(レポ&写真) [UFC 43] 6.6 ベガス:ランディ・クートゥア40歳間近、脅威の二階級制覇
Ultimate Fighting Championship "UFC 43 -Meltdown-" 2003年6月6日(金) 米国ネバダ州ラスベガス・トーマス&マックセンター
レポート:井原芳徳 写真:Nick McDonell 【→大会前のカード紹介記事】 [→掲示板・UFCスレッド]
■WOWOWでの再放送:7月14日(月)27:00-28:30
第8試合 メインイベント UFCライトヘビー級暫定王者決定戦 5分5R ×チャック・リデル(米国/ピット・ファイトチーム) ○ランディ・クートゥア(米国/チーム・クエスト) 3R 2'40" TKO (レフェリーストップ:マウントパンチ) ※クートゥアが暫定王者に
一階級落としたクートゥアがキレのある動きを披露。じわじわとプレッシャーをかけ、リデルが左右に回るという展開。39歳のクートゥアが短期決戦を狙い、リデルは長期戦を目論んで体力を温存しているかのようにも思えた。だがクートゥアの的確なパンチをもらい続けるうちに、リデルは目を腫らし鼻からも出血。次第に金網にクートゥアを押し込み防御する場面が目立ちはじめる。
クートゥアは1Rに2回、2Rにも1回テイクダウンに成功。そして3R。これまで通りのプレッシャーでパンチを当て続けたクートゥアが、この試合4度目のテイクダウン。あっさりマウントポジションを奪うと、パンチの連打でリデルが防戦一方となったため、レフェリーが試合をストップした。
リデル優位の下馬評を覆し、ヘビー級に続きライトヘビー級の頂点にも立ったクートゥア。勝利者インタビューでは「ティト!このベルトが欲しかったらかかってこい!」と叫び、休業中のライトヘビー級王者・ティト・オーティズへの挑戦をアピールした。次回UFC44は9月26日に開催予定のため、そこで両者が対決してもおかしくはない。6月22日で40歳になるクートゥアが、どこまで前人未到の領域に踏み込めるのか? 今のところ底が見えない。
第7試合 セミファイナル ヘビー級 5分3R ×タンク・アボット(米国/フリー) ○キモ(米国/フリー) 1R 1'59" 肩固め
ゴング早々ミドルを放ったキモに対し、アボットはタックル。だがキモはそれを潰し上になり、ハーフガードからあっさりとマウントを奪い肩固めに。キモはじっくりとこのまま攻め続け、アボットはタップ。キモがあっけなく勝利。アボットはミア戦に続きいいところ無しだった。
第6試合 ライト級 5分3R ○イーブス・エドワーズ(米国/サード・コラム・ファイトチーム) ×エディ・ルイス(米国/フリー) 判定3-0 (30-27,30-27,30-27)
第5試合までが早く終ったため行われたこの試合。エドワーズが長い足を活かした技術で何度もバックを奪い、スタンドでも鋭い膝やハイで攻め続け圧勝。ルイスは3R通してなんとか一本負けは逃れたものの、UFCに上がるにはちょっとレベルが低かったようだ。ちなみにルイスははアブダビコンバットで宇野薫に敗れたことがあるという。
第5試合 ライトヘビー級 5分3R ○ビクトー・ベウフォート(ブラジル/ブラジル・ファイトクラブ) ×マービン・イーストマン(米国/ルイス&ペデネイラス・バーリトゥード) 1R 1'10" TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ連打)
チャック・リデル戦から1年ぶりのオクタゴン登場となるベウフォート。どういうわけかおばさんパーマのような髪型になっているのが気になったが、動きのキレはいつもどおりで、細かい動きのイーストマンに対し、落ち着いてプレッシャーをかけて中に入らせない。ミドルをかすらせて距離を計ると、鋭い左ロー。これを嫌ったイーストマンは組み付きにかかるが、ベウフォートはすぐに首相撲に捕まえ、強烈な膝を左、右と連打。右膝をアゴあたりにもらったイーストマンは金網を背中に倒れる。最後はベウフォートが覆いかぶさりパンチを連打したところでレフェリーが試合をストップした。 敗れたイーストマンはベウフォートの最初の左膝で、右の眉の上を眉の幅と同じぐらい広くカット。ベウフォートの恐ろしさを印象づける光景だった。
第4試合 ヘビー級 5分3R △イアン・フリーマン(イギリス/チーム・フリーマン) △ヴァーノン・“タイガー”・ホワイト(米国/ライオンズ・デン) 判定1-1 (27-30,29-28,29-29)
テイクダウンとグラウンドのテクニックではヴァーノンが上回ったが、元来ライトヘビー級ということもあり、ヘビー級でも大柄のフリーマンのパワーに手を焼く。スタンドでもフリーマンがパンチで突進し、終盤には金網に押し込む展開が目立つ。だがフリーマンはパワーだけでなく、ここ1年ほどミレティッチの元でトレーニングしている成果を発揮。セコンドには5月のKOTCでヴァーノンに勝っているジェレミー・ホーンもついていた。 動きのある試合だったが、互いに決め手に欠くところがこの世界で今一つブレイクしきれない一因か。結果は三者三様のドロー。
第3試合 ヘビー級 5分3R ○フランク・ミア(米国/ヒカルド・ペレスBJJ) ×ウェス・シムズ(米国/ハンマーハウス) 1R 2'56" 失格
ミアがゴング早々タックルでテイクダウン。209cmの長身のシムズを寝かし、得意の柔術テクニックで翻弄。肘で顔面をこすりつける嫌がらせも駆使しつつ、バックからのスリーパー、マウントからの腕十字で攻め主導権を握り続ける。 だがシムズがミアの腕十字を持ち上げ、叩き潰した直後にアクシデント発生。UFC初参戦のせいもありルールを把握していなかったのか?金網を背に寝ているミアの顔面を狙い、シムズは金網をつかみながら反則のストンピングを5連発。ミアは目の下を腫らしグロッキー状態で、試合続行不可能と判断され、反則を犯したシムズの失格となった。両者にとってこれからという展開だっただけに、残念な結末である。
第2試合 ミドル級 5分3R ×マット・リンドランド(米国/チーム・クエスト) ○ファラニコ・ヴァイタレ[Falaniko Vitale](米国/グラップリング・アンリミテッド) 1R 1'56" TKO (レフェリーストップ)
金網際でリンドランドがヴァイタレの脇を差して横方向に投げを放つが、ヴァイタレの体重がかかる形でリンドランドが頭部をマットに強打し失神。そのままヴァイタレが上になりパンチを連打しかけたところでレフェリーが試合をストップした。リンドランドは不運な自爆KO負け。
第1試合 ヘビー級 5分3R ○ペドロ・ヒーゾ(ブラジル/ファス・バーリトゥード) ×トレイ・テリグマン(米国/ライオンズ・デン) 2R 4'25" TKO (ドクターストップ:眉間のカット)
テリグマンはボクシングの試合経験で磨きをかけた右ストレートとボディブローで攻勢。1R後半には左目尻をカットしたヒーゾがドクターチェックを受ける。2R序盤までテリグマン優勢だったが、テリグマンがローで一回転しバランスを崩したところから形勢逆転。ヒーゾがパンチの連打で金網に追い詰め、グラウンドに上になるとさらに的確なパンチと肘の雨を降らす。テリグマンはなんとか脱出するが、立ち上がり際にヒーゾのパンチをもらってしまう。この間に目の周りをカットしたテリグマンがドクターチェックを受ける。すぐ再開したものの、さらにヒーゾのパンチや膝をもらい続け、2度目のドクターチェックで眉間の傷が深いと判断されストップがかかった。ヒーゾは劣勢を跳ね返しての見事な逆転勝ち。
Last Update : 06/11
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