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(レポ&写真) [NJKF] 3.9 後楽園:川津初防衛。桜井タイ人に勝利。瀬尾自爆

ニュージャパンキックボクシング連盟 "VORTEX II 〜旋風〜"
2003年3月9日(日) 東京・後楽園ホール

  レポート:新小田哲  写真:井原芳徳   [→掲示板・キック&K-1中量級スレッド]

第11試合 ダブルメイン NKBフライ級タイトルマッチ 5R
○川津真一(町田金子/王者)
×浅野泰輝(小国/5位)
判定3-0 (48-47,49-47,50-47)
※川津は初防衛に成功


 パンフレットの勝敗予想で全員が川津のKO勝利という圧倒的な王者有利の前評判の中、川津の初防衛戦は行われた。川津は技術・パワー・ハートとどれをとっても国内レベルでは群を抜いており、昨年5戦3勝3KO1敗1分(1敗1分はいずれもタイ人)でNJKF年間最優秀選手に選ばれるなど充実している。今回の対戦相手の浅野がトーナメントで早々と脱落し、昨年12月にタイでKO勝ちするまでは3連続引分と5回戦で未勝利だった選手であることを考えると、川津有利の前評判も致し方なかったかもしれない。ところが、浅野の健闘で試合は予想外の好勝負となった。
 初回早々、川津が力強い右ストレートで浅野をぐらつかせると、開始1分にはパンチの連打でスタンディングダウンを奪う。ダウンのコールと同時に崩れ落ち、立ち上がったものの足元がふらつく浅野の様子を見て、川津は一気に決めにかかるが、KOを意識するあまり力んでしまい、ガードを固める浅野を倒すまでに至らず1R終了。

 その後も川津はパンチコンビネーション、左右ボディフックにテンカオ、首相撲からのヒザ蹴り等多彩なテクニックを駆使して浅野を仕留めようと躍起になるが、浅野は驚異的なタフネスと精神力でひるむことなく、逆にローの連打で前進。試合後には川津が足を引きずるほどのダメージを与え、多数詰め掛けた大応援団を熱狂させた。
 結局、初回のダウンと、終始手数と有効打でリードし続けた点が支持され、川津が明白な判定勝ちで初防衛に成功したが、挑戦者・浅野の頑張りも見事で、結果的にタイトルマッチにふさわしい熱戦となった。
 大健闘を見せた浅野は「勝たないと意味ないんで」と悔しそうにしながらも「メインイベントだったので僕が頑張らないと。川津選手の圧勝じゃ面白くないじゃないですか。勝ってやろうと思ったんですけど」と充実した表情で振り返った。戦績はこれで11戦4勝(2KO)3敗4分。
 苦戦しながらも強さを見せ付けた川津はこれで15戦11勝(6KO)3敗1分。「初回のダウンで早く倒そうと力んでパンチだけになってしまった。浅野選手は根性が物凄かった」と反省。「みんな僕が勝って当り前って思ってたから、それがすごいプレッシャーになった。強い選手に挑む方が楽だなと思った」と初防衛戦で精神的な重圧があった事を認めた。今後は防衛戦、タイ人との対戦にも意欲的で、また、将来的にバンタム級へ階級を上げる可能性も示唆している。

第10試合 ダブルメイン 日タイ国際戦58kg契約 5R
○桜井洋平(岩瀬/NKBフェザー級王者)
×ワンロップ・バブウェッサー(タイ/タイ国バンタム級)
判定3-0 (49-47,49-47,49-47)


 1月の初防衛戦で孫悟空丸山(小国)を1RKOに下し圧倒的な強さを見せたフェザー級王者桜井が、タイ人との国際戦で中盤苦しみながらも底力を発揮、逆転勝利を収めた。
 序盤に足を痛めローを出せなくなったというは桜井はパンチで前進。しかし19歳ながら50戦のキャリアを誇るワンロップは、普段は53kgで戦っているという体格のハンデをものともせず巧さを発揮。首相撲からのヒザ蹴りで徐々にダメージを与えて行き、3R後半から4R前半はヒザの連打で桜井を後退させるなど中盤を優位に運んだ。この苦しい展開を桜井は一気のパンチのラッシュで打破、左右のフックに加えアッパーで追い込み、棒立ちにさせるなど形勢逆転。5Rになっても桜井はパンチで攻め続け、スタミナと気力の切れたワンロップから試合終了直前にパンチからの飛び蹴りでダウンを奪い、完勝した。
 1R1発目の自らのローで痛めたという、腫れ上がった右足の甲を気にしながら桜井は、「ローが蹴れたらもっといい結果が出せたと思うので、今回は50点」と相変わらず厳しい自己採点を下したが、無敗だった昨年の勢いそのままにこれで6連勝。「この世界にいるからにはもっと有名になりたい。K-1に出るには体重が足りないけど、そういうきっかけがあればイの一番に呼ばれるように、お客さんが面白いと思う試合をしたい」と意欲を語った。戦績はこれで21戦16勝(5KO)2敗3分。

第9試合 セミファイナル NKBバンタム級 5R
×山本恭太(大和/1位)
○藤原国崇(拳之会/2位)
4R 1'28" KO (左アッパー)


 昨年のトーナメントで共に現王者・中野智則(Team OJ)に敗れている両者の、タイトル挑戦へのサバイバルマッチ。
 序盤はフットワークを駆使する山本が左フックからローを当て優位に試合を運ぶが、3Rに藤原が得意の飛びヒザ蹴りをヒットさせ流れを変える。藤原はロー、左ボディ、左ミドルと立て続けにヒット、手の出なくなった山本に4R、左アッパーから左ボディ、さらに左アッパーを山本のアゴに入れると山本ダウン、そのまま立ち上がれず藤原のKO勝ちとなった。
 中野戦へグッと近づいた藤原はこれで17戦12勝(7KO)5敗。山本は17戦9勝(1KO)4敗4分。バンタム級タイトルマッチは7月27日(日)のAPKFディファ有明大会で行われる事が予定されている(相手はまだ未定)。

第8試合 70Kg契約 5R
○ベッカセーム野獣(APKF・MTONG/APKFスーパーウェルター級王者)
×HIROSHI(サシプラパージャパン/NKBミドル級)
1R 2'46" KO (右ボディ)


 ウェルターからミドル級の日本人選手を立て続けに倒しているペッカセームが、1R終了直前にボディへの右ストレート。そのまま10カウント以内にHIROSHI立ち上がれずKO。HIROSHIは31戦9勝(8KO)16敗6分。

※休憩前にはAVIS-03[アビス・ラブスリー](小国/NKBライト級1位)の引退セレモニーが行われた。

第7試合 NKBウェルター級 5R
○木浪シャーク利幸(小国/2位)
×瀬尾尚弘(K-U・JK国際/3位)
判定2-0 (48-47,49-49,50-48)


 NKBウェルター級王者・石毛慎也(東京北星)への挑戦権をかけた一戦は意外な形で決着がついた。木浪の前蹴りやジャブを、瀬尾はスウェーであしらいながらどっしりした構えから得意のローキックを単発で叩き込む。「ローを意識しすぎた」という木浪は手数がそれほど出ず、逆にローでじりじり前に出る瀬尾のプレッシャーをさばき切れない。木浪は中盤からテンカオや首相撲からのヒザ蹴りに攻撃を切り替えるが、これにも瀬尾はボディへの連打で反撃する。
 最終ラウンド、瀬尾がローの連打で木浪の体勢を崩すなど優位に試合を運ぶと、ここで瀬尾は木浪のパンチをノーガードで顔面に受けるお得意のパフォーマンス。これに場内沸き返るが、試合終了残り5秒となったところでなんと木浪のパンチが瀬尾のアゴを打ち抜き瀬尾ダウン。ダメージこそあまりなかったようだが、結局これが響き木浪のポイント勝ち。ジャッジポイントを見る限り、このダウンによる減点が無ければ瀬尾の判定勝ちだっただけに、あまりにも大きな代償を払った瀬尾の一人相撲だった。

 試合後瀬尾は「凡戦だったからお客さんを喜ばせようと思った」と説明したが、「自分はチャンピオンの器じゃないんですよ。強さを見せて、お客さんが喜んでくれればそれでいいんです」と自虐的に語ったあたり、そのショックは大きかったようだ。瀬尾はこれで20戦12勝(7KO)7敗1分。個性的なキャラクターに加え実力も併せ持っているだけに、自己満足のパフォーマンスで試合を落とすというのはなんとももったいない。次は、内容を伴った勝利という形でその強さと個性をアピールしてもらいたいものだ。
 一方の木浪は試合後も反省しきりだったが、これで5月16日(金)のNJKF後楽園大会で石毛へのウェルター級王座挑戦が決定している。「今回はダメでしたけど、次はばっちり決めます」という木浪はこれで18戦10勝(6KO)7敗1分。

第6試合 ライト級 5R
△ソムチャーイ高津(小国/NKBライト級2位)
△楠本勝也(東京北星/NKBフェザー級7位)
判定1-0 (50-50,50-49,50-50)


 パンチで前に出る楠本を、高津が踏み込んで捕まえ首相撲からのヒザ蹴り。これをガードする楠本という図式が5Rに渡って繰り返された。楠本の攻撃は完封し試合の大半を支配した高津だが、ヒザ蹴りのポイントを評価してもらえず、不本意なドロー。
「戦い方は試合毎に少しずつ変えてるけど、ヒザで戦う時が自分が一番強いと思っている。ただそれが日本ではポイントにならないのは残念」という高津は38戦16勝(7KO)15敗7分。「これがラストチャンスのつもりだった」という楠本は26戦15勝(7KO)6敗5分。

第5試合 NKBバンタム級 5R
×真二(小国/9位)
○童子丸(キング)
判定0-3(48-49,47-49,46-48)


 NJKFの次代を担うホープ同士の対決は、壮絶な流血戦の末、童子丸に凱歌が上がった。2001年11月大会のメインでラジャの現役ランカーと互角以上に渡り合ったものの、その試合で右ヒザを負傷しTKO負け。長期休場からの復帰戦となる童子丸は、強烈なローキックを叩き込むが、真二もひるむことなく左右のフックで応戦する。1R中盤、童子丸が打ち合いからバランスを崩しスリップ気味のダウンを奪われるが、直後に今度は真二が童子丸のローで片ヒザをつくとこれもダウンにとられる。この初回で童子丸は古傷の左目尻をカットされ流血。2R以降も激しいパンチ、ヒジとローキックの打ち合いになるが両者の手数は全く衰えない。
 3Rには今度は真二がカット。どちらも傷の深さはそれほどでもないが流血が激しく、ラウンドを進むにつれ頭からバケツで水をかぶったかのように全身血まみれで打ち合う。パンチでは真二の方がやや分がいいようにも見えたが、童子丸も強力なローを連発、4Rから両者頭をつけ打ち合う。5R、童子丸今度は右の目尻もカット(これはどうやらバッティング)。それでもひるむことなく強力なローキックを連打し、判定で打撃戦を制した。
「1Rの事は全く覚えてない。相手は夢中だったのでよく覚えてないけど、粘り強いと思った。気持ちは絶対負けないというと思ってたけど、コンディションに関しては不安だった。勝てたのは嬉しいけど、内容的には20点。もっともっと練習して頑張ります。」と試合後語った童子丸は、これで12戦7勝(6KO)3敗2分。フライ級王者川津が「尊敬出来る選手」と対戦を熱望するなど、素材は超一級品の大器だけに、長い目で成長を見守りたい。
 勇敢な戦いぶりで、敗れはしたが評価を大きく上げた真二はこれで8戦5勝(2KO)2敗1分。将来的には間違いなくタイトル戦線に絡んでくるだろう。まだ19歳、こちらもその成長が楽しみだ。

 
第4試合 58Kg契約 5R
×立嶋篤史(ASSHI-P/NJKFフェザー級)
○大川直人(大和/NKBフェザー級)
判定1-2 (47-49,50-49,47-49)

第3試合 NKBウェルター級
○石黒竜也(東京北星)
×剣[ケン](APKF・TOPS)
1R 2'45" KO (ヒザ蹴り)

第2試合 NKBバンタム級 3R
×星 雄晴(町田金子)
○戸部隆一(上州松井)
判定0-2 (29-30,30-30,28-29)

第1試合 NKBライト級 3R
○加藤悟史(ウィラサクレック)
×吉成優次(ESG)
2R 1'04" KO (ヒザ蹴り)

Last Update : 03/16

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