級 5分2R
−トニー・ネルソン(P's LAB東京)
−青木イズマエル(ストライプル行徳)
2R 2'59" ノーコンテスト

 ネルソンがカットにより出血しドクターストップ。アクシデントと判断されノーコンテスト扱いとなったが、パンチでカットしたとも見られ、審判団は後日ビデオで再チェックを行う。裁定が青木勝利に訂正される公算が大きい

Last Update : 11/04

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