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(レポ&写真) [K-1] 9.21 横浜:武蔵、初戦で負傷も4度目の日本一

K-1実行委員会 "K-1 JAPAN シリーズ K-1 SURVIVAL 2003 〜JAPAN GP 決勝戦〜"
2003年9月21日(日) 神奈川・横浜アリーナ  入場者数・10,200人

  レポート&写真:井原芳徳  【→大会前のカード紹介記事】 [→掲示板・K-1スレッド]

※ページ前半にJAPAN GP1回戦〜決勝、後半にサップらのスーパーファイトを掲載しています。


第2試合 JAPAN GP 1回戦 (1) 3分3R
○武蔵(日本/正道会館)
×モンターニャ・シウバ(ブラジル/シッチ・マスター・ロニー)
判定3-0 (30-28,30-29,30-28)


 前回は暴走ファイトを繰り広げたモンターニャだが今回は慎重。そのせいでカウンタータイプの武蔵はやりにくかったようで、パンチやミドルを当てるものの単発に終る。判定という結果に終ったが、武蔵は「自分の攻撃を当てられたので、倒せなかったけど、まあいいかな、と思う」と遺恨の精算を宣言した。
 武蔵はこの試合で左スネを負傷。モンターニャが通常の選手と尺が違うため、ミドルキックがモンターニャの骨盤に当たってしまったせいだったと武蔵は語る。そのせいで準決勝と決勝では蹴りを制限せざるをえなくなった。谷川貞治・イベントプロデューサーは、武蔵は棄権をしてもおかしくない状態だったという。しかも宿敵モンターニャに勝ったことで、武蔵はモチベーションを維持できなかったとも語った。モンターニャのJAPAN GP参戦はそれなりに話題作りにはなった。しかし、JAPAN GP全体を考えれば、盛り上がりに水を差す結果となったといえなくもない。

第3試合 JAPAN GP 1回戦 (2) 3分3R
×冨平辰文(日本/SQUARE)
○堀 啓(日本/チームドラゴン)
判定0-2 (29-30,28-30,30-30)


 2R、堀が二段蹴りのような左ハイからラッシュ。だがダウンを奪えず、ラウンド終盤は冨平の反撃を受ける。全体的に主導権を握る時間が多かったのは堀。レスリング特訓の成果を発揮し、何度も冨平を突き飛ばす場面が見られた。

第4試合 JAPAN GP 1回戦 (3) 3分3R
○藤本祐介(日本/MONSTER FACTORY)
×ノブ・ハヤシ(日本/ドージョー・チャクリキ)
延長R 判定2-1 (10-9,10-9,9-10)

※本戦判定1-0 (29-29,29-28,29-29)

 2R、ノブが右のショートフックでダウンを奪取。だが藤本のクリーンヒットも多く、3R終了時点ではドローに。延長戦のジャッジの判断は割れたが、クリーンヒットの多かった藤本がかろうじて勝利。敗れたノブは判定に不満を示したが、今後はドージョー・チャクリキに所属しつつも日本に拠点を戻すとも発言しており、動向が注目される。

第5試合 JAPAN GP 1回戦 (4) 3分3R
×中迫 剛(日本/ZEBRA 244)
○天田ヒロミ(日本/TENKA 510)
延長R 判定0-3 (9-10,9-10,9-10)

※本戦判定0-1 (30-30,29-30,30-30)

 天田がパンチと膝蹴りで優勢。中迫は「意地になって打ち合い過ぎた」といい、なかなか主導権を握れない。本戦では天田も有効打が無かったため延長にもつれこんだが、結局中迫に打開策はなく、マストシステムの判定に散った。

第7試合 JAPAN GP準決勝 (1) 3分3R
○武蔵(日本/正道会館)
×堀 啓(日本/チームドラゴン)
2R 3'00" KO (2ノックダウン:左ローキック)


 1回戦でモンターニャのスローな動きに慣れてしまったという武蔵は、1Rこそペースをつかみきれなかったものの、2Rから左ローで攻勢。タイムアウトぎりぎりで2ダウンを奪い決勝に駒を進めた。敗れた堀は一回戦を突破できたことで集中力が途切れたという。だが体格を活かしたパワフルなファイトは将来性を感じさせるものがあり、来年の飛躍が期待できる。

第8試合 JAPAN GP準決勝 (2) 3分3R
○藤本祐介(日本/MONSTER FACTORY)
×天田ヒロミ(日本/TENKA 510)
判定3-0 (30-28,29-28,30-27)


 両者とも一回戦は延長ラウンドまで戦わざるをえなかったが、走り込みで体力を付けた藤本が優勢。2Rには右フックでダウンを奪う。3Rこそクリンチが多くなりイエローカードをもらったが、結局天田に大きなチャンスを与えず逃げ切った。

第11試合 JAPAN GP決勝 3分3R
○武蔵(日本/正道会館)
×藤本祐介(日本/MONSTER FACTORY)
延長R 判定2-0 (10-10,10-9,10-9)

※本戦判定0-0 (30-30,30-30,30-30)
※武蔵がJAPAN GP優勝、ワールドGP決勝戦出場権獲得

 両者は所属名こそ違えど、正道会館のスパーリングパートナーということもあり手の内を知り尽している。しかも武蔵は準決勝までの戦いで両足を負傷。藤本もここまで7Rを戦っており、互いに手足は出るものの様子見のようなファイトが続く。レフェリーを務めた角田信朗・競技統括プロデューサーは度々積極的なファイトを促し、2Rには両者にイエローカードを出す。3Rも「レッドカードを出すぞ」と警告するが、結局3R終っても決め手がなく延長突入。スタミナが切れた藤本に対し、武蔵はクリーンヒット数が上回り、かろうじて優勝とワールドGP決勝戦出場権を獲得した。

 勝ち名乗りを受けた後の武蔵は、緊張が途切れた影響か、一回戦で痛めた左足を引きずり、苦痛の表情を浮かべる。藤本もセコンドに肩をかつがれ、コーナーに戻る。だが武蔵の怪我を知らない観客からは、不完全燃焼の試合内容に対しブーイングが飛ぶ。リング上での優勝者インタビューで武蔵は「今日来てもらったお客さんに見せられる、喜ばしい試合じゃ無かった。本当にすみませんでした」と痛みを押し殺しながら謝罪した。


第10試合 スーパーファイト 総合ルール 5分2R
○ボブ・サップ(米国/チーム・ビースト)
×ステファン・ガムリン(米国/DC7)
1R 0'52" フロントチョーク


 ガムリンはアメフトを引退後プロレスラーを目指したという、サップと似た経歴の持ち主。なおかつ体格も近いことから、「ほぼサップ」というキャッチフレーズが付けられた。大会の前日会見でも恒例の乱闘をサップと繰り広げていた。
 両者はゴングが鳴る前から突進。サップがパンチを振り回して押す展開となるが、逆にガムリンが組み倒して上になる。だがサップはガムリンを豪快に跳ね飛ばしてスタンドの展開に戻し、再びパンチラッシュ。最後はガムリンの首を捕まえ力任せに締め上げタップを奪った。サップは「ガムリンはスモウレスラーのように体脂肪率が高いが、俺には筋力がある」と大会後に勝因を分析した。

 この日のJAPAN GP準決勝の前に、南アフリカ出身のプロボクシング元IBFヘビー級王者のフランソワ・ボタがリングインし、「マイク・タイソンと戦うためにK-1に参戦する」と挨拶。サップ戦もリング下で見守り、試合後は近付いてきたサップと小競合いを繰り広げた。

 ちなみに今回K-1リングで行われた総合格闘技ルールの2試合だが、レフェリーはK-1ブラジルプロモーターのセルジオ・バッタレリ氏が務めた。バッタレリ氏はかつてブラジルでIVCというバーリトゥード大会を主催しており、モンターニャ・シウバのマネージャーでもある。2試合とも一本決着だったため出番は無かったが、ジャッジは平直行、市瀬猛、山崎アキラの3氏だった。近年の通例どおりなら島田裕二&野口大輔両氏のコンビが総合ルールを仕切りそうなものだが、今回はK-1ルールの試合でも二人の姿は見られなかった。なお総合の試合で使われたグローブは、新日本プロレスのアルティメット・クラッシュで使われている物が借用され、10月13日の新日本プロ東京ドーム大会にも、K-1側から選手が参戦する予定だという。

第9試合 スーパーファイト 総合ルール 5分2R
×アイヴァン・サラベリー(米国/AMCパンクレイション)
○レネ・ローゼ(オランダ/チーム・ピーター)
1R 2'42" TKO (ドクターストップ:右手中指脱きゅうの疑い)


 10キロ重いローゼが突っ込んできたのを逆に組倒したサラベリーだが、サイドポジションをキープしている最中に右手中指の不調を訴え、ドクターストップ負け。すっきりしない試合内容で終った。

第6試合 スーパーファイト K-1ルール 3分3R
○マイク・ベルナルド(南アフリカ/オーランドチーム)
×バタービーン(米国/チーム・バタービーン)
2R 1'01" KO (右ハイキック)


 ボクサーのバタービーンに対しベルナルドはロー主体。1Rには右ローで2ダウン奪取。2Rには観客から「バター」コールが飛び、バタービーンの奮起が期待された。だが、ベルナルドはローを効かせ、最後は右ハイで豪快にノックアウト勝ちをおさめた。
 谷川プロデューサーは「ホースト vs. バタービーンをワールドGP開幕戦でやりたかったのに。これほどベルナルドが憎いと思ったことはない。男らしくパンチで打ち合えよ〜と思いましたね」と苦笑いを浮かべた。だがベルナルドにしてみればGP開幕戦出場権を賭けた戦いで、しかもGP開幕戦まで3週間しかないのだから、怪我をしない戦術で勝ちに徹するのは当たり前のこと。それだけGP制覇に向けてのモチベーションが強いことの現れである。冗談めかしながらのコメントで谷川Pにたいした悪意は無いと思うが、ワールドGP優勝というK-1の本道が、谷川Pのイベント戦略から薄れているのではと少し心配になる発言だった。

第1試合 スーパーファイト K-1ルール 3分3R
○ジェロム・レ・バンナ(フランス/ボーアボエル&トサジム)
×シャカ・ズール(南アフリカ/スティーブズジム)
2R 1'16" KO (右ローキック)


 バンナは昨年GPで骨折した左腕にまだボルトを埋めた状態。10月のGP開幕戦を控え、パンチを使わない慎重ファイトに徹する。なおかつズールがボクシング出身ということもあり、バンナはローを多用し、2Rに2度目のダウンを奪ったところでズールが立ち上がれず試合終了。勝ちはしたが、バンナの調整試合といった程度の内容だった。

オープニングファイト JAPAN GPリザーブマッチ 3分3R
○大石 享(日本/日進会館)
×出畑力也(日本/正道会館)
判定3-0 (30-29,30-29,30-29)

Last Update : 09/24

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