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(レポ&写真) [女子ボクシング] 6.25 六本木:ライカ、激闘制し勝利。2階級に新王者誕生

日本女子ボクシング協会 "FIGHTING ANGEL pt.2"
2003年6月25日(水) 東京・六本木ヴェルファーレ  【→大会前のカード紹介記事】

  レポート&写真:新小田哲

メインイベント 58kg契約 8回戦
○ライカ(山木/WIBA世界フェザー級王者)
×ジェリー・フェレス(米国/IWBF世界フェザー級3位)
判定2-0(80-75,79-79,80-78)
 昨年12月に念願の世界タイトルを奪取したライカ、これが今年の緒戦となる。対戦相手のフェレスはキックボクシングでUKF世界S・フェザー級王座を所持している2刀流選手。序盤フェリスは広いスタンスからフットワークを駆使し、フリッカーのようなジャブから手数の速さを生かしての連打を見せると、ライカはワンツーでプレッシャーをかけ、じりじりと前に。中盤からライカは左ボディに活路を見出し、再三コーナーやロープに追い込み連打する。フェレスもスピードと気の強さを発揮して、両者激しい打ち合いとなる。ライカは後半6、7Rにボディの連打でラッシュ。左フック、右ストレートもヒットさせる。ところが8Rにライカは急に腰を痛め、動きが止まってしまい、フェレスの右をもらい動きが一瞬止まる場面も。ただしピンチらしいピンチはこれだけで、ボディを中心に強打を当て続けたライカが文句なしの判定勝利を収めた。
 試合後のフェレスは「自分ではドローだと思ったけど・・・。ライカは凄く上手くて当たりも強かった。彼女の左フックでアゴがおかしくなった」とライカの強さを認めていた。
 一方のライカのコメント。「仕留められなくて悔しい。でもいつもより冷静に戦えてジャブも使えたし、追い足も前回より出来るようになったんじゃないかと思った。昨年の試合後に怪我したけどおかげで走りこみもいつもより出来たし、スパーは2ヶ月前から100Rくらいはいったと思う。セコンドについてくれた畑山隆則さんからは、打った後のガードと、技術は関係ないからガンガン行けというアドバイスをもらった。自分の中では納得のいく試合だったけど、KOできるようテクニックを磨いていって、世界最強を目指したい」

セミファイナル 52kg契約 8回戦
○八島有美(Fギャラクシー/日本フライ級王者)
×ジーナ・レザース(米国/USAフライ級7位)
判定2-0(80-76,79-79,80-76)
 連打で前に出るレザースに対し、八島も打ち返すのだがやや持て余すよう印象を受ける。怪我からの復帰になる八島だが、まだ万全ではなかった様子で、後半ボディの連打で巻き返し判定で勝利したが、ポイントほど圧勝という内容ではなかった。

初代バンタム級王座決定戦 8回戦
×菊川未紀(桶狭間)
○マーベラス(SPEED)
判定1-2(79-78,79-80,77-79)
※マーベラスが初代王者に。
 日本トップレベルのテクニックを持つ菊川だが、豪快なフックで体ごとぶつかってくるマーベラスの突貫ファイトに、得意のアウトボクシングが発揮出来ない。マーベラスは女子離れしたパワフルなフックで場内のどよめきを誘うが、飛び込むとクリンチでその後が出ない。菊川もこれにボディを打つくらいしか対処できず、ずるずるとラウンドが進んでいく。結局これといった決め手がないまま判定となり、マーベラスが勝利した。
 ミニフライ級王座を返上したマーベラスは、2階級飛び越えてのバンタム級王者となった。マーベラスは昨年4月にフライ級王者八島とノンタイトルで対戦しこれに勝利しており、実質的な3階級制覇と言っても過言ではない偉業を達成したことになる。
 「6年前、アマチュア時代に菊川選手を知った時には、彼女は既にスターだった。菊川選手とはいつか戦いたいと思っていたけど、ようやく肩を並べて試合をする事が出来て嬉しい。まだ満足していないので今後も強い選手と戦いたい。戦いたいのはライカ。」(マーベラス)

ミニフライ級王座決定戦 8回戦
○袖岡裕子(SPEED)
×ジプシー・タエコ(山木)
判定3-0(78-76,78-77,78-75)
袖岡は1Rにダウン1あり。ジプシーは5Rにダウン1あり。
 初代王者中沢夏美(不動館)、第2代マーベラス森本(=現マーベラス:SPEED)に続く第3代ミニフライ級王座は、今大会随一のベストバウトの末にテクニシャン袖岡が戴冠した。
 バックステップでジプシーの突進を捌きながら左右ストレートを打ち込む袖岡だが、1R開始1分、ジプシーのパンチをもらってダウンしてしまう。「一瞬、心が折れそうになった」という袖岡だがここから持ち直し、左右フック、アッパーのコンビネーションを叩き込みんでいく。
 ジプシーは打たれながらも持ち前の打たれ強さを発揮、袖岡のパンチをもらいながらも果敢に前進するものの、手数の多さで圧倒的に上回る袖岡ペースに試合は傾いていく。
 そして5R、袖岡がワンツーからの右ストレートでダウンを奪う。ここで一気に決めに行きたい袖岡ラッシュするが、ジプシーの起死回生の右が袖岡のアゴにヒット。袖岡一瞬棒立ちになり、大きく後退。ジプシーここぞとばかりに攻め込むが、1Rのダウンと違って「当たったのが分かって次が来るのが分かったから、踏ん張る事が出来た」という袖岡は冷静に対処し、ダウンを免れる。
 6Rから勢いを盛り返したジプシーと流れを取り返したい袖岡の、激しい打ち合いが繰り広げられる。左右のフックをとにかく連打し前に出るジプシーに対し、袖岡はウィービングとバックステップでこれを避けながらワンツー、右ストレート、アッパーのコンビネーション。結局、手数と有効打でテクニックの差を見せ付けた袖岡が後半もペースを譲ることなく大差の判定で勝利。5連勝で念願の王座に就いた。
 ボクシングを始めてまだ2年足らずという袖岡だが、そのテクニックはかなり完成度が高い。女子ボクシングでは最も層の厚いクラスだが、安定王者として長期政権も期待出来そうだ。

48kg契約 6回戦
△鬼鞍幸子(横浜)
△渡邊久江(LIMIT)
引分1-1(60-59,58-59,59-59)
 総合との2足わらじを履く渡邊は、全日本ライト級王者・大月晴明ばりに広いスタンスからガードを低く下げ、飛び込んでパンチを打ち込むスタイルを披露。「試したみたら自分に合っていたので最近やり始めたけど、まだまだ調整不足だった」という渡邊は、前半単発ながらこのパンチをヒットさせたが次第にスタミナが切れ、クリンチが増えていく。後半になって鬼鞍にボディで押し込まれる場面が見られ、結局両者決め手を欠き三者三様のドローに終わった。

フライ級 6回戦
×ミサコ山崎(岩井)
○柴田早千予(白龍)
KO 4R1'47"(左フック)
1R山崎にダウン1あり
 キックボクシング三冠王、ボクシングでも国際タイトルを持つ柴田早千代がベテラン山崎と対戦、一方的な内容でKO勝利した。
 ゴングと同時に左右フック連打する柴田はさらに左ボディ、アッパーも打ち分け、1R連打で早くもダウンを奪う。豊富なスタミナと圧倒的な手数はキックの時と全く同じで、山崎に全く付け入る隙を与えない。同様の展開が4Rまで続き、最後はやはり連打で2度のダウンを奪う圧勝だった。
 「これが自分のスタイル。セコンドの声は聞こえていたけどまだまだ完璧ではない。これからはキックとボクシングの両方で世界を目指したい。まずは同じクラスの日本人と全員闘って倒して、自分の実力を見せてから。戦いたい相手は八島選手。」

ヤングファイト 52kg契約 3回戦
○古賀友子(シュガーレー)
×八尾基代(ソルジャーファクトリー)
KO 2R1'37"(パンチ連打)
 デビュー戦とは思えない出色のテクニックを披露した古賀。フットワークでサークルしながらジャブをつき、踏み込んで右ストレート、左右フックを的確に当てる。ウィービングで相手のパンチをかわし、右ストレートを強打。さらに左右フックから右ストレートで最初のダウンを奪うと、さらに右ストレートでコーナーに追い込み連打でストップを呼び込んだ。古賀はボクシングのキャリアはトータルで4年、これまでジム内のスパーリングのみで観客の前で試合をするのは初めてだというが、なまじキャリアを積んだ選手以上の高いスキルを披露した。本人も「日本チャンピオンを目指す」と語ったが、順調に行けば間違いなく早いタイミングでタイトル争いに絡んでくるだろう。

ヤングファイト フライ級 3回戦
×彩菜真(山木)
○須賀寿江(鴨川)
判定0-3(28-30,29-30,29-30)

ヤングファイト フライ級 3回戦
○桜田由樹(SPEED)
×石山絵里(LIMIT)
判定3-0(29-28,29-28,30-28)
1R石山にダウン1あり

ヤングファイト フェザー級 3回戦
○小八ヶ代真紀(山木)
×沢田真理(MAX)
TKO 2R2'00"(3R開始前にセコンドからタオル投入)
1R小八ヶ代にダウン1あり

Last Update : 06/29

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