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(レポ&写真) [Uクラッシュ] 10.13 東京ドーム:ジョシュ、パンクラス王座初防衛

新日本プロレスリング "Ultimate Crush" 2003年10月13日(月/祝) 東京ドーム 観衆・47,000人(満員)

  レポート:井原芳徳  写真:M.GIGIE(提供・パンクラス)
  【→大会前のカード紹介記事】 [→掲示板・パンクラススレッド]
 

第7試合 無差別級キング・オブ・パンクラス タイトルマッチ 5分3R
○ジョシュ・バーネット(米国/新日本プロレスリング/王者/117.5kg)
×高橋義生(日本/パンクラスism/3位/94.5kg)
2R 2'52" 腕ひしぎ三角固め


 パンクラスのタイトルマッチがパンクラス以外のリングで行われるのは今回が初めて。とはいえ違うのはマットの色とリングアナウンサーぐらいで、持田コミッショナーの宣誓や、廣戸レフェリーら審判団はいつもどおり。こういった周囲の状況もあってか、アウェーのはずの高橋はいつもの試合と変わらぬ表情。序盤のストレートの打ち合いでも、プレッシャーをかけているのは高橋のほうで、逆にジョシュが押され気味。単純に高橋のボクシング技術が高いだけではない。何やらリング上の空気感までもが、高橋の放つ独特のオーラに支配されているかのようだ。
 打撃戦を嫌ったジョシュは、高橋のフックをかわすと背後に周り、コーナーに押し込んで一息。8月の近藤戦の攻防が再現される。ジョシュは首相撲で膝蹴りを連打し攻勢に転ずるが、2発金的に当たりブレイクがかかってしまう。再開後、高橋は豪快なパンチで突進。またもジョシュはロープに押し込んで防御するも、パンチをもらい過ぎた影響で、鼻から大量の出血が見られる。結局1Rはジョシュがコーナーに押し込んだ状態で終了。離れ際、高橋はジョシュに何やら話かけてから自軍に戻る。これも一種の心理戦か?

 2R、作戦を変えたジョシュは、すぐに高橋をコーナーに詰めて、早々にテイクダウンに成功。バックマウントから高橋の顔面にパンチを何発も落とし、近藤戦同じく、スリーパーのチャンスを伺う。だが高橋は、一瞬の隙を突きリバーサルに成功。ジョシュの首を抱え上げたり、腰を上げパンチを落とすなど、レスラーらしいパウンド戦法に出る。
 しかしUFCでの歴戦の兵のジョシュにしてみれば、この展開はお手のもの。01年のUFC 32で前パンクラス無差別級王者・セーム・シュルトを仕留めたのと同様、高橋のパンチを捕まえ、下から一気に三角絞めへ。高橋は後ろに引っ張って必死に逃げようとするが、ジョシュの足はがっちりと絡まっている。最後は腕ひしぎも加わり、高橋はタップアウト。

 予想外の苦闘の末、防衛に成功したジョシュは大喜び。新日本のフラッグを肩にかけ、コーナーによじ上り、ファンに勝利をアピール。さらに高橋の手を上げ、マイクを持つと「ミナサンアリガトウゴザイマシタ。He is Strong」と喋り、高橋の健闘を素直に讃えた。
 ジョシュが持ち前の勝負強さで一本をもぎ取ったが、高橋の強さも光る好勝負だった。この日の高橋の体重は94.5kg。あと1.5kg落とせば、PRIDEミドル級とUFCライトヘビー級の契約体重になる。23kg重いジョシュ相手にここまでやれたのだから、ヴァンダレイ・シウバやランディ・クートゥアらとも十二分に渡り合えるのではないだろうか?

 

第6試合 アルティメット・クラッシュ・ルール 5分3R
○高阪 剛(日本/チーム・アライアンス G-スクエア/105.4kg)
×ヒカルドン(ブラジル/ブラジル・ドージョー/125.5kg)
判定3-0


 ヒカルドンことヒカルド・モラエスの初来日は、96年リングスの山本宜久戦。わずか46秒でKO勝ちし、強烈な印象を残した。99年2月のリングスでも金原弘光を圧倒。同年12月のPRIDE.8でマーク・コールマンに敗れたが、205cmの巨体はコールマンをも苦しめた。
 今回も高阪の苦戦が予想されたが、高阪は山本&金原のリングス時代の同僚。ヒカルドンを熟知しており、頭脳派でもある高阪は、すぐにタックルでテイクダウンし、身長差のハンデを埋める。さらにあえてパスガードを狙わず、安定しやすいハーフガードの体勢をキープし、そこから肩固めやパンチを狙う戦術で、じわじわとヒカルドンを苦しめる。ケビン式トレーニングの成果もあって、パワーでもヒカルドンに劣らない。

 1R残り30秒で金的をもらい、再開後もストレートパンチで右目を出血したが、ダメージを受けた場面といえばこれぐらい。2Rにはマウントからの三角絞め狙いを返され下になるが、ヒカルドンが上からパンチを振り落としてバランスを崩した隙を突いて、再び上に。今度はインサイドガードから的確なパンチを連打し、観客を湧かせる。
 3Rも上になった高阪。コツコツとパンチを落としヒカルドンの体力を奪う。膠着ブレイクがかかるが、バテたヒカルドンは力なくタックルで突進するのみ。闘牛士のごとく高阪はバックに周りこみ、顔面めがけてパンチと膝を巧みに落とす。ヒカルドンはひっくり返して上になるが、アゴで高阪の目をえぐる反則を犯し、1Rの金的に続き2度目のイエロー。後がなくなったヒカルドンに対し、高阪は終了間際にもサイドポジションから頭に膝を叩きこむなど優位をキープ。時間切れとなるも、判定はもちろん高阪。知力&体力で、巨獣退治に成功した。

第5試合 アルティメット・クラッシュ・ルール 5分3R
×ハリウン・ボルドバータル(モンゴル/モンゴルプロレス協会/87.25kg)
○渋谷修身(日本/パンクラスism/85kg)
2R 4'46" スリーパーホールド


 渋谷が下から腕十字を再三狙い試合を優位に運ぶ。危ない場面もあったハリウンだが、柔道の強豪らしく巧みにディフェンス。パワーもあり、スタンドでは渋谷を押し込む場面が多い。だが2R、パンチの連打をもらうと失速。コーナーに押し込んでなんとかグラウンドに持ち込むが、攻め手に欠きブレイクがかかる。渋谷もハリウンのプレッシャーの影響で消耗度は高かったが、片足タックルでテイクダウンに成功し、初めて上になると一気にマウントを奪取。すぐバックを取り、パンチで痛めつけた後、スリーパー狙いに。極まってはいなかったが、ガス欠のハリウンはもう参りましたとばかりにタップ。ハリウンもそこそこのいい選手だったが、総合格闘技の経験の差が勝敗を分けたといえよう。

※他の7試合はプロレス

Last Update : 10/14

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