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(レポ&写真) [PRIDE.26] 6.8 横アリ:ミルコが!ヒョードルが?あの日本人が!

ドリームステージエンターテインメント "PRIDE.26 REBORN"
2003年6月8日 (日) 神奈川・横浜アリーナ  入場者数・17,187人(超満員札止め)

  レポート:井原芳徳  写真:井田英登  コメント編集:今野麻夕子,古谷わか
  【→大会前のカード紹介記事】 [→掲示板・PRIDEスレッド]

第7試合 ノンタイトル戦 1R10分・2R&3R5分
○エメリヤーエンコ・ヒョードル(ロシア/ロシアン・トップ・チーム/PRIDEヘビー級王者)
×藤田和之(日本/猪木事務所)
1R 4'17" チョークスリーパー


 アントニオ猪木・PRIDEエグゼクティブプロデューサーのマイクで、弟子の藤田は入場。ヒーリング戦を終えたばかりのミルコも、リングサイドで試合の行方を見守る。
 ヒョードルのまわりを回る藤田に対し、ヒョードルはパンチを降って突進。足を掛けられた藤田は倒れそうになるが辛うじてこらえ、離れての間合いの状態に戻す。一触即発の攻防に、会場が大いに湧く。

 その後もまわりを回る藤田に対し、ヒョードルは腕をクルクル回すかく乱作戦。藤田のセコンドからは「誘いに乗るな」「よーく見とけ」と声が飛ぶが、ヒョードルの右のロングフックが藤田の鼻っ柱に炸裂。ヒョードルに突き飛ばされた藤田は、苦しみながらも立ち上がり際にヒョードルの蹴り足をつかんでタックル。ヒョードルは腰の強さを発揮し片足でバランスを取り続けたものの、離れ際に藤田が左フックを当ててみせる。

 再び離れての間合いに戻った両者。まわりを回る藤田に対し、ヒョードルは左右のパンチで突進。だが左のフックを降ったところで、藤田のカウンターの右フックがヒョードルの側頭部に命中。腰が一瞬落ち千鳥足となるヒョードル。並み大抵の選手ならマットに倒れるところだろうが、ここでも腰の強さを発揮し、藤田にしがみつき必死のディフェンス。藤田はヒョードルの脇を差してテイクダウンに成功。横アリは大「藤田コール」で包まれる。左目尻を出血し意識朦朧とした様子のヒョードルは、藤田の脇を抱えてしばらく体力を回復させてから、足を抜いて立ち上がろうとする。藤田はヒョードルの足をかかえて豪快にマットに叩き落とすが、ヒョードルはバランスよく着地し、スタンドの間合いに戻してみせる。

 流れは完全に藤田かと思われた。だがここからヒョードルが驚異的な勝負強さをみせる。左目尻を出血しながら、不気味に藤田をにらみプレッシャーをかけるヒョードル。そしてついにフィニッシュが訪れる。4分ジャスト、ヒョードルが右フックで突進。一瞬脇の差し合いとなるが、突き放したヒョードルはその反動で強烈な左ミドル。さらに左右のフック連打でトドメを差し、藤田はマットに崩れる。

 最後は亀になった藤田の背中に一気におおいかぶさり、チョークスリーパーでタップアウト。ヒョードルが腰の強さと打たれ強さと勝負強さを存分に発揮し、これまでにない苦戦の末勝利をもぎとった。

■ヒョードル
(藤田の印象)とても強い。最初の1分間で、手があんなに速く動くとは思っていなかった。私のミスだった。
(中西戦と比べて今日の藤田はどうだった?)自分との試合に向けて準備していたと思う。自分の弱点も強い点も研究していた。中西戦より体力的にずっと強くなった。
(試合前、藤田の弱点はどこだと思っていた?)後半に腕の動きが弱まった。体力も劣ってきて、速さも失っていた。
(藤田のパンチでふらついたが?)打撃のショックはあったが、すぐに立て直すことができた。試合ではよくあることだと思う。
(ミルコが『藤田の打撃が強ければ藤田が勝っていた』と言っていたが?)強い打撃ではなく、ポイントをついた打撃が重要だと思う。どれだけ打つかより打撃の正確さが大切だ。
(ミルコはヒョードルに打ち勝てると言ったが?)ミルコと戦えることはとてもうれしい。ミルコは打撃が速いのですばらしいと思う。次の相手はミルコになると思う。
(ミルコ×ヒーリングの感想)ヒーリングは自分の動きに終始してしまった。ミルコはヒーリングをよく見て動いていた。ヒーリングは腹に打撃を受けて戦うことができなかった。

■藤田
(チャンピオンと戦って、今の総合格闘技における自分の力を確かめたいと試合の前に言っていたが、実際戦ってみてどうだった?)最高の舞台で最高の相手と戦えて、トップの感触をしっかり体に刻んだ。気持ちよくREBORNできた。
(いけるという手ごたえは?)必死だった。ヒョードルは強い。最高の舞台で最高の相手と最高の試合をすることができた。ここで切り替えて、これからも戦い続けたい。
(次の目標は?)目標はいっぱいありすぎる。自分の嗅(きゅう)覚に任せたい。
(試合後に猪木さんから何か言われた?)特にない。『いい試合だった、興奮した』とおっしゃっていた。
(負けてしまったが、内容については?)負けたので悔しくないと言ったら嘘になる。この結果を正面で受け止めて、自分の糧にして、戦いのロードを進んでいきたい。人生辛くても笑いながら前向きに歩いていこうと思う。
(ミルコが『藤田選手が打撃を練習すればヒョードルに勝てた』と言っていたが?)ありがとう。ミルコは強くなっているから、次に戦うときはもっとすごい試合になるだろう。ミルコはどんどん進化している。


■榊原信行・DSE社長
 藤田に『ヒョードルとやってもらいたい』というオファーを出した際、これまでのオファーとは全く違った対応でした。それだけ彼のこの試合に対する覚悟が見えたし、中西戦がすでに決まっていた状態でこの試合を受け『プライドの再スタートにあたって、どっちかが灰にになるまでやるので見ていてください』と。普段言葉少ない男なのにしっかり目を見て話してくれた藤田に賭けました。そんな彼の覚悟と決意と、これまでにやってきたことを見ることができた試合だったと痛感しました。
 あとちょっとの試合でしたね。ひいきをしてはいけないんですが、控え室で桜庭と一緒に見ていて、同じ日本人として『藤田いけ〜』と応援してしまいましたね。試合を見て、藤田は決して世界のヘビー級の中でひけをとらないと思うし、控え室でさっき会ったときに『まだやります。またチャンスください』と、あれだけ殴られて、KOされた状態で言える藤田は素晴らしいです。


第6試合 1R10分・2R&3R5分
×ヒース・ヒーリング(米国/ゴールデン・グローリー)
○ミルコ・クロコップ(クロアチア/クロコップ・スクワッド)
1R 3'17" KO (グラウンドパンチ連打)


 サップをKOし一躍時の人となったミルコも、PRIDEでは外敵扱い。紹介VTRで「K-1とPRIDEの王座を取りたい」と語ったのに対し、ヒーリングが「K-1を穫ってから言え」と挑発する映像が流れると、横浜アリーナの超満員の観客は喝采。入場したミルコに対してもブーイングが飛ぶ。
 いつになく大きな声援を受けたヒーリングは開始早々からストレートで突進。だがミルコの心に揺るぎはない。ヒーリングの右ミドルを捕まえて前に倒し猪木アリ状態となるが、ミルコは寝技に付き合おうとせず、手を振り「立て」とジェスチャー。終ってから思えばここで既に「勝負あり」だったのかもしれない。実際ここでイケると確信したというミルコ。その後もタックルで突進するヒーリングを突き飛ばし、同じようにスタンドを要求する。広いリングを有効に使って逃げ、テキサスの暴れ馬を翻弄。観客の声援も次第に自分の方に引き寄せるようになる。

 さらにタックルを潰しての四点膝、スタンドでの左ハイ、左ミドルも炸裂。ヒーリングは突進のワンパターン攻撃を繰り返すのみで、ミルコに突き飛ばされてばかり。それでもミルコは絶対に寝技に付き合わず、ヒーリングを心理的にも追い詰める。

 最後は右ローで突進しようとしたヒーリングの動きを読み切り、脇腹に2発目の左ミドルをクリーンヒット。痛そうにしたヒーリングに突進し覆いかぶさり、コーナーに詰めてパンチを連打したところでレフェリーストップ。ミルコが自分の土俵で戦い続け、余裕の勝利をおさめた。

■ミルコ
(試合の感想)気持ちいい。PRIDEのリングで実力を発揮できた。ありがとうございます。
(ヒーリングの印象)心が強い。PRIDEのトップファイターだと思う。でも、今日のファーストコンタクトで彼は私を捕まえられないと思った。捕まえられないのなら立ち技では絶対に負けない自信があった。予定通りの展開だった。
(捕まえられたときの対策は?)捕まえられていないのでそれ以降のことは想像していない。もし捕まったとしても間違いなく脱出する技、レスリングや柔術のスパーリングを十分にしていた。基本的に問題はなかったと思う。
(右肘を氷で冷やしているが?)グランドでヒースの頭を押さえて膝で頭を攻撃した時にもつれた。そこから脱出するときに右肘が引っかかった。無理やり引き抜いたときに少しピリッとしたので、アイシングをしているだけ。大丈夫です。
(ヒョードル×藤田を観た感想)藤田のフックで流血したので、ヒョードルも同じ人間なんだとびっくりした。ヒョードルがトップファイターであることは間違いないが、藤田が打撃を練習していれば、今日は彼が勝つチャンスがあったと思う。もし自分の打撃だったら試合は終わっていた。
(PRIDEのリングでベルトを狙う?)PRIDEのスケジュールを考えて、時間が来たら必ずベルトをもらう。

■ヒーリング
(試合の感想)非常にがっかりした。
(ファンの歓声がすごかったが、それを感じた?)感じた。だからこそがっかりしている。ファンは私にとって重要だから。
(ミルコの印象)すばらしい選手だと思う。もっと長く戦いたかった。アバラにいい攻撃(左ミドル)をもらってしまった。
(ミルコの動きが速くてつかめなかった?)タックルしてテイクダウンしようと何度も試したが、ミルコがとても速かった。立ち技の方が良いかなと思った。そのときにつかまってしまった。
(ヒョードルやノゲイラに比べてミルコの優れている点は?)立ち技が優れていると思う。
(具体的には?)ボクシングとキックボクシングの技術が大変優れていた。でも、グランドに持ち込めなかったので、彼のグランドのスキルはわからない。
(左ミドルキックを2度受けたが、1回目も有効だった?)1回目は有効ではなかった。2回目が当たった。グランドでは打撃をそれほど受けていないが、自分の反応が遅かった。レフェリーは正しい仕事をしていて、試合を止めた。運が悪かったと思う。
(試合で立っていられないほど痛いキックは受けたことがある?)トレーニング中に何度も受けたことがある。
(ミルコはPRIDEとK-1のチャンピオンになれると思う?)まだ思わない。ミルコと再戦したい。
(ミルコはテイクダウンを嫌っているが、対処方法は?)試合時間が経過するにつれて、もっと立ち技で付き合おうと思った。スタンドで疲れさせてテイクダウンを狙おうと思った。ミルコは絶対に勝てない相手ではない。もっと立ち技の技術を上達させようと思う。
(ミルコはK-1でも3年間負けなしですよね?)ミルコは調子がよかったと思うが、自分はK-1の選手ではないし、キックボクシングの専門ではないのでわからない。
(ヘアスタイルのイメージは?)イメージは特にない。オランダのヘアスタイリストがいつもやってくれる。7ヶ月ぶりの試合で頑張ってということだったが、今回はあまりツイていなかった。
(K-1に乗り込むことは?)もしK-1に出るなら、キックボクシングの練習をもっとしなければいけない。久しぶりのリングでたくさんのファンが応援してくれていることを声援の大きさで感じた。ファンの応援でエネルギーが出てくるのを感じた。ファンの皆さんにお礼を申し上げたい。アグレッシブな試合をすると、ファンが応援してくれるし、エネルギーをもらえる。今日の試合はそのような意味でよかったと思う。



第5試合 1R10分・2R&3R5分
○マーク・コールマン(米国/ハンマーハウス)
×ドン・フライ(米国/フリー)
判定3-0


 試合前から鋭くにらみ合う両者。『PRIDE男塾塾長』のキャラが定着したフライのリベンジを期待する向きが強かったが、フライは1月に右肩を手術し、適切なリハビリをしなかったせいで動きに精彩を欠く。一方のコールマンもベストではなかったが、パンチとタックルとコンビネーションが冴えわたる。1Rは大半の時間インサイドガードで上をキープ。2Rはタックルでテイクダウンに成功するとそのままサイドポジションを取り、上四方に移行してフライの頭に膝をコツコツ当て続ける。3Rもテイクダウンしすぐサイドを取り、マウントからパンチや肩固めで攻め続け、結局文句無しの判定勝ちをおさめた。
 淡々とした試合内容だったため「エキサイティングな試合ができなくてごめんなさい」と客に詫びたコールマンだったが、PRIDEヘビー級の頂点を奪回するため、なんとしても勝たなくてはいけない試合だった。「死にものぐるいの練習が必要なのはわかっているが、必死で練習して、必ずベルトを取りかえす」とマイクを持って叫ぶ姿は、38歳の老兵ならではの凄みにあふれていた。

■フライ
(試合の感想)今日の試合は最低だった。2回連続で最低な試合をしてしまい、しかも日本では3回連続で負けてしまった。本当に申し訳ない。コールマンは本当に強い。彼はそれを2回証明した。
(日本での試合の印象は良くない?)印象は悪い。今日の戦いに関して申し訳ないと思っている。
(不調の原因で思い当たるものは?)1月に肩の手術をした。医師はきちんと手術をしてくれたが、私が適切なリハビリをしていなかった。自分が悪いと思っている。
(今の肩の状態は?)誰の肩でもいいので、取り替えてほしい。
(どちらの肩を手術した?)右肩。ここでみなさんにアドバイス。もし手術をしたら、必ずリハビリをするように。
(リベンジできなかったことについて)最低のリングにしてしまった。
(コールマンは『ベルトを取り返す』と言っていたが、取り返せると思う?)できると思う。取り返したら次は自分が彼からベルトを奪う。3回目は絶対に
勝ちたい。
(コールマンにずっと押さえ込まれていたが、肩の調子がよければ脱出できて違う展開になったと思う?)そう思いたい。

■コールマン
(試合の感想)勝てて本当にうれしい。これまで何度も怪我をしたり、個人的な問題でなかなか試合ができなかったが、多くの人にカムバックすると約束した。そして、今日は勝利でカムバックすることができた。今までで最もエキサイティングな試合ではなかったし、ベストコンディションではなかった。次はもっとよいコンディションで良い試合をすることをみなさんにお約束します。自分の動きがゆっくりで錆びついたようだったが、次はもっと速く動けるよう努力する。より速く、より強い選手になって戻ってくる。
(次の目標はヘビー級チャンピオン?)もちろん。今日のような試合内容ではチャンピオンになれない。トレーニングをして自信を取り戻し、コンディションを前の状態に戻す。健康状態もより良くして、昔のような強い選手になることをここでお約束します。
(願掛けをしている?)毎日神様に祈っている。神様がいなければ今日の勝利は不可能だった。今日の勝利を神様に感謝している。神のご加護があって、健康状態も良く、トレーニングをすることができると思う。ベルトは若いチャンピオンが持っている。彼から取り戻すのはとても難しい。自分には2人の娘がいて、世話をしなくてはいけないが、ベルトを取り戻すためには自分勝手になって、ベルトを取ったら2人の娘にベルトをプレゼントしたい。
 フライは本当にタフな選手だった。大変尊敬している。今回は慎重に戦わなければならなかった。負けたらPRIDEに戻れないかもしれないので、その権利を獲得するためにミスすることはできなかった。次はエキサイティングな試合を見せたい。私は他の団体では試合をしたくない。PRIDEで試合をすることが一番好きだから。
 


■第4試合の後の休憩あけ、高田延彦・PRIDE統轄本部長がリングに登場。ヴァンダレイ・シウバ、クイントン・“ランペイジ”・ジャクソン、ヘンゾ・グレイシー、桜庭和志を順にリングに上げ、8月10日開幕のPRIDEミドル級GPへの出場の意志を一人一人に確認し、「お前は男だ」の決めゼリフを最後に言うという「高田劇場」が繰り広げられた。ただしヘンゾはあくまでグレイシー一族の代表としての意志表示で、グレイシー一族からはヘンゾ以外の選手が出る模様だ。

第4試合 1R10分・2R&3R5分
×イリューヒン・ミーシャ(ロシア/ロシアン・トップチーム)
○クイントン・“ランペイジ”・ジャクソン(米国/チーム・パニッシュメント)
1R 6'26" KO (サイドポジションでのボディへの膝)


 ジャクソンはゴング直前に野口レフェリーにイエローカードをプレゼントするパフォーマンス。試合ではミーシャのガードからの抱き着きやギロチンを叩き潰して外したり、下からアームロックを取らせながらボディにパンチを連打するなど、リングス時代に怪力で知られたミーシャをもパワーで圧倒。さらには膝とパンチのラッシュでミーシャをロープの外に吹き飛ばしてしまう。イエローカードのプレゼントが功を奏したわけはないだろうが、野口レフェリーはミーシャが故意にロープの外に出たと勘違いし、ミーシャにイエローカードを提示してしまうほどだった。
 これで完全にペースを自分のものにしたジャクソン。ミーシャのタックルを再三潰し、頭に膝を叩き込み、最後はサイドポジションからボディへ膝を打ち降ろし、タップを奪った。

■ジャクソン
(試合中は戦略を考えていた?)考えていたことはゲームプランではない。どうしてミーシャと戦っているのか?私が戦うべき相手はヴァンダレイ・シウバではないのか?彼がチャンピオンなら、なぜ私と試合をしないのか?私はベルトのために戦いたいのに、どうしてミーシャと試合をしているのか?と思っていた。
(試合中は怒っていた?)頭に来るというよりはがっかりした。6月にベルトをかけて試合ができると思っていた。6月は自分の誕生日なので、ベルトが取れれば良いバースディプレゼントになると思っていた。
(ミーシャの印象は?)彼はとてもタフで強かった。初め、チョークを取られそうになったのは予想外だった。たぶん、自分の試合を何度も見て研究していたと思う。
(ミドル級トーナメントの抱負は?)トーナメントは初めてなので、今までにないぐらい一番厳しいトレーニングをしていこうと思う。GPのときは体のつくりやファイティングスタイルも変えていきたい。1戦1戦をできるだけ早く勝利し、疲れを残さないようにしてどんどん上まで進めていきたい。
(シウバと戦うのは1回戦と決勝とどちらがよい?)今日、シウバと試合をさせてもらっていないので、どこで当たっても勝てればベルトがもらえるので、どこで当たっても関係ない。彼がベルトを持っていて私と戦わないのは、彼は腰抜けで私から逃げているから。どこで当たっても私が彼に勝てればベルトがもらえるので、どこでもよい。

■ミーシャ
(試合の感想)負けてしまってとても残念。もう少し長く戦いたかった。怪我のため1ヶ月しかトレーニングできなくて、コンディションがあまり良くなかった。2ヶ月ぐらい練習できればもう少しよい試合ができたと思う。
(どこを怪我していた?)膝の靭(じん)帯を伸ばしてしまった。
(練習で怪我をした?)怪我をしたのはずっと前で、それをずっと引きずっていた。精神的には安定していた。
(実戦はいつ以来?)1年1ヶ月ぶりです。
(ゲームプランについて)勝つチャンスはあったと思う。アームロックが使えると思ったが失敗した。
(アームロックのとき決められなかったのは、相手の力が強かったから?)右足を使って戦えばよかったが、怪我のせいでできなかった。
(今回、PRIDE初参戦だが、PRIDEの雰囲気は?)大会に参加させていただいて、とても感謝している。PRIDEに招いてくださった指導者にお礼を申し上げたい。PRIDEファンが声援をくれたことにお礼を申し上げたい。またPRIDEに出るチャンスがあるなら、リハビリをする時間をもらっていい結果を出したい。次のリングではロシアの選手が強いということを見せたい。PRIDEはとてもレベルが高く、ハイレベルな選手と戦うことができてとてもうれしい。
(リハビリ期間について)2〜3ヶ月必要。今回は1.5ヶ月ぐらいで試合をした。2ヵ月後なら準備できる。



第3試合 1R10分・2R&3R5分
○アリスター・オーフレイム(オランダ/ゴールデン・グローリー)
×マイク・“バットマン”・ベンチッチ(クロアチア/クロコップ・スクワッド)
1R 3'44" KO (グラウンドパンチ)


 ミルコの総合のトレーナーのベンチッチは、得意の柔術テクニックを駆使し下から腕十字を狙うが、アリスターはことごとくディフェンス。最後はスタンドでアリスターの飛び膝が炸裂。ボディにもらったベンチッチは力なく倒れ、アリスターが上にのりパンチを連打したところでベンチッチはタップした。

■アリスター(トレードマークのどでかい木槌を携えて登場)
(試合の感想)KOじゃなかったのは残念だけれど、とにかく勝ててよかった。とてもうれしい!
(直前に相手が変わった影響は?)スタンドで来るのか、グラウンドで来るのか。いい奴か悪い奴か。向こうがどう出てくるのかがわからないので注意深くなってしまい、立ち上がりが遅くなってしまった。
(PRIDEで勝ち上がってきた感触は?)もちろん。全勝なので上がってきていると感じている。
(8月のミドル級GPについては?)トーナメントだろうとチャンピオンシップだろうと、貰えるものはなんでも貰いたい。
(ミドル級で戦いたい相手は?)やはり今回はヒカルド・アローナと戦う予定で練習もしてきたので、アローナとはぜひ戦いたい。
(今、全身オレンジ色ですが、母国オランダ代表という意識の現れですか?また背番号の「22」はにはどんな意味が?)もちろんそうです!その質問を待っていた!先週誕生日で23歳になっちゃったけれど、22歳だったから。本当は「1」ってするべきかもしれないね。(木槌とプラスチックのピコピコハンマーを叩きながら)応援の際には、ハンマーを忘れずにね!


■ベンチッチ
(試合の感想)まぁ、大丈夫です。別になにも。あまり練習ができなかったのですが、それほどダメージも受けていません。
(前の試合はいつ頃どこで?)去年の7月にアトランティックシティのトロピカーナホテルで(A Night of Championsという大会)。アメリカ人のチャンピオン(Jose Tabora)に2分でアームバーで勝利しました。
(今日の相手の情報は?)全くありませんでした。試合のオファーを受けたのが7日前だったので、準備できなかったのが実状です。体重も自分の標準体重を越えていました。
(作戦は?)とにかく自分の全て出しきろうと。ですのでお伝えできるほどの作戦というのは前もって立てていませんでした。
(充分に調整期間があれば誰と戦いたい?)誰とでも大丈夫だ。ビコーズ、アイ・アム・バットマン!
(柔術は誰から習った?)グレイシー柔術の先生からフィラデルフィアで。現在はサウロ・ヒベイロとトレーニングしています。
(リングネームのバットマンの由来は?)特に深い意味はないんだけれど、このキャラが好きだから。ヒーローだし、バットマンを嫌いな人はいないと思うので。



第2試合 1R10分・2R&3R5分
×アンデウソン・シウバ(ブラジル/シュート・ボクセ・アカデミー)
○高瀬大樹(日本/フリー)
1R 8'33" 三角絞め


 アンデウソンの打撃を警戒し、距離を取る高瀬。最初の右ストレートは顔にもらってしまうが、その後の右に合わせてタックルでテイクダウンに成功。恩師の桜庭風のタイツを履いている高瀬は、インサイドガードからモンゴリアンチョップを見せるなど、桜庭を意識したような動きも出す。だが見せ掛けの攻撃だけでなく、昔から定評のある寝技がこの日は全開。ハーフガードからアームロックを狙い、アンデウソンの足のフックが外れた隙にパスガードし、そのまま腕を絞り上げる。アンデウソンはロックを外すが、高瀬はサイドをがっちりとキープ。そのままアンデウソンの首に何度も足を引っ掛け、三角絞め狙いのような動きを繰り返す。そして8分過ぎ、サイドの体勢のままアンデウソンの頭と腕を抱え、アンデウソンがもがいて外そうとしたところで一気に頭を引っ張り、足を絡めて三角絞めを極めタップアウト。マッハ、ニュートンを破ったアンデウソンに何もさせず、高瀬が完璧な内容で金星を奪った。

 高瀬はマイクを持つと「ここまで来るのに凄い時間がかかってしまったんですけど、たくさん挫折して。皆さんも生きていれば辛いこともあると思うけど、人を思いやる心を持って、頑張って生きていってください。もっと一杯練習して、桜庭さんや吉田さんのようなヒーローになります」とアピール。そしてリングを降りようとしたところで再びマイクを持ち「PRIDE-GPミドル級に出れるよう、皆さんの力を貸して下さい」と付け足した。ミドル級は93kg以下のため、この日84kgで試合をした高瀬は体格的に厳しいと思われるが、勢いに乗った今こそ、GPで暴れ回る絶好の時期だろう。


■高瀬
(今日はかなりアグレッシブな試合運びに感じましたが、相当覚悟して臨んでいましたか?)そうですね。数少ない世界最強の選手の一人だと思ってたので。でも決して彼と僕の間の打撃と寝技の能力に大きな違いはないと思っていたので、積極的に行けたのだと思う。ただ、そのために打撃の練習を一生懸命やってきたので。もし打撃の練習をやっていなければ、もっと警戒してかかっていたと思います。
(意地でも寝技で一本を狙う気持ちだった?)そうです。自分はこのパンツ見てもらえればわかるように、桜庭さんのスタイルを意識しているので、関節で一本を狙っていきました。僕は打撃イコール暴力だと思うんです。打撃ってのは別に格闘家じゃなくても出来ると思うんです。そこに顔があれば殴れる。そこらへんの町の人間にもできることだから。それに対して関節技というのは格闘家にしかできないこと。そこが、桜庭さんや吉田さんがヒーローと言われる所以(ゆえん)だと思うんです。だから僕もそれを見習って。決してアンデウソン選手を否定しているわけではないんですけれども。
(アンデウソンの印象)最初はかなり自信たっぷりみたいでした。一発もらいそうになったんですけど、僕がテイクダウンしたらすごい怒ってたんで。まぁ、僕も満足してないですけれど。まだまだ僕も桜庭さんみたいになるには、今日は50点ぐらいですね(苦笑)。

(今後PRIDEマット闘いたい選手は?)まずは実績の差があるにも関わらず、試合を受けてくれたアンデウソン選手に感謝したいです。そして彼が望めばお互い実績を積んで再戦したいと思っています。ミドル級の選手としてはカーロス・ニュートン選手だったら良い試合になるのでは?
(ファイトスタイルや入場コスチュームなどかなりイメージチェンジを計ったようだが?)タイツのオレンジ色についてはTHE BESTのときから変えていないが、バックプリントについてはそのまんま桜庭選手のデザインをパクらせていただきました。高田道場さんに電話してOKを貰いました。ありがとうございますって感じです。
 また今後もプライドのリングに上がれるように、皆さんの力を貸してください。今日はどうもありがとうございました。

■榊原信行・DSE社長の高瀬評
 高瀬はなかなか感情や思いを上手に伝えられない、表現の下手な男なんですが、彼は彼なりに今回このリングに上がるまでに、何度も何度も『PRIDEのリングに上がらせてくれ、チャンスをくれ』と言ってきました。その熱意を受け『では結果をまず見せてくれ』ということで今回上がってもらったので、(今日の試合を見て)高瀬には頭が下がるというか、アイツがやりたかったのは、こういうことだったのだな、と。あそこまでやってくれるとは思っていなかったというのが本音です。ですのでいい意味での裏切りを感じさせてくれたことに大変感謝しています。

■アンデウソン
(試合の感想)全体的には良い試合だったと思う。高瀬選手は力があった。自分は反省する点が多くあったが、今後の自分のためにそれを克服する練習を積んで行きたいと思う。試合というのは勝ったり負けたりの繰り返し。今後の自分のためにはとても良い試合になったと思う。
(高瀬はビデオ等で研究した?)シュートボクセでは事前に相手のビデオを見たり研究するような習慣ありません。ですから今回も研究しませんでした。私達は自分が一生懸命練習してきたことを全て試合で出し切る事を最も重要視しています。今日は残念な結果になりました。でも、次回も自分のハートで闘って行きたい思います。
(高瀬のことを格下と思っていた?)そういった気持ちはなかったし、今までそのような考えを持ったことはない。ただ今回、高瀬選手は運がよかったし、グラウンドのテクニックが大変優れていた。いつも他の選手ができないことをやってみせるのがシュートボクセ。だから今日負けたから終わりということではなく、私達シュートボクセはこれからももっともっと大きくなって、皆さんに良い試合を見せられるように頑張りたいと思っています。ドウモアリガトウゴザイマス。



第1試合 1R10分・2R&3R5分
×ニーノ・“エルビス”・シェンブリ(ブラジル/グレイシー・バッハ・アカデミー)
○浜中和宏(日本/高田道場)
判定0-3


 グラウンドに引き込んだニーノは柔らかい関節を活かし、下からオモプラッタや三角絞めを狙う。だが浜中がことごとく外し猪木アリ状態にし、ブレイクがかかるという展開が繰り返される。1R、ニーノの膝蹴りで浜中は鼻血を出したが、2Rには浜中のインサイドガードからのパンチが当たるようになり、逆にニーノが鼻血。3Rには浜中がスタンドのパンチも当て、ニーノはガードポジションになっても攻め手を欠く展開に。浜中も上からの攻めがなく両者にイエローカードが出されるが、流れは完全に浜中。ニーノが引き込みに失敗し猪木アリ状態で寝転ぶたびに、観客からブーイングが飛ぶ。決定打となるようなパンチが無かったものの、浜中の優位は動かず、文句無しの判定勝ちをおさめた。

 マイクを持った浜中は「今日は皆さん、僕のために来てくれてありがとう!これからガンガン練習して、世界最強の男になるからね。みんな見に来てね!」とアピール。強さと愛嬌のあるキャラクターで、一気に観客のハートをつかんだ。

■浜中和宏
(デビュー戦勝利、おめでとうございます。今日は練習した成果は充分に発揮できましたか)ありがとうございます。はい。もちろんです。高田さん、桜庭さん、松井さん、山本さん、道場の皆さんのおかげで、今の自分があります。これからもどんどん練習して世界最強のレスラーになれるように頑張って行きたいと思います。
(途中でニーノの強烈なヒザが一発入りましたが、覚えていますか?)はい、覚えています。素晴らしい一発でした。
(逆に自分の攻撃で何か手ごたえは?)ラッシュの時に入ったパンチが、結構効いたので自信になりました。
(グラウンドで危ないと感じた場面は?)はい、結構ありました。足がかなり上のほうまで来て、三角やオモプラッタを狙ってきていたので、かなり警戒していました。でも、桜庭さんとの練習、対策の成果で抜けることができました。
(3ラウンド闘ってみてスタミナは?)最初ビビっちゃってたんですけど、一回いいのをもらって、吹っ切れてからはどんどん行けたんで大丈夫でした。
(次は戦いたい相手は?)とにかく強い選手と。
(膝をもらった後、ずっと頭を上げた状態をキープしていたようですが、それは意識して?)はい。ずっと下げていたらどんどんパンチを喰らってしまうので、意識して上げて、ばんばんパンチを打って行くようにしていました。
(桜庭が負けたニーノに勝ったことについて)自信につなげていきたいです。
(今後のプランは?)チャンスがあれば、どんどん出て行きたいと思います。
(勝利後花道を引き上げる時に高田さんと抱き合っていたが、どんな言葉を掛けて貰った?)『いい試合だった!』といってもらえた。最高の気分でしたね!

■ニーノ
(試合の感想は?)自分にとって今一つの試合だったが、一方で大変勉強になる試合だった。一生懸命戦ったが浜中はとても強い選手で、勝つことができなかった。これからもっと練習し、また日本に戻ってきていい試合をしたい。
(浜中選手のパンチやパワーは?)予想以上に強かった。ファーストコンタクトでもそう感じた。だがリングに上がってみないと何が起こるかわからないことを実感した。これからも一生懸命練習していきたい。
(かなり顔が腫れて紫色になっているが?)自分の顔は少しのパンチでもアザになりやすいのだが、浜中選手の打撃が本当に強く、またパンチが鼻に当り本当に凄いダメージを受けた。
 本当にみなさん、ありがとうございました。日本で戦うことができて光栄です。



Last Update : 06/09

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