BoutReview
記事検索 by google
news

(レポ&写真) [DEEP] 7.13 大阪:三島、非情のパウンド地獄。辻、柔術の壁に涙。入江、逆乱入に憮然

DEEP事務局 "DEEP 11th IMPACT in OSAKA"
2003年7月13日(日) 大阪・グランキューブ大阪

  レポート&写真:井田英登  【→大会前のカード紹介記事】 [→掲示板・DEEPスレッド]

メインイベント 第8試合 69kg契約 5分3R
○三島★ド根性ノ助(総合格闘技道場コブラ会)
×今成正和(Team ROKEN)
2R 2'58" T.K.O.

足関十段の異名を持つ今成が、DEEP参戦以来敵なしの三島の牙城にどこまで迫るかが注目された一戦。とはいうものの本来ウェルターの三島と、ライトの今成では体格がありすぎる。三島はこの一戦のために体重を69キロまで絞って、今成側に歩み寄って見せる余裕を見せた。キャリア的にも修斗のトップランカーであった三島と、キングダムを振りだしに格闘技インディシーンを渡り歩きながらのし上がってきた今成の間には、見えない「格」の差が存在する。この一戦に掛かったものは、単なる一勝ではない。

だが、今成はその気負いも見せず、両手を上げた半身で相手に正対しない“イリホリスタイル”を見せ、あくまでトリッキーファイターである自分を主張する。しかし、ただおちゃらけた闘いをしたいわけではない。三島がローを放つが早いか、素早く身を沈めて、蹴り足を掬いにいく捨て身の戦法をみせる。一瞬でも動作が遅れれば、顔面を蹴り抜かれてしまう特攻策だ。

だが、三島は動ずることなく、これを押しつぶして上を取る。ゴンゴンと打ち込まれる顔面パンチの嵐。コーナー下で耐える今成は下から三角締めを狙うが、押しつぶされてしまう。三島は再びパンチをぶち込み、下からの関節に勝負を賭ける今成を突き放す。

アリ、猪木状態の足を取って、一瞬アキレスを取りにいった三島に、会場がどよめく。「これで極めてやろうかなと思ったんですけど、いわゆるバカ足というやつで、これは極まらないなと思って作戦を切り替えました」と語る三島。取り合いになる前にバックブローで体を起こした今成を突き放し、再び上をとる。そこからは非情なまでのパウンド地獄が続く。

2R、ロープに詰めて繰りだした三島のハイが空を切ると、身を沈めた今成はロープの反動を利用してリング中央に戻ってみせる。トリッキー魂は死なずと言ったところ。だが、続いて三島がダイビングパンチを繰りだすと。パンチは躱したものの、今成はそのまま押しつぶされてしまう。やはり体格差は体重以上にあることを実感せずにはいられない展開となる。そのまま速攻で、サイドにでた三島は必殺技のコブラ固めを見せる。これはなんとか躱したものの、素早くマウントへ。そこからは前ラウンド同様のパウンド地獄が始まる。セコンドについた後藤龍治との練習もあってか、切れを増した三島の重いパンチが容赦なく今成の顔面を何発もヒットする。

なんとか形勢逆転を狙ったTKシザースも功を奏さない。結局、回転を増した三島のパンチにレフェリーが試合を止めるまで、ひたすらパンチを浴びるしかなかった今成。試合後も、座り込んで立ち上がれない姿にショックの程度を見た。

「これが終わったら総合を引退して、ブラジリアン柔術に専念しようと思ってたんですけど、そんなこと言ってられなくなりましたね」と語る今成。体重だけではない体力、技術の残酷なまでの差を見せ付けられて、逆に鬼才の闘志に火がついたのかもしれない。初戦の伊藤といい、今成といい、ファイターを破ることで逆に燃え上がらせる奇妙なハナサカじいさんぶりを発揮する三島は、確実にDEEPの至宝となりつつある。
 

第7試合 グラップリングタッグマッチ 20分3本勝負
△桜井“マッハ”速人(マッハ道場)&須田匡昇(CLUB J)
△國奥麒樹真(パンクラスism)&門馬秀貴(A-3)
時間切れドロー

ミドル〜ライトヘビーにまたがった、今“旬”の四人を惜しげもなくグラップリングマッチで勢揃えさせてしまった一戦。それも、現在の格闘技界の情勢では、おそらくこのリングでしか顔合わせすることはあるまいというパンクラス&デモリションJTC同盟vs修斗の組み合わせなのだから、なんともマニア好みというか、人の悪いチーム編成でもある。

まず、先発を買ってでたのは門馬と須田。特に門馬はプロレスタッグばりに、先発に逸る國奥を押し止めてというポーズを作ってタッグ気分を盛り上げる。門馬の“プロレスごっこ”はそれにとどまらず、手四つを誘う指先のフラッシングや組んでからの逆手がえしなど、往年のプロレスムーブをこれでもかと再現してみせる。対する須田も、元はプロレスファンであり「嫌いではない」クチ。ガードになった門馬の両足をつかんでジャイアントスイングを狙うなど、遊び心は失わない。

ただプロレスチックなのはここまでで、タッチワークなどは淡泊なもの。相手が変わればこちらも変わるといった感じで、マッハ、國奥にするりと入れ替わってしまう。もともとこの二人は某道場で手合わせもあった組み合わせで手堅いレスリングムーブは、手のうちの分かったもの同志という感触もないではない。

この日、マッハが控え気味にしていたこともあって、目立ったのは須田だったかもしれない。オープンガードで待ち受ける門馬に前転パスガードを仕掛けたかと思うと、國奥にはジャーマンスープレックスを放つなど、普段の地味なテイクダウン&パウンドスタイルから開放された楽しさを満喫している様子が窺える。

「須田さんはもっと動かなきゃ。背中テカってないもの」と笑ったマッハだが、やはりこの須田の余裕のムーブには刺激されたらしく、やはり同じ門馬を相手に側転パスというか、その場飛びスカイツイスタープレスというか、バランスのいいムーブを見せ、プロレス心皆無の人間とは思えない動きで会場を沸かせる。

「グラップリングだけなんで、練習と同じといえば練習と同じなんだけど、そこにイベントらしい楽しさもみせたかった」と言うマッハの気分は、この日揃った四人の共同見解というところか。須田の怪我によって、なかば消化試合的にグラップリングマッチにシフトしたこの試合だが、やはり技量の高い選手同士だと、それなりに見ごたえのあるものになるということを証明するような試合となった。

試合後、次回9月15日の大田区体育館大会でのタイトルマッチを控えた須田は「以前、“挑戦者求む”といっていたので挑戦させてもらうことにしました」と、この日解説席に座っていたミドル級王者上山をリングに呼び上げ、健闘を誓いあった。

 


 

第6試合 55kg契約(グラウンド顔面パンチあり) 5分3R
×辻 結花(総合格闘技 闇愚羅/スマックガールミドル級トーナメント覇者)
○アンナ・ミッシェル・ダンテス(ブラジル/ノヴァ・ウニオン)
1R 3'55" 腕ひしぎ三角がため

通常、グラウンドでの顔面パンチが制限されたスマックガールで闘う辻だけに、DEEPルールでの対戦が懸念されたが、勝負はむしろそれ以外の部分でついてしまったと言えるだろう。

スタンドでのキックで先制攻撃にでた辻だが、ダンテスは動じず。早いワンツーで攻め込んでくる。すかさずタックルでパンチを躱した辻。組んでの払い腰でテイクダウンに成功。トップポジションを奪う。しかし、グラウンドで下になると、逆にアンドレ・ペデネーラス直伝の柔術テクニックが牙を剥く。

あっという間のスピードで仕掛けられた腕十字こそリフトアップで抜いたものの、かんぬきでパンチを封じた上で、再度三角締めを仕掛けてくるダンテス。その動きは計算され尽したもので、じわじわと有利な形を作り上げ、気が付いたときには辻の動きを封じてしまっていた。腰を浮かして腕をぬこうと踏ん張る辻の頭にパンチを叩き込み、取ったアームを自由にコントロールする動きは力強く無駄が無い。ダンテスの顔面に足をかけてなんとか仕掛けを外そうともがく辻。しかし、その動きをそのまま利用して上下を入れ換え、マウントからパンチを落とすダンテス。ブリッジで上下を入れ換えた辻だが、締めはがっちりと辻の首を捕らえて離さない。逆に腕を取り直して、下からの三角を完成させる。前転で逃れようとする辻の動きは、逆に自分の腕を伸ばしきってしまう形になってしまったのだった。

スマック10連勝中だった辻は「負けたことでラクになった」と試合後語ったものの、地元での敗戦ショックは隠せない様子だった。

 

※前半戦終了時に“理不尽男”入江秀忠が自前の拡声器をもって乱入。前回のマイクアピール劇を知ってか知らずか、客席は東京とは対照的に歓迎ムード。気を良くした入江は大仁田ばりに見栄を切って、次回9月15日大田区体育館大会での、エルガイツルールによるドスJr戦をアピール。大阪各地で集めたというファンの署名を佐伯代表に突き付けた。

しかし、アピール最中に、コブラ会所属選手の竹内竜太が背後から襲い掛かる。竹内のスリーパーはあえなく振り落とされ不発に終わったが、その混乱も収まらないうちに今度はかつての弟子であるTEAM-ROKENの鬼木貴典がマイクを奪ってリングに上がり、その場での対戦を要求する。“逆乱入”の連発に対し憮然とした表情の入江は、本部席に座り込んで「お前は顔じゃねえ。ノーマスコミの道場対決ならやってやらあ」と切り返すが、鬼木はそのままリングを降りなかったため、収拾がつかない雰囲気となる。「休憩なんで、帰ってください」と佐伯代表が介入して、事態はようやく収束した。

入江の登場自体は、大阪での署名運動といった形で半ば公的に予告されていたものだが、この二人の登場はまったく予期せぬ突発事態。前回後楽園大会で入江に集まった注目を逆手にとろうとした両選手の自己主張が、同時多発的にぶつかりあった事が原因らしい。予定調和的なギミック劇の一幕は、いかにもDEEPらしい“ガチ”な突発事件により渾沌で幕を閉じた。

第5試合 82kg契約 5分3R
○長南 亮(U-FILE CAMP.com)
×久松勇二(TIGER PLACE)
判定2-0 (1者ドロー)

 

 

第4試合 78kg契約 5分3R
○光岡映二(RJW/Central)
×グレイソン・チバウ(ブラジル/ノヴァ・ウニオン)
2R 3'41" T.K.O.(タオル投入)


 

第3試合 76kg契約 5分3R
○池本誠知(ライルーツコナン)
×佐々木恭介(U-FILE CAMP.com)
判定3-0


 

第2試合 90kg契約 5分2R
○伊藤博之(フリー)
×奥山哮司(CMA京都成蹊館)
判定3-0


第1試合 68kg契約 5分2R
×亀田雅史(総合格闘技道場コブラ会)
○深見智之(CMA京都成蹊館)
2R 3'45" K.O.(右フック)

 

<フューチャーファイト>

第4試合 82kg契約 5分2R
×大野敏彦(エスファイブ)
○崔 領(総合格闘技道場コブラ会)
1R 4'46" T.K.O.(マウントパンチ)

第3試合 79kg契約 5分2R
○濱村 健(CMA京都成蹊館)
×田中達憲(和術慧舟會兵庫支部)
1R 0'59" T.K.O.(マウントパンチ)

第2試合 67kg契約 5分2R
△寺田 功(ライルーツ・コナン)
△衣川貴士(CLUB J)
時間切れドロー

第1試合 60kg契約 5分2R
△竹内敬之(総合格闘技 誠GYM)
△長谷川孝司(P's LAB 大阪)
時間切れドロー

Last Update : 07/14

[ Back (前の画面に戻る)]



TOPPAGE | NEWS | REPORT | CALENDAR | REVIEW | XX | EXpress | BBS | POLL | TOP10 | SHOP | STAFF

Copyright(c) 1997-2003 MuscleBrain's. All right reserved
BoutReviewに掲載の記事・写真・図表などの無断転載を禁止します。
著作権はマッスルブレインズに属します。

編集部メールアドレス: ed@boutreview.com