(レポ&写真) [プロ修斗] 9.21 名古屋:阿部兄、ラスト一秒の幻影
ALIVEアカデミー "SHOOTO GIG CENTRAL CENTRAL Vol.4" 2003年9月21日(日) 愛知・名古屋国際展示場 ポートメッセなごや 第2展示館
第10試合 ライト級 5分3R ×阿部裕幸(日本/AACC/世界3位)65.0kg ○ジョン・ホーキ(ブラジル/ノヴァ・ウニオン/世界5位)65.0kg 2R 4'59" 腕ひしぎ十字固め
進境著しい打撃でぺケーニョ戦の再演を期待された阿部だが、“名古屋(地元)でということを意識しすぎた”と自ら語るとおり気負いが悪いほうに出た様子で、先手を取ってパンチを当てることには成功するものの、そこから先コンビネーションにつながっていかない。一方、ホーキは「阿部はK-1やアブダビにも出るほどの選手、弱いはずがない。特に打撃には警戒していた」と語る通り、阿部の打撃には付きあわず、早めのテイクダウンを奪う慎重策。とはいうものの、グラウンドではホーキの絶対有利は動かない。1R後半にはマウントを奪取、腕十字〜バック〜再度腕十字とアグレッシブに攻め立てていく。阿部もこの展開は予想していたといい、同等のスピードでグラウンドムーブに対応してみせる。
この阿部の充実ぶりにプレッシャーを感じたというホーキは、2R開幕早々飛びヒザ蹴りの奇襲をみせ、阿部のリズムを分断に掛る。この一発こそスカしたものの、阿部はスタンドで畳み込むチャンスを見いだせないまま、タックルでテイクダウンされてしまう。ホーキは1R同様マウントを奪取。ブリッジでの脱出を試みる阿部をがっちり押さえ込んでラウンドを完全支配する。だが、ラウンド終了直前に定石通りホーキが腕十字を仕掛けに行く。
「来るのは判ってたし、対応できると思ってたのに。気が付いたら腕が延びて、自分でもわからないままにタップしていて驚いた。試合でタップしたのは多分初めてじゃないですかy lkNも絶対返すぞと思ってて、そのまま落とされたんで。今回はタップした自分に驚いたし失望した、今までで一番ショックかもしれない」と悄然として試合を振り返った阿部のコメントが全てを語るとおり、余りに“型に入った”フィニッシュであった。「今回はイイ練習もできてたので、自分ではすごく調子がいいと思っていた。でも周りは“固い”って言ってましたし、感覚と肉体にズレがあったのかもしれない」とうつむき気味に語り、ラスト1秒で極まったと公式タイムを聞いてしばし絶句するシーンもあった。最後の最後でキツネにつままれたとでも言いたげな、しかもそれによって失った物の大きさを受け止めかねて居るような、非常に複雑な表情が印象的だった。
一方、ホーキは「阿部は今日100パーセントの力を出せていなかったと思う。1Rは内モモのローが効いたし、十字とアームロックが極まらなかったので、2Rは作戦を修正するようにペデネーラス先生に指示されて、その通り闘ったので勝てた」と語り、「ぺケーニョとKIDがベルトを争うなら、その勝者に勝ってベルトを巻きたい」と修斗マット定着を示唆した。「ホビーニョ、レオ、シャオリン、そして私が全員修斗王者になることがペデネーラス先生の夢」という言葉にもある通り、この日早川を柔術マッチで寄せ付けなかったレオ・サントスも修斗マッチでの参戦を望んでいるという。いよいよ修斗の世界ランキングが活性化する要素として歓迎したいが、その中で何人の日本人選手がサバイバルできるかという一陣の不安もよぎる。
第9試合 フェザー級 5分3R ○今泉堅太郎(日本/SKアブソリュート/世界3位)60.0kg ×ジェレミー・ボルト(米国/インテグレイテッド・ファイティング・アカデミー)59.8kg 2R 2'45" フロント・スリーパー・ホールド
前半ボルトの気迫十分プレッシャーに引き気味の今泉だったが、打撃の正確さで上回る展開。目と金的の二度のアクシデントもあり、2Rパワーダウン気味となったボルトのタックルをフロントチョークに捕らえて勝利。
第8試合 契約体重71kg契約 5分2R ○杉江“アマゾン”大輔(日本/ALIVE/環太平洋3位)70.2kg ×トム・カーク(米国/インテグレイテッド・ファイティング・アカデミー)71.0kg 1R 2'56" 腕ひしぎ十字固め 再三胴タックルでロープに詰めた杉江だが、腰のつよいカークの粘りにてこずる。三度目のチャレンジで引き倒し気味にテイクダウンに成功。半身になってこらえるカークの腕のロックをほとんど力比べで引きちぎる形で杉江が一本勝ちをもぎ取った。
リング上での勝者インタビュウで杉江は、大会前日に契約体重制への変更(本来は70kgリミットのウェルター戦予定だった)を、サウナでの絞り込み直後に聞いて凹んだとボヤき、最後はTV中継にも関らず“先輩の松下さんと言う人からからおっぱいパブで伝授された”と称する卑猥な歌(Jスカイスポーツでの中継でも恐らく自粛せざるを得ない内容)を気持ちよさそうに絶唱するなど“21世紀の奇人”ぶりを発揮した。
第7試合 ブラジリアン柔術 黒帯レーヴィ級 ○レオ・サントス(ブラジル/ノヴァ・ウニオン) ×早川光由(日本/ストライプル) 9'05" 腕ひしぎ十字固め 二度のリバーサルを奪われた上に、試合の中盤をべったりと押さえ込まれた形の早川。さらにはマウントを奪われ、ブリッジの勢いを奪われてそのまま腕十字を極められてしまった。
第6試合 ウェルター級 5分2R ×松下直揮(日本/ALIVE)70.0kg ○朴 光哲(日本/SHOOTO GYM K'z FACTORY)69.8kg 2R 1'15" T.K.O.(3ダウン) ノーガードで松下を挑発しながら、踏みこんでくると的確なパンチをぶち込む朴。松下がタックルに切り替えると着実に切り、素早い動きでスリーパーを狙うなど、持ち前の運動能力に技術的な高さも加味された感じで、成長ぶりを見せ付けた朴。2Rになるとそこまでの余裕を捨てて、一気に勝負をかけてコーナーでの打撃戦を展開。右フックで最初のダウンを奪うと、2ダウン、3ダウンと立つたびにラッシュを仕掛けて、松下に立ち直る隙を与えなかった。
第5試合 フェザー級 5分2R ×梅村 寛(日本/ALIVE小牧)60.0kg ○田中寛之(日本/直心会格闘技道場)59.6kg 2R 4'21" 三角締め 寝技師の梅村は徹底したタックルでグラウンドファイト仕掛けるが、田中は下からの蹴りで胸、肩口を突き放すなど、ルールを上手くモノにした攻めで梅村にチャンスを作らせない。逆に気持ち的に前のめりになった梅村の隙を突いて三角締めを極めてみせた。
第4試合 03年度新人王トーナメント バンタム級準決勝戦 5分2R ○赤木康洋(日本/ALIVE)55.9kg ×塙 真一(日本/和術慧舟會千葉支部)55.5kg 判定2-0 (鈴木20-19 菅野20-20 浦20-19) 遠い間合いでイマイチ踏み込みには欠けながら、バックブロー、ソバットなど奇襲系の打撃を織り交ぜながら積極的に攻めた赤木がペースを握る。終盤は一発ごとに気合をいれるなど気迫の差もあり。フィニッシュ直前もコーナーでもつれた時に掴んだ腕を最後まで離さず、アームロックを狙うなど赤木の攻めの姿勢が評価された形に。
第3試合 03年度新人王トーナメント バンタム級準決勝戦 5分2R ×藏田圭介(日本/ALIVE)56.0.kg ○HIRO(日本/総合格闘技STF)55.6kg 1R 0'08" K.O. ファーストアタックの右フック一撃で蔵田が大の字となり、HIROは修斗史上最短級の勝利で決勝進出を決めた。
第2試合 フェザー級 5分2R ○木部 亮(日本/ALIVE)59.8kg ×加納 学(日本/相補体術)60.0kg 1R 1'45" チキンウィングアームロック
第1試合 ミドル級 5分2R ×原 弘文(日本/TEAM JUNFAN修斗道場)75.1kg ○寿丸。(日本/総合格闘技秋本道場JUNGLE JUNCTION) 判定0-3 (鈴木19-20 菅野19-20 浦18-20)75.9kg
Last Update : 09/22
|